【感想・ネタバレ】fishyのレビュー

あらすじ

結婚したばかりの男に思いを寄せる作家志望の美玖。編集者の弓子は不倫する夫を監視しながら自尊心を守ることに必死だ。インテリアデザイナーのユリは仕事も家庭も充実しているが、その生活は不透明で真偽を見通せない。刹那を愉(たの)しむ女たちの共感を超えた新たなつながり。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

◾️record memo

そういう「女性性」の塊のような粘液をマグマのごとく溜め込んでいる彼女のサバサバアピールを目にすると、今や虚しささえ感じる。

「幸せとか不幸とか、そういう定義もう止めない?幸せとか不幸とか、羨ましいとか可哀想とか、そういう相対的な考え方、身を滅ぼすよ」

自分のあまりの滑稽さに、自分がくしゃっとした茶色いゴミ屑になってコロリと道路に転がる様子が頭に浮かぶ。もう誰か早く轢き殺してと願っても、ゴミ屑は小さすぎて中々車のタイヤに当たらない。

「え……さっきの子たち、長い付き合いなんでしょ?三人はお互いのこと何でも知ってるって、美玖ちゃんが言ってたじゃん」
「お互いのこと何でも知ってるなんて言い切るの、どうかしてるよね。あの子自分のことだってよく分かっていないのに」

もう誰も私が何者であるかを知らない。幽霊のように、誰も私が存在する理由を知らない。私でさえ、私が何者であるのかを知らないし、なぜ存在するのかも知らない。何故かは分からない。これまでも私は、結婚しても妻を演じただけだったし、子供ができても母親を演じただけだったし、同年代の女性の前では女友達を演じただけだった。ベッドから出て、ドアを静かに開ける。そこには当たり前のように、誰もいない世界がある。誰もいない世界で、何者も演じずにいる自分を演じる。

山本医師の喋り方は気取っているわけではなく、気質的なものだ。この人の元に初めてカウンセリングに来たのは四年前、この喋り方と口調を聞いて直感的にこの人は美容整形外科に向いていないと分かった。生き馬の目を抜くこの業界で、こいつのこの押しの弱さ、当たりの柔らかさは致命的だと思った。しかし何故かこのクリニックはなかなかにシステムが商業的で何だかんだで儲けは大きそうだった。もしかするとこの院長よりも経営の才能があるブレーンや共同経営者がいるのかもしれない。人の欲望に寄り添い搾取することに長けた商業のシステムとこのへなちょこ感のある院長とのちぐはぐ感が気に入って、私はここに通い続けている。

弟と相談していたらしき長男がリビングに戻ってきて甘えたように「パパが帰ってきたら夕飯外に食べに行かない?」と言う。虚無に陥りかけていた私は途端に強烈に腹を立て、そうだねと笑顔で答えるとスマホを手に取る。「子供たちへの説明責任はどうした?今すぐ帰ってきて自分一人で子供たちに離婚の事実とその経緯を説明しろ。さっきの薄汚い女を連れてきてあの女との同居でも提案してみろそれでもいいって言ってくれたんだろ?」とメッセージを入れた。顔が強張り今にも叫び出しそうなほどの怒りが竜巻のように身体中をかき回している。全ての臓物がミキサーにかけられているようなお祭り状態だった。もう皺もたるみもどうでも良かった。夫に一ミリでも綺麗だと思ってもらうことを諦めた私は、鬼になることを選んだ。「慰謝料払え。女にも請求するからな」。

私は条件が揃うと、爆発する。コントロール不能、完全なる無力、客観と主観の八百長ゲーム。こんな面倒臭い人間に誰がした。そうやって責任主体を外に見出すところ何とかならないのか。そういうとこだぞ。私の半分と半分がせめぎ合う。こうとしか生きられない自分と、そうとしか生きられない自分に批判的な自分、でもそれは単純に半々なのではなく、それぞれがそれぞれの性質を半分ずつ持ち合わせているから分断できるものでないということが問題なのだ。

鰹のタタキがやけに血なまぐさく、追加で薬味を口に放り込む。二人がちらっと視線を交わしたのが分かったけど、気づかない振りをして向こうの方で何故か昔のジャニーズの歌を合唱している中年グループの方に視線をやる。無駄に楽しそうでいいなと思うけれど、彼らの楽しさを私は一生共有できないだろうという確信もある。この疎外感を、幼い頃から感じていた。

必死に検索しながら、はたと気づく。奥さんは、恋愛にうつつを抜かし舞い上がり続けていた私をこの地に引き摺り下ろすために慰謝料請求をしたんだ。私と彼が天空みたいなところでセックスを楽しんでいるのを、とにかく下界に引き摺り下ろして、お前らの恋愛は夢物語でしかないと知らしめるためにこの書類を送ってきたんだ。お前のしていることは慰謝料、和解金、示談、弁護士、起訴、そういう禍々しいワードに満ちた泥臭い現実なんだぞという主張なのだ。

いつも彼の陰には奥さんがいて、目を光らせ、彼めがけて飛んでくる害虫をエアガンで撃ち落とし続けているのだ。私は彼と付き合っていたというよりも、彼プラスαと付き合っていたのだ。結婚している男というのは、どうやってもそれ単体で存在しようがないのだ。

「通知書拝受しました。有責側のくせにそっちから離婚要求してくるなんて信じられない。何度も言うけど離婚は絶対にしない。不倫して子供置いて勝手に出て行って、不倫相手と暮らしながら離婚要求してくるなんて狂ってる。そんな道理は通らない。この世の厳しさを思い知らせてやる。あんたが上司とか仕事相手に対して漏らしてた悪口も全て暴露してやる。あんたが何月何日に女とどこのホテルに行ってたかも全部暴露してやる。お前も女も会社にいられなくしてやる。こんな辱めを受けるなんて絶対に許さない。今日を機に我慢してきた全てをぶちまけてあんたの人生をめちゃくちゃにすることだけを考えて生きていく。お前も女も社会的に抹殺してやる。お前らの所業を全て白日のもとに晒してやる。死んで詫びろクソ野郎!」

女が夫をせっついてるのかもしれない、早く離婚してくれなきゃ別れるなどと抜かされて焦っているのかもしれない、でもだとしても許されることではない。彼は新しいオモチャを手にいれるために、古いオモチャを捨てようとしているだけだ。人をオモチャ扱いする人は結局もっと面白いオモチャが手に入るとなればいくらでも今あるオモチャを捨てる。

当社比ではあるが、人生に於いて恋愛の比重が高い人は一人の人と添い遂げることができない。恋愛をし続け、離婚と結婚を繰り返す。この人だと思った人と大恋愛をして結ばれたとしても、またしばらくすると別の大恋愛を始めて離婚して結婚する。そしてまた大恋愛をする。これは彼らが恋愛をするのが難しい歳になるまで続く。色々なパターンがあるけれど、恋愛の占める割合の高い人々の末路は大概こんなもんだ。恋愛に狂う奴は、どれだけ誰かに狂ったとしても、喉元過ぎればまた別の誰かに狂い始め、抑えが利かなくなるのだ。これも当社比だがそういう奴らは永遠に狂っているか微睡んでいるか焦がれていて、永遠に幸せにはなれない。

「メンタルは?」
「ないよ」
「何が?」
「何もない。変わってない。救いもない癒しもない。恒常的に辛くて、もう皮膚がボロボロになってあちこちパカパカ割れてるのに毎日塩酸に手浸してるみたい。両手が腫れ上がってグローブになってるみたい」

昔、付き合いのあった文芸編集者が、そういう小説のことをポルノと表現していた。泣かせるために作られたフィクションは、勃起させるために作られたポルノと同じだ。一時的な快楽を得ることはできても、そこから本質的な問いや力を得ることはできない。

「生前評価されずに死んでいった人と、売れまくって豪遊して死んでいった人とどっちが幸せか、いや、そもそも誰の幸不幸も一元的に判断するべきじゃない。お金があれば幸せ、売れたら幸せ、っていうのは、お金も名声も地位も持たない人々の幻想でしかないよ。」

「自分の中の大切なもの、守るべきものは誰も守ってくれないし、自分でそれを守り抜くには理論武装が必要だよ。センスがあれば大切なものとくだらないものの判断くらいはできるけど、そこを自分自身に対しても世間に対しても論理的に説明できないと、人は簡単に誑かされて落ちてくからね。言葉は剣であり盾だよ」

この壮太という男は、ユリが結婚していることを知っても、訴えたりなどしないだろう。偽名を使って欺いていたと知っても、責めたりしないだろう。皆上手くやっている。金持ちを最大限に利用したモモも、広く浅く手を出しては男を乗り換えるユリも、隣でアフターの誘いにどうしよっかなーともじもじしながら悩んでいる風だけどアフターは同伴と違って時給換算の加点に繋がらないから最終的には絶対に断るヒナちゃんも、この世の中を各々サーフィンしながら生きている。私だけが、貧相なビート板で波に乗ろうと、ハードモードで挑んでいる。

迷いが加速していく。今日ここで三人で家に帰って破綻してしまった家庭を再演したところで、夫はまたすぐに消え失せるのだ。一瞬の夢を見て、夢から醒めた時、幸人は自分がどれだけ傷つくか分かっていない。父親が出て行き、パパはしばらく帰ってこないと伝えてから、幸人は何日も夜ベッドに入った後一人で泣いていた。

夫が彰人の肩に手を載せてそう言うと、彰人は突然大声で泣き始めた。泣いているというよりも、吠えているに近いかもしれない。幸人は豹変した兄に慄いている。大きな怪我をしてようやく家に帰ってきたのに家庭がこんなにガチャついていて可哀想に、とこんな時まで幸人の精神を心配してしまうのは何故なのだろう。そんな思考回路でいるから、彰人はこうして限界まで全てを自分の中に詰め込み爆発させたのかもしれない。そう思いながら、彰人に歩み寄り、抱きしめる。吠える彰人の体の震えが、私にも共鳴する。これが家族の壊れる音なのか。ギャー!という彰人の叫び声を全身で受け止めながら、どこかで冷静にそう思う。

彰人が大声で泣きたい気持ちを、きっとずっと抑えつけていたことに、私は自分を見るような思いになった。もっと早く言えばいいのに、言葉にすればいいのに、寂しいと、辛いと、もう限界なのだと、言えばいいのにと人には思う自分が狡いような気がしたけれど、自分にはできないと分かっているからこそ、私と彰人はこんなことになっているのだとも思う。

ざまあみろという気持ちもなくはない。数日前だったらそのざまあみろ感はより強かっただろう。不倫する奴は総じて死ね。私の基本スタンスはそれで、それは一生覆ることはないし、実際に総じて死んで世界の人口が三分の一くらいになったらどれだけ清々しい世界になるだろうと本気で思う。

「自分の怒りを原動力にして人を痛めつけられる、場合によっては殺せる人でありたい」
閉口してユリを見やる。すっぴんのユリは、別人みたいだ。彼女はこんなことを言う人だっただろうか。いや、これは彼女の一面に過ぎない。何かのきっかけで裂け目ができて、その中が覗いている瞬間に違いない、と反射的に思う。今ユリには、裂け目が生じているのだ。いつもは見えないところが、見えているだけなのだ。

世界の俗悪さを、自分の愚かさを、世の中の残酷さを、自分の中の軽薄さを、人々の卑しさを、自分自身の狡猾さを、私は憎んでいる。だからそういう社会や自分の中にあるあらゆる卑俗なものを感じずにいられる家庭が、私にとって唯一の安全な場所なのだ。

私たちは悲しくも今に囚われている。今の私は今の私でしかあり得ない。これ程の不自由があるだろうか。目の前にいる人が何者なのか、自分が何者なのかという命題から逃れられないのも、私たちはそれぞれ確固とした個人であるという幻想に囚われているからに違いない。確固とした私というものが存在すると思い込んでいる人に向けて、何を語るべきなのか見当がつかない。

何となく、何かがリセットされたような気分でもあった。諸行無常、弓子とユリと話す中で感じていたものを言葉にするとそんな感じで、人と人との違い、感情のかけ違い、求めているものの違い、気持ちや感情を言葉に変換する時のそれぞれの癖、不完全なもの同士がぶつかり合うピンボールのような偶然性によって、私たちは人や人を取り巻く事象に満足したり幻滅したりするのだという、諦念に近いものを感じる会だった。

「胡桃がユリでも胡桃でも構わんよ。どんな過去があってもいいし、既婚者でも子供がいても、何でもいい。どんな胡桃でも、ユリでも俺は全部受け止めたいし、受け止めさせて欲しいし、受け止める度量がないって胡桃が言うならちゃんとその度量作る努力するよ。あなたが求めるものには全部応える。応えられんかったら応える努力を全力でする。収入とかそういうのは限界あるかもしらんけど、できることは何でもするから。だから捨てんで。絶対に幸せにするから」

「これからは何て呼んだらいい?」
「ユリかな」
「分かった。何でもええんよ、そんなんお惣菜パンに貼られた『ツナコーンパン』みたいなことやろ?砂糖多めで甘めに味付けされて卵で艶出しされたふわふわのパンに、ツナとコーンとマヨネーズとパセリが載って焼き付けられてるってこと俺は知ってんねん。それでそれがどれだけ美味しいのか知ってんねんから」

「あれはもう死ぬ気で頑張ってあれだから。普段は私以外の人とは必要最低限の会話しかしないもん」
ユリの言葉を私は、きっと弓子も、どこか話半分に聞いている。彼女が本当にまだ壮太くんと付き合っているのか、胡桃ちゃんと壮太くんを本当に会わせたのか、胡桃ちゃんは本当に存在するのか、私たちには分からない。それでももう、私たちは彼女の核心に迫ることはしない。今居酒屋で目の前にいるユリだけが、私たちにとってのユリなのだ。

私たちは為す術もなく、おしなべてこの何が起こるか分からない人生の奴隷なのだと思う。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

ひげむらさんが貸してくれた「fishy」

女性3人組の組み合わせはよくあるし、現に私も現在の大学での行動は3人でいるけれど、ここまで毛色が異なり(なんならお互いがお互いを嫌いである)、いつ崩れてもおかしくない緊張感漂う関係性がおもしろかった〜。

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2023年12月21日

Posted by ブクログ

久しぶりに一晩かけて一気読み。

女の生きづらさか過不足なく過剰過ぎず描かれていて
(覚えたくも無いけど)親近感があって
それだけでも読み応えがあるのに、この作品の
真骨頂は3人の関係性の愉しさ。
仲良し、とか、友達、とかよくある既存の
関係じゃないのに、みたことあるし、
居たことある気がする。絶妙

ユリの狂気と正気の表裏一体さと、理論武装と、すべてにおいて惚れ惚れする。
大好きな人物ではあるけど、友達になれるかって言うと、恐ろしさが勝つ。
彼女の言葉を借りるなら、友達ではなく「同時代を生き、空間を共有する人」になら、なれるのかも(とかく、こういう表現が巧みなだけで大好き)

弓子の「家族が壊れる」音を聞いた瞬間や
家族の飯炊きになりたかった、って願った時の
絶望を思うと泣けて泣けて苦しかった。
(やたら弓子の恐怖(に見えるもの)に
反応してしまうのは私が出産したからだろうか、
出産前はこんな気持ちになったか?とか
自分の読む姿勢とか目の付け所に気付かされた)

とにかく、読んでいて言葉と気持ちが
ぴったりと合っていて、気持ちよかった。
さすか金原ひとみ。

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2023年02月16日

Posted by ブクログ

2023年読んでよかった本ベスト3に必ず入ると確信した。金原ひとみさんの中にある人間や感情の引き出し、それらの表現についてもっと知りたいので過去の作品読み漁ろう

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2023年01月19日

Posted by ブクログ

心情の変化と関係の変化。そこだけでもワクワクしながら読み進められた。(解説でも触れていたが)これは純文学だと思う。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

みんなただいま\(^o^)/
naonaonao16gがいない間、元気にしていたかな??

やっとこ国家試験も終わり、読書再開!(お酒も)

試験はというと、最後にかなり追い込んだのもあって、今までにない程の高得点をたたき出しました!!(自己採点)
これはもう3月の発表を待たずとも安心していいのかな、っていう心持ち…!
ものすごい解放感に見舞われるかと思いきや、意外とあるのは、ロス。
仕事の合間、帰宅後、通勤中、ずっと勉強していたから、その時間がぽっかり空いたことで、何をしていいのか分からなくなってしまったのです…
そこで!
一人、試験お疲れ様会として居酒屋のカウンターでビールを飲みながら、この作品を読み始めたのです。

読み進めていくうち、もう10年以上も前に読んだ、内容もうろ覚えの作品『マザーズ』が過ぎってくる。
あの作品も、3人の女性(母親)が主人公だった気がする。

本作品の主人公も3人。
常に辛辣な言葉を選び、しかし本音がつかめないユリ(32)
2人の子どもをもつ、サレ妻の弓子(37)
安定を求めながら、好きな人にとらわれ不倫に走る美玖(28)

この3人が、それぞれ主人公となって物語が進んでゆく。

ここに出てくる3人の女たちは、一体どんな気持ちで一緒にいるのだろう。
ユリの言葉は、思うのは自由だけれど、言葉にして発するには辛辣すぎる。
その言葉にいちいちつっかかる弓子。
場の空気を読んで、2人の間で上手に立ち回る美玖。
みんながみんな、「なんでこうやっていつも3人で会っているんだろう」と思いながら、会っている。

金原さんは軽薄な人を描くのが上手で、その軽薄さに、救われたり、時に鼻白んだりする。
この、主人公の誰にも共感できないようでいて、しかし誰にでも共感できるような、金原さんの筆致にぐんぐん惹き込まれる。

基本的にこの3人の飲んでいる時の会話と、それぞれの日常が、それぞれの目線で語られる。
内容は、恋愛100パーセントと言ってもいいくらいの恋愛トークで、最初は居酒屋でのしょーもない話ってあるよな~というテンションで読み進めるのだけれど、どんどんどんどん、闇堕ちしていく3人。
そのどれも、誰が悪い、とは言いきれないのだけれど、しかし彼女たちの度が過ぎていて、闇の密度・濃度も濃い。
気づいたら「どうしてこうなった」状態で、当人たちも「私っていつもこう」と思っている。
読者としても、うっすらと嫌な予感は、ずっとしている。

人生って、だいたいこんなものだ。
想像できているようで全然できてなくて、いざ自分の世界がぐるぐるとしてくると「わたしっていつもこうだよな」と思う。周りは絶対「ほら言ったじゃん」と思っている。
その連続。
自分なんて、そうそう変わらないのだ。
だけどそれが、自分の、わたしの人生なのだ。
どこかに何かを求めている。だけど、自分が変わらない限り、何も変わらない。

わたしには、この主人公たちのような、酒だけが繋がりと言えるような人間関係は無理だろうなと思いつつ、だけどこんなこと言ってると一人で死ぬことになるんだろうな、とも思っていて、3人を少しだけ羨ましく思ったりもする。
だけどやっぱり、苦手な人がいる時点でわたしにはその飲み会は最悪でしかない。
ユリの言葉を浴びる度に、みんなよくこの子といるな、と思う。ユリの言葉に理解はできても、相手のことを考えない言葉選びを、お酒が入っているとはいえ、わたしはしたくない。
でもそうやって、言葉を選ばなくてもいい存在がいるということに、羨ましさを感じたりもする。
なんだ、結局羨ましいのだ。

金原さんの作品に出てくる主人公は、みんな自分を愛してない。
そこへの安心感と同時に、もどかしさと少しの嫌悪感がある。
自分自身を見ているように感じるからだ。
わたしはもしかしたら、自分を愛せない自分が大嫌いで、そんな自分が大好きなのかもしれない。

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2023年02月11日

Posted by ブクログ

あ〜おもしろかった。爆笑。痛快。自分の中に潜む暴力性が呼び覚まされ、金原ひとみの小説を読んでる!というよろこびに興奮しながら没頭した。心から、体の奥底から、マグマのように噴出する自分のヒステリーを肯定したい。そのヒステリーに臆することなく冷静に、でも限界まで燃えたぎっている熱さを維持したまま、文章に表現できる人を他に知らない。
3人の女性たちはそれぞれ自分の人生を生きて、たまに交差する。その関係性が友達という名前かどうかなんて関係ないのだ。

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2023年02月03日

Posted by ブクログ

やはり面白い。女性って…
と今回も思わせてくれる内容。3人の女性パートが繰り返され、3者3様で、それぞれキャラが立ってて良い。特にユリがヤバいな。小説家志望の美玖よりも弁が立つのは尊敬に値する。ただ、嫌いやわ。
とにかく、作家の裸を見せられた感じがする。これは金原さんならでは。
流石です。

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

何か怪しい fishy。

三人の女性たちの、共鳴し合わない関係性の中、それぞれの家庭の噛み合わない情景に不穏さが連続する。

今、三島由紀夫『鏡子の家』を読んでいて、
解説等で登場人物達が三島自身のそれぞれの側面を象徴しているといった読み方が多いです。
それに納得しているわけではないのですが、
ちらも登場する女性3人もしかしたら著者自身の象徴なのかな、と考えてみたりした。設定自体は作家志望の女性、二人の男の子を持つ編集者、と多少近いところはあるけれど 
金原ひとみさんは、おそらく自分のビジュアルを含めての作品感を創作していて、
全ては虚構。
だから、まるで分身と見せかけたフィクション。
ラストのエンドレス感も fishy。

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2025年12月19日

Posted by ブクログ

決して嫌いではない。

人間の本音部分を余すことなく表現し、文学的魅力もある。

只、何時も何時もこういった内容の作品ばかりだと流石にお腹が一杯になる。

読む時の気分によって評価が変わってしまう作品。

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2024年11月22日

Posted by ブクログ

世代としては似たりよったり、アラサー?だっけな?うろ覚えだけど、そんな女性3人の話。
同世代といいつつ、アラサーって人生の歩み方や考え方、自分とはどうあるべきかっていう根幹がガッチリ決まってくる、そんな世代だと思わせてくれた。まさに十人十色だなって思わせてくれるような小説です。

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

混ぜるな危険オンナたちが蝕まれること分かってんのに混ざりにいく。ドロドロ展開だったけど相変わらずの金原ひとみさんらしいどこかスッキリする終わり方。

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2023年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

綺麗事なんか一切なしの人間関係をみた気がした。
とても大切な友人とは思えない3人の関係
ユリがみくとの関係を
同時代を生き、空間を共有する人というように
まさにそれ。

ずっと3人それぞれ好きになれなかった
みくは不倫してバレて慰謝料とられるし
弓子は旦那に不倫されてヒステリックなるし
ユリに関して
人の気にしてることをずけずけと言って
芯まで傷つけるのがなんて人と思ったけど
それはある意味彼女自身が自分を守るすべだったのかと。
どれが本当でどれが嘘かも分からないユリに
興味がでてた。

共感はほぼできなかったけど
3人が最後幸せで居てくれて良かったと思えた。

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

延々と続く男の話と露骨な性描写に途中までやや食傷気味だったが終盤急激に面白くなった。さっぱりした文章で俗っぽくありがちな設定をドラマチックに仕上げているのがすごい。

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2023年01月20日

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