皆川博子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第1次世界大戦から第2次世界大戦にかけてドイツ・ポーランドの国境近くの修道院で行われた秘密の実験。
脱走兵に、ポーランドの少女、修道院の作男、と、語り手は変動していく。でもって、どれも<信用のならない語り手>なのだ。
なので、翻弄され困惑し、気がつくとがっつり世界に取り込まれている。
にしても、薔薇と人間を融合させるという実験が、あの病気の治療云々につながっていくとは…。
とはいえ、まぁ、どれもこれも共感できない人物のオンパレードで、ある意味、人間の基本的な嫌な部分、というか自分自身が嫌悪していることを凝視させられる気になる。
やっぱ、怖いです、皆川博子。
でも、癖になる -
Posted by ブクログ
「語り」自体に仕掛けがあるらしい……
という情報だけ仕入れて読んだ。
太平洋戦争末期の女学生たちの愛憎劇で、
複数の人物の手稿が連続するノートを読み進める、
という形で進行する物語。
誰が犯人で誰が被害者か、
そして、どこからどこまでが話中話なのか、
さして長くない小説だが、
気づかないうちに落とし穴に嵌まっているかもしれないと
疑心を抱きつつ、目を皿のようにして読み進めた。
結果……罠に掛からなかったのが嬉しいような、
逆にちょっと損したような、変な気分になった(笑)が、
文句なしに面白かった。
叙述ミステリ入門編として、
こういうジャンルに興味を持ち始めた方に、お薦めしたい。
騙されるのも -
Posted by ブクログ
遺書さえも残さずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた”クライン・キャット”という謎めいた文字。
この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔を探ろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは?
日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。
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「たまご猫」「をぐり」「厨子王」「春の滅び」「朱の檻」「おもいで・ララバイ」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」「雪物語」「水の館」「骨董屋」の10篇からなる短編集。
個人的に「アズ・タイム・ゴーズ・ -