金原ひとみのレビュー一覧
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『女としての価値を見出してもらわなければ、自分の無力感に泣き出してしまうから、この仕事をしている。』
『ベッドのシーツがどんどん赤くなっていった。ああ、いいね。とっても綺麗。この赤が私の体に流れていたなんて、想像出来ないよ。とっても綺麗だよ。私、血だけならこんなに綺麗なのに、どうして私はこんなに汚いんだろう。』
『裂けてるんだ。私たちは、裂けてる。いつもいつも、マンコを裂けさせて、いつも待っている。いつも、何かが入ってくるのを。そして祈っている。それが茄子とかキュウリでない事を。』
『ああ、あいつはまだ生きてるんだ。こんな生きる価値が微塵もない世界で、生きてるんだ。可哀想に、ともおめでた -
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ひとみ嬢がまたひとつ脱皮した。
彼女の著作を順番に追っていくことほど、一方的にもはや変質的に彼女を読み解こうとせん情熱にかられてしまう行為はない。
AMEBICで彼女の才能にうちのめされた私。
彼女はひとつの壮大なラブストーリーを自らの中に強固なものとして持っていた。ほかの作家と同じように。
そこが彼女の出発であったが、同時に彼女には自身という、わずらわしくもいとおしく、支離滅裂でありながら興味をそそげる存在があった。
AMEBICでは徹底的に自身の狂気に向き合い、その混沌からすこしずつ、ひとつの塔のような、中心が生まれてきた。
ほとんど同じくして、その混沌には何にも代え難いオリジナルのリズム -
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金原ひとみさんの本はこれで三冊目。
蛇にピアスで彼女の作風に脱帽し
アッシュベイビーを読んでなんて気持ち悪いと、ここまでリアルに不快にされたのは初めてで、手に力は入らないし目はちかちかする。気持ち悪くて仕方ないのにとりつかれたように読んでしまう。忘れたいのに一生はなしは忘れられない今から3、4年前でそれ以来彼女の作品は手に取らなかったのに、なぜだか吸い寄せられるように手にとった結果やはり気持ち悪く、そしてとことん鬱になった
アミービック
アメーバのような。
精神が分離するきもちわからなくもない。だけどリアルすぎて、暗すぎて、とことん自分自身を追いつめてしまう。
わたしもアミービ -
Posted by ブクログ
「私」「僕」「俺」三人の主人公のなかで、愛する人を決定的に失い最も不幸なはずの「俺」が、最終的にいちばんマトモな人間でいられている、というところが印象的。
「俺」は「私」を失うことでアイデンティティを取り戻し、「私」や「僕」は「彼」を得たことで「彼」やその関係そのものに依存し、アイデンティティを喪失した(あるいはそう望んでいる)のではないか。
「私」も「僕」も「彼」との結合を強く求めるところも、そういう印象を補強している。
「オートフィクション」のときも思ったけど、物語の進行と主人公の内的描写のコントラストが面白かった。今作では複数の視点から謎を解き明かしていくような要素も含まれていて、最後ま -
Posted by ブクログ
「彼」を中心に「私」と「僕」と「俺」の視点から描かれる連作短編集。
関心を引くための自傷行為など、人を好きになる意味を考えさせられました。
自分を愛してくれる「俺」を捨てて「彼」を選んだ「私」
同棲している「僕」から「彼」を奪ったけれど、その影に怯える「私」
「彼」を奪われて自暴自棄になる「僕」
「私」が出ていき、自暴自棄になる「俺」
登場人物の名前は決して出てこないし。
ほとんど、情報は与えられず、好きな人に対する感情のみ。
また、「彼」自身の感情は言葉では語られない。
あくまでも、「私」または「僕」からの強い想いのみが描かれる。
他人に依存するということがこれほどに脆いもので。