金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
固有名詞を持たない人物たちの一人称視点の複数の話。登場人物は、彼、男、女のような一般名詞?指示語で呼ばれる。
女は元彼からの電話を、パソコンに向かってタイプする。元彼の言葉が女が打つ言葉に変わる。言葉は原理的に自分に属していない。自分の気持ちが最初からあるというよりは言葉を学ぶことによって、自分の気持ちが輪郭を持つと言える。女は元彼の言葉を書きつけることで、その言葉を自分の言葉としていく。自分の不明瞭な内面が、元彼の言葉で輪郭を持ち始めるような、同じ言葉を挟んで、私とあなたとが曖昧になる。
登場人物が固有名詞を持たず、しかも一人称時点で書かれることで、女-元彼の間で生じた出来事が、読者-小説の間でも起きる。この小説は内面の感情的な言葉が多い。それを一人称で読むとき、私は小説内の私に重ねられ、彼や男は、小説内からはみ出すような、現実の対象として、読者の記憶に結びつく。小説を読んでいるのか、この言葉は本当は読者である私の内面の言葉なのではないか、此岸と彼岸が曖昧になる。
私は普段強い感情的な言葉を使って現実を知覚しないが、久々にそのような言葉を使っても現実が知覚し得ることを、思い出せたことは良かった。 -
Posted by ブクログ
気持ちを表す言葉の熱量が強すぎる。
それがこの作家の特徴だったな、と久々に読んで思う
それが好みと一致するかどうかはまた別物
内容はいつも映画になりそうな話だが、やはり本で活字で読んだ時の良さは映画には敵わないと思った
それが金原ひとみなのかも
大学生の蒼葉と再再婚する天野志絵は小説家、2人が一緒に暮らし始めるタイミングで理子が元夫宅へ引っ越す事で受けるショックや母の気持ちを改めて感じるところなど、不倫と母の愛はまた別物らしい
ひかりと和香の友だち3人での飲み会やリモート飲み、酒の場が必ず出てきて、途中からコロナ禍になり時短営業、酒類販売規制など忘れかけていたあの時期を赤裸々な言葉で表現しているところは素晴らしい
ただ長い、長すぎる、特別は何もなく淡々としていて、もう読まないし、人には薦めない、かな…
体をガリガリ削っていくような不倫生活の中で、どうしてこんなことを続けなければならないのか不審に思いながら、私は自分の欲望などとは遠くかけ離れた原理で行動していたようにしか思えない。しなければならない育児、しなければならない家事、しなければならない仕事、それと並んでしなければならない不倫、でしかなかったような気がするのだ。
「原子は通常一方方向に下降するんだけど、曲がることがある。エピクロスが提唱した哲学史上最も美しい概念だよ」
結局、人は自分より過少なものに関しては少なすぎると感じ、自分より過多なものに関しては多すぎると感じる身勝手な生き物なのだろう。
現代の若者は検索機能を手にしているので、自分を相対化して考えるのが得意なんだ思いますよ。私の世代なんかは、目の前にいる人や又聞きした話なんかから、手探りでしか世界を把握できなかったけど、今の若い世代は世界中の人と対話することもできて、自分と照らし合わせることができる。自分を知っているように見えるんじゃないですかね。もちろんそのインターネットを介したコミュニケーションがパズル枠のように意外と狭い限界を持っていることも含めての話ですし、それで自分を知った気になることが正しいのかどうかは別の話ですけど
無駄を減らすことに躍起になっている人は、自分自身が無駄な存在だと気づいてしまった時どうするのだろう。本当に無駄ではないことなんて、無駄の中にしか存在していないのではないだろうか。
ビリヤニって「元々は宮廷料理で、手間がかかるからお祝いの時用のご飯なんだって」