金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
* 母という、男である自分が分かり得ない物語。不安定な3人の人生を読んでいる間は常にハラハラさせられる。読んでて凄く疲れるんだけど、止められない本だった。
* SNSのフィードに流れてくるキラキラした赤ちゃんの写真の裏側、子育てのダークサイドが詰め込まれた物語。こんなにもヘビーなのか…と、素直に世の母を尊敬した。
* 金原ひとみのどうしようもなくダークな文章は、正直蛇にピアスを読んでも何も思わなかったけど、母親目線の狂気というか、そういうのを得たのかな。きっと自分で出産して、一層自分のダークな部分と向き合ったりしたのかな。
* 弥生が死んじゃったのは本当にショックだった。まだ小さいながらに仲の -
Posted by ブクログ
現代風俗を描いて同時代性を訴えるのが効果的なのは、村上龍で終わったのでは、と思っていた。
つまり風俗描写が訴求力を持つ時代ではすでにない、という認識。
しかしこの作品を読んで、ある程度見方を変えた。
もとは表紙を見て、
ベルメールだ! そこらのギャル作家が使うなよ!
と反発感をもっていた。
サティの曲を勝手に(?)使うピンクポルノを見たときのような気持ち。
作中の半分以上が、マンコだのチンコだとセックスだのオナニーだのイッただの殺してだの割れ目だのという語彙の繰り返し。
「きぇえー」と自傷して内腿に裂け目を作り出したころ、すなわちルームシェアニストのホクトが赤ん坊をさらって -
Posted by ブクログ
【本の内容】
出会った瞬間から少しずつ、日々確実に、発狂してきた―。
有名カメラマン新崎の専属モデルを務める早希は、私生活でも密かに彼と同棲している。
付き合って三年を過ぎ、セックスの時以外は体に触れてこない新崎。
不均衡な関係に深い倦怠感を覚えるなか、ずっと早希のファンだったというバンドマンの松木と出会う。
ひずみのない愛を求めては傷つく女性の心理に迫る、傑作恋愛小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
有名カメラマン新崎に見いだされ、専属モデルとして活躍していた早希。
2人は公私にわたるパートナーだったが、関係は冷めていき、早希は次第に精神のバランスも崩していく。
そんな中、 -
Posted by ブクログ
読まず嫌いだった作者。思いきって読んでみた。
もっと早く読めば良かった、という気持ちと読まなければ良かった(当作品に対する個人的感情として)、という気持ちと半々。
彼を中心に回り落ちていく人々の話。
惑星のような彼の存在感が非常に薄いのに、周りの衛星である人々によって、中心となる彼が描かれている。それぞれの衛星からの視点によって、惑星が異なって見えるため、様々な惑星を見ることができる。
そして、その惑星と衛星を結ぶかのような歩道橋の心許なさ。
作者の作品の中ではライトな部類の作品と聞いていたので、まだ読めたのかもしれない。もう一作品読んでみようと思う。
ここで、どなたかも書かれていたが -
Posted by ブクログ
わたしと、わたしが好きなあのひとと、わたしのことが好きなあのひとと、わたしが好きなひとがすきなひと。もうほんとうにわたし。不幸なわたし。恋愛がつらいわたし。不安なわたし。吐いてしまうわたし。わたししかないんだけれども、これ、分かる、と思わされるところが凄い。全部リアルだから。返信が帰ってこないと胃がキリキリしてしまってって、ものすごいリアル。こういうものを読んでいると、結局人間はほんとうにエゴイズムまみれで、自分のどうしようもない不安の穴を、他人で埋めているとしかおもえない。それをなんかいいものっぽく書くか、正直に書くか。このひとは正直すぎるだけだとおもう。その正直さにはとても好感がもてる。
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ひとみ嬢がまたひとつ脱皮した。
彼女の著作を順番に追っていくことほど、一方的にもはや変質的に彼女を読み解こうとせん情熱にかられてしまう行為はない。
AMEBICで彼女の才能にうちのめされた私。
彼女はひとつの壮大なラブストーリーを自らの中に強固なものとして持っていた。ほかの作家と同じように。
そこが彼女の出発であったが、同時に彼女には自身という、わずらわしくもいとおしく、支離滅裂でありながら興味をそそげる存在があった。
AMEBICでは徹底的に自身の狂気に向き合い、その混沌からすこしずつ、ひとつの塔のような、中心が生まれてきた。
ほとんど同じくして、その混沌には何にも代え難いオリジナルのリズム