皆川博子のレビュー一覧

  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    短編小説には作家の技量が出る。

    まさにそれのお手本のような作品集でした。

    幻想的な作品は美しい。

    大好きです。皆川さん(//∇//)

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    2021年03月19日
  • 蝶

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    ネタバレ

    詩句が引用され、そこから紡がれた物語はどれも暗い影が射し複雑な感情を引き出す。
    戦前から戦後と移ろう中で、人々の感情には容易に切り替えられない虚しさや悲哀が見て取れ、やり切れない。
    研ぎ澄まされた文章の裏を探りたくなる艶かしさがある。多くを語らない部分に奥深さを感じる。読後は悲しみに包まれ、今もふと考えてしまう。

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    2021年02月16日
  • 蝶

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    8篇から成る短篇集。それぞれに俳句、詩の引用が載せられている。
    皆川博子さん初読。大満足。まず「空の色さえ」から、灰まみれになった他人の想い出でも覗いているかのような感覚を覚え、物語に引き込まれた。片目のない叔父、小間使いと戯れる奥様……。「妙に清らの」と「幻燈」には特に惹かれた。幻想的な世界に夢中になって読んだが、自分に詩句の知識がないことが悔やまれる。どういう意図があってこの詩や俳句が引用されているのか、というのを知りたい。
    皆川さんのほかの作品も読みたいと思った。

    空の色さえ/蝶/艀/想ひ出すなよ/妙に清らの/龍騎兵は近づけり/幻燈/遺し文

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    2021年01月29日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    最後のあの文章を読み終えたときのあの静かで哀しい、美しさすら思わせる脱力感。
    エドと一緒に生きたくても、理解されたくてもそれは無理だと分かっていても最後の最後にそれを望まずにはいられなかったナイジェルが切ない。ナイジェルは…天使だよ……

    『U(ウー)』文庫版の特典往復書簡にあった続篇のお話、期待してやみません。というかここまでの量のストーリーで、しかも続篇なのに更に面白いって一体どういうことなの

    皆川先生、健康に、末永く執筆活動を(でも、無理なく)続けていってほしいものです

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    2021年01月26日
  • U

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    初見の作家を装丁買い。一切悔いなし。

    以前に短編集『影を買う店』をちらっと読んだときに、幻想小説かぁ…ちょっと違うかもなぁ…って思ってたけど、いや全然そんなことない
    同じように短編読んで離れそうになった人はぜひ長編の皆川博子をこそ読んでほしい

    ドイツの潜水艦Uボートと、underground(地下)の2つのUを巡って、少年たちが「時代」や「歴史」や「戦争」…どうしようもない世界の何かに翻弄され、時を超えなお生き続けてゆくお話

    彼らの身のうちに湧き、淀み、沈んでは迸る感情は強烈で、しかも彼らはそれを互いに(一部は一方通行に)何世紀もの間行き来させるのだけれど、その姿を描き切ってしまう丹念な

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    2020年12月30日
  • 死の泉

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    「歌う城壁」の童話を起点に、正統アーリア人の子を養育する施設・生命の泉、ナチスの地下壕、不死の人体実験、ボーイソプラノを生涯維持する去勢手術等々書き並べると不安になる題材を、元SSの科学者の家族を中心とした物語としてまとめ上げた一冊。
    読んでいる間中、ずっと靄に包まれた感覚に陥っていた。何が謎で何が真実なのか、作中で一応明らかにされる。
    がしかし、この作品自体が真実なのかをわからなくする仕掛けが冒頭からあとがきに至るまでを貫いている。
    お伽噺のはずの歌う城壁の下で十数人の命が現実に消える。
    読後残るのは恐怖……。
    楽しい小説ではない。
    面白いと言っていいのかもわからない。そう言えば不謹慎になっ

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    2020年12月15日
  • 双頭のバビロン 上

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    ごてごてと重なり合って

    悪い意味ではなく ごてごてと何層にも重なり合ったエピソードが 混ざり合うことはなく進んでゆく話。並の作家が書いたら単なるもつれた話にしか過ぎないところを、魔術的な筆力でちゃんとした作品に仕上げている。
    作者は90歳を越える現役最長老の小説家であるが毎年のように新作を発表されている。作者ご本人が魔女的な力を持っているのかもしれない。

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    2020年09月10日
  • ゆめこ縮緬

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    魅了される色濃く美しい文章で、昏く深いところから浮かび上がってきた見たくない気持ちをまざまざと見せつけられた気がしました。
    厭ではなく、深淵を覗いているように。
    じわじわと染み込んでくるものから、ラストでくるっと世界が変わるものまで様々。
    皆川さんの世界は、今より前の時代を舞台にしていても普遍的な感情の気がします。でもそれがこんなにも美しい物語に昇華されているので読みたくなります。身体的にも精神的にも、残酷だけど。

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    2020年08月26日
  • 愛と髑髏と

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    久しぶりに皆川さんの短編を読んだが、その絶妙な毒にクラクラした。
    すべて人間の醜いともいえるエゴが剥き出しなのに、繊細なレース編みみたいな幻想的な美しさをもつ短編。解説の服部まゆみさんが言いたいことを全て言ってくれている。
    特に「舟唄」の愛の形が好き。

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    2020年07月24日
  • 花闇

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    3,4年前に隙間時間に読もうと思って買っていたけど挫折してた本。
    最近ドラマの仁を見直してて、澤村田之助…?どっかで聞いたぞ…?花闇じゃん!?となり、即再チャレンジすることに。
    いやー面白かった〜!
    挫折してたのが意味わからないくらい面白かった〜!
    本当私隙間時間に読むの向いてない。
    没入しちゃうから一気見しかできない。

    幕末〜明治に実在した歌舞伎役者で、女形だった3代目澤村田之助の生涯を描いた本。その影として、世話をこなす自身も女形の市川三すじが主人公。
    舞台上の怪我が原因で四肢を失いながらも舞台に立ち続けた田之助の激動の人生が三すじ目線で描かれているのだけど、この三すじもなかなかに拗らせ

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    2020年07月05日
  • 愛と髑髏と

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    「風」★
    「悦楽園」
    「猫の夜」★
    「人それぞれに噴火獣」★
    「舟唄」★
    「丘の上の宴会」
    「復讐」
    「暁神」
    解説 服部まゆみ
    編者解題 日下三蔵

    語り手あるいは視点人物が実は@@だった、という私好みの叙述でもあり。
    皆川博子独特の、デストルドーというかタナトスというか、が、ひたひた。
    中年女性(生活)の挫折=少女性(夢想)の勝利、というラインが、嗜虐被虐の一点に押し込められていくという……これはもう立派な文芸批評の対象になりうる作家性だ。
    中年女性については「舟唄」、少女については「人それぞれに噴火獣」、そして少女性を離れた寓話としては「猫の夜」。
    凄まじいの一言に尽きる。

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    2020年05月05日
  • ゆめこ縮緬

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    甘い毒を含んだ、絢爛な幻想短編集。どれをとっても酔いしれるような気分にさせられる作品ばかりです。作中に引用されている西城八十の詩などもまた雰囲気をより一層引き立てて、くらくらしそう。一気に読んでしまうのはもったいないし、毒が回りそうでもあります。少しずつ読むのがおすすめかも。
    全部好きだけれど、強いてお気に入りを選ぶなら「青火童女」かなあ。玉緒の魅力にもやられてしまったのですが。過去と現在と未来が絡み合う物語の中、どこをとっても凄まじいばかりの情景。そこに居並ぶ人形たちが美しくも恐ろしく、ひどく魅せられました。なんだかもうここから抜け出せないような心境です。

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    2020年04月22日
  • 死の泉

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    凄かった

    虚構と現実の境い目が危うくなる。最後の最後で味わう幻想的な読了感。

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    2020年02月15日
  • 薔薇忌

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    久し振りの皆川博子さん、さんといっていいのか今年で85歳になられた今まで10指に余る賞を受けて、文化功労者にも選ばれた。
    多くの作品は、幻想的と冠がつく、長編小説、切れのいい短編(それでもなお妖しい)ゴシックロマンといってもいい、海外を舞台にした、不思議な出来事、怪しい雰囲気を纏った作品群。
    人の暗い部分を見る目を持っている人は、何かの気配に敏感だったり、時々常にない心もちに陥ったりする。
    見たり聴いたり感じたりする本来の器官の働きに、敏感な特殊な能力を持っている人なのかもしれない。
    皆川さんは、そういう異界の、異形のものだったり、現実何気ない気配を、幻のように書き出してみせてくれる。
    幻想作

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    2020年01月05日
  • 猫舌男爵

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    面白かったです。
    SFとコメディと幻想と…いろいろな色のお話たちでした。
    表題作は笑い過ぎました。皆川さんこういうのもお書きになるんだ。ハリガヴォ・ナミコが皆川博子のアナグラムって気付かなかったけど…そして皆川さんの初期?に針ヶ尾さんのお話あるのですね。
    「私は猫です」の活用…確かに、これ読んでると日本語ってつくづく変わってるなと思います。
    結局誰も「猫舌男爵」を読めていないし、話も噛み合わないのに、ラストは皆さん幸せになる。良いなぁ。
    「水葬楽」がとても好きでした。
    死が近付くと容器に入り、液体の中で暮らす人々。それを見詰める兄妹は結合児で…。選別された妹だけど、なかなか衰弱が始まらないのが

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    2019年12月21日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

    購入済み

    「創作する遺伝子」小島秀夫推薦

    皆川さんを知ることができて良かったです。石炭の煙に曇ったロンドンの情景に馬車、死体、当時の医学、羊皮紙の書物、コーヒーショップや退廃的な文化を散りばめて、最後の最後までドキドキしながら読むことができました。

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    2019年12月21日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    海外小説の翻訳ものを読んでいるような感じでした。個人的には読むのに骨が折れた。。。
    最後、どんでん返しもあります。

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    2019年12月08日
  • 薔薇忌

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    初めて読んだ皆川作品。衝撃を受けたが、著者の他作品を読んでいくうち、かなりライトなほうだと知った。皆川博子入門にいいかも。過激さは抑え目でただただ美しく、幻想的。

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    2019年11月17日
  • ゆめこ縮緬

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    ネタバレ

    幻想文学とはどんなかな、と気軽に手に取ったものの、最初の二行
    「指は、あげましたよ」
    背後に声がたゆたった。
    からもうにおい立つ霧、湿気、妖しい気配に呑まれる。
    大正~戦前くらいが時代設定らしいけれど、お金持ちのお話が多くてそのゆとりある暮らしと文化が、相応しい格式と美しさを持つ文体で丁寧に綴られている。お妾さんにお手伝い、乳母等が大勢という現代の私たちには馴染みのない暮らしがにおいや光を伴って目の前に易々と立ち上がってくるその力量、畏怖の念を抱くばかり。
    しかしそんな確かな生活の描写がむしろ話の妖しさ、危うい官能(直接的な表現はないのに!)、夢とうつつ、死と生がぐるりぐるりと交じり合う恐ろし

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    2019年09月27日
  • 夜のアポロン

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    いつ読んでも新しく思えるのだけど、かなり前に書かれたものなのかな。
    世界観に浸れる貴重な作家さん。
    まだまだ作品を送り出して欲しい。

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    2019年08月29日