金原ひとみのレビュー一覧

  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    著者の余りの自己否定に、自分は何か許されるようなものを感じて、共感とともに癒されるような、そういう感想をもっている。

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    2023年08月13日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    著者の作品を初めて読んだ。

    感情とある種の無感情の交差が時にはゆっくり時にはスピードを増して、心に迫り来るのが、私の読書史上、エッセイとしてはかつてない衝撃を受けた。

    他人によく思われたいと意識していないとしても、人はどこか無意識にありのままの気持ちを曝け出すことに抵抗を感じてしまうところがある。
    しかし、著者の心の中や思考を全て知ることはできない前提があるうえで、直感的に、こんなにも包み隠すことなく自身を表現できる人に私は出会ったことがない。それがあまりにも真っ直ぐすぎて、こちらの心が何かしらの準備や抵抗をする前に、言葉が身体に入ってきてしまう。だからこそ、人から人へと伝染していってしま

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    2023年06月19日
  • アタラクシア

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    文庫化したので再読。ほぼ四年ぶりで忘れている箇所も多かったけど、当時とまったく変わらず振り切れるほどの共感度。ラスト5ページで物語の様相がガラッと変わる展開もたまらない。
    共感、という個人的な一点に関してなら本作を超える小説が今後でてくることはないんじゃなかろうか?と思うほどに、私が常日頃から抱えている思考のブラックボックスをすべて開示して明るみの下に並べられたかのような心地がする。
    タイトル『アタラクシア』とは古代ギリシア哲学の専門用語であり、「心の平静不動なる状態、乱されない心の状態。激しい情熱や欲望から自由な、平静な心のさま。」という意味だが、本作の読書中は台風に只中にのみ込まれたかのよ

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    2023年11月03日
  • デクリネゾン

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    年齢の変化、人間関係の変化、環境の変化、そんな細やかな日常の中の気持ちや感じてることが、とても細やかに言語化されていて、じっくり読めた。金原ひとみさんの作品は食事がとても美味しそうで、今回もたくさんの魅力的な食事がでてくて、美味しいご飯を食べたくなった。

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    2023年05月15日
  • 蛇にピアス

    購入済み

    虚無感

    後半は怒涛の展開でした。
    なんというか、なんともいえない気持ちです
    面白かったです

    #エモい #ダーク #深い

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    2023年05月03日
  • 蛇にピアス

    og

    購入済み

    すきです

    この作品を読んでどんな感情を抱くのが正しいのかはわからないけれど、多分正解はなあと思っていて。ただ心は揺さぶられて、私の語彙では表現できない嫌な気持ちを残していきます。それでもこの作品は好きで、何故か好きで。小説を読んでは映画を観て、映画を観ては小説を読み。繰り返してしまいます。
    ただひとつ言えるのは、人によってはかなり苦手な作品かもしれない

    #癒やされる

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    2023年04月29日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    勝手にすごくパンクな日常が描かれてるのかと、恐る恐る読み始め、
    でも綴られてる日々は、
    誰もが抱いた事のあるような悲しさや虚しい感情が研ぎ澄まされて文章になっていたり、どうしようもない気持ちや落ち込みを、何とか友達やお酒の力で乗り越えることとか、
    自分の日々起こる、考えや気持ちや怒りを、誠実に言葉にして、それを繰り返す日々がこんなエッセイになるのは、とても新鮮でした。
    瑞々しいものを読んだ気持ち。死にたくなってもいいし、どこに行ってもいい。
    ずっと泣きそうで、つらくて、寂しくて、でも幸せだという乖離の中で生きてきた、そういう自分に向き合っている。読めてよかった。

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    2023年04月23日
  • デクリネゾン

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    最高の小説だった。生涯ベスト5あたりに食い込むかもしれない。
    「私」を支配する、自分でコントロールしきれない私の欲望。それに従ったり抗ったり絶望をおぼえながらも、それでも、誰かと、この世と、生きていくしかない。その選択をし続けている「いま」の尊さ。
    コロナ禍の直前から落ち着くまでの期間を、飲み会やライブの状況と照らして描くから、まるですべて自分ごとのよう。いやー、最後までめっちゃおもしろかった。

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    2023年04月16日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    あなたは、『育児』真っ只中の女性がこんなことを口にしたらどう思うでしょうか?

    『子どもと二人でずっと家にいる。それがぐつぐつと煮えたぎる五右衛門風呂に沈められたり、針山に落とされたりするのと同等の地獄であると知ったのは、出産直後の事だった』。

    2021年に改正された”育児・介護休業法”の施行に伴い、男性がより積極的に『育児』に関わる世の中の動きがあります。しかし、この国の『育児』の中心はまだまだ圧倒的に母親が中心となるものだと思います。親子三世代同居というような考え方はほとんど見られなくなったこともあって、『育児』は母親がアパートやマンションの一室で、世の中から半ば隔離されたような

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    2023年04月08日
  • 持たざる者

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    やっぱり金原ひとみはすごい。すごすぎる。
    4人の一人称と他人から見たその人物。あまりにも鮮やかなその対比。あらゆる関係は相対的なものだと改めて。
    そして我々の人生は絶対に自分でコントロールできないものに支配されていると同時に、それゆえに我々は人生を選択できているのだという逆説。
    悩みのなさそうなあいつにも、あいつにしかない痛みがあるのだ。
    きっと読む前よりも世界と人に優しくなれる。その複雑さを受け入れられる。

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    2023年03月27日
  • fishy

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    久しぶりに一晩かけて一気読み。

    女の生きづらさか過不足なく過剰過ぎず描かれていて
    (覚えたくも無いけど)親近感があって
    それだけでも読み応えがあるのに、この作品の
    真骨頂は3人の関係性の愉しさ。
    仲良し、とか、友達、とかよくある既存の
    関係じゃないのに、みたことあるし、
    居たことある気がする。絶妙。

    ユリの狂気と正気の表裏一体さと、理論武装と、すべてにおいて惚れ惚れする。
    大好きな人物ではあるけど、友達になれるかって言うと、恐ろしさが勝つ。
    彼女の言葉を借りるなら、友達ではなく「同時代を生き、空間を共有する人」になら、なれるのかも(とかく、こういう表現が巧みなだけで大好き)

    弓子の「家

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    2023年02月16日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    西加奈子さんが推薦してて。

    西さんが言われてたように、
    こんなにネガティブでいいんだ、落ちてていいんだと思える本。
    自分の相反する感情、自堕落さをそのままにしててもよいんだと思える。
    なくすのでなく、もっと感じとってみよう、向き合ってみようと思った。

    出会えてよかったし、何度も読み返したい。

    著者は、根本的には真面目で誠実な人なのかなと思った。

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    2023年02月01日
  • fishy

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    2023年読んでよかった本ベスト3に必ず入ると確信した。金原ひとみさんの中にある人間や感情の引き出し、それらの表現についてもっと知りたいので過去の作品読み漁ろう

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    2023年01月19日
  • アタラクシア

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    結婚・離婚・不倫....男女の複雑に入り混じった群像劇とでもいうのだろうか。きっと共感できるような部分やそういう人いた気がする的な感覚。とにかく想像が追いつかない部分や謎を感じるところも含めてまるで生きている人間と接しているような文章が響いた。人物が全て描かれるのではなく過程で少しずつみえてくる感じは本当に人と触れ合っている感覚さえ感じる。読み手によっては期待すると何も見出せないのかもしれない作品。

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    2022年10月30日
  • アタラクシア

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    様々な状況に置かれた男女視点の話。

    登場人物が皆、自己分析と言語化が上手く、聡明で、そのため感情論の部分が少なく、とても「文学を読んでいる」という感覚を強く感じた一冊だった。

    金原ひとみさんの本を読むといつも思うが、あと数年を経、男性経験を重ねたらたどり着く思想の境地なのだろうなと。それがこの作品には特に色濃く出ていたように感じた。

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    2022年10月17日
  • アタラクシア

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    金原ひとみの圧倒的筆力を感じさせる、渡辺淳一文学賞受賞の小説。
    最初の章「由依」で描かれる、いま・この一瞬を味わう由依の甘美な多幸感、続く「英美」でのどうしようもない閉塞感と世界への呪詛に、金原ひとみの初読者として、たいへんに惹かれた。その後は、ゆっくり一章ずつ読み進め、楽しんだ。
    上記の通り、タイトルの登場人物の視点で各章は描かれるので主役はいないのだけれど、ほぼ主役であろう由依というキャラクターは、恐ろしくも魅力的で。サイコパス的だと言えばわかりやすいのだけれど、そうではないのだろうと留保したくなる、そういう感触をもった。
    彼女ほか、登場人物たちの織りなす人間関係の均衡が、ドミノのように繊

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    2022年09月10日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    私は本に希望も未来も愛も勇気も求めていなくて、ただただ現実から引き離してほしくて、たまに芯を食った言葉を聞かせてくれたらいいと思っていて、これはまさにそういう本だった。

    主人公の世界が狭くて、作品の世界に閉じ込められる感覚が強かった。現実世界の思想が入り込む隙を与えない。あ〜好き。

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    2022年08月30日
  • クラウドガール

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    記憶の中にしかいない人との思い出って、妙に美化されていたり、逆に思い出すのもしんどいくらいの嫌悪感しかなかったりするよね。
    見る人によって、ひとつの事実やひとりの人間の印象って変わってしまう。理有が見てる現実と杏が見てる現実は全然違うけれど、どちらも間違ってないんだと思う。

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    2022年08月15日
  • 持たざる者

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    ネタバレ

    4人が主役の4つのお話。

    東日本大震災を境に動いていく物語。
    どのお話もリアルだけれども、朱里の話が一番身近に起こり得そうでした。
    でも一番共感したのはeriのお話(笑)
    考え方とか人との距離の取り方とか似てるなぁと思いました。

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    2022年08月10日
  • アタラクシア

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    アタラクシアとは、心の平静・不動の状態をいい、ヘレニズム時代のギリシア人の倫理観、特にエピクロスの処世哲学では幸福の必須条件とされたとのこと。

    心の平静・不動のために、ある種の痛みが必要な人たちを描いた連作短編集、と言ったところか…

    金原さんの小説は、なんというか中毒性があるんだよな…非常に危険な麻薬みたいな…味を知ってしまうとどんなに痛くても抜け出せません泣

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    2022年07月31日