金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2023年刊。
金原ひとみさんの割と新しい長編小説。これも素晴らしい傑作だ。
主人公はレナレナこと玲奈、中学生。母親は堂々と不倫中で両親の離婚が間近い、が、レナレナは素晴らしく明るく、活発で、たくさん友だちを作っていく名人だ。アタマはあまり良くなさそうだが、バスケ部で頑張っている。エスカレーター式に高校まで行ける私立の女子中学校に通っている。
この素敵な快活さは突き抜けており、ときに悩むことはあっても、ウジウジせずに前に進み続ける。こんなに屈託のない子がそばにいたら、友だちになりたくなったろう。
レナレナが主に親友の二人の同級生と遊んでいる日常が中心で、そのにぎやかなパロールの奔流が -
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Posted by ブクログ
これまた西加奈子さんのポッドキャストを聴いて読んだ一冊。
普通、とされる意見や行き方やしがらみや、自分に対する評価や肯定感なんていらないのかもな、と救われる一冊。衝動やどうしようもないところなんて、どうにもしなくていいと思える。
まるごと自分を愛しましょう、がしたい人はすればいいし、しなくても世界はまわっていく。そんな風に思えた。日々の生活が綴られていて、それぞれの人の人生があって、だからといってこうしたらいい、とかこれが正解、という焦燥や焦りもなく、ただ生きていく。
人生の歩んでいる道は違うけど、こういう文章になぜだかホッとする。
しかし小説家がおすすめの小説を教えてくれるなんて、いい時代だ -
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Posted by ブクログ
「これを読めば痛みを通じて自分が見つかるらしい。」
と言って隣の席の友人がこの本を勧めてきました。
初っ端から痛々しい表現に度肝をぬかれながらも、読む手が止まらず放課後になる前に読み終わってしまいました。おかげで授業の内容はパーです。
僕はこの本は青春小説だと思います。「きっと私の未来にも、刺青にも、スプリットタンにもなんの意味もない」と言い切った主人公。
「青春は、意味もないものに思い切り熱中できる時代。しかし大人は意味があるものにそこそこしか熱中できない。」というのを聞いたことがあります。
部活だって、友達と遊ぶことだって、心から恋愛することだってなんの意味も無いかもしれない。それで