金原ひとみのレビュー一覧

  • アタラクシア

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    金原ひとみ3冊目。この本を読んで、私は金原さんと友達になりたい、仲良くなれそうと思った。(おこがましい)

    結婚とは?愛するとは?をすごく考えさせられる小説。運命の人と結婚して幸せになりました!みたいな点と点を1本で繋げたクリアな話とは真逆。いろんな感情と思考が複雑に絡み合いそれをそのまま模写するような、写実的な捉え方でこの命題を考えている気がする。

    周りの人間をよく観察し、よく分析している。その解像度がめちゃくちゃ高い。私が他人や自分に対して抱いてる感想をドンピシャで的確に表現してくれる感じが読んでいて爽快だ。超気持ちいい。

    自分自身や親しい友人のことであっても、どこか感情が乖離している

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    2024年09月16日
  • 持たざる者

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    4人のそれぞれの視点で描かれる4つの短編集。
    1人目と4人目の話しが陰鬱で好き

    1人目は、地震の放射能の対応を巡って起こりだすすれ違い。

    早く家から出ていってほしいって切実に願う4人目の話し、毒っ気もあってあまりにも金原ひとみ氏の得意領域すぎる

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    2024年08月27日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    これはいい金原さん
    私は2人が望むなら離婚を受け入れるよ。2人がその方がいいと思うんならそれでいい。と私も言いたかったのだと気づいた

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    2024年08月22日
  • 持たざる者

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    ネタバレ

    喪失なのか、元々持っていないのか

    震災が一つの要素としてあるが、個人的にはコロナ禍以前以後と重ねて読んだ

    が、ラストの朱里のように、そりゃ違う世界で、違う地獄に生きてる人もいるよな、と

    今海外に住んでいるので、日本のスーパーの描写によだれが出てきました

    色々考えてることがあったはずなんだけど、
    義兄夫婦が面白過ぎて色々飛んじゃった笑

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    2024年08月21日
  • アタラクシア

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    私は既婚して子どももいるけど、やっぱり結婚は希望ではないなと再認識した。
    元から浮気性、浮気性って言葉もあまり好きではないけど、その人だけというのが難しいひとも普通にいる。私もそうだし。
    第一誰かに希望を与えよう与えてもらおうだなんて驕りも過ぎてる。でも皆んな一生懸命生きてる。自分一人で生きるには退屈すぎるから結婚したりする。私は危害を与えてくる人と同じ空間にいるということが本当に理解出来ないから真奈美のことはずっと分からなかった。英美は救いがなくて可哀想だった。怒りっていちばんエネルギー消費する感情だと思うから余計辛かった。
    …とここまで書いて、文系ステーションの金原ひとみのインタビュー記

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    2024年07月27日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    中高生女子の軽やかな語りで、すらすらと読める短編連作。コロナ禍でも元気いっぱい、食べること遊ぶこと部活で忙しいレナレナの可愛いこと!

    そして夫公認不倫中で、週に2日は外泊というキャラのたった母親の言動も見逃せない。というとひどい母のようにみえるが、論理と美味しいご飯で思春期女子を丁々発止とさばいていく。

    レナレナや友人たちは、親、友達、恋人との付き合い方に悩みつつ乗り越えていく。コロナ倒産など大変なこともあるが、余り深刻な感じはしない。

    すっきり爽快な読後感で私は好きだが、本当にこんなにうまくいくのかなと思わないでもない。中高生やその親が読んだらどう感じるか知りたいと思った。

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    2024年07月16日
  • クラウドガール

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    七年ぶりの再読だったのだけど、以前読んだときとは自分がずいぶん違う感想を持っていることに気づいた。
    それは良いことなのか悪いことなのか、奇しくも本書で書かれている通り、当時の自分と今の自分が別の人間で、人間の連続性というものを確証を持って疑わざるを得ない、とあきらめにも似た気持ちで肯定できた。

    お人形のように可愛くて、おさるさんのように奔放な妹の杏は、何も考えずに今だけを刹那的に生きているように見えて、実は過去や記憶という雲の中でもがいている。
    彼女は16歳で、これからきっともっと色んなことが雲の上から眺めることができるようになるだろう。
    理有は、あれほど希求し理解したいと努めた相手、しかし

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    2024年07月03日
  • ハイドラ(新潮文庫)

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    早希は囚われてとても苦しそうだったけど
    生きている、という感じがした。

    渦中は苦しいけれど、もがき、翻弄され、傷つき、
    傷つけられている様は人間としての生を感じる。

    そして寂聴さんの圧倒的安定感。この世の全てを見てきたかのような言葉の重み。
    且つ新しいものに触れようとする姿勢。
    見習いたい。

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    2024年06月06日
  • ハイドラ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    夢中で読み切ってしまった。
    主人公の早希はきっと美人で独特な雰囲気がある異端な女性なのに、自信がなくて悲観に美徳を感じてしまうような不安定さがある。イケイケなバンドマンじゃなくて不完全な自分に肯定も否定もしないカメラマンを選ぶ...。1+1=2にならない感性。
    バンドマンと結ばれて欲しかったけど分かり合えない溝があるんだろうな。
    解説の瀬戸内寂聴さんの重みったらありゃしない。
    「ハイドラ」ってなに?

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    2024年05月27日
  • デクリネゾン

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    ネタバレ

    面白かったんだよなあ、あんまり評価高くないけど私はとても面白かった。
    あらすじを読む限り、まったく共感できない行動をする主人公だからなんで読む気になったか思い出せないけど、アタラクシアが面白かったからもしかしたらと思ったのかも。
    字数が多くて厚くて重くて面白い内容だとほんと幸せ。まだまだ読んでいたかった。

    コロナ禍をうまく表現していたと思う。最後のリモート飲みがなんで嫌かのあたりなんて思っていたことを言葉にしてもらって膝を打つ思いだった。

    知らない漢字を2個覚えたし。
    擲って(なげうって)と悍ましい(おぞましい)これ読めなかった。

    危険厨と安全厨という言い方も聞いたことも見たこともなかっ

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    2024年05月18日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    今、思うと、こどもってあっという間に大きくなる
    今もまだ子育て中だけど、少しずつ楽にはなってるけど、成長とともに悩みも変化していく
    狭い世界で生きてると、そこが全てに思いがちだけど、全然そうじゃないのになって思ってしまった

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    2024年05月03日
  • ハジケテマザレ

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    とても良かったなあ。ミーツ・ザ・ワールド辺りから作風が変わって、腹を空かせた勇者どもとかに似てる感じ。
    ハッピーでポジティブで、スピード感があって、読後、ぽーんと放り出されてしまうような。


    イタリアンレストランのフェスティヴィタ池尻大橋店で働くフリーターと社員がわちゃわちゃやって、店で飲んだくれつつたまに、覆面を被ってタクシーに乗り込んで酷い別れ方をした彼氏のところに襲撃に行ったり、先輩がDJしてるクラブに行って踊ったりする日常が描かれる。

    なんか、こういう職場って楽しそうだし、仲良かった職場の友人とかも思い出した。朝まで飲み明かして眠い目を擦りながら仕事に行ったり、休日に集まってどっか

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    2024年04月28日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    子どもを産んでみて、そのかわいさ、愛しさに胸が潰れそうになり、もしこの子を失ったらもう生きていけないと思わされ、
    その一方で、自分の時間のなさ、思い通りにスケジュールを組めないことにもどかしさを感じていた。
    そんなときに手に取り、3人の主人公の境遇とわたしの境遇は一致しないけれど、それでも、よくぞこの気持ちを言語化してくれた!と思う描写の連続だった。

    特にこの三つ。
    ・戦士はローションプレイをしない。
    ・とにかく密室育児をやってみて思うのは、育児には必ず誰かの助けが必要だという事だ。
    ・私は半ば、自分を諦めるように祈った。何でも差し出すだろう。私は何でも差し出すだろう。愛しい物ものに、全てを

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    2024年04月28日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    私自身、生物的に妊娠は不可能。妊娠と子育てを、さまざまな視点から、追体験できるこの作品。母親とはとても孤独な期間を近くに子供がいるのに感じてしまう。

    私が将来、結婚して子供ができた時には、この本を思い出して、少しでも妻の心の変化に気づいて、母親として、孤独にならないように尽くしたい。

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    2024年04月22日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    これまで読んだどのエッセイよりも抉られた。どのページを開いても鋭く濡れた刃物で切り付けられるような痛みが走る。「瞬間的な心の充足ではなく、恒常的な魂の充足などあり得るのだろうか」この一文に泣いた。

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    2024年01月12日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    すごい。圧巻。すべてを書き切っているのでは。

    3人の若き母たちを題材に、母親であることの幸福と孤独、身を切るような痛み。金原ひとみ節として不倫、クスリ、暴力の描写はあるけれど、それもその時々で彼女たちには必要なもの。

    読むタイミングは選んだほうがいい。若すぎるとわからないし、登場人物に近すぎると嫌悪感が勝りそう。まだそこに足を踏み入れないギリギリという、最適なタイミングで読めたことを幸せだと思う。

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    2024年01月04日
  • アタラクシア

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    ネタバレ

    「望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう」
    登場人物があまりにも多いので、相関図をメモしながら読むことを推奨します。
    私は明誠社で働く佐倉真奈美を見て、まるで自分をネタに書かれているのかと思うほど共感してしまいました。
    暗黙のルールのもとに成り立つ関係。
    そしてその距離感を無視して極端に重い言葉、軽い言葉を吐けば一瞬で崩壊してしまう空気感。
    夫も彼も両方いて初めて成り立つ関係であること。
    どちらも等しく必要な存在であること。
    金原ひとみさんの作品はどれも自伝かと思うほど、体験していなければ書けないはずのことが書かれているので読んでいて驚きます。
    そして、
    夢心地のような幸せと

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    2023年12月29日
  • fishy

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    ひげむらさんが貸してくれた「fishy」

    女性3人組の組み合わせはよくあるし、現に私も現在の大学での行動は3人でいるけれど、ここまで毛色が異なり(なんならお互いがお互いを嫌いである)、いつ崩れてもおかしくない緊張感漂う関係性がおもしろかった〜。

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    2023年12月21日
  • オートフィクション

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    ネタバレ

    オートフィクション(自伝的創作)にもかかわらず、リアルを感じるというか

    22th winter から15th winter と22歳から15歳のリンまで話は遡っていくわけだが、どれも男との衝突。
    その中で、他人に責任を押し付けたい、責任逃れしたい、でも自分が全ての責任を持てる様になりたい。という価値観がみえ、それは子どもで自分じゃ何も決められない、家に帰る時間すらも決められなかった子ども時代の堕児の経験からなのか。

    想像の話でしかないが、作中のリンにオートフィクションとして語らせることで、自分の私小説を書くことを試みたのだろうか

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    2023年11月03日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    ネタバレ

    金原さんの小説があって良かった。

    思えば自分も割と喜びとか怒りとか悲しみとか、
    そういう感情の大きなブレが苦手で、色々考え込むことが煩わしいと思っていた人間で。

    色々考えてこむようになってから、
    あの頃の自分は浅はかだったな、とか思っていたけど、自分に子供ができたとしたら、こんなに思い悩んで欲しくないな、とか思ったり。
    安全なとこで、幸せって枠からはみ出さないように、自分が見守れる中でめちゃくちゃ幸せになってほしいとさえ思うのだけど。

    でもその陽キャたちは陽キャたちで、
    ハードモードな人生を送っている。

    結局程度の差こそあれ、みんなそれぞれ色々大変なことを抱えて生きている。
    帯にも金原

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    2024年08月18日