【感想・ネタバレ】持たざる者のレビュー

あらすじ

僕はどこだか分からないここにいる―修人。全ての欲望から解放された、いや、見放された―千鶴。人生とは結局、自分自身では左右しようのないもの―エリナ。きっと、私がここから別の道を歩む事はないだろう―朱里。他者と自分、世界と自分。絡まり合う、四者の思い。思いがけない事故や事件。その一瞬で、ねじ曲がる。平穏な日常が、約束された未来が。混沌、葛藤、虚無、絶望。――現代社会の風潮を照射した傑作小説。

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Posted by ブクログ

  

      『持たざる者』



金原ひとみさんの作品♡



今回のお話の設定は 
震災から およそ 三年後 という設定
四人の男女の連作短編なのだけれど…


妻子と離別した
グラフィックデザイナーの 修人

修人のかつての愛人で現在は
シンガポールで家庭を営む 千鶴

千鶴の妹で自由奔放に暮らす
シングルマザーの エリナ

エリナとイギリスで出会い、駐在員の夫の
帰国が決まった 朱里



この四人のお話
震災、死別、家庭環境の変化だったり
それぞれの立場や環境が全然 違って
なかなか興味深く読めました


どの お話も ほんっとに よくわかる


金原さんの表現や言葉が響くんだよなぁ


奥さんと離別してから
千鶴と修人で呑んでいるときの会話が…



「修人くんは奥さんに、何か強要したの?」
僕が人に何かを強要するわけがないよ、
笑いながら答えると…


「強要しない人って、強要しないことで何かを強要していたりするものでしょ」



「君の好きにすればいいって言いながら、
相手に自分の思い通りの選択をさせている」



「君は自由だ君に決定権がある、そう言いながら、自由も決定権も奪ってる」



って…すごい言われよう…
反撃するんだけど


「僕は自由と決定権を放棄した人間が何者かの犠牲者であるとは思わない。自分の人生のイニシアチブを取っていけない人間は、会社か結婚相手の奴隷にしかなれない。そういう家畜同然の人間を、僕は人間としてカウントしない」



修人 そんな考えは ダメ絶対ッ!  って
言ってやりたいわぁ!



「自分の人生の決定権」
難しいテーマでしょう?


わたしは きちんと できてるのかしら?
流されてないかしら?


もしかして…
あたし…修人になってないかしら?
子供に対しても 強要してないかしら?
しちゃってたりして



ちょっぴり考えさせられちゃう内容
もう一度 振り返って
見つめ直したい そんな作品でした♡

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2025年08月07日

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4人のそれぞれの視点で描かれる4つの短編集。
1人目と4人目の話しが陰鬱で好き

1人目は、地震の放射能の対応を巡って起こりだすすれ違い。

早く家から出ていってほしいって切実に願う4人目の話し、毒っ気もあってあまりにも金原ひとみ氏の得意領域すぎる

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2024年08月27日

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ネタバレ

喪失なのか、元々持っていないのか

震災が一つの要素としてあるが、個人的にはコロナ禍以前以後と重ねて読んだ

が、ラストの朱里のように、そりゃ違う世界で、違う地獄に生きてる人もいるよな、と

今海外に住んでいるので、日本のスーパーの描写によだれが出てきました

色々考えてることがあったはずなんだけど
義兄夫婦が面白過ぎて色々飛んじゃった笑

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2024年08月21日

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やっぱり金原ひとみはすごい。すごすぎる。
4人の一人称と他人から見たその人物。あまりにも鮮やかなその対比。あらゆる関係は相対的なものだと改めて。
そして我々の人生は絶対に自分でコントロールできないものに支配されていると同時に、それゆえに我々は人生を選択できているのだという逆説。
悩みのなさそうなあいつにも、あいつにしかない痛みがあるのだ。
きっと読む前よりも世界と人に優しくなれる。その複雑さを受け入れられる。

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2023年03月27日

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ネタバレ

4人が主役の4つのお話。

東日本大震災を境に動いていく物語。
どのお話もリアルだけれども、朱里の話が一番身近に起こり得そうでした。
でも一番共感したのはeriのお話(笑)
考え方とか人との距離の取り方とか似てるなぁと思いました。

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2022年08月10日

Posted by ブクログ

それぞれが緩く繋がる4人の視点でのストーリー。
最後4つ目の主婦の話が秀逸。環境が変わるたびに不遇を周りのせいにしてしまう自分のネガティヴな部分を、少しずつ受け入れていく過程になぜか少し共感できた。

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2021年08月31日

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エリナという人物にあえてよかったというのが、最初の気持ち。家族や周りの人との距離感が似ていて、気持ちがすとんとしました

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2021年08月13日

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蛇とピアス 以来
蛇も良かったけど、凄くなっててびっくりしました。それぞれの人物が魅力的
様々な生き方があるなかで、1人の作者が全く違う4人の考え方生き方を生み出せるのは本当に脱帽です。他作品も読まなきゃ〜てなりました。

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2024年08月04日

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他の金原さんの小説同じく、読み始めたら最後まで一気に読んでしまう、読まされてしまう、そんな引き込む力がある小説。
どの登場人物にも理解し難い部分があり、一方で切実なその人だけの痛みが、手に取るようにわかったりする。
それぞれの人生を進むしかない、と暗い中にも前向きになるような小説でした。

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2023年12月20日

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中心人物が4人、1人1章持ち回りのようにエピソードが進んでいく形で読みやすかったです。
いち要素として3.11があり、確かにあの当時ってそういう空気感あったなと思い出すのと同時に自分はその頃どうだったかと思い返したり、また3.11を抜きにしてもこの価値観を自分が受け入れられるかと考えたり。
いつまでも「隣の芝生は青い」ではいけないような気がする1冊でした。

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2023年11月26日

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震災直後の疑心暗鬼、デマ、風評、エゴ‥‥復興っていう美談で誤魔化そうとしてるけど、露呈してしまった暗部は恥だとしても後世の為に記録しておくべきだ。金原ひとみは偉い。

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2023年08月04日

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久しぶりの金原ひとみ作品。
海外赴任した話が出てきますが、海外で暮らした人にしかわからない感情、感覚と思っていたら、作者も海外で生活していたのですね。20年以上前の気持ちを作品から味わうとは。
最後の朱里さんの話、自分かと思いました。今はあの時の経験はどこに⁈それにSNSなどで海外が日本から切り離されたものではなくなってきている気もしますが、住んだ人にしか味わえない感情がふつふつと湧いてきました。作品の力ですね。

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2023年07月26日

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グイグイと読まされた感じ。
震災後の話だけれど、震災の直接的な被害者というよりは、原発による放射能から逃げる人たちがメイン。目に見えないあの頃の恐怖が思い出される。 

放射能に異常なまでに過敏になり、妻子と別れることになった修人。日本から離れたフランスで子を失った千鶴。放射能を避けた形でイギリスに来た、シングルマザーのエリナ。
このエリナが「金原ひとみ」の作品の登場人物っぽい。読んだのはまだ2作目だけど…

4章に出てくる朱理だけは、震災はからんでいないようだ。ただ、4章だけが常にイライラ、モヤモヤする。

結局はエリナみたいな生き方に憧れてしまう。こういう風にはなれないと、分かっていても…

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2021年04月05日

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海外生活や子育て、女性として生きることに苦悩を味わっている自分としては、とても感慨深い小説だった。繊細な心の考察がとても沁みます。

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2020年11月26日

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最後にちゃんと収束させて欲しかった気もするけど、それぞれの章がリアルできめ細かくて一気に読み終えた。
金原ひとみ、上手いな。

それにしてもこの装丁に惹かれる。
ジャケ買いならぬジャケ借り。

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2019年05月19日

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181027.初めて金原さんの作品を読みました。背景、登場人物の心理描写の数々、綺麗な文章だなぁと。
4人の人物が描かれていますが、それぞれ全然異なる人物で。よく漫画さんで同じ顔、性格の人物しか書けない方がいますが、これだけ多彩な書き分けが出来るのはすごいなーと思いました。

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2018年10月27日

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リアルすぎて、結構辛かった。
怒りとか焦燥感とか、身に染みるように分かる本だった。感情移入しすぎて落ち込むくらい文章が本当にうまいんだなぁ。
だから、海外文学の方が読んでて楽な時がある。
マザーズも読んでみたいんだけど、元気な時の方がいいかな。

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2025年08月31日

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おもしろかった。

この小説のせいか、自分自身が憂鬱になってしまった。
何を望んでいるのか?
どうしたいのか?
もやもやと。

隣の芝生は青く見える。
ずっと一人称ではなく、数珠繋ぎに前の話が次の話にはつながっていく。
自分の見えてた世界は、自分のものしかなく、それが違うところから見ると全く違って見える。

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2025年06月15日

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東京に住む夫婦が東北の震災をきっかけに意見の食い違いが出始めて離れ離れに。3組の夫婦の物語。環境が違っていたら平和に暮らせるかもしれない。平和な場所にも不幸は降ってくるし不幸な場所にも幸せの種は埋まっている。

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2025年04月18日

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自分は何者でもなく、何も持っていないはずなのに、
他者との関係では羨望の眼差しでみられていたり。
複雑な関係がそれぞれの視点で描かれていておもしろかった。けど、最後の章が重だるいな。

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2025年01月02日

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大変だった時期のことや感覚って、時間を経て薄らいでもうあまり思い出せなくなる。
4人の人が描かれるこの本で、4番目の朱里の章が一番印象深かった。
自分の未来が抗えようのない形で規定されることに不安を覚えたり、自分だけの人生が複雑に思えたり。でもある日突然、雲が晴れたように好転したり、そんなものなのかもなーと思う。
何かを持っているように見えるのは、他者からの視点であって、自分はそこにあるものに、ただ必死に向き合ってるだけなのかも。

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2024年09月24日

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4人の視点から語られる本作も、また大変面白く読むことができた。日本にしか住んだことのない自分としては日本の住みやすさ、日本特有の住みづらさなど読んでいて
色々と考えさせられる。自由と引き換えの不自由さ、不自由さの中で求める自由。好きな作家の登場人物の人生に自分を投影しその世界に入り込む読書。幸せな時間です。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集

①Shu
こんな男大嫌い
放射能に過敏になり、妻子を移住させるくせに、子供の面倒はみないは、タバコと酒やめないは、浮気するは。色々矛盾だらけやん。

②Chi-zu
①の修人の元カノ?
結婚してフランスへ。子供を産んで幸せに過ごしてたのに、子供が亡くなる。子供が亡くなったのは自分がおかした間違いのせい。そう思ってしまうの分かる。でもその相手が修人だから、なんかイラっとくるわ。

③eri
②の千鶴の妹
自由。金原さんの本の主人公って感じ。脳内では吉高さんに変換して読んでしまった。でも本人にとっては、周りが思うほど、自由に生きてないってのが、なんか良い

④朱里
③のエリナの友達
何故かタイトルの名前が漢字やな。日本に帰ってきた人だから?それともいちいち発想や考え方や、愚痴愚痴してるところが日本人っぽいから?
なんせ私は、この人の気持ちが一番理解できたわ。
最後、ハッピーエンドで良かった良かった

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2021年09月09日

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震災がきっかけで離婚した男性、その友人で夫の駐在先のシンガポールから一時帰国中の女性、彼女のイギリス在住の妹、そしてその女友達之4人の立場で次々と語られていく。
話の真ん中に震災はあるが、単なる震災として扱っているわけではなく、自分ではどうにもできないことに対して自分というものをどうやって確立するか維持し続けるかといったことがテーマなのかも。
著者のほかの作品を読んでいないのでこの作品可が特になのかわからないが、矢継ぎ早に感情が押し寄せてくる文体にちょっとやられる。

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2021年04月25日

Posted by ブクログ

3人ともの気持ちがわかりすぎて苦しくなる。
私は千鶴ちゃんタイプかもしれない。
他2人の気持ちも全てではないけど共感できるところが多々あった。
原発がテーマというより人の生き方にフォーカスしている印象だった。

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2018年11月07日

Posted by ブクログ

自分よりも大切な人を守りたいと強く願うとき
どうして人間は少しの亀裂にも気が付けないのだろう
大切に思うが故のことなのにという思いがどうしても視野を狭めてしまう

時間が経過すれば拘っていたことなど大したことでないということが
明白なのに必死な時は自分のことを一番理解することができていないんだなということをあらためて感じた

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2018年07月12日

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