皆川博子のレビュー一覧

  • 蝶

    乱歩の「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」がしっくりくる短編集。
    作品はすべて戦前から戦後を舞台に、戦前の生活は夜の夢のように追想される。

    各作品に引用された詩歌が印象に残って、1編は20分くらいで読めるみじかさでも読んだ後に想像が広がった。

    時代背景は共通しているが、連続性はないのでどこから...続きを読む
  • 薔薇密室
    幻かそれとも現実か
    美しさと醜さが入れ混じり
    官能的な物語に浸れる一冊
    個人的に好きでしたが好き嫌い分かれると思います
  • 蝶

    あさましくも美しい人間の心の闇、そして狂気を、鉱物に喩えられるような硬質な文章で描いた短編集。
    なかでも個人的に大好きなのが『妙に清らの』。ため息が出るほど美しい。
    ゾクゾクするぜ!
  • 倒立する塔の殺人
    この手の作品では一般的な女の子の視線が必要だと思う私には、ベー様の存在がとても嬉しかった。何より解説が三浦しをんであることも嬉しい(三浦しをんの秘密の花園でも一般的な女の子の視線が描かれている)。ミステリ要素としては消去法で答えを導きだせるものの、解決に向かうまでのすべてのディテールが計算された美し...続きを読む
  • 薔薇密室
    ミルカ側の物語が好き。
    ユーリクの愛情がまっすぐ過ぎる。せめてミルカが生きてる事を知って欲しかった。

    読み終わってから冒頭部分を読み返してさらに切なくなった。
  • たまご猫
    一言で表すと、美しくて怖い物語でしょうか(ベタですいません)。

    表題作の「たまご猫」が気に入りましたが、どの話も面白かったです。
    「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベースになっているのでしょうか。
    この「厨子王」ですが、以前山椒太夫を読んだ時のことを思い返して、こんな描写あったかな?と感じた...続きを読む
  • 薔薇密室
    久しぶりに続きが気になって一気に読んでしまった。
    カテゴリー分けがこんなにも難しい作品は珍しい。
    ミステリーとして読むと正直言って結末は物足りないと思う。

    でも面白かった。
    美しくて哀しい。


    ミルカとユーリクの章が個人的にツボにはまってしまった。
    思わず久しぶりにきゅんとした。

    またじっくり...続きを読む
  • 蝶

    短編が八篇収載されているが、どれも一本の映画になりそうなくらいにドラマティックだ。日本、近代の闇から生まれた人間像を、美しく哀しく垣間見せてくれる文章は、直裁でありながら鮮やか。各々の物語に散りばめられた、詩や短歌も美しい。
  • 伯林蝋人形館
    複数の登場人物の視点による短編から成る一つの物語。
    解説の方が作ってくれた年表が、とても役立ちました。
    舞台は、第一次大戦後のドイツ。
    そんな混沌の時代に生きる、6人の男女。
    それぞれの思惑は当然違うから、読んでいて混乱する。
    久々に頭を使いました。
    皆川博子は、やっぱり凄い。
  • 伯林蝋人形館
    再読。

    錯綜する時間と、人の心。
    一章、二章と読み進めるうちに、得体の知れない沼の中に入り込んでしまう感覚。
    どれが現実で、どれが夢なのか分からなくなるのだ。
    それでいて、第一次世界大戦前後の生々しくも凄惨な戦争や、庶民の日々の暮らしの描写は的確。
    読者は当時のベルリンの倦みを孕んだ熱気に身を浸し...続きを読む
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―
    登録100アイテム目!

    初めて読む作家さんだけど、あらすじと表紙が気になって買った本。「18世紀ロンドン」「ミステリー」のあたりとかね。
    第一印象は翻訳を読んでるような文章だなーという感じ。レビュー見ると、他の作品とは文体をあえて変えてるみたい。後で知ったけど、80歳を越えてるとは!

    めっちゃ...続きを読む
  • 蝶

    ほの暗さとどこか幻想的なお話たち…でも現実的な描写もしっかりしてあって妙に生々しい部分もあります。

    自分に詩が理解できたらよかったなあ…。

    「想ひ出すなよ」「妙に清らの」「幻燈」が好きですが話の最後はすべて印象的でした。
  • 蝶

    短編8作。
    蜻蛉や蝶のような小さな生き物たちを、思わず摘み殺してしまった、子供の頃に自分に感じた小さな残酷さを思い出す。
    詩句と情景の美しさが、深く影を落とす。
    言い知れない怖さがたまらない。
  • 伯林蝋人形館
    二大大戦の狭間の時代。

    あまりに甘美で退廃的。
    六人の語り手が織り成す物語は、最後にひとつの物語として完成します。
  • たまご猫
    表題作が凄い! ラストのイメージがとても鮮烈で、恐ろしいのだけれどそれ以上に美しい。「たまご猫」という、一見わけ分からないタイトルも惹きつけられるし、これは名作。「クライン・キャット」欲しいなあ。こんな結末になってしまうのは嫌だけれど。
    「骨董屋」は他の短編集でも読んだ覚えがあるけれど、やはり傑作。...続きを読む
  • 伯林蝋人形館
    果たしてこれはまったい幻想小説なのか、それとも小説の内なる史実を忠実に描写しているのか…?
    特に読み始めの頃は、その構造の複雑さに多くの読者は戸惑うことだろうと思う。
    別々のものにしか見えなかった物語たちがページを追うごとに徐々に繋がり、絡み合っていき、あたかも、観察者にいくつもの異なる顔を見せ...続きを読む
  • 伯林蝋人形館
    おどろおどろしく、細部までつまったストーリーにひきこまれました。
    皆川博子ファンになったキッカケの1冊。
  • 恋紅
     で、さらに。田之助つながりで。
     場末の芝居小屋の役者に救われる、遊女屋の娘ゆうの物語。
     女郎達の犠牲の上に成り立っている自分の暮らし。どうしようもない自己否定から始まる少女の葛藤が描かれます。

     このお話のせいってばかりじゃないんですけど、どーも「娼婦」にファンタジーを感じられない。
  • 伯林蝋人形館
    単行本も持っていますが、文庫も買いました。
    解説に年表が載っていて、とても詳しいです。
    皆川先生大好き。
  • 死の泉
    第二次大戦下のドイツ。ギュンター・フォン・フュルステンベルクの子を身ごもったマルガレーテは、ナチの施設“生命の泉《レーベンスボルン》”に身を置く。不老不死の研究を行い芸術を偏愛する医師クラウスに求婚され承諾したマルガレーテは、彼の養子であるフランツとエーリヒそして産み落とした我が子・ミヒャエルと共に...続きを読む