皆川博子のレビュー一覧

  • 薔薇密室

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    とても良い香りで、味も抜群の料理を食べていると、不意に奥歯で砂利を噛んでしまった。

    温かくて手触りの良いストールを巻くと、ちょうど首の後ろの部分にに何かの棘がついていた。

    靴に入り込んだ小石。

    わずかに漂ってくる悪臭。

    そんな決定的に不愉快だとは云えないまでも、落ち着かない気分になる物語。

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    2012年11月29日
  • 薔薇密室

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     第1次世界大戦から第2次世界大戦にかけてドイツ・ポーランドの国境近くの修道院で行われた秘密の実験。
     
     脱走兵に、ポーランドの少女、修道院の作男、と、語り手は変動していく。でもって、どれも<信用のならない語り手>なのだ。
     なので、翻弄され困惑し、気がつくとがっつり世界に取り込まれている。

     にしても、薔薇と人間を融合させるという実験が、あの病気の治療云々につながっていくとは…。
     とはいえ、まぁ、どれもこれも共感できない人物のオンパレードで、ある意味、人間の基本的な嫌な部分、というか自分自身が嫌悪していることを凝視させられる気になる。
     やっぱ、怖いです、皆川博子。

     でも、癖になる

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    2012年06月10日
  • 薔薇密室

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    脱走兵コンラートが逃げ込んだ古い僧院では、ホフマン博士が人間と薔薇を融合させる実験を行なっており・・・
    いくつかの物語が交錯しながら、しだいに集約していき、思わず引き込まれる。理屈はともかく、この物語の世界にハマったもん勝ちって感じかな。

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    2012年05月28日
  • 薔薇密室

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    頑張って読み終えた。

    私の日常とかけ離れた、濃密で妖しい、美しくねじれた世界。

    触れようと手を伸ばせば、容赦なく鋭い棘で傷つけられ、こちら側に来る勇気はあるのか、と静かに詰問される。

    私は流れ落ちる血をも忘れ、汝に見とれるばかり。

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    2012年05月20日
  • 倒立する塔の殺人

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    「語り」自体に仕掛けがあるらしい……
    という情報だけ仕入れて読んだ。
    太平洋戦争末期の女学生たちの愛憎劇で、
    複数の人物の手稿が連続するノートを読み進める、
    という形で進行する物語。
    誰が犯人で誰が被害者か、
    そして、どこからどこまでが話中話なのか、
    さして長くない小説だが、
    気づかないうちに落とし穴に嵌まっているかもしれないと
    疑心を抱きつつ、目を皿のようにして読み進めた。
    結果……罠に掛からなかったのが嬉しいような、
    逆にちょっと損したような、変な気分になった(笑)が、
    文句なしに面白かった。
    叙述ミステリ入門編として、
    こういうジャンルに興味を持ち始めた方に、お薦めしたい。
    騙されるのも

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    2014年04月27日
  • 蝶

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    内容は
    詩片に沿って書かれた短篇集で
    いつもの皆川さんのごとく綺麗グロ怖い切ない
    けれども、今回のこの短篇集はホント絵になる。
    そしてそのえが美しすぎて、好みすぎて震えちまう。
    例えば、「妙に清らの」という話では
    義眼の夫が看護婦と浮気していて
    看護婦が眼窩に舌を突っ込み、義眼を舌で救い取る場面がある。
    嫁は、静かに涙流して歌を歌ったりしてるのだが
    ある日、死んだ夫の顔を膝に乗せ、眼窩に紫陽花の花の小さな花弁を
    1つずつ生けていくというような描写が
    あたしでは説明口調だが、誠に美しい表現で描かれている。

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    2011年05月07日
  • 蝶

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    ネタバレ

    文章から立ち上る貫禄と美しさに圧倒され続けて、最後のお話にやっとこの作品群を言い表せるような言葉を見つけた。「凄艶」。
    「想ひ出すなよ」「幻燈」が特に好き。どちらのラストも衝撃的で、頭をくらくらさせながら何度もその終りを繰り返し読んだ。

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    2011年04月14日
  • たまご猫

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    初めて手に入れた皆川本です。

    他の短編集に比べると取っつきやすい気がする。初心者向け。それでも『をぐり』『朱の檻』『春の滅び』あたりは確実に、いつもの皆川さんだよなあ。
    どんな短編であれこの人の作品は大好きだ。



    ちなみに『水の館』はジャニーズ小説である。

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    2011年03月29日
  • 蝶

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    山尾悠子と雰囲気が似ている。
    静謐で美しい文章。
    どの小説も終わり方が印象的だが、
    「蝶」のラストと「妙に清らの」はもう
    あっ としか言えなかった。
    紫陽花のひんやりした感触を思い出して。

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    2012年07月18日
  • たまご猫

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    遺書さえも残さずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた”クライン・キャット”という謎めいた文字。
    この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔を探ろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは?
    日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。

    ***

    「たまご猫」「をぐり」「厨子王」「春の滅び」「朱の檻」「おもいで・ララバイ」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」「雪物語」「水の館」「骨董屋」の10篇からなる短編集。

    個人的に「アズ・タイム・ゴーズ・

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    2010年11月21日
  • 伯林蝋人形館

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    6つの視点から描かれる1つの物語。

    さまざまな視点から描かれているので最初は手探り状態。なのでなかなか読み進めづらかった。でも他の視点と重なっている部分が出てくると、物語の輪郭が見えてくる。

    退廃的でほの暗く、それでいて激動的なストーリーが魅力的。
    すべてを知ったあとで、もう一度読みたくなる作品。

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    2010年08月03日
  • 伯林蝋人形館

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     大きい本を既に読んでたけど文庫購入。
     幻想的な短編小説と、意味ありげな解説の繰り返しを、初めは手探りで読んでいくことになるんですが、お話の終盤、次第に全体像が見えだしてからのスピード感というか盛り上がりというか(読んでる自分の)

     「これってこことつながって?」「ああっ!この人は」「このシーンは!」何度もページを繰りなおし、行ったりきたりして読んでしまいました。

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    2010年06月07日
  • 会津恋い鷹

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    廓の雰囲気を復習したくて資料代わりに引っ張りだしてきました。
    一揆のカタストロフィと、分家の叔父さんの暗い情念をつきつけられるシーンはいつ見てもおそろしい。
    全編舐めるように読むわけではないけど、皆川博子の中でもすごく好きな作品のひとつ。

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    2009年12月17日
  • 花櫓

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    この著者の読者には「死の泉」みたいな洋物が大好き、という人もいますが、それだけじゃなくて、歌舞伎モノもかかれますね。「花闇」も圧巻だったし。官許の大芝居の「櫓」をめぐって、互いに無関係になることはありえない間柄に生まれた、異母姉妹である主人公2人の女性。その周りの人間関係、少女時代、そして娘から女性になっていく際にも誰よりも理解しあいつつ、互いへの葛藤があり、そして、やはり支えあう。 なんというかいつも「やられた」感があるけれど、今回も堪能した。

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    2009年10月04日
  • たまご猫

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    正しく、皆川ワールド、だ。

    歩いているうちに奇妙な風に吹かれ、いつしか戻れない場所に辿りつく。
    ただ空気としか表現できないような・・・
    それでいてけして気づかずにはいられない異形の何か、がどこかに潜んで
    じっとこちらを見つめている。

    それは確実に近づいてきて、
    はっと我に返ると・・・
    それが自分自身であることを知る。

    スイッチが入る。気持ちいい。
    弄ばれる快楽。

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    2009年10月29日
  • たまご猫

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    夢うつつ、狭間で不条理に揺れる登場人物。姉と弟、座敷牢といった魅力的なモチーフ、死者のセッション、未来からの警告、時間と空間が交錯する10篇の不思議な物語。

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    2009年10月04日
  • たまご猫

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    遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔をさぐろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは?日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。

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    2009年10月07日
  • たまご猫

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    遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた
    "クライン・キャット"という謎めいた文字。この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった
    姉の素顔をさぐろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは?
    日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの
    狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。

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    2009年10月04日
  • 会津恋い鷹

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    鷹匠に嫁いださよは時代に弄ばれ数奇な運命を歩みながら、魂をいつも孤高の鷹に託し、流されながらも飛翔してゆく。
    乱世玉響とテーマが近いんじゃないかと思えるのですが。セットで読むと皆川博子の一面がすごくわかる。何故か時代物だけなのよねこの展開。なぜでしょうなあ。

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    2009年10月04日
  • それはそれはよく燃えた

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    メフィストに掲載されている短編集。冒頭はすべて、それはそれはよく燃えた…で始まる。アンソロジーは、どうしても好みの作品と、それほどでも…な作品が出てきちゃうよねー。

    で、やっぱり穂信が別格で好き。可愛らしい恋の炎が燃えた話しだと思ったのに…ね?そうそう、そうだよねーって。
    歌野晶午の作品もよかった。葉桜…早く読まなくちゃ。

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    2026年03月13日