金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。
また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。
それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。 -
Posted by ブクログ
平野啓一郎氏の「文学はなんの役に立つのか」の中で紹介され、興味をそそられ手にした一冊。金原ひとみ氏の名前は若くして芥川賞を受賞されたこと、「蛇とピアス」というキャッチーなタイトルで記憶に刻まれてはいたものの、自分のジャンルではないのかな…好奇心は持ちながらも手にすることはなかった。
一人称で語られる自身のリアルな体験、心象風景を綴ったエッセイ小説…
物書きとしてパリで暮らす日常から見えてくる、夫婦、親子、仕事….
フランスで暮らす文筆家といえば辻仁成氏が思い浮かぶ。一見の旅行者にとっては憧れのパリであるが、実際に家族で生活者として居を構え、異文化の中で出会う人々、発見、トラブル、心の葛藤…テーマは似ていても文体、感じ方は全く違い、興味深い。
私が彼の地に在留したほぼ半世紀前にはインターネットは普及しておらず、今とは人との繋がり方も移動のスピードも情報の量も全く違うものの、異国でぶち当たる文化、習慣の違い、そこから見えてくる「自分」とは本来はどういう人間なのか…
改めて考えさせられる1冊