皆川博子のレビュー一覧

  • インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

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    ネタバレ

    ・シリーズ3作目。
    ・「クロコダイル路地」で、バートンズの面々のその後がちょろっと描かれていたが、本作はそこでは描かれていなかったエドとクラレンスの、新大陸アメリカでの話。
    ・アメリカ独立戦争の直前。上に新大陸とつい書いてしまったが、それは英国側の論理。先住民族を搾取する植民の物語でもある。
    ・が、そこは皆川博子、アシュリーという中間者を設定し、異文化の衝突と交流を鮮やかに描く。
    ・しかもアシュリーを、読者にとって共感しやすい本好きとした。解説に杉江松恋が言うように、書くことや語ることを前面に押し出し、どころかそれすら謎に取り込んで、小説の小説に仕立てる。これぞ小説の女王。「書いたものが届く」

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    2023年12月11日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    はじめの方は、複雑な文章に慣れる事が大変だった。しかし、ダニエルと5人の弟子の解剖へ対する考え方や姿勢が素敵だった。

    18世紀のイギリスの最悪な裁判の仕組み、治安の悪さ、ダニエルと5人の弟子と治安判事の信頼性など、様々な人間模様が描写されていて引き込まれた。人を無条件に愛せるのか、塾考した。普段は社会福祉に関わっているので。

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    2023年11月19日
  • 愛と髑髏と

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    ネタバレ

    読後静かな興奮に包まれる。この美しくて狂おしい小説世界は魅惑的で、私もここに加わりたいくらいだ。
    8作品、一つ一つが濃密。作り物ではなく、たしかにそこに生きている人々がいると感じられる。不幸で底知れぬ、匂い立つような情念が漂っている。

    特に好みだったのが「丘の上の宴会」。死んでいると明かされた時の驚き!今村家のみんなも何だか楽しそうだし、雪子も淡々と自分の死を受け入れて通夜の支度のことを考えたりしているところ、好きだった。もう他人の反応を気にする必要もないのだ。

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    2022年08月23日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    続編は肩透かしも多いけど、前作越え!
    ナイジェルは死んだと見せかけて、本当は生きてるんじゃないかとおもったけど、そこは深読みしすぎた。が、出自を知るにつけ、彼には強かに生きてほしかった。ここでまたポーの一族に頭シフトさせると、アランポジションだから?!
    事件のピースの繋がりかたが、現実はそんなにうまくいかないよね、とは思うけど、謎の開陳がスムーズで気持ちよくて、次をどんどん読みたくなる。
    人物が生き生きとしていて、読んでいて物語にうんと惹き込まれる。
    改めて、研究馬鹿のダニエル先生好きだな〜!
    アルの大活躍も、ネイサンの成長もニマニマしながら読める!

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    2022年03月26日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    盲目の判事の存在が巧みだなと思った。犯人の表情で確認できないだけに、聴覚と触覚を駆使し言葉の裏を読むという経験を読み手もなぞっていく。そして助手の言葉による現場の説明を、私も一緒になって聞き頭の中で状況を整理していった。
    最後までどうなるか分からない展開に引き込まれ、すべてが怪しく見えてきて楽しみながら読んだ。登場人物の名前や時代背景が頭に入りだしてからはあっという間だった。
    死のにおいを漂わせながら、賢く美しい青年たちの思惑通りにすべてが進んでいたのが良かった。

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    2021年11月30日
  • 倒立する塔の殺人

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    戦時下のミッションスクールで流行した「小説の回し書き」から女生徒を巻き込んでいく美しいミステリー。
    戦中、戦後の世の中の変わりようが、今なら分かるような気がする。中身のない矛盾した物言いが蔓延っていて、それを受け入れなければならないのはさぞ辛いだろうと思う。
    文学・音楽・絵画。お腹は膨れないけれど、少女たちの心をどうしようもなく潤すそれらが随所に散りばめられ、知識欲を駆り立てる。いつ命が失われるか分からない過酷な状況でも、心が求めるものを無視することはできない。
    読み終えて喪失感すらある。

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    2021年08月26日
  • ゆめこ縮緬

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    脳をフル稼働させて必死で読んだ…

    幻想小説と時代小説が融合した風のこの作品集、中々骨が折れました。

    暗喩がたくさんで理解するのに一苦労。この台詞は誰?と行きつ戻りつ。

    それぞれ独立した短編のはずだが、一部共通して登場する「中洲」という場所を通じて連作っぽい感じもある。

    川はあの世とこの世を分かつ象徴だが、では中洲はどちらに属するのか?虚実あいまいでない混ぜになった異界めいた物語「文月の使者」に蛇の生臭さと不誠実さ漂う「ゆめこ縮緬」、中洲を通じ捩れた時空が繋がる「青火童女」。

    シャガの根が湿気った家の畳の下に蔓延っている様子に寒気がする「胡蝶塚」、古代中国の妖狐伝説を題材に取った「影つ

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    2021年06月30日
  • 猫舌男爵

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    ネタバレ

    タイトルからの直感のみで棚差しから購入。


    解説まで読んではじめて、この作品集の肝が理解出来た。

    一見すると全くバラバラに独立した五つの短編集のようで掴み所がないが、丁寧に読み込むことで物語同士が共鳴するとは驚き。読み手が気づく事で、各物語の’孤独’が救われる。

    第一印象では「オムレツ少年の儀式」「猫舌男爵」が好き。結局、猫舌男爵についてはわからずじまいだったが、みんな幸せな結末を迎えてなにより。

    繰り返し読み必至。



    1刷
    2021.6.12

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    2021年06月12日
  • 夜のリフレーン

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    短編小説には作家の技量が出る。

    まさにそれのお手本のような作品集でした。

    幻想的な作品は美しい。

    大好きです。皆川さん(//∇//)

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    2021年03月19日
  • 蝶

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    ネタバレ

    詩句が引用され、そこから紡がれた物語はどれも暗い影が射し複雑な感情を引き出す。
    戦前から戦後と移ろう中で、人々の感情には容易に切り替えられない虚しさや悲哀が見て取れ、やり切れない。
    研ぎ澄まされた文章の裏を探りたくなる艶かしさがある。多くを語らない部分に奥深さを感じる。読後は悲しみに包まれ、今もふと考えてしまう。

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    2021年02月16日
  • 蝶

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    8篇から成る短篇集。それぞれに俳句、詩の引用が載せられている。
    皆川博子さん初読。大満足。まず「空の色さえ」から、灰まみれになった他人の想い出でも覗いているかのような感覚を覚え、物語に引き込まれた。片目のない叔父、小間使いと戯れる奥様……。「妙に清らの」と「幻燈」には特に惹かれた。幻想的な世界に夢中になって読んだが、自分に詩句の知識がないことが悔やまれる。どういう意図があってこの詩や俳句が引用されているのか、というのを知りたい。
    皆川さんのほかの作品も読みたいと思った。

    空の色さえ/蝶/艀/想ひ出すなよ/妙に清らの/龍騎兵は近づけり/幻燈/遺し文

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    2021年01月29日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    最後のあの文章を読み終えたときのあの静かで哀しい、美しさすら思わせる脱力感。
    エドと一緒に生きたくても、理解されたくてもそれは無理だと分かっていても最後の最後にそれを望まずにはいられなかったナイジェルが切ない。ナイジェルは…天使だよ……

    『U(ウー)』文庫版の特典往復書簡にあった続篇のお話、期待してやみません。というかここまでの量のストーリーで、しかも続篇なのに更に面白いって一体どういうことなの

    皆川先生、健康に、末永く執筆活動を(でも、無理なく)続けていってほしいものです

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    2021年01月26日
  • U

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    初見の作家を装丁買い。一切悔いなし。

    以前に短編集『影を買う店』をちらっと読んだときに、幻想小説かぁ…ちょっと違うかもなぁ…って思ってたけど、いや全然そんなことない
    同じように短編読んで離れそうになった人はぜひ長編の皆川博子をこそ読んでほしい

    ドイツの潜水艦Uボートと、underground(地下)の2つのUを巡って、少年たちが「時代」や「歴史」や「戦争」…どうしようもない世界の何かに翻弄され、時を超えなお生き続けてゆくお話

    彼らの身のうちに湧き、淀み、沈んでは迸る感情は強烈で、しかも彼らはそれを互いに(一部は一方通行に)何世紀もの間行き来させるのだけれど、その姿を描き切ってしまう丹念な

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    2020年12月30日
  • 双頭のバビロン 上

    購入済み

    ごてごてと重なり合って

    悪い意味ではなく ごてごてと何層にも重なり合ったエピソードが 混ざり合うことはなく進んでゆく話。並の作家が書いたら単なるもつれた話にしか過ぎないところを、魔術的な筆力でちゃんとした作品に仕上げている。
    作者は90歳を越える現役最長老の小説家であるが毎年のように新作を発表されている。作者ご本人が魔女的な力を持っているのかもしれない。

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    2020年09月10日
  • ゆめこ縮緬

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    魅了される色濃く美しい文章で、昏く深いところから浮かび上がってきた見たくない気持ちをまざまざと見せつけられた気がしました。
    厭ではなく、深淵を覗いているように。
    じわじわと染み込んでくるものから、ラストでくるっと世界が変わるものまで様々。
    皆川さんの世界は、今より前の時代を舞台にしていても普遍的な感情の気がします。でもそれがこんなにも美しい物語に昇華されているので読みたくなります。身体的にも精神的にも、残酷だけど。

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    2020年08月26日
  • 愛と髑髏と

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    久しぶりに皆川さんの短編を読んだが、その絶妙な毒にクラクラした。
    すべて人間の醜いともいえるエゴが剥き出しなのに、繊細なレース編みみたいな幻想的な美しさをもつ短編。解説の服部まゆみさんが言いたいことを全て言ってくれている。
    特に「舟唄」の愛の形が好き。

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    2020年07月24日
  • 花闇

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    ネタバレ

    3,4年前に隙間時間に読もうと思って買っていたけど挫折してた本。
    最近ドラマの仁を見直してて、澤村田之助…?どっかで聞いたぞ…?花闇じゃん!?となり、即再チャレンジすることに。
    いやー面白かった〜!
    挫折してたのが意味わからないくらい面白かった〜!
    本当私隙間時間に読むの向いてない。
    没入しちゃうから一気見しかできない。

    幕末〜明治に実在した歌舞伎役者で、女形だった3代目澤村田之助の生涯を描いた本。その影として、世話をこなす自身も女形の市川三すじが主人公。
    舞台上の怪我が原因で四肢を失いながらも舞台に立ち続けた田之助の激動の人生が三すじ目線で描かれているのだけど、この三すじもなかなかに拗らせ

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    2020年07月05日
  • 愛と髑髏と

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    「風」★
    「悦楽園」
    「猫の夜」★
    「人それぞれに噴火獣」★
    「舟唄」★
    「丘の上の宴会」
    「復讐」
    「暁神」
    解説 服部まゆみ
    編者解題 日下三蔵

    語り手あるいは視点人物が実は@@だった、という私好みの叙述でもあり。
    皆川博子独特の、デストルドーというかタナトスというか、が、ひたひた。
    中年女性(生活)の挫折=少女性(夢想)の勝利、というラインが、嗜虐被虐の一点に押し込められていくという……これはもう立派な文芸批評の対象になりうる作家性だ。
    中年女性については「舟唄」、少女については「人それぞれに噴火獣」、そして少女性を離れた寓話としては「猫の夜」。
    凄まじいの一言に尽きる。

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    2020年05月05日
  • ゆめこ縮緬

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    甘い毒を含んだ、絢爛な幻想短編集。どれをとっても酔いしれるような気分にさせられる作品ばかりです。作中に引用されている西城八十の詩などもまた雰囲気をより一層引き立てて、くらくらしそう。一気に読んでしまうのはもったいないし、毒が回りそうでもあります。少しずつ読むのがおすすめかも。
    全部好きだけれど、強いてお気に入りを選ぶなら「青火童女」かなあ。玉緒の魅力にもやられてしまったのですが。過去と現在と未来が絡み合う物語の中、どこをとっても凄まじいばかりの情景。そこに居並ぶ人形たちが美しくも恐ろしく、ひどく魅せられました。なんだかもうここから抜け出せないような心境です。

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    2020年04月22日
  • 死の泉

    購入済み

    凄かった

    虚構と現実の境い目が危うくなる。最後の最後で味わう幻想的な読了感。

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    2020年02月15日