金原ひとみのレビュー一覧
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金原ひとみ3冊目。この本を読んで、私は金原さんと友達になりたい、仲良くなれそうと思った。(おこがましい)
結婚とは?愛するとは?をすごく考えさせられる小説。運命の人と結婚して幸せになりました!みたいな点と点を1本で繋げたクリアな話とは真逆。いろんな感情と思考が複雑に絡み合いそれをそのまま模写するような、写実的な捉え方でこの命題を考えている気がする。
周りの人間をよく観察し、よく分析している。その解像度がめちゃくちゃ高い。私が他人や自分に対して抱いてる感想をドンピシャで的確に表現してくれる感じが読んでいて爽快だ。超気持ちいい。
自分自身や親しい友人のことであっても、どこか感情が乖離している -
Posted by ブクログ
私は既婚して子どももいるけど、やっぱり結婚は希望ではないなと再認識した。
元から浮気性、浮気性って言葉もあまり好きではないけど、その人だけというのが難しいひとも普通にいる。私もそうだし。
第一誰かに希望を与えよう与えてもらおうだなんて驕りも過ぎてる。でも皆んな一生懸命生きてる。自分一人で生きるには退屈すぎるから結婚したりする。私は危害を与えてくる人と同じ空間にいるということが本当に理解出来ないから真奈美のことはずっと分からなかった。英美は救いがなくて可哀想だった。怒りっていちばんエネルギー消費する感情だと思うから余計辛かった。
…とここまで書いて、文系ステーションの金原ひとみのインタビュー記 -
Posted by ブクログ
中高生女子の軽やかな語りで、すらすらと読める短編連作。コロナ禍でも元気いっぱい、食べること遊ぶこと部活で忙しいレナレナの可愛いこと!
そして夫公認不倫中で、週に2日は外泊というキャラのたった母親の言動も見逃せない。というとひどい母のようにみえるが、論理と美味しいご飯で思春期女子を丁々発止とさばいていく。
レナレナや友人たちは、親、友達、恋人との付き合い方に悩みつつ乗り越えていく。コロナ倒産など大変なこともあるが、余り深刻な感じはしない。
すっきり爽快な読後感で私は好きだが、本当にこんなにうまくいくのかなと思わないでもない。中高生やその親が読んだらどう感じるか知りたいと思った。 -
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七年ぶりの再読だったのだけど、以前読んだときとは自分がずいぶん違う感想を持っていることに気づいた。
それは良いことなのか悪いことなのか、奇しくも本書で書かれている通り、当時の自分と今の自分が別の人間で、人間の連続性というものを確証を持って疑わざるを得ない、とあきらめにも似た気持ちで肯定できた。
お人形のように可愛くて、おさるさんのように奔放な妹の杏は、何も考えずに今だけを刹那的に生きているように見えて、実は過去や記憶という雲の中でもがいている。
彼女は16歳で、これからきっともっと色んなことが雲の上から眺めることができるようになるだろう。
理有は、あれほど希求し理解したいと努めた相手、しかし -
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ネタバレ面白かったんだよなあ、あんまり評価高くないけど私はとても面白かった。
あらすじを読む限り、まったく共感できない行動をする主人公だからなんで読む気になったか思い出せないけど、アタラクシアが面白かったからもしかしたらと思ったのかも。
字数が多くて厚くて重くて面白い内容だとほんと幸せ。まだまだ読んでいたかった。
コロナ禍をうまく表現していたと思う。最後のリモート飲みがなんで嫌かのあたりなんて思っていたことを言葉にしてもらって膝を打つ思いだった。
知らない漢字を2個覚えたし。
擲って(なげうって)と悍ましい(おぞましい)これ読めなかった。
危険厨と安全厨という言い方も聞いたことも見たこともなかっ -
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とても良かったなあ。ミーツ・ザ・ワールド辺りから作風が変わって、腹を空かせた勇者どもとかに似てる感じ。
ハッピーでポジティブで、スピード感があって、読後、ぽーんと放り出されてしまうような。
イタリアンレストランのフェスティヴィタ池尻大橋店で働くフリーターと社員がわちゃわちゃやって、店で飲んだくれつつたまに、覆面を被ってタクシーに乗り込んで酷い別れ方をした彼氏のところに襲撃に行ったり、先輩がDJしてるクラブに行って踊ったりする日常が描かれる。
なんか、こういう職場って楽しそうだし、仲良かった職場の友人とかも思い出した。朝まで飲み明かして眠い目を擦りながら仕事に行ったり、休日に集まってどっか -
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子どもを産んでみて、そのかわいさ、愛しさに胸が潰れそうになり、もしこの子を失ったらもう生きていけないと思わされ、
その一方で、自分の時間のなさ、思い通りにスケジュールを組めないことにもどかしさを感じていた。
そんなときに手に取り、3人の主人公の境遇とわたしの境遇は一致しないけれど、それでも、よくぞこの気持ちを言語化してくれた!と思う描写の連続だった。
特にこの三つ。
・戦士はローションプレイをしない。
・とにかく密室育児をやってみて思うのは、育児には必ず誰かの助けが必要だという事だ。
・私は半ば、自分を諦めるように祈った。何でも差し出すだろう。私は何でも差し出すだろう。愛しい物ものに、全てを -
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ネタバレ「望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう」
登場人物があまりにも多いので、相関図をメモしながら読むことを推奨します。
私は明誠社で働く佐倉真奈美を見て、まるで自分をネタに書かれているのかと思うほど共感してしまいました。
暗黙のルールのもとに成り立つ関係。
そしてその距離感を無視して極端に重い言葉、軽い言葉を吐けば一瞬で崩壊してしまう空気感。
夫も彼も両方いて初めて成り立つ関係であること。
どちらも等しく必要な存在であること。
金原ひとみさんの作品はどれも自伝かと思うほど、体験していなければ書けないはずのことが書かれているので読んでいて驚きます。
そして、
夢心地のような幸せと -
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ネタバレオートフィクション(自伝的創作)にもかかわらず、リアルを感じるというか
22th winter から15th winter と22歳から15歳のリンまで話は遡っていくわけだが、どれも男との衝突。
その中で、他人に責任を押し付けたい、責任逃れしたい、でも自分が全ての責任を持てる様になりたい。という価値観がみえ、それは子どもで自分じゃ何も決められない、家に帰る時間すらも決められなかった子ども時代の堕児の経験からなのか。
想像の話でしかないが、作中のリンにオートフィクションとして語らせることで、自分の私小説を書くことを試みたのだろうか -
Posted by ブクログ
ネタバレ金原さんの小説があって良かった。
思えば自分も割と喜びとか怒りとか悲しみとか、
そういう感情の大きなブレが苦手で、色々考え込むことが煩わしいと思っていた人間で。
色々考えてこむようになってから、
あの頃の自分は浅はかだったな、とか思っていたけど、自分に子供ができたとしたら、こんなに思い悩んで欲しくないな、とか思ったり。
安全なとこで、幸せって枠からはみ出さないように、自分が見守れる中でめちゃくちゃ幸せになってほしいとさえ思うのだけど。
でもその陽キャたちは陽キャたちで、
ハードモードな人生を送っている。
結局程度の差こそあれ、みんなそれぞれ色々大変なことを抱えて生きている。
帯にも金原