皆川博子のレビュー一覧

  • 聖女の島

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    とうとう、読みました。
    じわじわと、何かが進行していて、今にも爆発しそうな不穏な空気に惹き込まれて巻き込まれて流されていきました。
    マ・スールは、(ネタバレゆえ伏せます)でありながらも、主人公・藍子の姉に似ているのも含めて、藍子が「こうありたい」と望む姿なんだろうな。もしかしたら、梗子が「マ・スールが好き」と言うのも(この梗子はあれだし…)。

    願いが、届いてしまった。
    淡江色の封書が届いたなら未来永劫マ・スールは、愚かさと狂気への蔑みと憐れみと慈しみと諦念を密かに抱えて、軍艦のような聖女の島を訪ね続けるのでしょう。


    それにしても素敵な装丁。物語にぴったり。

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    2024年01月30日
  • インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

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    皆川博子『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』(ハヤカワ文庫2023年11月印刷)を読んで――雑文。
    通常は作品の感想を書きますが、今回は、ミステリのシリーズ三作目である事もあり、前作をも含めてネタ割りをせずに感想を書くのも辛いので、取り留めのない雑文になります。まあ、ふだんから取り留めのない感想を書いて居りますが。
    もう言うてもよかろうが『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』は文庫版が出るまで待って読みました。前二作はハードカヴァーで買い、文庫版に付録が付いたので文庫版も買うたのですが、ハードカヴァーの方は已む無く手放したので、文庫版で揃えたいと思うたからです。今度も文庫版にはおまけが付

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    2024年01月04日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    初めて読む作者。18世紀のイギリスを舞台にしたミステリ。エンターテイメント。同時に当時の風俗も窺い知ることができる。また登場人物の性格やイマドキの若者のような軽妙な会話のやり取りに親しみやすさを感じ、そのギャップが面白い。
    事件前と後のエピソードが交互に語られるため、核心に迫りそうになるたび、話が切り替わり、著者の意図するところとは分かってはいても焦ったく感じた。
    おすすめされていた理由がわかる!プロフィールを読んで驚きました。1930年生まれ。お書きになった時は?え??しかもこちらは三部作の一作目とのこと。今も作家活動されてるようでさらにびっくりです。残りの二作品も読んでみたい。

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    2023年12月14日
  • インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

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    ネタバレ

    ・シリーズ3作目。
    ・「クロコダイル路地」で、バートンズの面々のその後がちょろっと描かれていたが、本作はそこでは描かれていなかったエドとクラレンスの、新大陸アメリカでの話。
    ・アメリカ独立戦争の直前。上に新大陸とつい書いてしまったが、それは英国側の論理。先住民族を搾取する植民の物語でもある。
    ・が、そこは皆川博子、アシュリーという中間者を設定し、異文化の衝突と交流を鮮やかに描く。
    ・しかもアシュリーを、読者にとって共感しやすい本好きとした。解説に杉江松恋が言うように、書くことや語ることを前面に押し出し、どころかそれすら謎に取り込んで、小説の小説に仕立てる。これぞ小説の女王。「書いたものが届く」

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    2023年12月11日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    はじめの方は、複雑な文章に慣れる事が大変だった。しかし、ダニエルと5人の弟子の解剖へ対する考え方や姿勢が素敵だった。

    18世紀のイギリスの最悪な裁判の仕組み、治安の悪さ、ダニエルと5人の弟子と治安判事の信頼性など、様々な人間模様が描写されていて引き込まれた。人を無条件に愛せるのか、塾考した。普段は社会福祉に関わっているので。

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    2023年11月19日
  • 死の泉

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    読み手に委ねられる部分があるので好みが分かれそうだけど、個人的にはかなり好きだった。
    虚構が入り混じっておぞましくも美しい。

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    2023年02月27日
  • 死の泉

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    恍惚とした読書体験でした。
    全編に漂う退廃的な雰囲気にうっとり。
    この雰囲気が、合う合わないがありそうですし、
    結末に解釈の余地が残るところも、好まない人はいるかと。
    私は「いやー日本に皆川博子がいてよかった」と感じ入りました。
    彼女の他の著作も、大切に読み進めたいです。

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    2023年04月10日
  • 愛と髑髏と

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    ネタバレ

    読後静かな興奮に包まれる。この美しくて狂おしい小説世界は魅惑的で、私もここに加わりたいくらいだ。
    8作品、一つ一つが濃密。作り物ではなく、たしかにそこに生きている人々がいると感じられる。不幸で底知れぬ、匂い立つような情念が漂っている。

    特に好みだったのが「丘の上の宴会」。死んでいると明かされた時の驚き!今村家のみんなも何だか楽しそうだし、雪子も淡々と自分の死を受け入れて通夜の支度のことを考えたりしているところ、好きだった。もう他人の反応を気にする必要もないのだ。

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    2022年08月23日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    続編は肩透かしも多いけど、前作越え!
    ナイジェルは死んだと見せかけて、本当は生きてるんじゃないかとおもったけど、そこは深読みしすぎた。が、出自を知るにつけ、彼には強かに生きてほしかった。ここでまたポーの一族に頭シフトさせると、アランポジションだから?!
    事件のピースの繋がりかたが、現実はそんなにうまくいかないよね、とは思うけど、謎の開陳がスムーズで気持ちよくて、次をどんどん読みたくなる。
    人物が生き生きとしていて、読んでいて物語にうんと惹き込まれる。
    改めて、研究馬鹿のダニエル先生好きだな〜!
    アルの大活躍も、ネイサンの成長もニマニマしながら読める!

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    2022年03月26日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    盲目の判事の存在が巧みだなと思った。犯人の表情で確認できないだけに、聴覚と触覚を駆使し言葉の裏を読むという経験を読み手もなぞっていく。そして助手の言葉による現場の説明を、私も一緒になって聞き頭の中で状況を整理していった。
    最後までどうなるか分からない展開に引き込まれ、すべてが怪しく見えてきて楽しみながら読んだ。登場人物の名前や時代背景が頭に入りだしてからはあっという間だった。
    死のにおいを漂わせながら、賢く美しい青年たちの思惑通りにすべてが進んでいたのが良かった。

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    2021年11月30日
  • 死の泉

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    ネタバレ

    悲劇にしかならないことは最初からわかっていたので、重い話を読める時で良かった。
    貫き通せる大人陣は本望だろう。巻き込まれた子どもたちがキツい。

    そして、それらを全部崩壊させるラストだった。
    これは、虚構の世界とラストのどちらにハマるかによって、読み方が変わる。前者ではフランツの愛憎、苦悩に揺さぶられ、後者ではクラウスに振り回された。

    どこからどこまで虚構なのか、事実か。
    最終的にはクラウスがアメリカ(と大佐、これは偶然)を振り切り、城と2人のミヒャエルを手に入れるため、と解釈した。

    この話はマルガレーテの手記(全て終わってから、錯乱してから書き直されているので、事実とは限らない)と夢想、

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    2024年07月27日
  • 倒立する塔の殺人

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    ネタバレ

    戦時下のミッションスクールで流行した「小説の回し書き」から女生徒を巻き込んでいく美しいミステリー。
    戦中、戦後の世の中の変わりようが、今なら分かるような気がする。中身のない矛盾した物言いが蔓延っていて、それを受け入れなければならないのはさぞ辛いだろうと思う。
    文学・音楽・絵画。お腹は膨れないけれど、少女たちの心をどうしようもなく潤すそれらが随所に散りばめられ、知識欲を駆り立てる。いつ命が失われるか分からない過酷な状況でも、心が求めるものを無視することはできない。
    読み終えて喪失感すらある。

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    2021年08月26日
  • 死の泉

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    第一部はマルガレーテ視点で書かれているが、
    第二部は色んな人の視点が入り組んでて
    現実と妄想が入り乱れる文章に振り回される。
    ぜひ最後の『あとがきにかえて』まで読んでほしい
    絶対もう一度最初から読み返したくなるので

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    2021年08月12日
  • 死の泉

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    最後の最後まで翻弄されてしまった、なんという体験だろう。解説で北村薫さんが「皆川作品は皆川博子のもの、そこにわれわれ読者の喜びがある」という旨のことを仰っていたが、正しくそのとおり。
    こんなに分厚いのに無駄な描写が何一つないのはもう、驚きを超えて恍惚のため息。

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    2022年07月12日
  • ゆめこ縮緬

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    脳をフル稼働させて必死で読んだ…

    幻想小説と時代小説が融合した風のこの作品集、中々骨が折れました。

    暗喩がたくさんで理解するのに一苦労。この台詞は誰?と行きつ戻りつ。

    それぞれ独立した短編のはずだが、一部共通して登場する「中洲」という場所を通じて連作っぽい感じもある。

    川はあの世とこの世を分かつ象徴だが、では中洲はどちらに属するのか?虚実あいまいでない混ぜになった異界めいた物語「文月の使者」に蛇の生臭さと不誠実さ漂う「ゆめこ縮緬」、中洲を通じ捩れた時空が繋がる「青火童女」。

    シャガの根が湿気った家の畳の下に蔓延っている様子に寒気がする「胡蝶塚」、古代中国の妖狐伝説を題材に取った「影つ

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    2021年06月30日
  • 猫舌男爵

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    ネタバレ

    タイトルからの直感のみで棚差しから購入。


    解説まで読んではじめて、この作品集の肝が理解出来た。

    一見すると全くバラバラに独立した五つの短編集のようで掴み所がないが、丁寧に読み込むことで物語同士が共鳴するとは驚き。読み手が気づく事で、各物語の’孤独’が救われる。

    第一印象では「オムレツ少年の儀式」「猫舌男爵」が好き。結局、猫舌男爵についてはわからずじまいだったが、みんな幸せな結末を迎えてなにより。

    繰り返し読み必至。



    1刷
    2021.6.12

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    2021年06月12日
  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    短編小説には作家の技量が出る。

    まさにそれのお手本のような作品集でした。

    幻想的な作品は美しい。

    大好きです。皆川さん(//∇//)

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    2021年03月19日
  • 蝶

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    ネタバレ

    詩句が引用され、そこから紡がれた物語はどれも暗い影が射し複雑な感情を引き出す。
    戦前から戦後と移ろう中で、人々の感情には容易に切り替えられない虚しさや悲哀が見て取れ、やり切れない。
    研ぎ澄まされた文章の裏を探りたくなる艶かしさがある。多くを語らない部分に奥深さを感じる。読後は悲しみに包まれ、今もふと考えてしまう。

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    2021年02月16日
  • 蝶

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    8篇から成る短篇集。それぞれに俳句、詩の引用が載せられている。
    皆川博子さん初読。大満足。まず「空の色さえ」から、灰まみれになった他人の想い出でも覗いているかのような感覚を覚え、物語に引き込まれた。片目のない叔父、小間使いと戯れる奥様……。「妙に清らの」と「幻燈」には特に惹かれた。幻想的な世界に夢中になって読んだが、自分に詩句の知識がないことが悔やまれる。どういう意図があってこの詩や俳句が引用されているのか、というのを知りたい。
    皆川さんのほかの作品も読みたいと思った。

    空の色さえ/蝶/艀/想ひ出すなよ/妙に清らの/龍騎兵は近づけり/幻燈/遺し文

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    2021年01月29日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    最後のあの文章を読み終えたときのあの静かで哀しい、美しさすら思わせる脱力感。
    エドと一緒に生きたくても、理解されたくてもそれは無理だと分かっていても最後の最後にそれを望まずにはいられなかったナイジェルが切ない。ナイジェルは…天使だよ……

    『U(ウー)』文庫版の特典往復書簡にあった続篇のお話、期待してやみません。というかここまでの量のストーリーで、しかも続篇なのに更に面白いって一体どういうことなの

    皆川先生、健康に、末永く執筆活動を(でも、無理なく)続けていってほしいものです

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    2021年01月26日