皆川博子のレビュー一覧
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少年十字軍の悲劇を知っていれば
この子達にどんな結末が待っているのか
それを作者がどれだけ耽美、爛れた
退廃的な世界に描くのかと思いながら
読んでいったのだけど。。。
神への信仰を表面にあらわしながら
俗な人間の欲にまみれ浸りきった大人たちに
(あぁ大人の世界を縮小版で濃縮している
レイモンにもか)利用され、試され、裏切られ、
翻弄される子供たちが、ただ一心に信じている
苦難からの解放、自由な世界、導いてくれるはずの
エティエンヌ。
染まって汚れたものも、純粋なものも、全て背負い
その身を削りながらたどり着く先は。
ぜひ読んで、余韻に浸ってみてください。 -
Posted by ブクログ
この本自体、著者の内側があり、訳者の外側があり、
その大きな外側で作者の枠組みがあり、
全てが誰かの創作なのだから
どんな仕掛けがあろうとも作者の用意した世界なのだけど
最後の最後に、それもあのような場を使い、
これまで読み進めて、没頭していた世界が
一瞬にしてグニャリとゆがんでしまい、
あらゆる人、モノが違った一面、解釈を見せ始め
不確実で幻想的な世界に入ってしまう。
何が、誰が、どの部分が物語上の真実で虚構なのか。
確実なのは美へのあくなき追及。
美のために差し出されるいけにえ、犠牲になるもの、
純粋で醜くもある欲望。
今まで見ていたはずの世界の真実とともに
張り巡らされた技巧を解き明かす -
Posted by ブクログ
ネタバレ8作の短編集。太平洋戦争前から戦後直後くらいまでの時代の話です。
子供の目から見た、大人の世界。
変わってしまった世の中に復員してきた男。
支配される女性。
世の不条理さというものに押しつぶされそうな、いや、押しつぶされる人々の話なのかな。
その不条理さを、それぞれ受け止められない者、受け流して行く者それぞれかもしれないけれど。
好きとか嫌いとかそういう次元は超えてしまったと思われるような小説でした。
言葉の強さというか、異次元の世界へ引きずりこまれたというか、何かの力に翻弄されて読み切ってしまいました。
固い単語や文章で書かれていて、強烈な印象とともに、詩や歌が絡んでくるせいか、頭の中で -
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『水底の祭り』
M**湖より屍鑞があがった。
新宿のバーに勤めるわたしは、ママのミツエと常連客の森戸が奇妙な動揺を示すのを目の当たりにする。
森戸に好意を寄せる私は、二人の動揺を沈めようと思わぬ行動を取るのだが、二人の間に隠された昏い経験を垣間見ることになる……。
『牡鹿の首』
動物の剥製師である麻緒は、時々出会い専門のホテルで男性を買う。
そのホテルで出会った男娼の少年が訳ありの怪我をしているのをかばい、知り合いのハンターに助けを求める。
彼女に好意を持つその男は代償行為を要求、彼女は呑まざるを得ない。
そして少年との刹那的な暮らしが始まる。
『紅い弔旗』
六年間、小 -
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13世紀に実際にあった少年十字軍をテーマに描かれたお話。
難解そうに見えて、意外にさらさらと読める。それは、登場人物は多いのに、それぞれが生き生きと魅力的に描かれているせいかも知れない。
エティエンヌに心酔する子どもたち、信じてはいないけれど追随する者、利用しようとする者、そして訳も分からずただ参加する者。様々な思惑が絡み合いながら旅は続く。
神の不在、死後の世界と無宗教の人間には正直理解できない部分はあるけれど、中世的なちょっと暗くて閉鎖的な雰囲気は伝わってくる。
身勝手な大人たちに腹が立つと同時に、エティエンヌがいれば大丈夫と無邪気に繰り返す子どもたちの残酷さにも慄然とする。すべてを -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界史上、有名なエピソードに基づくお話。
「少年十字軍」と言えばいい印象を持っておられる方は少なかろう。
当時のヨーロッパや聖地をめぐる云々、縁のない日本で育ったものにはなかなか理解しがたいものがあるし、安穏と状況に納得いかぬことが多々ある。
それはおそらく、当事者においても同じことであったろう。
哀れな少年と彼をめぐる仲間たち、愚かな大人、誰一人幸せを享受できぬまま終わるストーリー。
この先、彼らに平安が訪れるかどうか、かすかな希望すら打ち消される不安感。
ヨーロッパや中東、アフリカ北部は歴史的にもこの先安定することはないことを知っている現代のわたしたち。
悲哀のもとに終わってゆくで -
Posted by ブクログ
ネタバレ『開かせていただき』から皆川文学にはまって第5弾目(笑)
幻想的で美しい世界観に引きずり込まれ自分的には結構早いペースで読んでしまったかな。
クラウス医師の美への執着、マルガレーテの狂った世界、兄弟の復讐劇に感情を翻弄されつつ読み終え、最後のあとがきで物語を覆す言葉が…。
始めに本を開いたときに野上晶訳とあったので嫌な予感はしていたけどね。
著者の語る「実在してる人物」「複数の特性をかねあわせて一人の人物」という言葉から、あの時あの人物は死んでしまったのではないか、あの二人は同一人物なのではないかと思考が完全に迷走してしまった。
何度読んでも分からないままになるかもしれないけど時間を少しあけ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「全ての物語を書き終えたものには、自殺の特権を与えよう」……なんて甘美な。
皆川博子による「伯林蝋人形館」。
その後、ふたたび現れる「伯林蝋人形館」のタイトル。
本編。作者略歴。
本編。作者略歴。
本編。作者略歴。
本編。作者略歴。
本編。作者略歴。
本編。作者略歴。
書簡。
こういうかたちで、同じ出来事を別の人物から描きなおし描きなおしていく。
その後、本自体の仕掛けに気づかされる最終章「書簡」。
おお。
本書に関しては解説もありがたい。
アルトゥール。
ナターリャ。
フーゴー。
ヨハン。
テオ。
ハインリヒ。
マティアス。
ツェツィリエ。
おお。