金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
金原ひとみさんの作品は初読みでしたが、圧巻でした。
人と人が完全に分かり合えることはない。それを容赦なく、徹底的に書ききった凄まじい作品。
帯やあらすじにもあるように、性搾取の告発を中心に物語が展開していくのですが、でも性加害や性搾取の悪辣さを知らしめることや、それを断罪したり怒りの感情を発露したりということはあくまで作品の中の一部分のように感じられるというか……。性加害・搾取という問題を通して「分かり合えない」ということをとことん直視させられ、痛感させられたという印象の方が強かったです。
性搾取した人と、性搾取された人。世の中に対して許せないことがある人、許せないことがないという人。男と女 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。すごい本を読んでしまった。
登場人物の視点が順を追って進んでいき、またその、逆順で折り返していく構成で、その人の視点で物語がどのように綴られていくのか気になって、どんどんページが進むし、
周りが語る人物像と渦中の人物の心境やスタンスが全く違っていたり、そもそも切り取るべきところが異なっていて、こんなの現実世界そのままじゃん、と何度もなった。
伝えたいストーリー、主張されているトピックは明瞭なものがあるわけではないのかな、告発文を基軸に進むストーリーであるものの、個々人の信念や置かれた環境、たどってきた人生の遍歴で、章によって全く違う主題が書かれてるようにも感じた。と -
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ネタバレ令和の『藪の中』を生きる、剥き出しの正義と多面性の終焉
金原ひとみ『YABUNONAKA』は、芥川龍之介の『藪の中』を現代の地平で再構築した群像劇だ。物語は、出版社に勤める木戸という編集者が、元恋人の美津から10年越しの性的搾取を告発されるところから動き出す。そこから派生する様々な人物たちの視点が重なり合い、性加害という深刻なテーマを軸に、現代特有の「真実の不透明さ」が描かれていく。
本作で圧倒的な存在感を放つのは、木戸の元担当作家・長岡友梨奈である。彼女は強固な自らの正義を信じ、他者をねじ伏せる力を持つ人間だ。かつての彼女は、自身の中に宿る「乖離性」を武器に、物事の多面性を描く小説家として -
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ネタバレモヤモヤがずっと続いていて、こういう時こそ金原ひとみさんの劇薬みたいな小説を摂取するべきだと思って購入。
とにかくメモが止まらなかった。
なんで私のこと知ってるんだろう、もしかして私の脳内から着想を得て書いた?と思うような文章が多過ぎた。
多分金原さんも経験者なんだろうな。じゃなきゃ書けるわけがない。
不倫が日常に組み込まれていて、忙しい日常の中の「こなすべき予定」になってしまってる感覚とか、
好きなのはあっちだけど決定的なのはこっちと内心冷静に男を比較していたり、
普通の不倫小説なら魅力的な既婚者についのめり込んでしまったみたいな作品が多いけど、金原さんの作品は自分だけじゃなく仲良い友達 -
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2026年1冊目。すごく良かったです!
ルーティンをひたすら守り感情の振れ幅がまったくない生活から、平木さんまさかさんとの出会いで彩り溢れる人生がひらけていく感じ。最高でした!
離婚や不妊治療など、冬眠させていた過去の感情を少しずつ思い出してその都度辛くなりながらも乗り越えていく。その時に寄り添ってくれる人がいる。
大人になってから交友関係を広げることを面倒に思いがちの私ですが、出会いっていいなと素直に思える一冊でした。
まさかさんのこのセリフが素敵すぎて心に沁みました。言われたい…!!!!
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「僕らあとはもう自分にできることをして老いていくだけです。家のことも子供のことも義実家のことも -
Posted by ブクログ
長年の間望んでいた子どもも授かれず、夫にも愛想をつかされて以来、人生に波風立てず自分を傷つけないようすべての日常をルーティンの中に収めようと決意した女性。
同じ職場の、こちらは非日常に生きる女性に半ば無理やり連れて行かれたライブをきっかけに、そのルーティンは崩れていく。
最初はそれに抵抗していたが、そのライブの主であった男性がさりげなく見せてくれる非日常の世界に徐々に夢中になっていく。
私たちは、自分の日常生活のルーティンに大した不満はなく、変化は求めていないと自分では思っていても、やはりどこかで他のあり得たかもしれない世界や非日常を求めている部分も無意識のうちにあるのだと思う。
そんな非日 -
Posted by ブクログ
小説を書くことで生き抜いてきた(生計を立てるの意ではなく)筆者の、まさに「生きた証」が山のように積まれていて、そこから放たれる力強さと繊細さに夢中になってしまったエッセイ+短編集。もし自分が感じたことや経験したこと、考えたことをつぶさにアウトプットしたとしても、こんな純度にはならないでしょう。この本を表現するときに「面白い」とか「赤裸々」とかいった、方向性は間違っていないけど、まったくドンピシャではない言葉しか自分の中から出せないのが非常にもどかしくてならない。。
有名な「母というペルソナ」はもちろん、他も代弁者のような文章がたくさんあって深く理解できた箇所多数。実は自分は「蛇にピアス」も結