皆川博子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ書き出しが『だから捨ててと言ったのに』から始まる短編集。様々な作家さんがこの一言からそれぞれの物語を紡ぐので、本当にいろんなジャンルの話が読めるのが面白い。
個人的に印象に残っているのは多崎礼さんの『海に還る』、摩耶雄嵩さんの『探偵ですから』かな。短いからこそ、その世界にスッと入り込めてわかりやすい話が好み。『海に還る』は人魚の話で多崎さんの作品らしいファンタジーな世界観が8ページにまとまっていて良かった。『探偵ですから』はとにかくわかりやすい作品で読みやすかった。短い話なのに、物語の登場人物の心情もわかりやすかったし、飼ってる犬がしゃべりだすとか少し怖い感じもするけど、主人公が助かって良か -
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Posted by ブクログ
12世紀。バルト海に浮かぶゴットランド島に住む15歳の少女ヘルガ、ノヴゴロドの貿易商の完全奴隷であるマトヴェイ、リューベックの有力者の妹であるヒルデグントを中心に、交易の新たな時代の夜明け前を描く歴史小説。
てっきり決闘裁判がクライマックスにくるのだと思っていたらそこは前座。ヘルガが海にでてからが本番なのだが、三人称視点とマトヴェイの一人称視点が入り混じることにどういう効果があるのかよくわからなかった。ヘルガはゴットランドの言葉も読み書きできないという設定なので、ヘルガに語らせなかったのには意味はわかるのだけど。
人称問題も含めてヘルガが主人公だとも言い切れない群像劇であると思う。だからこ -
Posted by ブクログ
本書の元版は2002年刊行の『はじめて話すけど…』(フリースタイル)で、文庫のボーナストラックとして北村薫との記事が新たに収録されている。聞き手の小森氏は「短編ミステリの二百年」の編著者であるから、そのご縁での創元推理文庫入りだろうか。
〇各務三郎さん、懐かしいお名前。各務さんもミステリマガジンの編集長をされているのか。田村隆一、生島治郎、都筑道夫、常盤新平など錚々たる人たちが早川書房の草創期に働いていたのだな。
〇皆川博子さん、皆川さんには濃いファンが多いと聞いたことはあるが、残念ながらその著作を一冊も読んでいない。子どものころに読んだ本のことをこんなにも覚えているものなのか。巻末付 -
Posted by ブクログ
まずこれは、如何な時も理不尽に虐げられ踏みにじられ続けてきた、女性たちの闘いの物語である。
そして、聡明かつ慧敏でありながらなも奴隷民という身分のためにその力を揮うことができない、青年の葛藤の物語である。
さらに、バルト海に面する3つの地域を舞台に、それぞれの領民たちがそれぞれの思惑を胸に往き交い、剥き出しの欲望をぶつけ合う群像劇でもある。
つまり、まさしく皆川博子節に他ならない。
ただ常と異なるのは、あれ、まだ話半ばなのにもう紙幅が尽きそうだぞ…大丈夫か…という漠とした不安の通り、ここからという時にぷつりと幕を下ろされたような感があるところ。
かつての氏であれば、ここから世界をさらに拡大し、