金原ひとみのレビュー一覧
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ネタバレ力作だった。
女性版村上龍じゃないかな、この人。
結婚、出産を通じての女性の生きづらさ。それは他者性だろう。
結婚した男性との他者性、出産した自分の他者性、そして子供という他者性。
登場人物の3人のマザーはバックグラウンドも思想も仕事も違う。それぞれの生き方の中にその一気に来た他者との格闘に疲弊し切っていく。
キャラクターの違いもある。ユカは作家&ヤク中で嘘つきだ。涼子とのイザコザは感情と論理の対立だ。意味と論理と感情の対立。涼子の感情をユカは論理で処理しようとする。そこに言いようのないすれ違いがある。モデルで芸能人の五月は取り繕う事が上手く仮面夫婦である夫との関係に疲れ不倫に走る。経済面、生活面で困窮を抱える涼子は虐待に走ってしまう。
3人の夫は最初圧倒的な他者として描かれ、最後には包容力を持って描かれる。
安易な解決法を導かず圧倒的にマザーズの有り様を描き切った傑作と思うぜよ。 -
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みんなただいま\(^o^)/
naonaonao16gがいない間、元気にしていたかな??
やっとこ国家試験も終わり、読書再開!(お酒も)
試験はというと、最後にかなり追い込んだのもあって、今までにない程の高得点をたたき出しました!!(自己採点)
これはもう3月の発表を待たずとも安心していいのかな、っていう心持ち…!
ものすごい解放感に見舞われるかと思いきや、意外とあるのは、ロス。
仕事の合間、帰宅後、通勤中、ずっと勉強していたから、その時間がぽっかり空いたことで、何をしていいのか分からなくなってしまったのです…
そこで!
一人、試験お疲れ様会として居酒屋のカウンターでビールを飲みながら、この作品を読み始めたのです。
読み進めていくうち、もう10年以上も前に読んだ、内容もうろ覚えの作品『マザーズ』が過ぎってくる。
あの作品も、3人の女性(母親)が主人公だった気がする。
本作品の主人公も3人。
常に辛辣な言葉を選び、しかし本音がつかめないユリ(32)
2人の子どもをもつ、サレ妻の弓子(37)
安定を求めながら、好きな人にとらわれ不倫に走る美玖(28)
この3人が、それぞれ主人公となって物語が進んでゆく。
ここに出てくる3人の女たちは、一体どんな気持ちで一緒にいるのだろう。
ユリの言葉は、思うのは自由だけれど、言葉にして発するには辛辣すぎる。
その言葉にいちいちつっかかる弓子。
場の空気を読んで、2人の間で上手に立ち回る美玖。
みんながみんな、「なんでこうやっていつも3人で会っているんだろう」と思いながら、会っている。
金原さんは軽薄な人を描くのが上手で、その軽薄さに、救われたり、時に鼻白んだりする。
この、主人公の誰にも共感できないようでいて、しかし誰にでも共感できるような、金原さんの筆致にぐんぐん惹き込まれる。
基本的にこの3人の飲んでいる時の会話と、それぞれの日常が、それぞれの目線で語られる。
内容は、恋愛100パーセントと言ってもいいくらいの恋愛トークで、最初は居酒屋でのしょーもない話ってあるよな~というテンションで読み進めるのだけれど、どんどんどんどん、闇堕ちしていく3人。
そのどれも、誰が悪い、とは言いきれないのだけれど、しかし彼女たちの度が過ぎていて、闇の密度・濃度も濃い。
気づいたら「どうしてこうなった」状態で、当人たちも「私っていつもこう」と思っている。
読者としても、うっすらと嫌な予感は、ずっとしている。
人生って、だいたいこんなものだ。
想像できているようで全然できてなくて、いざ自分の世界がぐるぐるとしてくると「わたしっていつもこうだよな」と思う。周りは絶対「ほら言ったじゃん」と思っている。
その連続。
自分なんて、そうそう変わらないのだ。
だけどそれが、自分の、わたしの人生なのだ。
どこかに何かを求めている。だけど、自分が変わらない限り、何も変わらない。
わたしには、この主人公たちのような、酒だけが繋がりと言えるような人間関係は無理だろうなと思いつつ、だけどこんなこと言ってると一人で死ぬことになるんだろうな、とも思っていて、3人を少しだけ羨ましく思ったりもする。
だけどやっぱり、苦手な人がいる時点でわたしにはその飲み会は最悪でしかない。
ユリの言葉を浴びる度に、みんなよくこの子といるな、と思う。ユリの言葉に理解はできても、相手のことを考えない言葉選びを、お酒が入っているとはいえ、わたしはしたくない。
でもそうやって、言葉を選ばなくてもいい存在がいるということに、羨ましさを感じたりもする。
なんだ、結局羨ましいのだ。
金原さんの作品に出てくる主人公は、みんな自分を愛してない。
そこへの安心感と同時に、もどかしさと少しの嫌悪感がある。
自分自身を見ているように感じるからだ。
わたしはもしかしたら、自分を愛せない自分が大嫌いで、そんな自分が大好きなのかもしれない。 -
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6人の男女による、章ごとに語り手が変わる物語。男が2人に女が4人。年齢の幅はそこまでないものの、立場も性格も何もかも違う登場人物たちだけど、誰かに共感したり肩入れしたりするタイプの物語では個人的にはなかった。
社会の中に紛れて普通に生きる人たちの極端な部分だとかある種の異常性のようなものを、これでもかというくらい抉って抉って描いている。美しいとは言えない登場人物の心の内とともに。
読んでいるうちに病んでくるような感覚さえある。金原ひとみさんの小説は全般的にそういうところがあるような気がする(褒め言葉です)。
元モデルで現在はファッション系のライターをしている由依。由依の夫で小説家であるものの過去の盗作騒動により現在はあまり執筆をしていない桂。由依の不倫相手でフランス料理店のシェフをしている瑛人。瑛人の店のパティシエで家族に問題をたくさん抱えている英美。由依の友人でミュージシャンである夫のDVに悩みつつ社内の同僚と不倫をしている真奈美。由依の妹でホストに入れ上げつつパパ活をして小遣い稼ぎをしている枝里。の、6人。
中心にいる由依は醒めていて妹曰く「サイコパスみたいで分かり合える気がしない」。本作の中ではいちばん自分の欲求に対して忠実で自分軸全開で生きている。おそらく「何を考えているか分からない」と言われがちなタイプ。
そんな由依を変質的に愛する夫の桂。良好な関係を築くものの由依からすると「本質に触れている気がしない」ように感じる瑛人。
いちばんしんどそうなのは英美だと感じる。真奈美も状況としては厳しいけれど、話を聞いてくれる不倫相手がいる。
主に男女の関係の中の、あまり知りたくない本質が描かれている。パートナーと過ごすことにおいて自分がどんな立場でいるのが理想なのかというのが叶うことはあまりないことだとか、いくら近しくても他人であることを痛切に感じてしまう瞬間だとか。
癖のある人物たちをこれだけ書き分ける小説家ってすごい、と当たり前のことを改めて思わされる。
そしてラストにぞっとした。想定外すぎて、え、そういう展開?と。伏線がばっちり張られているのにまったく気づかなかった。
人って本当に解らない。たくさんの面があるのでどれが本物というわけでもなく、すべての面があって1人の人間なのだ。
アタラクシアとは「乱されない心の状態」という意味だそう。目指す理想は常にそこだ…と考えた。それがとても難しいのだけど。 -
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コロナ本がたくさん出てきたが、今まで読んだ中で1番コロナ禍という感じだった。
2度見をした。すごいなぁこのママ。
パパがいるのに彼氏がいるの?え?
で、彼のところに行くために
夕ご飯と明日のお弁当を作って、夕方さっさと出かけていく。
SNS上でケンカする友達のお父さんとお母さん。
イーイーさんの友達のお父さんがコロナで死んでお葬式も普通にできなかった。
日本に来んなよって外国人差別をされる。
ママの彼がコロナ陽性になって、ママは濃厚接触者でPCR検査。
で、とりあえず学校休んでと娘に言うママ。
日曜日はバスケの大会なのに。
よその男と遊んで濃厚接触したママのせいで全部ぶち壊される私の気持ちは?
なのにママは、「これは私の恋愛のせいではない。コロナのせい」と言い切る。単に確率の問題だと。
ママにぶつけた感情が、投げた言葉が的確で、娘はすごい中学生だと思った。
ママに理解してもらえないのは、心が半分焼け焦げたみたいな感じ。でもそう思うのはママが好きだからだと思う。
こういう金原ひとみさんの表現好き。
結局、国のガイドラインに従い2週間も学校を休んだ娘は、ママとは和解し、ラストは和やか。
面白かった。
尾崎世界観さんの話も好き。
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グイグイと読まされた感じ。
震災後の話だけれど、震災の直接的な被害者というよりは、原発による放射能から逃げる人たちがメイン。目に見えないあの頃の恐怖が思い出される。
放射能に異常なまでに過敏になり、妻子と別れることになった修人。日本から離れたフランスで子を失った千鶴。放射能を避けた形でイギリスに来た、シングルマザーのエリナ。
このエリナが「金原ひとみ」の作品の登場人物っぽい。読んだのはまだ2作目だけど…
4章に出てくる朱理だけは、震災はからんでいないようだ。ただ、4章だけが常にイライラ、モヤモヤする。
結局はエリナみたいな生き方に憧れてしまう。こういう風にはなれないと、分かっていても…
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金原ひとみ初読。
非常に良さそうなので続けて別作も読んでみたい。
何らかの正当なものに対するカウンターとして「露悪的」であるのとは違う、
素性として「なまくら」であることの愉楽性、とでもいうのか。
憂鬱を飼う女性、神田憂が、精神科に通院しようとするたびに
彼女を襲う困難を連作短編形式で描いた小説。
皮膚科と耳鼻科をハシゴした先に、
耳鼻科でメンタルカウンセリングを受ける話「ジビカ」。
タクシー運転手の目的地の聴き間違いの結果、運ばれた秋葉原で、
電マのバイブレーションを試しわける結果になる話「デンマ」。
セックスレスについて、
乗ったタクシーの運転手から解説を授かる話「マンボ」。
その他、良篇多数。 -
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金原ひとみさんの小説は、彼女が若くして芥川賞を獲ったときから読もうかなと思いつつ、なぜか読まずじまいでいた。
ヘヴィーなイメージがあったので、読む時期を選びそうだと勝手に思い込んでいて。
結果、やはり、ヘヴィーだったのだけど。笑
読んでいる最中、思わず「頭が変になりそうな小説」とつぶやいてしまうほど。
でもこれは、貶しているわけではなく、どちらかと言うと感嘆に近い。「すっげーな…」って感じ。
主人公は摂食障害気味の女性作家「私」。
パソコンに日々残っている意味不明の文章=錯文は、「私」がアルコール摂取後に書き残しているらしいのだが、彼女にはその記憶がない。
体の関係を持った編集者の「彼」とその婚約者である「彼女」をめぐって、「私」の現実は分裂し歪んでゆく。
錯乱した「私」は正気の「私」に何を伝えたいのか。錯文の意味とは何なのか。
上記に出てくる「錯文」から物語はスタートするため、初っ端から不穏な空気が漂う。
「錯文」=「私」が錯乱している夜の状態と、目が覚めて正気に戻った日中の「私」の日々が繰り返すかたちで描かれる。
主人公は極端に痩せている。ガムと野菜ジュースと少しの漬物とアルコール以外はほとんど口にすることがない。自分を追い込み(だけど本人にその意識はない)それでも物を書くという仕事はこなし、そして、「彼」のことを思う。
自分から余計なものは極限まで削ぎ落としたような生活をしているけれど、女という意識は根強くあるところが切ない。
「彼」を思うあまりしてしまうとある行動は、はっきり言って病んでいる。
だけどなぜか、同じ女として気持ちが分かるような気がするだけに、やはりまた切なくなる。
「世界が異常なのか、それとも私が異常なのか」という、映画「17歳のカルテ」に出てくるセリフを思い出した。
ある意味でとても素直に生きている「私」のことを、異常だと断定できない。もしかしたら彼女のように上手く生きられない人間こそがまともなのかしれないと、昔から思うことがある。
不穏な空気のまま物語は終わる。
ぶっ飛んでるんだけど、これを読むと心が落ち着くという人も、きっと世の中にはいると思う。
この方の他の小説を読んだことがないから分からないけれど、最近の作はどうなのか気になる。依存性のある「ストロングゼロ」の小説を書いたって、最近何かの記事で読んだから。 -
Posted by ブクログ
「結婚しても、子供を生んでも、ずっと死にたい気持ちは変わらなかった」
筆者のインタビュー記事を読んで、彼女の本を絶対読みたいと思った。
思い返せば、一番最初に彼女の作品を手にしたのは、私が高校生の時、「蛇にピアス」。
正直、痛々しくて読み進められなかった。
でもあの頃から私は10も年をとって、
人生が如何に目的不明で、正しさなんてものは幻想で、
それなのに感情は時に自分を焼き尽くすってことが
良く分かった。
「オートフィクション」のリンは、危うくて、激烈で、少しでも傷ついたら、鮮血が飛沫をあげて打つ、そんな女性だ。
自分と完全に重なることはないけれど、どこかで人生の歯車がずれれば、自分の延長にあったかもしれない姿だと思う。
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私はそっと手を伸ばして音楽をかけ、猥雑で雑多な音たちに思考を委ねる。
心の声は無邪気で残忍だから、少し黙っていて
爆音の中に静寂を探し、今日も漸く息をつく。