金原ひとみのレビュー一覧
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ネタバレ歌舞伎町というある種、非現実的な世界の人々の生き方が逆に主人公の由嘉里を生きやすくしてくれる素敵な物語だった。
多様性とはいうものの私たちは、実際に知っているものしか受け入れようとしないし、この小説に出てくる主人公の周りの人々はそういった常識から少し外れていながらも彼女達らしくまっすぐ生きているんだと感じた。
私が見えていないだけで、この小説に出てくるライ達のような考え方、生き方をしている人は結構いるんだろうなと思い、少し羨ましくも感じた。
ライのように「この世界から消えることが宿命」とまでは思わないが、時々自分の生きている意味とか存在価値が分からなくなることもあるので、ライに共感できる部分も -
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読んでいる間ずっと、文章で殴られているような感覚だった。
登場人物たちの言葉が鋭くて、何度も「うっ」となりながら読んだ。印象に残るセリフが本当に多い。自分ではそれなりに柔軟なつもりでいても、まだまだ無意識の思い込みやステレオタイプを抱えているんだなあと気づかされる。
人それぞれの幸せや、生と死に対する価値観は違う。自分の物差しで他人を測るのはナンセンス。作中で繰り返し考えさせられたことだけど、それでもライには生きていてほしいし、笑っていてほしいと思ってしまった。由嘉里の気持ちがすごくわかる。正しさだけでは割り切れない感情があるよね。
個人的にはユキの「知らない権利」が特に刺さった。この世 -
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難しい小説、であったのだろうと思う。
正確には、そうであろうと思うことで自分を納得させようとしているのかもしれない。
それは、僕が昨晩39.1程の熱を出し、あるいはなにかのウイルスに犯されながらも寝付けない夜に暇を持て余すために読み始め、読み終えたのが原因かもしれない。
物語としては抽象性を保ったまま一人称で進んで行く小説だった。
主人公、ルイはアマという青年と出会ってから生活を共にすることになる。
アマはスプリットタンであり、背中には刺青を刺しているような青年である。
ルイはアマに対して愛情とも言えないような親密性を持ち、そこにはある種退廃に浸るような生活を繰り返すことになる。
アマと歩 -
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ネタバレ早口で溢れるゆかりの脳内ナレーション、このオタク特有の早口(それもステレオタイプかもしれない)の再現が秀逸。私もゆかりのような速度で熱量で言葉を脳内に巡らせてしまうタイプなので凄く共感できる主人公だった。
私たちは、知らずのうちにその人の幸せの基準を、自分が持っている小さい定規で測って、そして相手を思うが故にそれを押し付けてしまっているのかもしれない。つい、他人の考えを分かろうとしたり、分かってもらおうとしたり、自分にとって分かりやすい名前のある感情をあてがいたくなるけれど、そんな事しなくても人を好きだと思ったり大切に思ったりしていいんだと思った。
ユキが編集者にマンスプ食らった時の、「知 -
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ネタバレ表現の精度が恐ろしく高い。
併録された作品はいずれも、救いを見出せない男女の話。
人は意識的に選択して生きているようでいて、実際には抗いようのない感情に大きく左右されている。
『「なんか好き」の「なんか」が重大なのだ。』という一文には、特に強くそれを感じた。
人は誰しも、自分の人生を説明できていると思い込んでいるけれど、実際には後付けで物語化しているだけで、その核心には説明不能な“なんか”がある。
もし人の選択がそんなにも儚く頼りないものなのだとしたら、モラルや善悪の観念もまた、偶発性の堆積に過ぎないのではないか。
そう考えると、全てが無意味で空虚なものにも思えてしまう。
本作はま -
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震災直後における福島第一原発の爆発。当時中学生であった私は、ニュースを知ってはいても西日本に住んでいたためか強く意識したことがなかった。放射能汚染に関して無知であり無頓着であったこと、恐怖を感じるには若すぎたこと、周囲にそのニュースを重んじる人間がいなかったことからも、この本を読むまで東京に暮らしていても避難した人がいたということを詳細に知ることができていなかった。著者の金原さん自身が岡山、そしてフランスに避難したことからも、原体験が小説に表現されているのだと思う。
小説内において、避難することを「過剰」だと思う人間もいれば、健康や子供の将来のために「当然」だと考える人間もいる。その構図は、コ -
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ざっくりとテーマに沿って、エッセイと掌握小説が入り乱れた一冊。
エッセイと小説の垣根が低くて、一体何が実際にあったことで何がフィクションなのか境目が分からなくなってくるし、それでいいとも思えてくる。
好きなラジオパーソナリティが「いろんなことが平均的にできる人が世の中を回してくれていて、それがどうしてもできない人は世の中を回せないけど、板の上に立つ仕事とかで世の中の役に立っている」と言ってて、金原さんが役に立ってるという実感を持てているかどうかは別にして、金原さんにとって生きるってことに小説がどれだけ不可欠なのかということがとても伝わってきた。