金原ひとみのレビュー一覧
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コロナ禍をテーマにした、識者たちの短いインタビュー記事が集められたものだが、人間の生死について、人間どうしの関係性について、また経済について(これに関しては私自身の基礎知識がなく、よくわからなかったが…)など、コロナ禍に限らず、人間社会が抱える普遍的で本質的な事柄が多岐にわたって言及されていた。
色々なるほどと思う言葉に出会ったが、特に、世界的な傾向にある「分断」が抱える問題について、アメリカ人経済学者の言葉が腑に落ちた。彼は、それは誰か一人の責任ではなく「差異を超えて互いに話し合うことを妨げている深い分断そのもの」が問題であると語った。特定の人物に責任を転嫁させるような報道に違和感があったが -
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はじめて読んだ金原ひとみさんの作品。
ドラッグ、虐待、不倫、流産……なんとも重たい内容を描く作品でしたが、この本には育児で葛藤しながら1日1日を生きていく母親の姿、母親の愛、母親の苦しみが詰まっていて読んでいくうちに心苦しくなることが多い。特にユカという母親はドラッグ中毒なので幻覚する場面はいつも恐ろしさを感じるけど、本人自身それだけ苦しんでいるんだろうと思う。金原ひとみさんの喩えかたはインパクトがあって凄いと思いました。
ユカが央太の部屋に上がってDVD齧るとこやばかった。
涼子が一弥にシャワー浴びせるとこもやばかった。
読んでいて痛々しい描写もあって、読み進めるにも時間がかかりました。重 -
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金原ひとみさんの小説は定期的に読みたくなる。何故か?
そこには嘘の無い、日常の本音があるからだ。そして、それは時に残酷で、酷く汚い。ただ、何故か安心する。
それは自分の日常が幸せである一方での
冒険の渇望、生の中にある、タナトス、破滅への憧れであるのか?
安定と真逆の不安定に身を委ね、読ませてくれる数少ない作家である。
タイトルのマリアージュとはフランス語で結婚を意味するが転じて別の2つのものが
調和している状態の組み合わせのことであるが、我々人間は我儘な生き物である。
アンビバレンスな感情の中、完全な調和は困難である。…
が、そうでないと信じたい。 -
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ネタバレ綺麗事なんか一切なしの人間関係をみた気がした。
とても大切な友人とは思えない3人の関係
ユリがみくとの関係を
同時代を生き、空間を共有する人というように
まさにそれ。
ずっと3人それぞれ好きになれなかった
みくは不倫してバレて慰謝料とられるし
弓子は旦那に不倫されてヒステリックなるし
ユリに関しては
人の気にしてることをずけずけと言って
芯まで傷つけるのがなんて人と思ったけど
それはある意味彼女自身が自分を守るすべだったのかと。
どれが本当でどれが嘘かも分からないユリに
興味がでてた。
共感はほぼできなかったけど
3人が最後幸せで居てくれて良かったと思えた。 -
Posted by ブクログ
本書を読む前に、ゲーテの「親和力」を読んでいて溜まったフラストレーションというか、肌(脳?)に滲みてこない感覚をどうにかしたく、次に読む本に選んだのがこの本。とかく“何らかの法則性”の文脈でものごとを見たがる前者に対して、金原ひとみはその逆。
金原ひとみの文学にあるのは、それら整理をつけたがる圧力に対するカウンターとしての無軌道さではなく、そうでなければ生きられないという必死さ、息も絶え絶え感。私としてはそれが好きであり、読む動機でもある。
あまり長編を発表しないようだが、身を削るようなこの書き方であれば、そこも致し方ないように思える。が、長編を読みたい。