金原ひとみのレビュー一覧

  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    表現の精度が恐ろしく高い。

    併録された作品はいずれも、救いを見出せない男女の話。

    人は意識的に選択して生きているようでいて、実際には抗いようのない感情に大きく左右されている。
    『「なんか好き」の「なんか」が重大なのだ。』という一文には、特に強くそれを感じた。

    人は誰しも、自分の人生を説明できていると思い込んでいるけれど、実際には後付けで物語化しているだけで、その核心には説明不能な“なんか”がある。

    もし人の選択がそんなにも儚く頼りないものなのだとしたら、モラルや善悪の観念もまた、偶発性の堆積に過ぎないのではないか。

    そう考えると、全てが無意味で空虚なものにも思えてしまう。

    本作はま

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    2026年05月09日
  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    ・コロナ。つい数年前の出来事なのに結構、あの時の感覚を忘れていると思った。生命の危機がすぐそこにあり、物理的にも文字通り分断されていた時代。
    ・めっちゃ金原文学としてコロナの時代を書き上げたな〜、というのが率直な感想。生々しく、あの頃の感情を呼び起こされてしまった。

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    2026年05月06日
  • アタラクシア

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    え。え、え?
    いろんな人の結婚生活の苦悩を描いている話かと思ってたけど、最後がまさかの恐怖展開。
    結婚相手を間違えるととんでもないことになるのか、
    誰を選んでも少なからず同じようなリスクがあるのか。
    子どもを持つ持たない、結婚するしない、
    相手を一途に思う、不倫する、ストレスを内に抱え込む、外で発散する。
    いろんな選択があって、それぞれにメリットデメリットがある。
    そんなことを考えさせられる話だった。
    面白かった、なんだかんだ、桂が一番こわい。

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    2026年05月03日
  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    「とにかくキマるから読め!!!!!」との朝井リョウさんの推薦帯。朝井さんが推薦者になる理由はとてもよくわかる。朝井さんも金原さんも、現代人が日々うっすら思っていること、言葉にしなければいずれ忘れてしまうような些細なことを、その鋭い観察眼と並外れた言語化能力でガッチリと掴んではこれでもかとぶつけてくるタイプだから。
    でも少なくともこの作品に関しては、その毒っけは朝井さんの比にならない(ほど高い)と感じた。一度足を取られたら二度とは上がってこられない蟻地獄のように、ただ飲まれていくだけ。どの短編もページを追うごとに、「もう残り数ページしかない、これ救いはあるのか?!」と大変ハラハラしながら読むこと

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    2026年05月03日
  • 持たざる者

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    震災直後における福島第一原発の爆発。当時中学生であった私は、ニュースを知ってはいても西日本に住んでいたためか強く意識したことがなかった。放射能汚染に関して無知であり無頓着であったこと、恐怖を感じるには若すぎたこと、周囲にそのニュースを重んじる人間がいなかったことからも、この本を読むまで東京に暮らしていても避難した人がいたということを詳細に知ることができていなかった。著者の金原さん自身が岡山、そしてフランスに避難したことからも、原体験が小説に表現されているのだと思う。
    小説内において、避難することを「過剰」だと思う人間もいれば、健康や子供の将来のために「当然」だと考える人間もいる。その構図は、コ

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    2026年04月28日
  • 蛇にピアス

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    映画を随分昔に見てからやっと原作を読めた。
    生々しく痛々しい描写に目を背けたくなるところもあったが、ページ数も少なめでテンポ良く読むことができた。全てがどうでも良くなったり、何かアングラな場所にいってメチャメチャになりたいな、みたいな気持ちを抱えたことがあるのでルイに共感を覚えました

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    2026年04月28日
  • 蛇にピアス

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    心の一部を掴まれて、互いに離れられなくするような乱暴な人間関係、依存とも言える主人公たちの破滅を見て、反対にいい人間関係とは何か?を立ち返るきっかけになった本だった
    世の中には、こういう接し方しか知らない人がいるよなとも思え、悲しくなった。

    主人公がいきなり痩せていることを、指摘されるシーンは、リアルな感じがして驚いた。

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    2026年04月16日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    ざっくりとテーマに沿って、エッセイと掌握小説が入り乱れた一冊。
    エッセイと小説の垣根が低くて、一体何が実際にあったことで何がフィクションなのか境目が分からなくなってくるし、それでいいとも思えてくる。
    好きなラジオパーソナリティが「いろんなことが平均的にできる人が世の中を回してくれていて、それがどうしてもできない人は世の中を回せないけど、板の上に立つ仕事とかで世の中の役に立っている」と言ってて、金原さんが役に立ってるという実感を持てているかどうかは別にして、金原さんにとって生きるってことに小説がどれだけ不可欠なのかということがとても伝わってきた。

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    2026年04月14日
  • デクリネゾン

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    選んだ選択と選ばなかった選択の両方にメリット・デメリットがあり、それらを深く考えて絶望する人間がいる。そんなことに思いを馳せることができていなかった、、。短絡的な思考でしか物事を考えない自分には、志絵の生き方があまりにも辛そうで、いつか彼女が自分自身を破滅へと追い込んでしまうのではないかとヒヤヒヤしながら読み進めていた。そんな志絵には、蒼葉がいて、ひかりがいて、和香がいて、吾郎がいて、そして何よりも理子がいる。人と関わることで孤独を感じるけれど、人と関わるからこそ孤独を癒すことができる。そんな温かさを、コロナという人との関わりを断絶する世情と絡めて描いていたのが素敵な構想だな、と感じた。

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    2026年04月13日
  • アタラクシア

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    面白くて一気読みしたが、感想を持つのが難しいなというのが率直な感想。
    それぞれの登場人物の解像度が高いけれど、みんなちょっとおかしい。英美が一番感情移入できたけれど。
    各々のパートではその人の思考や心に触れたり、触れられなかったり、もどかしさが繰り返された。
    由依の気持ちが知りたい。なぜ桂がストーカーしていると知ってて結婚に至ったのか。スマホを奪われそうになったのに、なぜ振り切って別のところ(瑛人)に行こうとしなかったのか。考えても分からない。
    分からないからこそ自由に考える余地があり、それが小説の醍醐味だよな、と思い直す。

    結婚ってこんなに難しいものなのか?と、ものすごく平穏に結婚して平穏

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    2026年04月03日
  • 蛇にピアス

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    蛇にピアス 蜷川幸雄監督の映画での吉高さんと重なりあらためて読むと映像が浮かんで過激さが伝わってきました。芥川賞、綿矢さんの蹴りたい背中と同時受賞で若さが凄く勢いを感じます。
    いつまでも読み続けられる小説ですね。

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    2026年03月31日
  • アタラクシア

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    2020年第5回渡辺淳一文学賞
    30を前後する男女の群像劇

    渡辺淳一文学賞受賞作らしい一作。
    この〈アタラクシア〉という、心の平穏を意味するという。なんともストーリーに敵対するのではとも思われるタイトル。

    三十歳前後の満たされない男女の群像劇の構成を持つが、おそらく考えた末ではなく、アタラクシア的でない人間関係を描こうとして積み上げたストーリーが、この小説の形体となったのでは。

    金原ひとみさんの小説の登場人物達は、決してパワーカップルではないけれど、ハイソ、あるいは意識高い系、または自由人。一般的日本人からすれば、関わる事が少ない人種と思っている。しかし、それは思い違いで、いまや彼らのよ

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    2026年03月27日
  • 蛇にピアス

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    初 金原ひとみ。痛みという快感に自分のリアルを見つけた彼女。愛されたいという欲望もあるけれど、流されるままに流れるままに。

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    2026年03月27日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    ネタバレ

    書いてあることが全てではないにしろ、この方が感じている「生きづらさ」というものに少しだけ共感できた。

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    2026年03月08日
  • GOAT meets01

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    SSWのさらささんが寄稿した文章が載っているとのことで購入した。
    彼女の歌の世界観に常にある仄暗さとか根底にある強さとか儚さが、手の届かないものではなく、ちゃんと私たちと同じ日常の隣にあるものに思えてとてもよかった。
    わたしにとってはこの一ページに会うための本。

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    2026年03月03日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    後半以降に好きな文章が多かった。他者に対する寛容さ、ままならない人生への折り合いのつけ方、折り合いをつけることなく苦悩する生き方。そうした生き様というか、考え方や感じ方が魅力的だと感じた。エッセイなのに小説を読んでいるような雰囲気なのは、金原さんの書く文体の影響なのかな。時間を空けてじっくり再読したい。

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    2026年02月23日
  • アッシュベイビー

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    ネタバレ

    正直かなり人を選ぶ。子供や動物の虐待描写あり、吐きそうになりながら読んだ。特に終盤はかなりしんどくて薄目で読んだし、しばらく引きずった。
    金原さんの文章はヒリヒリヒリヒリとしていて、自分の学生時代と重なるところがある。特にこの本では主人公アヤの(おそらく健康な人が見たらなにこれ大丈夫か?と思うような)独白がみっちりと敷き詰められているのだけど、かつて私がとある精神疾患を患っていたころ、愛情を求めて衝動に駆られあらゆる自傷が辞められなかった頃に考えていたことがそのまま、一言一句全てばらばらになることなく文章にまとめられている。脱帽。
    …なので、倫理的にきつくても読まずにはいられなかった。この話は

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    2026年02月21日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    金原ひとみさんの文章を初めて、言葉一つ一つが身体に染み渡って食べたいと思うくらい読んでいて欲した

    共感できない部分もあると思うのに、こんなに好きだと思えるのはなんだろうか

    子育てと執筆、移住大変苦労されたようだ

    そしてお酒と牡蠣がお好きで

    昔の恋人との話、小説を書き始めたきっかけの賞がとても良かったし、金原さんは昔からかけて、書くために生まれてきたような天才なんじゃないかと思う

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    2026年02月21日
  • 蛇にピアス

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    この界隈を赤裸々に描ける語彙と表現。他にいない新星だったろうな、と。高校時代のパンクなのに文学少女な同級生を思い出す。彼女は小説を書いているだろうか。40分。

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    2026年02月19日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    ネタバレ

    僕は金原さんとは全く違う性格だし、そんなに苦労をした経験や周りと違う事を感じない子供でした。

    でもこの本に書かれてある言葉を読むと
    周りと違う子の事を少し理解できました。
    子供が合わない子供も居るんだよとセリフにありましたが、まさにその通りだと思います。
    子供の中に子供ではない人が混ざるのは難しいですから。

    この本で1番強く感じたのは、
    どんな経験も糧になる
    という事です。

    僕はこの言葉を他人に言うのが無責任な気がして
    言えませんが、この本を読むと

    周りと馴染めなかった子供の時
    家を出て彼氏の家を転々としていた時
    フランスで苦労した時
    創作に締め付けられた時

    しんどい事が多かったと感

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    2026年02月07日