皆川博子のレビュー一覧

  • 倒立する塔の殺人

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    少女たちの世界。複雑に絡み合う関係。
    戦争中という非常時にも少女は少女であることを忘れていないのがいい。
    物語はまるで入子になっているように感じ、前半は、今自分は何を読んでいるのか、なんの世界に入り込んでいるのかよくわからない。
    まるで、夢の中でまた夢を見ているような感じである。

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    2013年02月06日
  • 蝶

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    戦前〜戦後にかけての個人の喪失感を描いた作品群。ただひたすら文も話も美しいです。割とどの話も後味の悪い終わり方をするのですが、読後感はさらっとしてます。久しぶりに当たりを引いた気分で、他の作品も読んでみようかと思ってます。

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    2013年02月05日
  • 倒立する塔の殺人

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    ここ最近の私的ヒット本。
    純幻想文学というよりミステリー風味。
    一文一文に酔いしれた。数行しかないが、上級生と踊るシーンが特にお気に入り。
    もっとこの世界に浸っていたいと思えた一冊。

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    2013年02月05日
  • 蝶

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    乱歩の「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」がしっくりくる短編集。
    作品はすべて戦前から戦後を舞台に、戦前の生活は夜の夢のように追想される。

    各作品に引用された詩歌が印象に残って、1編は20分くらいで読めるみじかさでも読んだ後に想像が広がった。

    時代背景は共通しているが、連続性はないのでどこからでも読むことができるが、「艀」と「想い出すなよ」や、ラストの「遺し文」の並びも美しいと思う。

    特に気に入った「幻燈」は映像作品でも見てみたい。

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    2013年01月30日
  • 薔薇密室

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    幻かそれとも現実か
    美しさと醜さが入れ混じり
    官能的な物語に浸れる一冊
    個人的に好きでしたが好き嫌い分かれると思います

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    2012年12月14日
  • 蝶

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    あさましくも美しい人間の心の闇、そして狂気を、鉱物に喩えられるような硬質な文章で描いた短編集。
    なかでも個人的に大好きなのが『妙に清らの』。ため息が出るほど美しい。
    ゾクゾクするぜ!

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    2012年08月03日
  • 薔薇密室

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    ネタバレ

    ミルカ側の物語が好き。
    ユーリクの愛情がまっすぐ過ぎる。せめてミルカが生きてる事を知って欲しかった。

    読み終わってから冒頭部分を読み返してさらに切なくなった。

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    2012年06月06日
  • たまご猫

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    ネタバレ

    一言で表すと、美しくて怖い物語でしょうか(ベタですいません)。

    表題作の「たまご猫」が気に入りましたが、どの話も面白かったです。
    「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベースになっているのでしょうか。
    この「厨子王」ですが、以前山椒太夫を読んだ時のことを思い返して、こんな描写あったかな?と感じたのですが、皆川さんがお考えになったのでしょうか。
    それか、私が読んだものが読みやすいように(あるいは子ども向けに)変えられていたものかもしれませんが。

    怖いと言っても、どのお話も震えあがるほどではないのですが、「骨董屋」はゾッとしました。
    エツ子とリュウも怖いけど、麻子はてっきり小島との結婚を断る

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    2016年08月16日
  • 薔薇密室

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    久しぶりに続きが気になって一気に読んでしまった。
    カテゴリー分けがこんなにも難しい作品は珍しい。
    ミステリーとして読むと正直言って結末は物足りないと思う。

    でも面白かった。
    美しくて哀しい。


    ミルカとユーリクの章が個人的にツボにはまってしまった。
    思わず久しぶりにきゅんとした。

    またじっくり読み返したい。

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    2012年04月13日
  • 蝶

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    短編が八篇収載されているが、どれも一本の映画になりそうなくらいにドラマティックだ。日本、近代の闇から生まれた人間像を、美しく哀しく垣間見せてくれる文章は、直裁でありながら鮮やか。各々の物語に散りばめられた、詩や短歌も美しい。

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    2012年02月07日
  • 伯林蝋人形館

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    複数の登場人物の視点による短編から成る一つの物語。
    解説の方が作ってくれた年表が、とても役立ちました。
    舞台は、第一次大戦後のドイツ。
    そんな混沌の時代に生きる、6人の男女。
    それぞれの思惑は当然違うから、読んでいて混乱する。
    久々に頭を使いました。
    皆川博子は、やっぱり凄い。

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    2011年11月06日
  • 伯林蝋人形館

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    再読。

    錯綜する時間と、人の心。
    一章、二章と読み進めるうちに、得体の知れない沼の中に入り込んでしまう感覚。
    どれが現実で、どれが夢なのか分からなくなるのだ。
    それでいて、第一次世界大戦前後の生々しくも凄惨な戦争や、庶民の日々の暮らしの描写は的確。
    読者は当時のベルリンの倦みを孕んだ熱気に身を浸しながら、出てくる人物たちの愛と絶望に寄り沿う。

    ここまで緻密に物語を組み立てる、その手腕にただただ感服。
    すべての話の細部が、食み合うように絡み合い、一篇の豪奢な織物のような物語を紡ぎ上げている。
    時代背景描写の重厚さ、人物描写の深遠さ、さらにはすべてが幻想とも取れる人物たちの喜怒哀楽の耽美さ。

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    2011年11月04日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    登録100アイテム目!

    初めて読む作家さんだけど、あらすじと表紙が気になって買った本。「18世紀ロンドン」「ミステリー」のあたりとかね。
    第一印象は翻訳を読んでるような文章だなーという感じ。レビュー見ると、他の作品とは文体をあえて変えてるみたい。後で知ったけど、80歳を越えてるとは!

    めっちゃ面白かったよ!
    過去と現在(?)の時系列に分けて書かれていて、それにちゃんと意味がある。物語の構成が素晴らしい!
    色んな人が関わったちょっと複雑な事件なんだけど、2転3転するわ、伏線張りまくりだわでひとつの作品で何回騙すんだと。でも、この騙され方はむしろ気持ちいい。
    最後はちょっと切なくて、余

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    2020年01月28日
  • 蝶

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    ほの暗さとどこか幻想的なお話たち…でも現実的な描写もしっかりしてあって妙に生々しい部分もあります。

    自分に詩が理解できたらよかったなあ…。

    「想ひ出すなよ」「妙に清らの」「幻燈」が好きですが話の最後はすべて印象的でした。

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    2011年01月16日
  • 蝶

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    短編8作。
    蜻蛉や蝶のような小さな生き物たちを、思わず摘み殺してしまった、子供の頃に自分に感じた小さな残酷さを思い出す。
    詩句と情景の美しさが、深く影を落とす。
    言い知れない怖さがたまらない。

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    2010年10月14日
  • 伯林蝋人形館

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    二大大戦の狭間の時代。

    あまりに甘美で退廃的。
    六人の語り手が織り成す物語は、最後にひとつの物語として完成します。

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    2010年03月09日
  • たまご猫

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    表題作が凄い! ラストのイメージがとても鮮烈で、恐ろしいのだけれどそれ以上に美しい。「たまご猫」という、一見わけ分からないタイトルも惹きつけられるし、これは名作。「クライン・キャット」欲しいなあ。こんな結末になってしまうのは嫌だけれど。
    「骨董屋」は他の短編集でも読んだ覚えがあるけれど、やはり傑作。幻想的な美しさもさながら、はっきりとしたオチもあるので、「皆川作品はどうも分かりにくい」という人(かくいう私もけっこうそう思っています。好きなんだけどね)にもお薦め。

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    2010年01月28日
  • 伯林蝋人形館

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    果たしてこれはまったい幻想小説なのか、それとも小説の内なる史実を忠実に描写しているのか…?
    特に読み始めの頃は、その構造の複雑さに多くの読者は戸惑うことだろうと思う。
    別々のものにしか見えなかった物語たちがページを追うごとに徐々に繋がり、絡み合っていき、あたかも、観察者にいくつもの異なる顔を見せる多面体プリズムのような壮大な流れが誕生する。
    そして、幻視描写であろうと思われていた荒唐無稽な出来事たちが、見事に理屈に適った事実として整合していく。
    “雰囲気だけ”の幻想小説に決して収まることなく、隅々まで巧緻に計算しつくされた魅力あふれるストーリーにちゃんと仕立て上げる皆川博子氏の超絶技術

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    2010年01月18日
  • 伯林蝋人形館

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    おどろおどろしく、細部までつまったストーリーにひきこまれました。
    皆川博子ファンになったキッカケの1冊。

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    2009年11月07日
  • 恋紅

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     で、さらに。田之助つながりで。
     場末の芝居小屋の役者に救われる、遊女屋の娘ゆうの物語。
     女郎達の犠牲の上に成り立っている自分の暮らし。どうしようもない自己否定から始まる少女の葛藤が描かれます。

     このお話のせいってばかりじゃないんですけど、どーも「娼婦」にファンタジーを感じられない。

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    2009年10月07日