金原ひとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コロナ禍を生き抜く女子高生達の青春活劇。
といってしまえばそれまでなのだが、主人公レナの口を通して語られる彼女らの日常は、話し言葉と書き言葉の垣根を踏み壊したような絶妙な文章体で、力強く描かれている。
語り口は軽いのに文体は決して軽く無く、読み進めるたびに女子高生のリアルな心情がグイグイ入り込んでくるところに、金原ひとみの圧倒的な文章力と唯一無二の表現力を感じる。
海外生活をしていた金原ひとみ自身、ティーンエイジャーの子供達を育てながら、様々なジェンダーや境遇を抱えた人々と触れ合いながら生活していたのだろう。主人公を取り巻く女子高生の友人達にも、日本語が苦手な帰国子女であったり、国境を超えて -
Posted by ブクログ
圧倒的陽キャ、レナレナの中学から高校の途中までを描いた青春ストーリー。
というと、かなりライトな小説のようで、確かに重くはなく疾走感はあるのだけど、全然チープではない。主人公と一緒に考えさせられ、心の動きに並走して、ラストなんて泣きそうになったりして、とても楽しい読書だった。
読書人に、私も含めてここまでの陽キャは少ないと思うけど、物事に正面からぶつかり、よく考えたり考えなかったり、友達に相談したりして問題を解決しようとするレナレナのまっすぐな眩しさに、自分にもこんな時があった、と初心に帰るような気持ちになる人は多いんじゃないだろうか。 -
Posted by ブクログ
秀逸!
前半は確かに「何これ…」と思う方もいるかもしれませんが、むしろそれも意図されているのかもしれない。なので嫌になって読むのをやめちゃうのは勿体無いです。
多義的で悲しく辛い感情がすごく巧妙に表現されている15th winterは本当に秀逸です。
また、時間を遡っていくことで、最初に抱いた印象と、その過去が最後に一気に繋がる感覚は何とも言えず強烈です。
色んな女性の過去と強さ、自分で道を切り拓く力を軽視しないでほしい、というメッセージもこもっているように思いました。たとえその形が正しくなくても、愚かでも、それは彷徨いながらしっかり立っている証なのだと知ってほしい。私自身の視点も変わったし、 -
Posted by ブクログ
金原ひとみ3冊目。この本を読んで、私は金原さんと友達になりたい、仲良くなれそうと思った。(おこがましい)
結婚とは?愛するとは?をすごく考えさせられる小説。運命の人と結婚して幸せになりました!みたいな点と点を1本で繋げたクリアな話とは真逆。いろんな感情と思考が複雑に絡み合いそれをそのまま模写するような、写実的な捉え方でこの命題を考えている気がする。
周りの人間をよく観察し、よく分析している。その解像度がめちゃくちゃ高い。私が他人や自分に対して抱いてる感想をドンピシャで的確に表現してくれる感じが読んでいて爽快だ。超気持ちいい。
自分自身や親しい友人のことであっても、どこか感情が乖離している -
Posted by ブクログ
私は既婚して子どももいるけど、やっぱり結婚は希望ではないなと再認識した。
元から浮気性、浮気性って言葉もあまり好きではないけど、その人だけというのが難しいひとも普通にいる。私もそうだし。
第一誰かに希望を与えよう与えてもらおうだなんて驕りも過ぎてる。でも皆んな一生懸命生きてる。自分一人で生きるには退屈すぎるから結婚したりする。私は危害を与えてくる人と同じ空間にいるということが本当に理解出来ないから真奈美のことはずっと分からなかった。英美は救いがなくて可哀想だった。怒りっていちばんエネルギー消費する感情だと思うから余計辛かった。
…とここまで書いて、文系ステーションの金原ひとみのインタビュー記 -
Posted by ブクログ
中高生女子の軽やかな語りで、すらすらと読める短編連作。コロナ禍でも元気いっぱい、食べること遊ぶこと部活で忙しいレナレナの可愛いこと!
そして夫公認不倫中で、週に2日は外泊というキャラのたった母親の言動も見逃せない。というとひどい母のようにみえるが、論理と美味しいご飯で思春期女子を丁々発止とさばいていく。
レナレナや友人たちは、親、友達、恋人との付き合い方に悩みつつ乗り越えていく。コロナ倒産など大変なこともあるが、余り深刻な感じはしない。
すっきり爽快な読後感で私は好きだが、本当にこんなにうまくいくのかなと思わないでもない。中高生やその親が読んだらどう感じるか知りたいと思った。 -
Posted by ブクログ
七年ぶりの再読だったのだけど、以前読んだときとは自分がずいぶん違う感想を持っていることに気づいた。
それは良いことなのか悪いことなのか、奇しくも本書で書かれている通り、当時の自分と今の自分が別の人間で、人間の連続性というものを確証を持って疑わざるを得ない、とあきらめにも似た気持ちで肯定できた。
お人形のように可愛くて、おさるさんのように奔放な妹の杏は、何も考えずに今だけを刹那的に生きているように見えて、実は過去や記憶という雲の中でもがいている。
彼女は16歳で、これからきっともっと色んなことが雲の上から眺めることができるようになるだろう。
理有は、あれほど希求し理解したいと努めた相手、しかし -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったんだよなあ、あんまり評価高くないけど私はとても面白かった。
あらすじを読む限り、まったく共感できない行動をする主人公だからなんで読む気になったか思い出せないけど、アタラクシアが面白かったからもしかしたらと思ったのかも。
字数が多くて厚くて重くて面白い内容だとほんと幸せ。まだまだ読んでいたかった。
コロナ禍をうまく表現していたと思う。最後のリモート飲みがなんで嫌かのあたりなんて思っていたことを言葉にしてもらって膝を打つ思いだった。
知らない漢字を2個覚えたし。
擲って(なげうって)と悍ましい(おぞましい)これ読めなかった。
危険厨と安全厨という言い方も聞いたことも見たこともなかっ -
Posted by ブクログ
とても良かったなあ。ミーツ・ザ・ワールド辺りから作風が変わって、腹を空かせた勇者どもとかに似てる感じ。
ハッピーでポジティブで、スピード感があって、読後、ぽーんと放り出されてしまうような。
イタリアンレストランのフェスティヴィタ池尻大橋店で働くフリーターと社員がわちゃわちゃやって、店で飲んだくれつつたまに、覆面を被ってタクシーに乗り込んで酷い別れ方をした彼氏のところに襲撃に行ったり、先輩がDJしてるクラブに行って踊ったりする日常が描かれる。
なんか、こういう職場って楽しそうだし、仲良かった職場の友人とかも思い出した。朝まで飲み明かして眠い目を擦りながら仕事に行ったり、休日に集まってどっか -
Posted by ブクログ
子どもを産んでみて、そのかわいさ、愛しさに胸が潰れそうになり、もしこの子を失ったらもう生きていけないと思わされ、
その一方で、自分の時間のなさ、思い通りにスケジュールを組めないことにもどかしさを感じていた。
そんなときに手に取り、3人の主人公の境遇とわたしの境遇は一致しないけれど、それでも、よくぞこの気持ちを言語化してくれた!と思う描写の連続だった。
特にこの三つ。
・戦士はローションプレイをしない。
・とにかく密室育児をやってみて思うのは、育児には必ず誰かの助けが必要だという事だ。
・私は半ば、自分を諦めるように祈った。何でも差し出すだろう。私は何でも差し出すだろう。愛しい物ものに、全てを