金原ひとみのレビュー一覧
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痛みと快楽の境界で、若さは静かに壊れていく。
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「蛇にピアス」は、映像化作品を先に観てから原作を読む、いわゆる後追い読書となりました。原作を読み進めるうちに、自然と映画の俳優たちの姿や声が重なり、改めて映像化としても完成度の高い作品だったのだと感じます。
激しい性描写や暴力表現が多く、人を選ぶ作品であることは確かですが、それらは単なる刺激ではなく、ルイという人物の空虚さや危うさを際立たせるためのもの。彼女の生きる世界観は理解しがたい部分も多いものの、刹那的に生きたい衝動や、自己破壊的な欲求は、誰しもの心の奥底に潜んでいるものなのかもしれない、と考えさせられました。
文章は研ぎ澄まされ -
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何か怪しい fishy。
三人の女性たちの、共鳴し合わない関係性の中、それぞれの家庭の噛み合わない情景に不穏さが連続する。
今、三島由紀夫『鏡子の家』を読んでいて、
解説等で登場人物達が三島自身のそれぞれの側面を象徴しているといった読み方が多いです。
それに納得しているわけではないのですが、
こちらも登場する女性3人もしかしたら著者自身の象徴なのかな、と考えてみたりした。設定自体は作家志望の女性、二人の男の子を持つ編集者、と多少近いところはあるけれど
金原ひとみさんは、おそらく自分のビジュアルを含めての作品感を創作していて、
全ては虚構。
だから、まるで分身と見せかけたフィクション。
ラ -
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金原ひとみさんの転換点と思われる作品と聞き、たしかに私がもつ金原さんのイメージを大きく変えた「ナチュラルボーンチキン」に似た感覚であった。
ただ、「ナチュラルボーンチキン」のほうがひとつひとつの言葉や考え方にぐっとくるポイントが多かったのに対し、こちらは少し自分にとっての共感性が低かった。主人公のライへの盲目的な「愛」と推しであるM.I.Mへの盲目的な「愛」の双方に馴染みがなかったからかもしれない。でも、それこそ自分とは異なるワールドへ距離をとっている証拠であり、まだ自分が別のワールドに出会い共存することが感覚的にできていない証拠かもしれない。 -
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ネタバレ10年前に読んでラストの意味が分からず、スプリットタンだけは印象に残ってあとは忘れていた。
この前読んだ金原ひとみさんの『ミーツ・ザ・ワールド』がとてもよかったので、10年ぶりにこちらもまた読んでみたがやっぱり分からなかった。
このまま自分の中で流れてしまうのは嫌だったので他の人の感想や考察を読みあさってからもう一度考えて、自分なりに言葉にまとめておく。
解釈は自由なのでここに書くことが「答え」だとは思わないが、一つの考え方だと思ってほしい。
①シバはなぜアマを殺したのか
作中でははっきり明らかになってはいないが、シバが「男も抱ける」と言ったこと、ルイとはノーマルなプレイしかしないアマがde -
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ネタバレルイはアマが死ぬことを予測していたのかもしれない。死ぬまではいかなくても離れ離れになることは予期していたかもしれない。
ルイがなぜ舌ピアスを早く拡張したがっているのか分からなかった。ゆっくり決められたスピードで拡張していけばよかったんじゃないかと思う。
だけど、ルイは生き急いでいた。なぜだかその生き急ぐという感覚に共感してしまった。急がないと間に合わないという感覚。ルイはアマに褒めてもらうために、アマと繋がってる実感が欲しくて舌ピアスをあけてスプリットタンにしたかったんだなあと思った。
最後にスプリットタンにならなかったのは、画竜点睛のように完成させるとアマとの繋がりの痕跡が消えていくと思った -
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「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
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金原ひとみが作家生活20年にわたって書かれたエッセイと掌編小説を収録した1冊。
金原ひとみのエッセイは初めて読んだけれど、この人は小説を書くことでしか生きることができない人なのだと知った。
ずっとあり続ける希死念慮の中、小説だけが現実から一瞬目を背けさせてくれる。
そんな彼女は、小説家になるべくしてなったとしか思えない。
冒頭の『「母」というペルソナ』に鷲掴みにされた。
金原ひとみという人は、傷つきやすく、傷つくたびに心の声に耳を澄まし続けたから、こんな本質ともいえる叫びを文章として表現できるのかもしれない。
エッセイや掌編小説の明確な記載がなく、まるで白昼夢を見ているかのような感覚に -
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エッセイと掌編がごちゃ混ぜの構成で、エッセイ?小説?とどちらとも取れるような内容のものもあった。
それだけエッセイと小説の雰囲気が似ている。
とにかく感情が勢いのまま溢れ出しているみたいな文章。
恋愛感情も、嫌い、嫌だという感情もすごく豊かな人なんだなあと感じた。
わりと淡々と物事を受け止めてしまう私と、対極にある人だなと思う。
物事に対する考え方とか姿勢、行動のパターンというのか、とにかく私と全然違う。
でも自分の内なる感情をこんなに分かりやすく言葉にして伝えるって凄いことだよなぁ…と感心した。
『「母」というペルソナ』に共感する人も多いみたいだが、これも私にとっては、斬新というかなるほど -
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
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バツ2の子持ち作家。そして恋愛体質。会話も心の中も全て語彙力があり冷静に自分の気持ちや考えを綴る(そりゃ小説だからそうだけど)その部分に聡明さを感じるというか理性的な人に感じるけどそんなことはなく結構メンヘラ気質で不安定。
上手く行ってる作家で料理にもオシャレさがありデリカシーのない元旦那と繊細で寛容な若い彼。そんな設定が多い(金原さんの作品で印象に残ってるのがこれ系統なのかもだけど)上に巧みな描写力でなんだかもう金原さんのエッセイなのかそうではないのか分からなくなってくる。
金原さんのエッセイ読んだ時も小説かな?と思うような感覚だったから境目を感じなくて混乱してくる。
最近読んだヤブノ -
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思考を巡らせてもどうせ何か見覚えのあるストーリーにのせてベルトコンベアの上を運ばれていくだけなら、ドパミン放出を道標に、何をどうしたいのかわからないけど何かをしている状態で生きていてもいいよなあとは思うのだけど、
実際はわたしみたいな社会不適合人間は社会に適合する形で守られないとダメだなという思いが強まった
退屈で演技くさくて茶番だけど、これが1番の安全策
結局やりたいこともやりたくないことも自分の意思の本物らしさを信じきれないのであれば、世間に伺いを立てながら飼い慣らされる方が楽
下手に抗おうとすると、その抵抗するスタンスが自分の意思らしきものの形成に大きく関与してしまって逆に支配される構造 -
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どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
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真奈実の気持ちわかるなあ
生々しい感情をむき出しにして、その感情を主題にした演技くささの残る劇に登場しなきゃいけないのは嫌だ、自分が役者であることすら完全に忘れて生身で空気に触れているのならむしろ楽しいけど
だいたい自分を外側から見る視点が消えない
p77「暴力というのはその真骨頂で、こちらにとっては痛みよりもその暑苦しさのほうが地獄なのだ」
暑苦しさから逃れたくて涼しい観客席に避難するような生活を送っている
感情を持つというのは偶然なのか必然なのか
必然と感じて理由をこじつけて納得しようとしたり今までの経験を振り返って根拠を模索したりするが、そう感じるような反射づけが環境によって偶然生じた