金原ひとみのレビュー一覧

  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    ネタバレ

    30代になり、体力が落ちてきたり、若い世代の話題についていけなくなったことで、今までは全く意識していなかった「中年危機」という言葉が気になるようになってきた。

    本の終盤である登場人物がある登場人物を
    「あなたは時代を体現していて、だからこそこれからどうなっていくのが楽しみです」とった言葉で表現したのがとても印象的だった。僕らは生きてきた時代を体現していて、その時に染み付いてしまったものが、時代の変わりめ、常識が変化するタイミングで害と判断されて、SNSの発展も相まった罰せられる時代を生きていることを自覚しないといけないと思った。

    常に自分の行動原理はどこからきているのかと問い、無思考で行動

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    2025年12月07日
  • 私の身体を生きる

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    「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
    各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。

    痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを

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    2025年12月04日
  • 蛇にピアス

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    もっと早くに読んでおけば良かった。
    時々びっくりするぐらい胸を刺す文章が出てきて、生きるってこういうことなのかもな、と思う一冊だった。

    ミーツザワールドを読んだ時、きっとこの人の作品はどれも好きだろうなと思い、金原ひとみといえば蛇にピアスだよなと今さらながら手に取ってみたら大正解。鋭い切れ味の文章で私はとても好き。
    映画も見たことがなく、有名作品という印象しかなかったけど、あまりの衝撃に良い意味で印象がひっくり返された。

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    2025年12月02日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    面白かったー。なんて優しい世界。この世界に合わなくてふっと消えてしまう人。でもその存在に救われる人。何とかしたいと足掻いたり、寄り添ったり。上手に言語化できないけど、良かった。金原ひとみがデビューした時、同世代だけど、その姿にも小説にも絶対に馴染めない人だなって思った。それが、40代になって共感できるようになるんだから。その面でも面白かった。

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    2025年12月02日
  • ナチュラルボーンチキン

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    小説全体から真っ直ぐな言葉が飛んできてテンポの良さにどんどん話しに引き込まれていきました。浜野さんの生き方が新しい人が加わったことでルーティンから少しずつズレて変化して新しい世界が広がって。素敵な登場人物たちにも出会えてほっこりしました。

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    2025年12月01日
  • 蛇にピアス

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    11/29夜更かしの読み明かしの影響で再読。こんな話だったけってなった。芥川賞を取っただけあって読みやすくあっという間に読んでしまった。シバさん…、感情の移り変わりが全然わからん。が、そこがいい。

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    2025年11月29日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    ネタバレ

    途中から長岡友梨奈に自分を重ねていた。彼女は理不尽にあふれる社会に怒っているから。私も常に同じように社会に怒りを抱えて生きているから。
    友梨奈は怒って怒って怒っている。ペンの力から実力へ。この世の理不尽とペンで闘っても正義は果たされない無力感。

    セクハラ編集者や「ぶつかりおじさん」男性と闘うことになる経緯は私には痛切に伝わる。
    40歳を過ぎたからこそ、ただ嘆くだけではなく、次の世代のために目に見える形で闘いたくなる。友梨奈のように破滅的に闘うことはできないけれど。

    友梨奈の死後の木戸の気力復活は理解できていないので再読したい。
    最後に出てくるリコちゃんは救い。



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    2025年11月28日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    ネタバレ

    臨界点を超えた関係の根拠は、どんなに丁寧に言葉にしても全てこじつけにしか聞こえないのだ。(P、37)

    この砂漠のように灼かれた大地を裸足で飛び跳ねながら生き続けることに、人は何故堪えられるのだろう。爛れた足を癒す誰かの慈悲や愛情でさえもまた、誰かを傷つけるかもしれないというのに。(P、72)

    寂しさは人を狂わせ、寂しさを盾に、人は人を傷つける。こんなに惨めなことはない。苦痛のない世界を求めているだけなのに、どうして人は傷つき傷つけてしまうのだろう。(P、88)

    酔っぱらっている時ほど、きちんとメイクを落としコンタクトを外し歯磨きをする。疲れている時ほど眠れないように。喪失感に苛まれて

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    2025年11月28日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    面白すぎて連続して2周読みました!!
    年齢、性別、ジェンダーなど、様々な立場の人からの視点で、とある性被害告発事件を描いた物語。
    こう書くと最近ありがちなテーマと思われがちですが、そこは金原さんの作品らしく、パンチがありすぎるキャラクター達によって刺激的な小説になっています。

    どのキャラも、現実にいそうで、でも小説で客観視すると「うっ」となる要素があり。かつ、自分の中にもこういう考えあるかも、、、。と思わせてくれる絶妙さ。

    かなりエグい描写もあるのですが、金原さんの文体はどこかラップにも感じるリズミカルさがあるため、ユーモアをあります。

    もう一度最初から読み直そうかな。

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    2025年11月28日
  • ナチュラルボーンチキン

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    難しい言葉を使ってないのに文章が秀逸だなって思う。特に比喩表現が素敵だなと思います。

    最後まで言及されなかったけど、主人公の特徴と生きづらさは、見事に表現しているなと思う。

    金原さんの最初の作品を読んでからの読書。
    読み始めは、同じ作者なのに雰囲気違うな〜って思ったけど、中盤からやっぱり金原さんの作品だなって思った。

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    2025年12月01日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    (読んでる途中の感想)

    この本にストーリーはない。
    人々の心情描写があるのみだ。
    もちろん、話は前に進んでいく。
    でも、結局はそれも人々が経験した思いをかたっているだけであり、事実として進んでいくわけではない。

    テーマは「時代とともに変化する価値観」なのかなと思った。
    その時代、その文化の中にいれば生贄だってするかもしれない。

    いまの価値観が絶対正しいとか、あの頃はよかった、ではなく、変化する価値観を受け入れろって話かと。

    (読み終わった感想)
    面白い、というと語弊があるが、面白かった。
    続きが読みたいと思った。
    それはなぜか?なぜだろう。

    この人がなにを考えているかを知りたい、この

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    2025年11月30日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    ミーツザ・ワールドの時も思ったけど、金原さんの文章って癖があんまりなくて綺麗、だけどめっちゃ力強い感じ。こういう世界を文章化できる稀有な人。
    ラッパー金原ひとみって朝井リョウが言ってたのがよくわかる
    性描写は結構グロかった

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    2025年11月25日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    ネタバレ

    Audibleにて。
    積読チャンネルにて紹介されて知った。
    目まぐるしく変わる視点に振り落とされそうになりながらも、それぞれの言葉の立場で紡がれるおどろおどろしい心の内側は、ずっと怖いもの見たさを刺激し、消して短くはないが最後まで引っ張られた。
    この語り口は芥川龍之介の藪の中をオマージュしているんだとおもうのだが、登場人物が多く、オーディオブックとの噛み合わせはあまりよくなかった。事前に積読チャンネルであらすじを知っていなければ、ついていけなかったとおもう。
    40代男の自分は、元文芸雑誌編集長で、裏で文芸インポと揶揄されている木戸悠介に、一番心を重ねてしまうが、いかんせん辛すぎる。。。(他の登

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    2025年12月10日
  • ナチュラルボーンチキン

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    評価色々なんですね。私はぼちぼち老害世代ですが、読めて良かったです。
    経験した人にしか分からないような具体的な心情、リアルで深くて圧倒的で引き込まれました。
    無感情になって生きのびてきた心の蓋を、まさかさんが開けてくれた。感情が湧き出す。
    最後自分も救われたような気になってしまって泣けました。

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    2025年11月23日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    ネタバレ

    編集者、小説家、引きこもりの女子大生、高校生…それぞれの立場から。
    ハラスメントの数々や暴力、突き動かされる怒りや愛の形。
    人の怒りや思いが別々の方向へ向かって行く。同じ世界の住人でありながら、それぞれに戦っている。

    何だか…繋がることも、壊れることも一瞬で、
    という事があるんだなぁ。
    あの様な最期を迎えたけれどとても真摯で共感できた。
    すごい小説を読んでしまった!
    という感想。2度読みです。敢えてとばしたページもあったけど。

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    2025年11月23日
  • ナチュラルボーンチキン

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    私にはとてもよかったです。
    登場人物に悪い人はいなかったように思います。
    どこか不器用で人間らしい方が、ただ要領よくうまくやっていくより人間らしくていいのかもしれません。
    ナチュラルボーンチキンとして共感しながら読みました。

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    2025年11月18日
  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    2020年代になって急激な時代変化を自分自身の価値観と社会をサバイブ(生き抜く、生き残る)していくことが求められていると考える。

    人間それぞれに価値観や考え方があって、作中登場人物も1人1人の価値観や考えが全く違う。
    時代の変化で苦しむ者や今を生きる常識に苦しむ者。

    改めて、人は分かり合えない。
    だが、人をわかり合おうとすることはできると思った。

    特に、長岡友梨奈の性被害者に対する思いには感化させられる。
    性被害に遭って声もあげれず自殺する者、方や性被害を受け流す者。こうした内容がある中で現代でも性犯罪の認知件数と検挙件数の乖離が生まれるのは、被害者が損をする現代社会の総図である。

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    2025年11月17日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    腐女子苦手だから手に取るのを躊躇ったけど
    映画の予告の花ちゃんを見て
    読んでみようかな…って思った。
    映画みてないのにゆかりんのセリフは花ちゃんで再生されてすらすら読めた。
    個人的にアサヒがいい事言うな、って思った。
    焼肉が食べたくなった。

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    2025年11月17日
  • ナチュラルボーンチキン

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    まさかさん、なんて素敵な人なの!
    私がまさかさんと
    お付き合いさせていただきたいです(切実)。

    まさかさんに惚れすぎて、後半全然キスシーンとか欲しかった人ですが、雰囲気的にまあないだろうなあ、と。(笑)
    この先の、まさかさん×浜野ライフが
    まだまだ見たいよ〜、という気持ちです・.。*・.。*

    元旦那みたいな人、絶対にいるよなあ。めちゃくちゃイライラするけどそこら辺にいそうで、それも含めてイライラ!(笑)
    そして最後まで自分の過ちに本気で気付いてない感じ、こっちが悪者として消化されていく感じ…!コノヤロウ過ぎる。

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    2025年11月14日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    電車で読んでて物理的にくらくらして、あ、立ちくらみするってなって本閉じた。それくらいの凄み。

    p152「セックスって全肯定だからね。全肯定って暴力だからね」
    p174「そうそう、手が綺麗って言われてさ」
    「うん?」
    「そのコンビニの店員の女の子にさ、金払う時、手綺麗ですね、って」
    「ほんとに?どんな風に言われたの?」
    「うわー、って感じでほれぼれしてたよ。見る?って手出したらいやいや、って笑われたけど」
    笑いながら、ほら、女の子ってみんな男の手が好きなんだよ、と言った。私は待澤と出会った十五の頃から、待澤の手が好きだと言い続けていた。
    p210 毎週ジャンプを読んでいる男とか、アウトドアが好

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    2025年11月14日