金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1人の思春期真っ盛りの女の子が、学校生活、家族、恋愛、勉強など日々の出来事に、泣き、喜び、盛んに心を動かしていく。
10代の若者の共感もあるだろうけれど、むしろ大人に読んで欲しい。自身の過去に重ね合わさる部分と、今の若者を少しでも知ろうとすることができるかもしれない。
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読む前にチラッと感想を見たけれど、おっしゃる通り「こんな解像度で10代女子の感情が描けるの!?」と思う。脱帽。
金原ひとみが今10代でないけれど描けるのは、自身の10代の時の感情と、「今っぽい」といつの時代も別物扱いされる「現代」の10代の感情に共通するものがあるのだろうか。
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朝井リョウ氏による文庫解説が好評とのこと、読んでみたいと願っていた一冊。朝井氏曰く「オリンピック新競技“文庫解説”」ですって‼︎
パリ五輪の最中にね、五輪とか新競技とか、そんな記述など知り得ない、予想だにすらすることなく、この本を手にした“偶然”、この手の偶然みたいなことって、じつは僕にはありがちで、軽々しくも“運命”だなんて言葉でもって話題にする機会も時々ある。現在の僕は、これまでにないペースで読書を続けている。筋金入りの読書家の皆様方から御覧になれば、僕のごときの読書量など取るに足らないものではございましょうが、そんな僕ですら読書を通じて“偶然”や“運命”など、見出すたびに読書の奥深さの一 -
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない -
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『世界中の人が一ヵ月間誰一人として家から出なかったら、コロナって絶滅するんじゃね?』
(*˙ᵕ˙*)え?
2020年初頭に突如世界を襲った『コロナ禍』。”密を避ける”という言葉がキーワードとしてもてはやされる中に、恐ろしいウイルスから逃れようと右往左往した三年間。目の前の人が会話するだけで怖いと感じ、誰かが触れたかも知れないと思うと、触ること自体に恐怖を感じた三年間。私たちは決して長くはない人生の中に、歴史に刻まれる異常事態を経験することになりました。
そんな時代には幾つかの言葉がニュースで散々語られました。”密を避ける”という言葉もそうですが、社会問題となったのが『派遣切り -
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とても良かった。今までの金原ひとみの小説とは違う、キラキラした青春小説の趣きで驚いたが、好きだなあ。作者のインタビュー記事などを検索してみると、主人公のレナレナには自身のお子さんが投影されているようだ。
レナレナがとにかく明るくて仲間思い。深く考えることは苦手だが、一生懸命に生きている。一方、作者の分身とも思われる母親のユリは、バリキャリしかも夫公認で不倫中。こういう設定はまあ、まったく期待を裏切らない(笑)。
この有能でシニカルな母親ユリとレナレナの関係性が興味深く、二人の会話にハッとする箇所がいくつもあった。例えば、レナレナが我が家にはお金があるのかと心配したとき、「幾らお金があっても -
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朝日新聞のオピニオン面での文章がすごく良かったので、代表作のマザーズを手に取った。
独特の描写、実際に子育てしている人だからこそできる表現だなぁと思いながら読んだ。すごくグロテスクだけれども、完全に別の世界と言うわけではなくて、普通の人がなり得るような状況、ギリギリのところをうまく描いていると感じた。この本の出版はもう今から13年前になると思うけど、その状況からなにも変わっていないし、今年出版された本と言われても、何一つ驚かない。今の状況を残念に感じながら読み進めた。
それぞれの登場人物に作者の気持ちが投影されているように感じたが、作者の思想的な部分はユカ。感情的な部分は涼子に近いのじゃない -
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同じ保育園に子ども預ける五月、ユカ、涼子というマザーズの日々が描かれる。涼子は若干背伸びぎみだけど、モデルの五月、小説家のユカは自分が稼いだお金でセレブ的な生活ができる立場。そんなお金のある人たちの生活が描かれているせいか中盤までなかなか話のなかに入り込みにくかった。
中盤になり3人の区別がはっきりついたあたりから面白くなってきたように思う。ユカも涼子もしょうがない人たちに思えて特に肩入れ要素はないんだけど、五月はほかの2人とつき合うのがもったいないくらいいい人だなと思った。そんな彼女に子ども失うなんていう出来事が2回も、それぞれ違ったかたちで起こったのは残念なこと。五月に起こった出来事をして