金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「例えばさ、ずっと一つの星を見上げてると、自分がその星に落ちていきそうな気がしてこない?」
星へ落ちるってタイトルにきゅんとした。
男と女と、男の彼氏と、女の元彼。
複雑な人間関係の中で共通するのは、完全に自分のものにならない相手に落ちて、もがいているところ
人の心なんて縛れないのに、なんで恋をすると人はそれを自分のものにしたがるんだろう。
愛おしいと思えば思うほど、相手のすべてを知りたくなるし、それで苦しむんだよね。なんでかな。
って読んでて思った。
描写がね、いい。ルクルーゼの鍋とか、東京タワーとか、カレーとか、情景を頭に浮かべやすいの。
とんとんとんとん。にんじんを刻ん -
Posted by ブクログ
果たしてこれは作者の自伝的作品なのかなんなのか笑
最初は主人公の22歳の作家の口調がギャルで嫌だったんですけど、何も考えていないようで色々な事を考えているんだなぁと分かりました。
ていうかすっごく嫉妬深くてネガティブ笑
病的に寂しがり屋だということと病的に嘘が嫌いなのは何故か最後まで読んだ時に分かって(まぁ寂しがり屋なのは最初からだった気もしますけど)、最後の方は責任取れないとか言いだす男に殺意を感じ(爆)お腹の子と主人公可哀想だなぁとか。
人間を色々なものに例えるところが面白かったwwwあとコイツは〜してそうとか勝手に考えるところも。
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Posted by ブクログ
■はじめに
今年は小説をよく読んだ。押しも押されもせぬおっさんになってからは、社会評論やノンフィクションに手が伸び、小説を買ってもエンタメ系—そんな読書傾向が続いていた。
ところが、なぜか今年は小説、それも所謂「純文学」作品を読む機会が増えた、正しくは復活した。
純文学と書いた途端、そもそも純文学とは何なの?エンタメ作品との違いは? その境目はどこにあるのか?—そんな疑問が頭をもたげてくる。
僕の中での純文学の定義は「物語の“結果(結末)”よりも、人間の“ありよう”そのものを引き受けようとするのが純文学」である。
描かれるのは、人間の業(ごう)そのもの。弱さ、矛盾、欲望、逃避、欠落、そ -
Posted by ブクログ
私が知る限りでは、金原ひとみさんは自伝作品を発表していない。未読だが「オートフィクション」なる自伝的要素の強い創作(フィクション)もある様ではある。
今回、朝日新聞出版から発刊された当書籍は、芥川賞受賞当時(2004年)から現在(2025年)に至るまで、様々な媒体で発表された金原さん自身のエッセイ、日記、掌編を集めたものである。
本書籍の中でそれらがあたかも、「額装された絵画の様に」キュレーションされ、読むものの感情、それは様々な題名に沿った種々の感情、に訴えかけるという、いっぷう変わった構成の自叙伝であると言えるのでは無いかと思う。
掌編集である、とは言っても、大きく三つの章に分かれて