皆川博子のレビュー一覧

  • 死の泉
     ミステリだし、という油断を全く許さない正統派の物語。
     嘆美だし、幻想的なのに骨太。どうしたらこんな話が書けるんだってなる。

     そして最終行までたっぷりと楽しませて頂いた。
     ありがとうございます。
     最初から読み直したい……! うわぁぁぁぁってなる。
  • アルモニカ・ディアボリカ
     開かせていただき光栄ですの続編ということだが油断ならない。容赦ない。
     時代背景的にイギリスの全盛期だと思うのだが、何だろうこの闇の濃さは。
     面白い。
  • アルモニカ・ディアボリカ
    登場人物が結構多くて、名前もごっちゃになって読むのが少し大変でした。

    前作の、ナイジェルがまさかの姿になって現れて、彼の悲惨な過去と別の事件が少しづつ明らかになっていきます。ちょっと想像を斜めいってる過去でした。

    今回はアルが結構重要な役割を務め、彼が一番正義をしっかり持っていて彼がでてくると結...続きを読む
  • 蝶

    タイトルがなんだか耽美だなあと思って手に取ってみた作品。
    これは、筋肉少女帯とか江戸川乱歩とか京極夏彦が好きな人にはとってもはまる作家さんだと思います!あと若合春侑。

    退廃的でとても耽美。子供目線の、戦前〜戦後くらいの時期の短編集がいくつか収録されています。
    一番良かったのは、良縁を紹介してもらう...続きを読む
  • 薔薇忌
    演劇に携わる人々を描いた短編集。内容は「演劇の話」と聞いて想像するものの斜め上を行く、皆川博子テイストの効いた独特なものばかり。役者だけでなく、プロデューサーや小道具製作者などの裏方にもスポットを当てている。面白かった!
  • アルモニカ・ディアボリカ
    『開かせていただき光栄です』続編。前作のネタバレ要素を含むので、順番に読むことをお薦めする。
    前作から5年後、胸に奇妙な暗号が刻まれた屍体が発見され、盲目の判事サー・ジョンがその謎に挑む。サー・ジョンの捜査状況とナイジェルの手記が交互に語られ、徐々に真相が明らかになっていく。
    今回登場人物が多く、し...続きを読む
  • 猫舌男爵
    怪しい雰囲気漂う短編集。

    個人的に『水葬楽』『睡蓮』が好きでした。『水葬楽』は未来の死の概念のようなお話ですが、この先あり得るような怖さを感じました。どのお話にも時代が分からないところに感じる不安なような怖さを感じました。
    表題作『猫舌男爵』は想像してなかった内容で、純粋に面白かったです。
  • 倒立する塔の殺人
    背景は戦中戦後。
    現在と過去を行ったり来たりして混乱しそうになるのは
    いつもの事だけれど、それが手書きの小説の少女達と
    重なって、更には、お嬢様学校とはいえ戦時中の過酷な労働と
    質素な食事、クラスメイト同士の友情や軋轢、
    女学校特有の密やかな交流や嫉妬や悪意等がリアルだったりする。
    それでも幻想的な...続きを読む
  • 薔薇忌
    初めましての作家さん。
    90年代に出版されたものの復刻版のようです。
    舞台に携わる者たちの妖しい短編集。
    ミステリというよりは、幻想譚といった感じです。
    でも短編集なのに、どれもこれもヤバイ。
    舞台に携わる者達の話だから、どうしても妖しくなる。
    だけど文章の持って行き方がヤバイ。
    起承...続きを読む
  • 蝶

    背景に戦争があって、それに翻弄される人々が主役である。
    大人だったり、子供だったり、妾だったり、孤児だったり・・・
    幻想に惑わされるのか、知らずに狂気が育っていたのか
    気が付くと「死」が纏わりついていた。
    戦争がそうさせたのか、そうなる運命だったのか
    美しくて、なげやりで、悲しくて、空っぽで、
    そし...続きを読む
  • 猫舌男爵
    初読みの皆川博子作品。なんとも濃密な短編集だった。幻想的であったり笑いがあったり…。正直難解な部分が多いが、それでも魅せられてしまう。「睡蓮」「太陽馬」が特によかった。この作家さんの、ヨーロッパを舞台にした話をもっと読んでみたいと思って早速購入!楽しみだ。
  • 猫舌男爵
    「水葬楽」
    「猫舌男爵」
    「オムレツ少年の儀式」
    「睡蓮」
    「太陽馬」

    皆川博子の幅の広さよ。
    「水葬楽」「太陽馬」はどちらもひと捻りした幻想文学の手本。
  • アルモニカ・ディアボリカ
    ※ネタバレ含みます注意!




    おっおっおっ……そうだった、皆川先生の話はこういう感じだった……
    切なすぎる。
    前作の最後でいなくなった二人が幸福になっていたらいいなと思って読んだのですが。悲しかった。
    ナイジェル。苦労したのだから幸せになって欲しかった。
    ナイジェルの遺体が出た時も、どうかどうか...続きを読む
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―
    ずっと読みたかったのですが、なかなか気がのらず。
    肌寒くなってきたからか、気分が向いたので購入~。

    一番後ろのページに「本書は活字が大きく読みやすい<トールサイズ>です」と書いてありますが、字、大きくないし、字の線が細い上に印刷(インク?)が薄くて読みにくかったです。近眼も老眼も乱視もなくて視力も...続きを読む
  • 影を買う店
    猫座流星群、迷路、日が沈む、が特に好き。後暗い、一般的ではない暗さ、それは異端と呼ばれるようなものかもしれないけど、そういったものを好む人にたいへんお勧め。
    私は皆川博子のわかりにくーい暗い感じが大好きなのでうっとりしました。

    でも幻想小説、と呼ばれる類は私にはまだすこし難しい、かな
  • 薔薇忌
    芝居をめぐる、惹かれ期待する関係の短篇集。いじらしくて、ねじまがって、フェティッシュで、古臭くて。
    短編の寄せ集めではなく撚り集めで物語が出来る。
    決して「恋愛」ではないし、情愛が支配するわけではない。
    欲望と怠惰と執着と希求。
    純粋さよりも湛える深淵を愛す。

    各編ごとに見ても仕方ないって途中まで...続きを読む
  • 少女外道
    どれも少しずつ人の道から外れた話だが、そういうものを扱う作品に強く心惹かれたことはない。それは、自分が正常であることの証明となんとなく思っていたが、この本を読んでみて、自分の中にも「外道」の部分が潜んでいると気づく。
    人の心の闇を、おどろおどろしいだけではなく、美しく鮮やかに見せてくれ、自分ひとりで...続きを読む
  • 蝶

    ホラーっぽいけど幻想世界。

    戦前から戦後にかけての独特な社会の雰囲気が描かれています。ゾクっとするトコロも多々ありますが、怖くはなくあくまでも神秘的な文章が素敵です。
  • 妖恋
    江戸時代を背景とした短編集。
    どのお話も、タイトルが艶めかしくも美しい。
    この時代だからこその切なさが胸に迫る。
    これを今の時代の言葉で言うならば、
    大人のファンタジーか。
  • 倒立する塔の殺人
    戦時中に~戦後の時代背景が独特な雰囲気です。

    ミステリーとしても面白かったですが
    少女の視点で語られる戦時中、戦後の生活が
    とても興味を持って読めました。

    物語を何人もが紡いで行くというトコロにも
    面白さがあって、最後まで飽きるコト無く読めました。