皆川博子のレビュー一覧

  • 伯林蝋人形館

    Posted by ブクログ

    再読。

    錯綜する時間と、人の心。
    一章、二章と読み進めるうちに、得体の知れない沼の中に入り込んでしまう感覚。
    どれが現実で、どれが夢なのか分からなくなるのだ。
    それでいて、第一次世界大戦前後の生々しくも凄惨な戦争や、庶民の日々の暮らしの描写は的確。
    読者は当時のベルリンの倦みを孕んだ熱気に身を浸しながら、出てくる人物たちの愛と絶望に寄り沿う。

    ここまで緻密に物語を組み立てる、その手腕にただただ感服。
    すべての話の細部が、食み合うように絡み合い、一篇の豪奢な織物のような物語を紡ぎ上げている。
    時代背景描写の重厚さ、人物描写の深遠さ、さらにはすべてが幻想とも取れる人物たちの喜怒哀楽の耽美さ。

    0
    2011年11月04日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

    Posted by ブクログ

    登録100アイテム目!

    初めて読む作家さんだけど、あらすじと表紙が気になって買った本。「18世紀ロンドン」「ミステリー」のあたりとかね。
    第一印象は翻訳を読んでるような文章だなーという感じ。レビュー見ると、他の作品とは文体をあえて変えてるみたい。後で知ったけど、80歳を越えてるとは!

    めっちゃ面白かったよ!
    過去と現在(?)の時系列に分けて書かれていて、それにちゃんと意味がある。物語の構成が素晴らしい!
    色んな人が関わったちょっと複雑な事件なんだけど、2転3転するわ、伏線張りまくりだわでひとつの作品で何回騙すんだと。でも、この騙され方はむしろ気持ちいい。
    最後はちょっと切なくて、余

    0
    2020年01月28日
  • 蝶

    Posted by ブクログ

    ほの暗さとどこか幻想的なお話たち…でも現実的な描写もしっかりしてあって妙に生々しい部分もあります。

    自分に詩が理解できたらよかったなあ…。

    「想ひ出すなよ」「妙に清らの」「幻燈」が好きですが話の最後はすべて印象的でした。

    0
    2011年01月16日
  • 伯林蝋人形館

    Posted by ブクログ

    二大大戦の狭間の時代。

    あまりに甘美で退廃的。
    六人の語り手が織り成す物語は、最後にひとつの物語として完成します。

    0
    2010年03月09日
  • たまご猫

    Posted by ブクログ

    表題作が凄い! ラストのイメージがとても鮮烈で、恐ろしいのだけれどそれ以上に美しい。「たまご猫」という、一見わけ分からないタイトルも惹きつけられるし、これは名作。「クライン・キャット」欲しいなあ。こんな結末になってしまうのは嫌だけれど。
    「骨董屋」は他の短編集でも読んだ覚えがあるけれど、やはり傑作。幻想的な美しさもさながら、はっきりとしたオチもあるので、「皆川作品はどうも分かりにくい」という人(かくいう私もけっこうそう思っています。好きなんだけどね)にもお薦め。

    0
    2010年01月28日
  • 伯林蝋人形館

    Posted by ブクログ

    果たしてこれはまったい幻想小説なのか、それとも小説の内なる史実を忠実に描写しているのか…?
    特に読み始めの頃は、その構造の複雑さに多くの読者は戸惑うことだろうと思う。
    別々のものにしか見えなかった物語たちがページを追うごとに徐々に繋がり、絡み合っていき、あたかも、観察者にいくつもの異なる顔を見せる多面体プリズムのような壮大な流れが誕生する。
    そして、幻視描写であろうと思われていた荒唐無稽な出来事たちが、見事に理屈に適った事実として整合していく。
    “雰囲気だけ”の幻想小説に決して収まることなく、隅々まで巧緻に計算しつくされた魅力あふれるストーリーにちゃんと仕立て上げる皆川博子氏の超絶技術

    0
    2010年01月18日
  • 伯林蝋人形館

    Posted by ブクログ

    おどろおどろしく、細部までつまったストーリーにひきこまれました。
    皆川博子ファンになったキッカケの1冊。

    0
    2009年11月07日
  • 恋紅

    Posted by ブクログ

     で、さらに。田之助つながりで。
     場末の芝居小屋の役者に救われる、遊女屋の娘ゆうの物語。
     女郎達の犠牲の上に成り立っている自分の暮らし。どうしようもない自己否定から始まる少女の葛藤が描かれます。

     このお話のせいってばかりじゃないんですけど、どーも「娼婦」にファンタジーを感じられない。

    1
    2009年10月07日
  • 伯林蝋人形館

    Posted by ブクログ

    単行本も持っていますが、文庫も買いました。
    解説に年表が載っていて、とても詳しいです。
    皆川先生大好き。

    0
    2009年10月04日
  • アルモニカ・ディアボリカ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前作に比べて登場人物が増えてかなり複雑になった
    ナイジェルの出生、アルモニカ・ディアボリカとは何なのか、そこで起こった事件は何だったのかという謎が解明していくのはなかなか面白かった
    ハッピーエンドにはたどり着いたけど、あまり救いはない終わり方をした
    もうダニエル先生の弟子達がわちゃわちゃする日常は帰ってこないのかと思うとかなり寂しい

    0
    2026年02月14日
  • だから捨ててと言ったのに

    Posted by ブクログ

    いろんな作家さんが集まった短編集。始まりはみんな同じ文章からなのに十人十色で、作家さんの人数分だけ、想像できないような物語が広がって楽しい。まだ手にとった事のない作家さんの作風も知れるし、これからもっと読書の幅が広がりそう^-^私のお気に入りは『パルス、またたき、脳挫傷』『母の箪笥』『海に還る』『切れたミサンガ』『探偵ですから』

    0
    2026年02月04日
  • それはそれはよく燃えた

    Posted by ブクログ

    全ての作品が「それはそれはよく燃えた。」という1文から始まる。
    25名の作家からなるアンソロジー。

    その中でも
    市塔 承さん(2025年のメフィスト賞受賞、まだ作品は未発売)を知れただけでも、この本を買う価値があったと思う。

    0
    2026年01月26日
  • それはそれはよく燃えた

    Posted by ブクログ

    「それはそれはよく燃えた」の1文から始まる数多の短編。燃えたのは物質であり概念であり、「燃やす」という人間ならではの行いは唯一つには留まらないのだのと認識させられた。
    黄金の森の神様とレヴナントが印象深かった
    皆川博子の作品は大御所流石の表現力

    0
    2026年01月23日
  • だから捨ててと言ったのに

    Posted by ブクログ

    簡単に読める短編集。
    この作品集の中で好みの作品は、
    無理解 潮谷験
    お守り代わり 真下このみ
    ミックス 河村拓哉
    累犯家族 五十嵐律人
    吊るし柿の家 高田崇史
    猟妻 谷絹茉優

    悪意を持った人間の行動を描いた物語が面白く読めた。

    0
    2026年01月11日
  • だから捨ててと言ったのに

    Posted by ブクログ

    作品紹介・あらすじ

    こんなことになるなんて!
    1行目は全員一緒、25編の「大騒ぎ」。

    早起きした朝、昼の休憩、眠れない夜ーー。
    ここではないどこか、今ではないいつかへ、あなたを連れ出す7分半の物語。

    『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第四弾。

    *****

    25編からなるショートショート集。
    Mephisto Readers Club(MRC)が贈る大好評シリーズ第4弾とのこと。既に第3弾と第6弾は読み終えた。
    最初の一文

    0
    2026年01月09日
  • U

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    心を掻き乱される長編だった。戦争に巻き込まれてすべてを奪われた、取り返しのつかない沢山の人生に思いを馳せる。
    第一次世界大戦時のドイツと、十七世紀のオスマン帝国。このふたつが思わぬところで繋がったときの興奮!
    特にオスマン帝国時代のパートは読み応えがあった。宮殿の中の様子が目に浮かんでくるようだったし、奴隷たちの人間関係や権力者の言動もすぐ目の前で見ているような臨場感があった。それだけに、何も知らぬ少年たちが人間扱いされていない描写は、不憫で胸が痛んだ。
    二人の手記を読むという形での読書も楽しめた。この手記は主にヤーノシュの中の矛盾と、さまざまなものを消化するためにあるのだろう。宗教を変えられ

    0
    2025年10月19日
  • アルモニカ・ディアボリカ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    またバートンズのみんなに会えて喜んでたらナイジェルとデニス・アボットが知らないうちに死んでてショック……

    ナイジェルの生い立ちが壮絶。やっぱり環境が人間に与える影響は大きいのか……
    患者を見世物にしてお金をとってたベツレヘム精神病院が本当にあると知り戦慄。

    虐待、生き埋め、死体。全体的にどろどろしていてグロテスクなのにどこか美しい。
    ミステリとしては前作よりも少し詰めが甘い印象。

    最後の一文が切ない。

    0
    2025年09月19日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

    Posted by ブクログ

    最後はなかなか集中出来なかったので時間がかかったが面白かった。
    登場人物のキャラクターが良かった。
    共感できたわけではないけど、世界観は好き。

    0
    2025年09月04日
  • アルモニカ・ディアボリカ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エドワード・ターナー三部作の二作目。
    一作目の「開かせていただき光栄です」が衝撃的な面白さだったのでこちらも早速読んでみた。


    感想(前作含むネタバレあり)
    前作は2012年本格ミステリ大賞を受賞している。
    前作含めネタバレなしで読むのを強く強くお勧めするので、未読の場合はここで止まって欲しい。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    エドとナイジェルが消え、解剖教室の初期メンバーが解散して数年後の世界。
    その他メンバー(アル、クラレンス、ベン)はダニエル先生の解剖教室を辞め、治安判事サー・ジョンの元で働いている。

    ある日、サー・ジョンの元にお客がやってきた。彼の依頼は、とあ

    0
    2025年08月02日
  • 花闇

    Posted by ブクログ

    とても読み応えがあった。ともすると役者の心根って常人の理解の範疇を遠く超えてしまう中で、三すじという視点があるおかげでそれが少しだけ読み手の近くに引き寄せられて、ちゃんと腹に落ちるようになっていた(三すじもその狂気の一筋を持ってはいるけれど)。

    0
    2025年07月25日