あらすじ
キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと些細なきっかけから同居を始めた。彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
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Posted by ブクログ
とても好きだったかもしれない。
金原ひとみさんの作品は初めて読んだが、
アヤやホクトのバックグラウンドがずっと見えてこなかった。なぜアヤがこんなにも空虚で薄情で明るく陰湿なのか、掴めそうで掴めなかった。
まぁでも人は他人の思考の至る範囲だけで生きているわけではないだろうし、すべての言動に根拠があるわけでもないだろうし、そういう諦めに近い感覚と妙なリアルさを感じた。
読者に寄り添っている感じはないが、文章のリズムがよく読みやすい。
この方の作品を他にも読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
意外にも(自分の中で、ってこと)、初の金原作品。こういう作品に触れると、現代文学、面白いじゃんって思えるんだけどな。ある程度の分かりやすさ・読み易さが必要なのかも、自分程度にとっては。あと、ダメな作品の次に読んだという、そのタイミングもあったかも。なかなかのエロ描写が繰り返されるけど、それ以上に、ときに繰り出される間断ない独白部分が最高で、思わず笑わされることもしばしば。個人的に、川上未映子の作品が思い浮かびました。他の作品も読んでみたし。
Posted by ブクログ
ある意味「人間失格」
人間失格では太宰治の人生が投影されていた。
あの作品の葉蔵は戦後の人々の「エゴ」に絶望を感じ、そんな世界と戦うために自分の中に潜む「エゴ」と戦い続けた。
この作品は「エゴ」に憎悪を感じ、「エゴ」だらけの世界に同化して「エゴ」に包み込まれた女の話。
金原ひとみの力強く、主人公の内面を包み隠さない内面に感動した。
最後は胸を痛めながら村野にアヤを殺してほしいと祈った。
「こうであってくれ」と一番祈った作品。
Posted by ブクログ
いわゆるメンヘラマインドを描いている。同居人は特殊性癖の持ち主。かなりどうしようもない感じ。それゆえになにか伝わるものがある。食うに困らないのに闇が深い。という現代日本の特殊な部分を切り取れていると思う。これはすごい作品だと思う。
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嫌いじゃなかった。
ホクトもアヤも同じぐらい狂ってて気持ち悪い。
でも、嫌いではない。読んでるだけで痛い生々しい描写もあり、人を選ぶ作品だと思う。
人間味。
1年後にまた読みたい。
Posted by ブクログ
金原ひとみ最高。頭の回転早すぎて、かっとんでて、全速力で駆け抜けてるみたいな文体最高。感覚っていい〜生々しくてまじ人間してる〜という感じになる
小説を読んでるちこんなにも人のことを知っちゃって嬉しい〜ってなってた入試の時の最果タヒさんを思い出した。
Posted by ブクログ
初期の村上龍っぽい危うさがある。斎藤環の解説には学術的な心身不一致について記述があり、果てしなく続く肉的なセックスの話と、どこまでも突っ走るような心的な衝動の話で、確かに現実離れしている感はある。対比される同居人のフェテシズムを「変態」と貶めることによって、自己を確認しているような。終わり方鳥肌立ちました。なんやこれーーー!って。
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常軌を逸してるとしか言いようがない話
登場人物にまともな人は一人もいない…
みんな、自分でもどうしようもないんだろうなあ
でもこういう話、割と好き
Posted by ブクログ
恐ろしいほどに互いを知り合っている女たちを見ると悪寒がする。彼女たちを見ていると、いつかどちらかを刺し殺してしまいそうな気がしてしまうのだ。あまりにも他人を知ってしまった時、人は死ぬか殺すかの二択になってしまうのではないかと、思う。_____p.19
Posted by ブクログ
現代風俗を描いて同時代性を訴えるのが効果的なのは、村上龍で終わったのでは、と思っていた。
つまり風俗描写が訴求力を持つ時代ではすでにない、という認識。
しかしこの作品を読んで、ある程度見方を変えた。
もとは表紙を見て、
ベルメールだ! そこらのギャル作家が使うなよ!
と反発感をもっていた。
サティの曲を勝手に(?)使うピンクポルノを見たときのような気持ち。
作中の半分以上が、マンコだのチンコだとセックスだのオナニーだのイッただの殺してだの割れ目だのという語彙の繰り返し。
「きぇえー」と自傷して内腿に裂け目を作り出したころ、すなわちルームシェアニストのホクトが赤ん坊をさらってきたころから、いろいろなものが歪み始める。
その描写は龍と同質のリアルさで縁取られている。
「好きです、そう呟くと、マンコが一粒涙をこぼした」という一文は、さすがにやりすぎで笑った。
決して悪くない。他の著書にも興味を持った。
Posted by ブクログ
『女としての価値を見出してもらわなければ、自分の無力感に泣き出してしまうから、この仕事をしている。』
『ベッドのシーツがどんどん赤くなっていった。ああ、いいね。とっても綺麗。この赤が私の体に流れていたなんて、想像出来ないよ。とっても綺麗だよ。私、血だけならこんなに綺麗なのに、どうして私はこんなに汚いんだろう。』
『裂けてるんだ。私たちは、裂けてる。いつもいつも、マンコを裂けさせて、いつも待っている。いつも、何かが入ってくるのを。そして祈っている。それが茄子とかキュウリでない事を。』
『ああ、あいつはまだ生きてるんだ。こんな生きる価値が微塵もない世界で、生きてるんだ。可哀想に、ともおめでたい奴だ、とも思った。』
Posted by ブクログ
ただひたすら、おぞましさと狂気をはらんでいて、とても気持ち悪くなった。
文章を読んでここまで人を気持ち悪くさせるのはある意味すごい。
最初から最後まで気持ち悪くて、後味が悪くて、最悪の気分。
でも読んでみたくなるそんな一冊。
Posted by ブクログ
エログロとかいわれてるけど、個人的にすきです。
綺麗事なんて言わずにザクザク進んでいく感じがすき。
みてられない、と思うシーンはあるけど、それはこの本の本質ではないようにおもいます。
話の脈絡なんて関係なしにアヤが村野さんに「好きです」を連発するところは吹いたけど、でも、自分でもそういう衝動にかられたことはある、のでなんか微笑ましくてよかった(笑)。
自分で刺した傷跡に挿れてほしい、とか、すきだから殺してほしい、とかは妙に納得できて、異常だとはおもえなかった。
痛々しいくらい純愛な本だとおもう。
刺さるのに刺さりたくない
私には小説の好み的な意味でも性癖的な意味でも性格的な意味でもすごく刺さる作品だった。
アヤの生きることへの無力さ、死にたいと思っているにも関わらずこの人を知りたい欲しい、仕事での地位などの小さいものにもこだわっているところが『生』というものへの執着を感じた。
ホクトの小児性愛すらも超えた性癖には言葉にできない程の嫌悪感を抱いたが、何が彼をそうさせたのかと気になってしまったり、彼は何を考えているのかと何故か嫌いにはなれなかった。
アヤの死にたいけど生きたい、でも死にたい、でも勇気はない、だから『何故か愛したっぽい』人(村野さん)に死を要求して『生』という責任から逃れようとしているのだろうか。村野さんは生にも死にも執着しているのかどうかも分からない程何も答えをくれなかった。分からないからこそ惹かれ自分の生死を彼に委ねたのではないかと思った。
そんなアヤと自分を重ねてみたり、ホクトと村野を自分が向き合うとどうなるのかと考えてみたり、とてもヘビーで終わった時にはしんどくて泣いてしまった。
何度も読み直したいし2度と読みたくないとも思う。
登場人物みんなを大嫌いだし大好きになった。
刺さるのに刺さりたくない、いや刺さるべきではないと私はおもう。
Posted by ブクログ
"小児性愛"というワードに釣られて読んでみたが、行為の相手は赤ん坊でかつ動物とも可能で、大人の女性相手でも行えるというなんだかよく分からない異常者だった。
上記の男性ホクトの異常ぶりが分かる描写や語り手の女性の動物虐待の場面が非常に惨たらしく素晴らしかった。
語り手の女性の心理描写や登場人物達の行動原理が全く理解出来なかったものの、たまにはこういった作品も良いかなと思えた。
Posted by ブクログ
セックスセックスってセックス以外にないのかって思うけどセックス以外何もないんだろうなあと思う。自分に足りないものを他人に補ってもらうのが愛ならセックスも愛だし。でもそこまでしても二人同じものを見れない、自分の体と心のラグと、他人の心と体との温度差みたいなのはよくわかる。ただもう少し伝えようとしてほしい、ブログとか日記ならこれで良くても小説ならもう少し核心を見せびらかしてほしいといつも思います。ハイドラとかのほうが筋がしっかりしていて好き。
Posted by ブクログ
最初はこんな世界もあるんだなと思って読んでましたが、だんだん狂ってくるというか、いつの間にこんなおかしな展開になってたんだろうという感じです。
振り切れてる感じが独特で面白かったです。が、もう一度読もうとは思いません。
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はじめに女がいて。その次に男がいて。あと付属品がある。これが金原ひとみの世界だ。どうしてこんなことになってしまうのだろうか。蛇とピアス以来、行ったり来たりずっとぐるぐるしているように見えるのだけれども、それは違うのだろうか。私は金原ひとみのどうしようもないくらいに女性に執着して逃れられずじたばたしているその感じがとても好きなんだけれども、手を変え品を変えっていう風に少し思えてしまうのが残念だ。蛇とピアスの爆発的な勢い、みたいなものがあまり感じられない。しかし読み物としては私はこれはまた面白いと思ってしまう。この前蛇とピアスの自室原稿を見たのだけれども、ホテルのメモ用紙みたいのに横書きでがりがりと、スプリットタンのあの描写があって、わたしはほんとうに、それが好きだなあと。
Posted by ブクログ
前作の『蛇にピアス』も読んでいるのだけど、その2作を通して感じるのは、「身体」に対する異常な「執着」。
あたし自身は、自分の体にあまり興味がないから実感としてはあまりピンと来ないのですが、「身体」の何がそんなに重要なのか(あるいは重要でないのか)、気になるところ。
小説としておもしろいなぁと思ったのは、一番最後の一行。
「。(句点)」がないってだけで、なんていうか、だいぶ終わりの感じが変わるんだなぁと。
フェードアウト…っていうか、むしろ崩壊の始まり、あるいは終わり的な…。
不思議な感じ。
んで、解説がなけりゃもっとよかったのに。。。
というか、帯の村上龍の宣伝文句も、解説の斉藤環も、なんかなぁ〜…。
村上龍の小説は(あんまり読まないけど)とくに好きでもキライでもないし、斉藤環の新書もたまに読むから、自分たちの本を書くぶんにはべつによいのだけれど、この人たちの書評はホントに微妙。(…と思うのはあたしだけ?)
「若い子の気持ち、わかってます」的な雰囲気がイヤ。
んで、「理解ある」風に、必要以上に賛美するところがイヤ。
なんか、それまで本読んでて盛り上がってた気持ちが一気に萎えるというか…。
金原ひとみの本なんかは、解説いらずで、各人、読み終わったときの消化不良感を存分に味えばいいのになぁ…と、思ってみたり。
Posted by ブクログ
良薬口に苦し。
音楽には、楽しく、嬉しくなるために聴くものではないものもある。
この小説はNOISE MUSICを聴くようでもある。
決して口に出すことはしない、自分の頭の中の言葉のやりとりの羅列。
たいして意味のないストーリー。
楽しくもないし、希望がわいてくることもない。
メッセージのメディアとしての小説。
Posted by ブクログ
グロいのとか状況とか、少なくともわたしのまわりの現実ではありえない設定はあったけど、アヤの気持ちはほとんど理解できた気がします。状況は違えど自分と重なってしまい、なんとなくアヤに全部吐き出してもらえた感じで、一気に読み終わり、なぜかスッキリしてしまいました…
Posted by ブクログ
好きという抑えきれない赤裸な思い。結婚したのに実体感のない男の空疎と結婚までの高揚感との違和。切なさを際立たせる。読後は、夏の日差しが殊更に眩しく感じられた。
Posted by ブクログ
主人公が突き抜けてていい感じだ。
冒頭の子供を嫌う描写にはすごく共感した(笑)
星4つかなーと思いながら読んでたんだけど、ラスト近くウサギが出てきたところで星一つ下げ。
こういうのはダメなんだよ私。
ここさえなければいい読後感だったのになぁ。残念。
Posted by ブクログ
想像以上にヘビーな内容だった。
物語というたぐいの本でなく、暴力的な文章・表現の場だった。
最後まで読んだけれど、かなりテンション落ちた。
何故か読み進めてしまう。
少しくどいが、独特の世界観を見事に読み手に創造させていく点は文才を感じた。
公序良俗に反する本。
Posted by ブクログ
本屋でこの本に出会ったとき表紙のなんとも形容しがたい人形だったものの形状に驚き、またなぜか不思議なエロティックさを感じた。
(巻末によるとそういうふうなアート作品らしいが)
精神が肉体と離れて壊れていく主人公と同居人の奇妙な性癖をもった男、主人公に凶器的な愛を捧げられる男、
主人公の切羽詰まった愛が痛々し過ぎて、恐ろしいです
ただ、かなり重い内容なのにさらさらと軽妙に読めたのは金原さんの文が設定の割に重すぎないところにあったのかなあと思います
「蛇にピアス」よりもっと重く引き込まれますが
現代の若者の一例みたいなものをみれるので中々面白いです
ただ食事前とかすっげー雨降ってる日に読むとかなり鬱になっちゃうのでオススメしません
Posted by ブクログ
『アッシュベイビー』を読み終えました
芥川賞を授賞した、金原ひとみの2作目です。
村上龍を読んでも大丈夫な寛容性があれば読むべき一冊ですが、基本的にエログロ小説なので、食前には控えましょう...
『蛇にピアス』の時に比べると、書いてる途中に、本来作品の「引き」だった小児性愛とか同性愛(この場合はレズ)に、有りがちな性的欲望対象となる村野さんへの異常性愛的な絡みがしつこく、愛欲表現が長くなってしまい、とりとめ無く終わってしまったのが残念です
終始血みどろで、描写がリアルで痛いし気持ち悪いですが、愛する人に殺されたい程の欲望や、自分自身でもある登場人物達や物質、動物に対する全否定や破壊、冒涜的な怒りの言葉が自虐的で、苦痛と悲鳴が...やっぱり痛いです
幻影的な文筆を敢えて避けて、悲鳴は口語に徹した分、ストレート過ぎて否定されるリスクが高いですが、意図は理解できました
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