金原ひとみのレビュー一覧

  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最後の章が1番好きだった。全能感に打ちひしがれていた無敵の二人はコロナウイルスの蔓延によって信頼を失い、芽衣はシェルターに閉じ籠るようにして生きるようになった。それは生きていると言えるのかはわからないけど、誰にも迷惑をかけないしコロナに罹ったり誰かを感染させたりする心配もなく、ひどく自己完結的な生き方だと思った。喘息持ちの芽衣に心から向き合っていない蓮二と、同じく蓮二そのものに向き合う気のなかった芽衣。

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    2025年07月19日
  • デクリネゾン

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    ネタバレ

    主人公を含めて女性作家三人の飲み会が面白かった。作家はフリーである以上なんの保証もない、と不安を吐露している箇所があったが、それでもかなり飲食は贅沢してると思わずにはいられない。
    主人公が娘に対しても恋人に対しても言葉で追い詰めて行くのがちょっと息詰まる感じ。
    金原ひとみはなんとなく恋愛への関わり方が山田詠美に似てるなーとところところ思うところもあるのだけど、山田詠美は少なくとも「生きづらさ」みたいなのは出してない。そこが違うかなぁ。
    ブルサンが入ったキッシュ食べてみたい。
    あとは最後別れるとばかり思ってたら結婚するのか。ちょっと拍子抜け。

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    2025年07月17日
  • 星へ落ちる

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    金原作品は読む時点での自分自身の感情のあり方で、感じ方が全く違ってくる気がする。

    今、この本をすべて受け入れられるような感情には無いが、そうなりそうだった頃に引きずり込まれる怖さはある。

    誰もが持つ弱さ、強さ、貪欲さ、傲慢さ等をすべてさらけ出す特別な作家。

    嵌る人はどっぷり出し、ダメな人は徹底的にダメだと思う。

    僕自身は恐らく前者。

    読むタイミングを気を付けないととんでもないことになりそうな作品。

    こんな内容の本でも何故か読み易いのは筆力が高いため。

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    2025年06月24日
  • 蛇にピアス

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    まだ小学生だったけど、綿谷りささんとともに芥川賞の最年少記録を塗り替えたと話題になったことからずっと頭の片隅にある小説。綿谷りささんの蹴りたい背中は小中学校の時に読んだけど、こちらの作品はようやく読んだ。なんとなく自分の価値観にはない話のようで怖く感じて手がつけられなかった。吉高ちゃんは好きだが、映画も観れてない。

    やっと読んだ感想は、やっぱり私とは全く住む世界が違う話だな、と。でも自分の知らない世界を知る怖さよりもそれを上回る好奇心があった。
    主人公の揺れ動く心が繊細で、人間らしさが見えて、よかった。一見どんなに理解し得ない価値観だと思っていても、私たちは同じ言葉を使う、心を持つ、人間なん

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    2025年06月19日
  • ハイドラ(新潮文庫)

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    苦しい、酸素が薄い、どこにも救いがない!
    のにあっという間に読んでしまった。早希のようなライフスタイルじゃない人間でも容易に没頭できる。瀬戸内寂聴さんの解説がとてもグッときました。

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    2025年06月19日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    赤いカバーがなんとなく目に留まって手に取った。蛇にピアスの人か、むかし読んだな、くらいの知識で読み始めて、一気に読んでしまった。不安定で繊細で、なんだか引き込まれる文章。エッセイは普段読まないので、こんなふうに考えている人もいるんだなと興味深い気づきがあった。逆にわたしってなーんも考えずに図太く生きてるんだな…。ご本人のしんどさを思う気持ちと、不安定さゆえ引き込まれる彼女の生き方、文才と自分の平凡さの対比を残念に思う気持ちと。
    お子様はどう育っているんだろう。流石に仮名だろうけど、不倫をしたりされたりしている友人たちのことをここまで細かに書いて大丈夫なんだろうか…(下世話な感想しか浮かばない自

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    2025年06月17日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    ネタバレ

    小説としては不自然なぐらい句読点が少ないけど、その分できるだけ現実に近い口語調になってる。

    正直お母さんいけ好かなすぎだし、譲ることを知らない頭でっかちって感じ。物事の抽象化が好きすぎだし、多分執着心が強くて理想家なんだと思う。実際それはほんとなんだろうけど、レナがパニクったときにお母さんが解決してくれて少し和解するシーンを読むと、あくまでそれは思春期のレナを通しての印象でもあるのかもと思った。

    レナレナほんまもんの陽キャすぎて正直まぶしい。良い友達関係築けてるとこも。あと、スタバでのおじさんに対する不満?(おじさんなのにスタバくんなよみたいな)がリアルで笑っちゃった笑 もちろん口に出さな

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    2025年06月16日
  • 持たざる者

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    おもしろかった。

    この小説のせいか、自分自身が憂鬱になってしまった。
    何を望んでいるのか?
    どうしたいのか?
    もやもやと。

    隣の芝生は青く見える。
    ずっと一人称ではなく、数珠繋ぎに前の話が次の話にはつながっていく。
    自分の見えてた世界は、自分のものしかなく、それが違うところから見ると全く違って見える。

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    2025年06月15日
  • 私の身体を生きる

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    2025/03/08予約 110
    少し思っていた内容と違った。
    性被害の経験を語る人が多かった。自分の体の特性を認め生きていく事は自分自身が楽に生きていくために必要だ。でもそれが難しい。

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    2025年06月14日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    ネタバレ

    今まで読んだ金原ひとみさんの作品は、言葉のチョイスや会話が破天荒で振り切れてるイメージがあったけど、今作は雰囲気がちょっと違う。
    甥との不倫なんて重いテーマだけど、恋愛小説というよりはカナの人生観もろもろの変化や気付きについてといった感じ。
    単純に子供がほっとかれていて可哀想だったな。

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    2025年06月11日
  • アッシュベイビー

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    ネタバレ

    思ってたより激ヤバ暴力倫理観皆ってほどじゃなかったから拍子抜けしちゃった。
    小児性愛やばすぎ云々って書かれてたからてっきりガチガチにやってんのかと思ったけど全く無いに等しかった。期待しすぎた。
    とにかく感情の描写が上手いし美しすぎて素敵。
    終わり方が超クール❕❕

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    2025年05月25日
  • 持たざる者

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    東京に住む夫婦が東北の震災をきっかけに意見の食い違いが出始めて離れ離れに。3組の夫婦の物語。環境が違っていたら平和に暮らせるかもしれない。平和な場所にも不幸は降ってくるし不幸な場所にも幸せの種は埋まっている。

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    2025年04月18日
  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    人は辛い経験や環境を乗り越えるために、時に他人には理解できない行動もするんだなと感じた。ただ、その善し悪しを第三者がジャッチしてはいけないし、乗り越えるかどうかは本人次第だと思った。

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    2025年04月06日
  • AMEBIC

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    ネタバレ

    錯乱状態の描写が狂気迫る感じでゾクゾクしました。自分とは何か。脳と、体と、心と、バラバラになる感覚はすごく共感できた。物語性というか、ストーリーを求めて読むと消化不良が残りそう。

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    2025年03月27日
  • アッシュベイビー

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    刺さるのに刺さりたくない

    私には小説の好み的な意味でも性癖的な意味でも性格的な意味でもすごく刺さる作品だった。
    アヤの生きることへの無力さ、死にたいと思っているにも関わらずこの人を知りたい欲しい、仕事での地位などの小さいものにもこだわっているところが『生』というものへの執着を感じた。
    ホクトの小児性愛すらも超えた性癖には言葉にできない程の嫌悪感を抱いたが、何が彼をそうさせたのかと気になってしまったり、彼は何を考えているのかと何故か嫌いにはなれなかった。
    アヤの死にたいけど生きたい、でも死にたい、でも勇気はない、だから『何故か愛したっぽい』人(村野さん)に死を要求して『生』という責任から逃れようとしているのだろうか。村野

    #共感する #切ない #怖い

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    2025年03月15日
  • アタラクシア

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    ラストにびっくり。

    登場人物たちの言語化能力の高さよ。金原さんって感じの文章でヒリヒリした。
    誰に対しても感情移入はできなかったけど、人間誰しも不安定だなと思った。日常と非日常が必要なのかもね。

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    2025年02月22日
  • オートフィクション

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    綿矢りさ、村田沙耶香、に並んで自分がよく読む現代の女性作家さん金原ひとみ。
    オートフィクションって言葉を知らなかったのでなんとなく気になって読み始めました。
    主人公のキャラクターとしては金原さんらしいと言った感じ。
    ただ思考回路や規範意識などがいつもよりも更にぶっ飛んでるので共感できる人は強者かもです。
    主人公は苦しんでるんだろうけど、読者として客観的に見れば「こうすれば良いじゃん」って思っちゃいます。
    ただ自分の人生も他者から見ると「こうすりゃもっと豊かに暮らせるんじゃね?」って思われそうだなと思ったり。
    自分が真剣に悩んでることが他者からすると些事に思えたりって、きっとありますよね。
    本の

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    2025年02月13日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    同じ保育園に子供を通わせる3人の女性の子育てや夫との関係の物語。子供を愛しながらもその存在を鬱陶しいとおもったり、泣きやまない子供を虐待してしまう母親たちがいる。
    小さな子供を育てるということが地獄のように感じてしまう一瞬は誰にでもあり得る。
    親に蹴られている赤ちゃんが生きて、愛情ある丁寧な朝ごはんを食べている子が死んでしまう。大切家族との関係や精神状態、状況等のほんの少しの巡り合わせの悪さで何もかも失ってしまう怖さを感じた。

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    2025年02月16日
  • オートフィクション

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     2006(平成18)年、単行本として刊。
     通読してみて、どうも了解しにくい、不可思議な感じの小説だった。
     主人公の小説家リンは作者の自己像を幾らかでも投影しているのかどうか知らないが、とりあえず言葉はビビッドで、若者の言語感覚がうまく捉えられており、ナチュラルである。
     そんな主人公は現在付き合っている男性について「好き好き大好き」と手放しにストレートな感情吐露を繰り返すのだが、どこで曲折するのか、最後には唐突に自分から別れを切り出したり、破局に結び付くのが当然であるような行動を爆発させる。
     この心の屈折が私には理解できなかった。それは単に私が女性心理に疎い野暮ジジイだからかもしれない

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    2025年01月27日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    主婦を題材にしたオススメ小説で手に取った一冊。
    金原ひとみさんの蛇にピアスが当時とても印象に残った本だったのを思い出しつつ、金原ひとみさんワールドでまた一気読み。
    3人の主人公達がどうなっていくのか気になった。読んだ後もまだ彼女達の物語が続いていくようでもって見ていたくなった。

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    2025年01月25日