金原ひとみのレビュー一覧

  • 軽薄(新潮文庫)

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    私は強烈な過去をもってるわけではないけど
    カナに共感する部分が多かった

    これを読んで私が軽薄な人間であることが
    なんかわかってしまった感がある。
    けどそれを知っても揺るがない感じが
    それもまた軽薄というか。
    態度や行動っていうか感情が軽薄。

    不倫をしてしまうところが軽薄というよりかは、
    それ自体をなんとも思ってないところが軽薄。

    その感情がめっちゃ似てた。
    不倫はしてないけど。

    最後が何がとは言葉で表せんけど
    あんま好きじゃなかったな。
    なんやろ。
    選んだ道は全然肯定するねんけど。

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    2023年06月05日
  • アタラクシア

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    蛇にピアス以来の金原ひとみ。デビュー作は宇多田ヒカルが出てきた時と同じような衝撃があった。色々な経験を経た今の彼女が書く物語に興味があって読んでみた。他の作品も読みたい。

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    2023年05月13日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    過去のトラウマから理性的だった恋愛観が、段々とタガが外れていく小説。
    一生懸命取り繕っていた体裁を、あれよこれよと剝がしていき、最後は本能一択で結末を迎えます。
    本能で突き進めばそりゃそういう最後になるだろうな、と失笑してしまうような最後でした。
    これだけ正直に生きられたらある意味幸せで、羨ましいなと思いました。
    なんだかんだで相思相愛ってましたからね。

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    2023年03月30日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    力作だった。
    女性版村上龍じゃないかな、この人。

    結婚、出産を通じての女性の生きづらさ。それは他者性だろう。
    結婚した男性との他者性、出産した自分の他者性、そして子供という他者性。
    登場人物の3人のマザーはバックグラウンドも思想も仕事も違う。それぞれの生き方の中にその一気に来た他者との格闘に疲弊し切っていく。

    キャラクターの違いもある。ユカは作家&ヤク中で嘘つきだ。涼子とのイザコザは感情と論理の対立だ。意味と論理と感情の対立。涼子の感情をユカは論理で処理しようとする。そこに言いようのないすれ違いがある。モデルで芸能人の五月は取り繕う事が上手く仮面夫婦である夫との関係に疲れ不倫に走る。経済面、生活面で困窮を抱える涼子は虐待に走ってしまう。

    3人の夫は最初圧倒的な他者として描かれ、最後には包容力を持って描かれる。

    安易な解決法を導かず圧倒的にマザーズの有り様を描き切った傑作と思うぜよ。

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    2023年03月12日
  • fishy

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    みんなただいま\(^o^)/
    naonaonao16gがいない間、元気にしていたかな??

    やっとこ国家試験も終わり、読書再開!(お酒も)

    試験はというと、最後にかなり追い込んだのもあって、今までにない程の高得点をたたき出しました!!(自己採点)
    これはもう3月の発表を待たずとも安心していいのかな、っていう心持ち…!
    ものすごい解放感に見舞われるかと思いきや、意外とあるのは、ロス。
    仕事の合間、帰宅後、通勤中、ずっと勉強していたから、その時間がぽっかり空いたことで、何をしていいのか分からなくなってしまったのです…
    そこで!
    一人、試験お疲れ様会として居酒屋のカウンターでビールを飲みながら、この作品を読み始めたのです。

    読み進めていくうち、もう10年以上も前に読んだ、内容もうろ覚えの作品『マザーズ』が過ぎってくる。
    あの作品も、3人の女性(母親)が主人公だった気がする。

    本作品の主人公も3人。
    常に辛辣な言葉を選び、しかし本音がつかめないユリ(32)
    2人の子どもをもつ、サレ妻の弓子(37)
    安定を求めながら、好きな人にとらわれ不倫に走る美玖(28)

    この3人が、それぞれ主人公となって物語が進んでゆく。

    ここに出てくる3人の女たちは、一体どんな気持ちで一緒にいるのだろう。
    ユリの言葉は、思うのは自由だけれど、言葉にして発するには辛辣すぎる。
    その言葉にいちいちつっかかる弓子。
    場の空気を読んで、2人の間で上手に立ち回る美玖。
    みんながみんな、「なんでこうやっていつも3人で会っているんだろう」と思いながら、会っている。

    金原さんは軽薄な人を描くのが上手で、その軽薄さに、救われたり、時に鼻白んだりする。
    この、主人公の誰にも共感できないようでいて、しかし誰にでも共感できるような、金原さんの筆致にぐんぐん惹き込まれる。

    基本的にこの3人の飲んでいる時の会話と、それぞれの日常が、それぞれの目線で語られる。
    内容は、恋愛100パーセントと言ってもいいくらいの恋愛トークで、最初は居酒屋でのしょーもない話ってあるよな~というテンションで読み進めるのだけれど、どんどんどんどん、闇堕ちしていく3人。
    そのどれも、誰が悪い、とは言いきれないのだけれど、しかし彼女たちの度が過ぎていて、闇の密度・濃度も濃い。
    気づいたら「どうしてこうなった」状態で、当人たちも「私っていつもこう」と思っている。
    読者としても、うっすらと嫌な予感は、ずっとしている。

    人生って、だいたいこんなものだ。
    想像できているようで全然できてなくて、いざ自分の世界がぐるぐるとしてくると「わたしっていつもこうだよな」と思う。周りは絶対「ほら言ったじゃん」と思っている。
    その連続。
    自分なんて、そうそう変わらないのだ。
    だけどそれが、自分の、わたしの人生なのだ。
    どこかに何かを求めている。だけど、自分が変わらない限り、何も変わらない。

    わたしには、この主人公たちのような、酒だけが繋がりと言えるような人間関係は無理だろうなと思いつつ、だけどこんなこと言ってると一人で死ぬことになるんだろうな、とも思っていて、3人を少しだけ羨ましく思ったりもする。
    だけどやっぱり、苦手な人がいる時点でわたしにはその飲み会は最悪でしかない。
    ユリの言葉を浴びる度に、みんなよくこの子といるな、と思う。ユリの言葉に理解はできても、相手のことを考えない言葉選びを、お酒が入っているとはいえ、わたしはしたくない。
    でもそうやって、言葉を選ばなくてもいい存在がいるということに、羨ましさを感じたりもする。
    なんだ、結局羨ましいのだ。

    金原さんの作品に出てくる主人公は、みんな自分を愛してない。
    そこへの安心感と同時に、もどかしさと少しの嫌悪感がある。
    自分自身を見ているように感じるからだ。
    わたしはもしかしたら、自分を愛せない自分が大嫌いで、そんな自分が大好きなのかもしれない。

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    2023年02月11日
  • fishy

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    あ〜おもしろかった。爆笑。痛快。自分の中に潜む暴力性が呼び覚まされ、金原ひとみの小説を読んでる!というよろこびに興奮しながら没頭した。心から、体の奥底から、マグマのように噴出する自分のヒステリーを肯定したい。そのヒステリーに臆することなく冷静に、でも限界まで燃えたぎっている熱さを維持したまま、文章に表現できる人を他に知らない。
    3人の女性たちはそれぞれ自分の人生を生きて、たまに交差する。その関係性が友達という名前かどうかなんて関係ないのだ。

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    2023年02月03日
  • fishy

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    やはり面白い。女性って…
    と今回も思わせてくれる内容。3人の女性パートが繰り返され、3者3様で、それぞれキャラが立ってて良い。特にユリがヤバいな。小説家志望の美玖よりも弁が立つのは尊敬に値する。ただ、嫌いやわ。
    とにかく、作家の裸を見せられた感じがする。これは金原さんならでは。
    流石です。

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    2023年01月27日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なかなか読み終わることができず、2時に一気読みをした。以前の彼がしたことと、弘斗がしたことを許せてしまうほどカナは愛していたのかと思った。

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    2022年10月15日
  • アタラクシア

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    6人の男女による、章ごとに語り手が変わる物語。男が2人に女が4人。年齢の幅はそこまでないものの、立場も性格も何もかも違う登場人物たちだけど、誰かに共感したり肩入れしたりするタイプの物語では個人的にはなかった。
    社会の中に紛れて普通に生きる人たちの極端な部分だとかある種の異常性のようなものを、これでもかというくらい抉って抉って描いている。美しいとは言えない登場人物の心の内とともに。
    読んでいるうちに病んでくるような感覚さえある。金原ひとみさんの小説は全般的にそういうところがあるような気がする(褒め言葉です)。

    元モデルで現在はファッション系のライターをしている由依。由依の夫で小説家であるものの過去の盗作騒動により現在はあまり執筆をしていない桂。由依の不倫相手でフランス料理店のシェフをしている瑛人。瑛人の店のパティシエで家族に問題をたくさん抱えている英美。由依の友人でミュージシャンである夫のDVに悩みつつ社内の同僚と不倫をしている真奈美。由依の妹でホストに入れ上げつつパパ活をして小遣い稼ぎをしている枝里。の、6人。

    中心にいる由依は醒めていて妹曰く「サイコパスみたいで分かり合える気がしない」。本作の中ではいちばん自分の欲求に対して忠実で自分軸全開で生きている。おそらく「何を考えているか分からない」と言われがちなタイプ。
    そんな由依を変質的に愛する夫の桂。良好な関係を築くものの由依からすると「本質に触れている気がしない」ように感じる瑛人。
    いちばんしんどそうなのは英美だと感じる。真奈美も状況としては厳しいけれど、話を聞いてくれる不倫相手がいる。

    主に男女の関係の中の、あまり知りたくない本質が描かれている。パートナーと過ごすことにおいて自分がどんな立場でいるのが理想なのかというのが叶うことはあまりないことだとか、いくら近しくても他人であることを痛切に感じてしまう瞬間だとか。
    癖のある人物たちをこれだけ書き分ける小説家ってすごい、と当たり前のことを改めて思わされる。

    そしてラストにぞっとした。想定外すぎて、え、そういう展開?と。伏線がばっちり張られているのにまったく気づかなかった。
    人って本当に解らない。たくさんの面があるのでどれが本物というわけでもなく、すべての面があって1人の人間なのだ。
    アタラクシアとは「乱されない心の状態」という意味だそう。目指す理想は常にそこだ…と考えた。それがとても難しいのだけど。

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    2022年08月17日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    ネタバレ

    愛とは何か。
    人生に感じる違和感は何か。
    この難しい問いに対して全精力を投下し書き上げた作品なのだろう。
    ページをめくる手が止まってくれなかった。
    血縁関係の恋愛は世界が定めた倫理に反する。
    それを乗り越え止められないのが愛なのか……。
    考えるきっかけを与えて貰った。いい出会いだった。

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    2022年06月04日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    こいつはまた、ええじゃないか。
    最初はセレブvsパンピーかよー、このブルジョアどもめが、って感じだったけど、まぁ最終的にも感情移入できて心情が理解できるのはパンピーだけだったけど、でも三者三様にそれぞれ楽しいのよ。
    ユカが突然と厨二病みたいな説教始めるのも悪くない。こんな面倒くさいこと言うのか普通って思ったけど女の人は時々こうだからな、それに比べて別居して巨乳DVD見てオナニーしてんじゃねーよと突っ込まれる央太は実にどうしようもなく、ていうか女流作家故にか概ね男はうんこな感じで描かれてるのもなんか、ブルっちゃうっていうか、Mかな。

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    2022年04月04日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ後の日本社会はどのように変化してゆくのか。変化した社会にどう生きるか。桐野夏生さんの「不寛容な時代、自由な小説から力を得て欲しい」の言葉に、不安の塊がふうっと軽くなりました。

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    2022年04月04日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    20人によるエッセイ。
    共感できる話が一つや二つはあるのではないでしょうか。
    私は瀬戸内寂聴さんでした。

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    2021年09月27日
  • 緊急事態下の物語

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    コロナ本がたくさん出てきたが、今まで読んだ中で1番コロナ禍という感じだった。
    2度見をした。すごいなぁこのママ。
    パパがいるのに彼氏がいるの?え?
    で、彼のところに行くために
    夕ご飯と明日のお弁当を作って、夕方さっさと出かけていく。
    SNS上でケンカする友達のお父さんとお母さん。
    イーイーさんの友達のお父さんがコロナで死んでお葬式も普通にできなかった。
    日本に来んなよって外国人差別をされる。
    ママの彼がコロナ陽性になって、ママは濃厚接触者でPCR検査。
    で、とりあえず学校休んでと娘に言うママ。
    日曜日はバスケの大会なのに。
    よその男と遊んで濃厚接触したママのせいで全部ぶち壊される私の気持ちは?
    なのにママは、「これは私の恋愛のせいではない。コロナのせい」と言い切る。単に確率の問題だと。
    ママにぶつけた感情が、投げた言葉が的確で、娘はすごい中学生だと思った。
    ママに理解してもらえないのは、心が半分焼け焦げたみたいな感じ。でもそう思うのはママが好きだからだと思う。
    こういう金原ひとみさんの表現好き。
    結局、国のガイドラインに従い2週間も学校を休んだ娘は、ママとは和解し、ラストは和やか。
    面白かった。
    尾崎世界観さんの話も好き。

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    2021年07月10日
  • 憂鬱たち

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    初めて読む作家さん。期待以上に面白かった。少し読み進んだ時に、筒井康隆に似てると感じたが、あとがきにも名前が出ていたので、間違いではなかったようだ。因みに、このあとがきは、何が何やらさっぱりわからなかった…w
    この方のお父様の翻訳された作品は、何冊も読んでいたのだけど、あまりの違いにびっくり。それでも、才能はしっかりと受け継いでおられるようだ。
    わたし的には、「デンマ」と「マンボ」が特に、面白かった。

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    2021年07月05日
  • 持たざる者

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    グイグイと読まされた感じ。
    震災後の話だけれど、震災の直接的な被害者というよりは、原発による放射能から逃げる人たちがメイン。目に見えないあの頃の恐怖が思い出される。 

    放射能に異常なまでに過敏になり、妻子と別れることになった修人。日本から離れたフランスで子を失った千鶴。放射能を避けた形でイギリスに来た、シングルマザーのエリナ。
    このエリナが「金原ひとみ」の作品の登場人物っぽい。読んだのはまだ2作目だけど…

    4章に出てくる朱理だけは、震災はからんでいないようだ。ただ、4章だけが常にイライラ、モヤモヤする。

    結局はエリナみたいな生き方に憧れてしまう。こういう風にはなれないと、分かっていても…

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    2021年04月05日
  • 憂鬱たち

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    金原ひとみ初読。
    非常に良さそうなので続けて別作も読んでみたい。
    何らかの正当なものに対するカウンターとして「露悪的」であるのとは違う、
    素性として「なまくら」であることの愉楽性、とでもいうのか。

    憂鬱を飼う女性、神田憂が、精神科に通院しようとするたびに
    彼女を襲う困難を連作短編形式で描いた小説。

    皮膚科と耳鼻科をハシゴした先に、
    耳鼻科でメンタルカウンセリングを受ける話「ジビカ」。

    タクシー運転手の目的地の聴き間違いの結果、運ばれた秋葉原で、
    電マのバイブレーションを試しわける結果になる話「デンマ」。

    セックスレスについて、
    乗ったタクシーの運転手から解説を授かる話「マンボ」。

    その他、良篇多数。

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    2021年01月03日
  • AMEBIC

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    金原ひとみさんの小説は、彼女が若くして芥川賞を獲ったときから読もうかなと思いつつ、なぜか読まずじまいでいた。
    ヘヴィーなイメージがあったので、読む時期を選びそうだと勝手に思い込んでいて。
    結果、やはり、ヘヴィーだったのだけど。笑
    読んでいる最中、思わず「頭が変になりそうな小説」とつぶやいてしまうほど。
    でもこれは、貶しているわけではなく、どちらかと言うと感嘆に近い。「すっげーな…」って感じ。

    主人公は摂食障害気味の女性作家「私」。
    パソコンに日々残っている意味不明の文章=錯文は、「私」がアルコール摂取後に書き残しているらしいのだが、彼女にはその記憶がない。
    体の関係を持った編集者の「彼」とその婚約者である「彼女」をめぐって、「私」の現実は分裂し歪んでゆく。
    錯乱した「私」は正気の「私」に何を伝えたいのか。錯文の意味とは何なのか。

    上記に出てくる「錯文」から物語はスタートするため、初っ端から不穏な空気が漂う。
    「錯文」=「私」が錯乱している夜の状態と、目が覚めて正気に戻った日中の「私」の日々が繰り返すかたちで描かれる。
    主人公は極端に痩せている。ガムと野菜ジュースと少しの漬物とアルコール以外はほとんど口にすることがない。自分を追い込み(だけど本人にその意識はない)それでも物を書くという仕事はこなし、そして、「彼」のことを思う。
    自分から余計なものは極限まで削ぎ落としたような生活をしているけれど、女という意識は根強くあるところが切ない。
    「彼」を思うあまりしてしまうとある行動は、はっきり言って病んでいる。
    だけどなぜか、同じ女として気持ちが分かるような気がするだけに、やはりまた切なくなる。

    「世界が異常なのか、それとも私が異常なのか」という、映画「17歳のカルテ」に出てくるセリフを思い出した。
    ある意味でとても素直に生きている「私」のことを、異常だと断定できない。もしかしたら彼女のように上手く生きられない人間こそがまともなのかしれないと、昔から思うことがある。

    不穏な空気のまま物語は終わる。
    ぶっ飛んでるんだけど、これを読むと心が落ち着くという人も、きっと世の中にはいると思う。
    この方の他の小説を読んだことがないから分からないけれど、最近の作はどうなのか気になる。依存性のある「ストロングゼロ」の小説を書いたって、最近何かの記事で読んだから。

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    2020年12月09日
  • 持たざる者

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    海外生活や子育て、女性として生きることに苦悩を味わっている自分としては、とても感慨深い小説だった。繊細な心の考察がとても沁みます。

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    2020年11月26日
  • オートフィクション

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    「結婚しても、子供を生んでも、ずっと死にたい気持ちは変わらなかった」
    筆者のインタビュー記事を読んで、彼女の本を絶対読みたいと思った。

    思い返せば、一番最初に彼女の作品を手にしたのは、私が高校生の時、「蛇にピアス」。
    正直、痛々しくて読み進められなかった。
    でもあの頃から私は10も年をとって、
    人生が如何に目的不明で、正しさなんてものは幻想で、
    それなのに感情は時に自分を焼き尽くすってことが
    良く分かった。

    「オートフィクション」のリンは、危うくて、激烈で、少しでも傷ついたら、鮮血が飛沫をあげて打つ、そんな女性だ。

    自分と完全に重なることはないけれど、どこかで人生の歯車がずれれば、自分の延長にあったかもしれない姿だと思う。
    *
    私はそっと手を伸ばして音楽をかけ、猥雑で雑多な音たちに思考を委ねる。
    心の声は無邪気で残忍だから、少し黙っていて

    爆音の中に静寂を探し、今日も漸く息をつく。

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    2020年08月11日