あらすじ
仕事、家庭、恋愛の全てが欲しい女たちとその家族的つながりを描いた最新長編小説。二度の離婚を経て、中学生の娘である理子と二人で暮らすシングルマザーの小説家、志絵。最近付き合い始めた大学生の蒼葉と一緒に暮らしたいと娘に告げるが――。恋愛する母たちの孤独と不安と欲望が、周囲の人々を巻き込んでいく。
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Posted by ブクログ
期待以上に面白かった!!
改行少なめで紙いっぱいに文字が並んでるのが、主人公の“ものをたくさん考えてる”のを表しているような気がしてさらに良い。
わたしも会話に加わりたいくらい、うわ!わかる!っていう考え方が出てきて読み終わるのがもったいない気すらした。
Posted by ブクログ
バツ2女性小説家のお話。すごい良かった。自分の中の感情を言語化したい、それを誰かと議論して昇華させたい、という気持ち、そしてそれをしなければ自分でなくなってしまうような気持ちは分かる気もする。
Posted by ブクログ
はまっている金原ひとみさん。
読んでいる間、まるで自分が志絵になったような気がするような不思議な気持ちになった。
不倫や離婚や子供との別居などなかなかハードな話だけど、女友達との飲みやコロナ禍での生活の変化などリアルなことも多くて、重くもなく読めた。
Posted by ブクログ
面白かったんだよなあ、あんまり評価高くないけど私はとても面白かった。
あらすじを読む限り、まったく共感できない行動をする主人公だからなんで読む気になったか思い出せないけど、アタラクシアが面白かったからもしかしたらと思ったのかも。
字数が多くて厚くて重くて面白い内容だとほんと幸せ。まだまだ読んでいたかった。
コロナ禍をうまく表現していたと思う。最後のリモート飲みがなんで嫌かのあたりなんて思っていたことを言葉にしてもらって膝を打つ思いだった。
知らない漢字を2個覚えたし。
擲って(なげうって)と悍ましい(おぞましい)これ読めなかった。
危険厨と安全厨という言い方も聞いたことも見たこともなかった。
次はfishy読も。
Posted by ブクログ
年齢の変化、人間関係の変化、環境の変化、そんな細やかな日常の中の気持ちや感じてることが、とても細やかに言語化されていて、じっくり読めた。金原ひとみさんの作品は食事がとても美味しそうで、今回もたくさんの魅力的な食事がでてくて、美味しいご飯を食べたくなった。
Posted by ブクログ
最高の小説だった。生涯ベスト5あたりに食い込むかもしれない。
「私」を支配する、自分でコントロールしきれない私の欲望。それに従ったり抗ったり絶望をおぼえながらも、それでも、誰かと、この世と、生きていくしかない。その選択をし続けている「いま」の尊さ。
コロナ禍の直前から落ち着くまでの期間を、飲み会やライブの状況と照らして描くから、まるですべて自分ごとのよう。いやー、最後までめっちゃおもしろかった。
Posted by ブクログ
読んでいて、著者の頭の中をストーリーにしているのではと感じる作品でした。
ちょうど、自分も父親として子育てしながら、父であり、夫であり、息子であり、経済人でもあり、自分自身であることの中でのバランスに日々苦悶しているので色々と著者の思考を辿りながら考えさせられてとても良い読書経験でした。
蛇にピアスしか読んだ事ないので、他の作品も読んでみたいとおもった。
Posted by ブクログ
きっと、これは将来の私の姿だ。
そう思うくらい志絵の思考が今の自分に近かった。
かつ、そんな人間が「子供」を持ったらどんな人生になるのか、志絵の目線を通してリアルに想像することができた。
これからも自分のための時間を減らしたくない。
その対象は人によって様々で、恋愛だったり、友人との食事だったり、読書だったり、推し活だったりするんだろう。
子供ができたからって一人の人間であることに変わりはない。自分の時間だってほしい。仕事は全力でやりきりたい。
だけど、子供に自分の100%を注がないことによって、子供が懐いてくれないのではないか。
そんな不安を持っている私の代わりに、志絵がいろいろ経験してくれているようだった。
理子が吾郎の家に住むとなった時、そうなるかなと想像はしていたものの、これが自分の将来ならしんどいなぁと思ってしまったが、最終的に志絵はなんとなく幸せそうな結末で終わった。でも、彼女はきっと今後もたくさん悩んでいくのではないかと思う。
そして、志絵のようなタイプの人間だけではない。
しんどくない人生なんてなくて、みんな人生のどこかのタイミングできっと何かしらに悩み、折り合いをつけながら生きているんだろう。
私はこの小説を通して、自分を客観視できた。
自分は志絵にすごく似ていると思うけど、仲良くなりたいとは思わない。
とても人間らしいとは思う。でも好きじゃない。もっとおおらかで、なんとかなるさと楽観的でいられる人になりたい。
でもそんな人たぶんいない。隣の芝生が青いだけ。
みんなどこかで疲弊しながら、自分を犠牲にしながら生きてるんだと思う。
人生は楽ではない。
個人的に発見だったのは、そんなに自分の時間ややりたいことを大切にしたいタイプの志絵でさえ、子供のことを心から愛し、子供の幸せを本当に考えているということだ。
子供が自分の時間を奪うことについて、ネガティブな感情を持たないのは、親なら共通なんだろうか。
いろんなことに悩み、その発端が子供だったとしても、子供をもったこと自体に後悔していなさそうなのである。
ここまで言われると、子供をもつことはネガティブなことばかりではないのかなとうっすら思えてくる。
子供を持つか、持たないかというテーマが個人的にホットなので、この小説の至るところにそういったことを考えるためのヒントが散りばめられているのが良かった。
小説として好きだったポイントがもう1つある。
それは、人が変化していくということをうまく表現しているところだ。
たとえば、「悲しみが酸化する」という表現。
これはシンプルに表現として美しくて好きだ。
たとえどんなに悲しいことがあっても、それがもし愛する人を突然亡くすような悲しいことであっても、その感情は絶対に変化していく。
それを見事に言い表した表現だった。
陳腐な表現になってしまうが、人はそうやって変化していく生き物だから色々なことを乗り越えていけるんだろうなと、改めて思った。
あとは、死刑制度に対する賛否が歳を経て変わってきたというくだりや、自分の老いについて年下の彼とは一生わかり合えないんだろうなという思いについての描写。
自分が30代に入って、少しずつこういった物の見方に共感できるようになって、小説の読む深さが変わった気がする。
これも私の変化なら、歳をとることはそんなに悪いことではない。
キラキラした未来を描いた小説ではないけれど、似たようなことで悩んでいる人はいて、苦しみながら変化しながら、それでもなんとか生きていけそうということが少しだけ見えた。
またしんどい時がきたら、この本に励まされたいなと思う。
Posted by ブクログ
結婚や不倫、恋愛の事が描かれている作品なんだけど淡々と描かれているせいか嫌な印象を受けずに読めた。物語に散りばめられている食事や料理が美味しそうでそちらも楽しめた。ビリヤニが食べたい!
Posted by ブクログ
読み進めていくごとに話にのめり込んでしまった。節々に出てくる言葉の表現が素敵で、読んでいるとスッと心に入ってきた。
話は淡々と進んでいくスタイルだが、それゆえに面白さや魅力がある。20代後半から40代の方に読んでほしい。読む人によって感想が異なるのではないか、と。
Posted by ブクログ
好き嫌いはあるかもしれないが、浮気や離婚や不倫やセックスや語ることに躊躇してしまうことを清々しく語り、それを飄々と受け入れる女性たちがとても魅力的
そして何より主人公の女性の思考や感覚がこれでもかとばかりに言語化されていることに驚いた
凄い
Posted by ブクログ
読み終わったあとふぅってなる。
主人公に共感はできないけれど、物事に対する考え方とか、人との関わり方とか、改めて人間は多面体だなと。母、妻、彼女、社会人、いろんなお面を次々と摂ったり被ったり。
年齢的には蒼葉に近いからか、自分以外のことに対してあんまり関心がなかったり物事を抽象しすぎたりと思い当たる節があった。もう少し批評的にもなりたい。
Posted by ブクログ
まだ途中までしか読んでないが、なんども読み返さなければならない本だと感じている。読み飛ばしちゃいけないことが次から次にやってくる感覚。買って線を引きたい、書き込みたい。1ヶ月後また読みたい。
p148
Posted by ブクログ
読み終えるのに
途轍もなく時間がかかってしまったけれど
面白かった。
ストーリーがというより
セリフや表現のひとつひとつに唸ってしまう。
そんな作品でした。
主人公はアラフォーの小説家。
離婚した二人の元夫と
年下の大学生の彼氏
最初の夫との娘(中学生)と同居していたが
途中から年下の彼と住むことになり
娘は実父の元へ。
複雑な家庭環境といえばそうかもだけど
離婚時のゴタゴタは乗り越えた後の話で
どの組み合わせで会っても
わりに平和な時間と美味しいご馳走がならぶ。
主人公はこれ以上ないくらい自由に
欲望のままに
生きてきたはずなのに
自信満々でもなくて
娘への愛情はたっぷりで
常に思考過多で
いろんな不安を抱えている。
人生100年時代
ひとりの人とずっと添いるとげることは
逆に難しいのではと思っているので
こんな生き方もアリと思える。
主人公もだけど
小説家仲間の話にしても
源氏物語の男女逆転バージョンみたいで
男女関係なく、人との関係
色んな形があってもいいような気がしてきた。
子育てを宗教に例えてる表現が
とても響いた。
子供が自立してからは
頻繁には会わないけれど、
子供は自分の軸となる存在。
コロナ禍の表現もリアル。
楽しいと思いこまされてた集まりやモノなどに
魅力を感じなくなったし、
大切にしたいものが変わってきたなと思う。
Posted by ブクログ
デクリネゾンとはフランス料理で使われる『1つの食材をさまざまな調理法で仕上げること』といった意味合いの専門用語。
小説家の志絵を軸に1人娘、2人の元夫、20年下の大学生の現恋人との関係性とその変化を、コロナ禍の時代背景を交えながら描いている。
中学生の娘を既に持つ志絵の恋愛に対する果敢な姿勢は、非常に強い欲望に突き動かされているように一見思える。しかしその時々での男との恋愛、そして衝突や別れを淡々とした語り口で描いていることから、あまり強い衝動は感じなかった。
志絵の感情や共感力が薄いわけではなく、自分が他者に感じる愛に対して正直な行動を重ねていった結果とも言えると感じた。
Posted by ブクログ
不穏が平穏に。
家族観や女性観が緩やかに溶かされ、温かい陽光を感じながらナプキンで口を拭う。
本作のテーブルには食欲を掻き立てる風味絶佳の料理が並び、同時にその食卓には志絵のSignificant other達が座る。最初はそこに不穏さを感じた。とんでもない、恋愛体質で子を蔑ろにし、「彼氏」や「デート」に興じていると。彼女は私と違ってそういうことができる可塑性に満ちたところに居る作家さん、なんだと。
しかし挟まれる和香やひかりとの飲み会の相伴に預かり、理子や蒼葉との気の置けないやり取りを見るにつけ、彼女が祈りにも近い切実さで人と共にあることが分かってくる。胸の中の強烈な悲鳴、暴れ出しそうな獣。それを収めてくれる絶対的な存在としての他者。
「青春の続き」を思い出してしまった。
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「己自身のだめ生きるだけって
もうしんどいの
期待も落胆も知れている」
溜め込んだ愛は過飽和中
行き場のない危ういこの心身を
強く深く重く組み敷いて押さえて
陶酔させてほしい
嗚呼 貴方を掴んでいられたら
ずっと安心
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そうして自分自身にも嵌められた桎梏に自覚的になると、小説はヒーリング的な意味合いを持ち始め、ああ長編で良かったな、まだ終わらない。と思った。
そもそも「デート」とか「彼氏」みたいな言葉がよくわかんない色に錆びて、何も意味をなしていない日本語なのかもしれない。
彼女の連載テーマとストーリーが連動している仕掛けも良い。メッセージがくっきりと伝わり、心の置き場が定まる。「小説に求めるべき価値は、社会的正当性のない言葉をいかに伝えられるか」とエンドースされ、気持ち良くフィクションに「誑かされる」のだ。それは「騙されるよりも甘く、欺かれるよりも怪しい」
最後には彼女はコロナの息苦しさから解放されたような世界で、緩やかに自立する。その澄んだ呼吸音が聞こえるかのよう。
「私は戻ってきた」かー…自分は女としてそこに達していないから、行かないで、と思ってしまったのだけれど。
Posted by ブクログ
生牡蠣、バトミントン、ストロング缶。
文藝の私小説にも書いてあったけど、金原さんって言ったらコレなのかな?
食べ物が沢山登場するのにあえてなのか描写が細かくないからか、全然美味しそうに思えないのもお腹いっぱいにならなくてよかった。
恋愛はしたいけど娘はそばにいて欲しい。
結婚におそらくは向いてないんだろうけど今度こそはと何度も結婚する。
変わって欲しいけど変わって欲しくない。
ネットでしか教養を深めようとしない若者を懸念しつつも、あまりにも思考しすぎてしまう自分自身にも嫌気がさす。
全てに共感は出来なかったけど、人間が誰しも抱える矛盾の描写がある度に志絵、私自身の考える幸せとは何なんであろうか?と考えた。
結局は、裕福な暮らしや順風満帆な結婚生活とかではなく食べたい時に好きなものを食べたり、年末の大掃除は窓の枠の角のカビを落とさなきゃ、とかそんなたわいも無い小さい箱に入れてしまえるような出来事の積み重ねなのかなとも思った。
Posted by ブクログ
本作のキャッチコピー「仕事、家庭、恋愛の全てが欲しい」だなんて、欲張りだと思う。
欲張りだと思うけれど、そんなふうに生きられたらどれほど幸福だろう、というのを見せつけられる一冊。
主人公の小説家・志絵は根っこの部分に生きにくさを抱えているんだろうけれど、離婚してなお友好関係にある元夫たちと、愛おしい浅はかさを持つ理解のある娘、そして盲目的に愛してくれる年下(大学生!)の彼氏に守られている。
母親の恋愛を咎める人はここにはいない。最後まで出てこない。
こんなに甘やかされて、志絵は最後どんな痛い目を見るんだろうと意地悪な期待をして読み進めていても、そんなことは一度も起こらない。
担当編集の中津川さんがちょっと危うさを感じさせる男性で、はずみで彼との間に何か生まれるかな〜なんて思ったけど、全く健全だった。
志絵はいつもオシャレで華やかな食事をして酒を飲み、仕事に明け暮れ、彼氏に頭を撫でられて笑顔を向けられて終わる。
私はただただずっと羨ましかった。同時に、「私まだこういうの羨ましいと思うんだ」と気づいて自分で自分に少し驚いた。
ストーリーとしての起伏は特段ない。言葉の奔流と金言の爆薬でもってずっと思考し続ける小説だ。
コロナ禍で翻弄されながらも、揺るぎない幸福がどっしりと維持されているように思える。
金原ひとみの小説を読んでいるときはずっと作者の顔がちらつくのだが、やはり今回もそうだった。
思春期娘の描写からもそんなことを感じたりしたのだけれど、でも作中にその短絡さを見透かされているような文章があってドキッとした。
主人公の職業柄、創作について同業の仲間と議論するシーンも多くて、私にとっての小説とはなにかについても考えさせられた。
やっぱり志絵が羨ましい。こんなふうに生きるためには、何かをふっきらないといけない。
Posted by ブクログ
バツ2の子持ち作家。そして恋愛体質。会話も心の中も全て語彙力があり冷静に自分の気持ちや考えを綴る(そりゃ小説だからそうだけど)その部分に聡明さを感じるというか理性的な人に感じるけどそんなことはなく結構メンヘラ気質で不安定。
上手く行ってる作家で料理にもオシャレさがありデリカシーのない元旦那と繊細で寛容な若い彼。そんな設定が多い(金原さんの作品で印象に残ってるのがこれ系統なのかもだけど)上に巧みな描写力でなんだかもう金原さんのエッセイなのかそうではないのか分からなくなってくる。
金原さんのエッセイ読んだ時も小説かな?と思うような感覚だったから境目を感じなくて混乱してくる。
最近読んだヤブノナカも同じような女性が出てくるので「また恋愛気質のメンヘラ中年ですか?!」と途中で少し飽き飽きしたんだけどすぐその気持ちは無くなって主人公の親としての子に対する気持ちがなんともリアリティがあり子持ちじゃないのに分かったような気になる。
恋愛ばかりの母にげんなりする娘の気持ちも分かる。過干渉気味な所とかうざったいよねって共感して。でも長期的な目で見れば母親の言いたいことも分かるよ。と。母親と娘の立場の理解や共感行ったり来たりで忙しい。
考えをちゃんと言語化しろと相手に詰め寄るところとかペラペラ自分の考えを話しまくるところ私も将来こうなるんじゃないかと不安になったりする。
主人公の生き方や気持ちに共感したり全然違うから面倒だなとか気持ち悪いと思う部分もあってでもそこにリアリティがあって金原さんの作品は熱があるというか生な感じがあってそこが好きで読んでるのかもしれないな。
Posted by ブクログ
主人公を含めて女性作家三人の飲み会が面白かった。作家はフリーである以上なんの保証もない、と不安を吐露している箇所があったが、それでもかなり飲食は贅沢してると思わずにはいられない。
主人公が娘に対しても恋人に対しても言葉で追い詰めて行くのがちょっと息詰まる感じ。
金原ひとみはなんとなく恋愛への関わり方が山田詠美に似てるなーとところところ思うところもあるのだけど、山田詠美は少なくとも「生きづらさ」みたいなのは出してない。そこが違うかなぁ。
ブルサンが入ったキッシュ食べてみたい。
あとは最後別れるとばかり思ってたら結婚するのか。ちょっと拍子抜け。
Posted by ブクログ
バツ2で小説家の志絵が主人公
読み始めは、ちょっと苦手なタイプの主人公かも?と思ってたけど、読み進めるうちにどんどん志絵に引き込まれていった
ちょうどコロナ禍のことを上手く絡めていて、そうそうあの頃こういうしんどさが多かったなと思い出しながら読んだ
あの時の毎日がどう転んでも窮屈で、うんざりする嫌さを的確に表現されていた
女友だちとのやりとりは思考と思考のバトル過ぎて、若干読み疲れる
食べてみたい美味しそうな料理や知らない料理が次々と出てきて、つい画像検索してしまった(^^)笑
Posted by ブクログ
「曲がった原子の果てにある光景は美しく、私は時系列を超えた関係性の数々を思い出してみる」
この、時系列を超えた関係性の数々、にようやく慣れつつある私。いままで毛嫌いしてきた世界に、共感はできないまでも完全否定しなくなっただけでも自分の成長を感じる。
タイトルは正直「?」だったが、表紙のイラストにちょいと惹かれた。
三人の女性がたまに集まって美味しいものを食べるシーンの描写が好き。
Posted by ブクログ
2度の離婚、どちらも自分の浮気が原因。
娘を実父に預けて息子ほどの若い恋人との同棲。
類友との女子会はバブル風。
一番許せないタイプ、と不快感バリバリで読み進めた。
最後に志絵を認めてる自分に驚く
Posted by ブクログ
写真: Roland Persson
2022年8月出版
349ページ
表紙が印象的で、内容はわからないけど読んでみようと思った作品。
全部で19話あり、とある小説家の、パンデミックが起きた頃の日常をみている感じ。
特にすごい展開があるとかではなく、ゆーっくり読んでいく感じ。
登場人物たち((主人公でさえも...))あまり共感はできなくて、読み切るのもどうしようかと思ったけど、著者の喩え方であったり表現力が好きでそのまま最後まで読めた。
パンデミックになってからの日本の様子が書かれていて、"そういやこういうこともあったな〜"ってなる。
Posted by ブクログ
単純に主人公がやりたい放題で周りの男が振り回されてる感があるが、何とも言えない魅力があるんだろう。
志絵自身にも自分では制御出来ない感情があるのも、それが決して常識的で良いことでは無いことも承知の上で生きてる。
それがヤケクソでなく、いけない事も己と悟ってる感じがする。
感情の起伏が激しいがそんなのは誰しも有る事で、読んでて身につまされる。
終盤は作者の想いが前に出過ぎて小説の流れが少しずれてる感じがして少し残念。
金原作品は不倫しないと気が済まないのか(村上作品の男女がすぐ寝るのと同じ感じ)、そのことで描きたいものは何なのか、そうでないと描けないものがあ何なのか、そこを理解出来れば金原作品がもっと面白く読めるんだろうと思う。
文章は読み易いし、才能の塊って改めて感じた。
まだまだ金原作品を読み漁ろうと思う。
Posted by ブクログ
腹減った
ってな事で、金原ひとみの『デクリネゾン』
いつもの金原さんのイメージかと思いきや料理と絡めたお話
普段は和食、居酒屋飯メインのわしじゃが、色んな国の料理が出てきて、これ食べてみたいなってのもあったり
デクリネゾンってタイトルはそれぞれみんなのデクリネゾンって言うのか、読み終えてタイトルの意味を調べると、なるほどなっ‼️って腑に落ちた
志絵、理子、吾郎、蒼葉それぞれみんな好きなキャラじゃったなぁ。みんなそれぞれええ調理(良い人生経験、新しい家族定義と言うのか)されて活かされとる感じですかね
じゃが、『蒼葉』の名前にルビが打って無かったんで、何と読んでいいのか分からぬままモヤモヤした気持ちがデクリネゾン ← 意味も無くただ使ってみたかった
2023年19冊目
Posted by ブクログ
自分が面白いと思う小説には2種類あって、ストーリーが気になって一気読みしてしまう小説と、登場人物の会話や独白に惹き込まれる小説。金原ひとみはまさに後者だと思う。
主人公はバツ2で作家の志絵。作者自身を投影してるような部分もあって興味深かった。元夫や娘の理子、恋人で大学生の蒼葉。コロナ禍、蒼葉と同居することになり、入れ代わりに理子は元夫宅へ出ていく。
多様な価値観とか家族観とか、これだけいわれていながら、相変わらず母親には母親らしさが求められ、そこはなかなか寛容にならない。志絵は母親よりも女性の幸せを選択し(たように見える)、それを全面的に肯定したラストは、個人的には良かったと思うのだけど、批判されないような周到な表現だな、と感じるところもあった。
作中でフェミニズム系の映画を志絵たちが批評する場面が出てくるが、この小説への批評を先んじて並べておいたのかとさえ思った。
あまりにもいい子な理子との理想的な母子関係、父子関係など、少し絵空事のように思えるところもある。
これまでの作者のヒリヒリするような痛々しい作風と比較すると毒や刺激は少なめだが、世間がコロナにどれほど振り回されていたか、描写がリアルでまざまざと思い出される。
家族や編集者たち、作家仲間との会食など、食べたり飲んだりの場面が多く、どれも本当に美味しそうだった。
Posted by ブクログ
「腹を空かせた勇者ども」の裏表になっている作品だと、何かのインタビューで見た記憶があって、こちらの本を読んでみた。
女性小説家で2度の離婚を経たシンママが大学生の男の子と恋愛して……という筋書きで、合間合間に繁華街のスペインバルちっくなお店の料理の描写が差し込まれる。
なぜだか分からないけれど興味を持続することができずに半分読んだところで挫折してしまった。多分、小説家という職業に就いてるし、2回は結婚してるし、娘は理解あるし、小説家の友達はいるし、元夫は育児に協力的だし、年若い男の子から崇拝のような眼差しを向けられてるし、「まあ、じゃあ、いいんじゃない?」と思ってしまったからなのかも…
とくに気になった一文はあった。こういう表現は心地が良い。
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"和香の不倫もきっとそれと一緒で、一人の男を知っていく、とことんまで深く入り込んで愛し愛され、これから食される牛や豚のように喉元から肛門まで互いをナイフで切り裂き内臓を表出させ内臓同士を擦り合わせたり裂け目に顔を埋めたりするような恋愛をして互いを遮る皮膚の存在をすっかり忘れた頃、彼女は彼に纏わる小説を何本か書き上げ、もう彼から得られる栄養素がないことを知り、小説を書くため新しい恋愛を探し求める。"
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また気が向いたら続きを読むかもしれない。