皆川博子のレビュー一覧

  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    24編の幻想小説集。
    特にのめり込んだのは『妖瞳』だった。東京で男色研究をしている主人公が、因果な運命を背負った青年を目の前に、心の内で言葉が止まらないシーン。「内心舌なめずりする」のが文章だけで手に取るように分かって身震いした。主人公との対話によって硬く閉ざされた扉が開かれ、覆い隠された青年の心が再びその柔らかさを取り戻すのが切なく美しかった。
    纏足の少女をテーマにした『紅い鞋』や生きたくも死にたくもない女の話『青い扉』も印象的だった。淡々と身の上を語る主人公に共感した。静かだけれどたしかな意思が彼女たちの中に渦巻いている。

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    2023年01月03日
  • トマト・ゲーム

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    70年代の短編集。『悦楽園』で既読の「蜜の犬」がやっぱり優れてる。純粋な好奇心が狂気となる。ゾワゾワっとくる。

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    2022年12月22日
  • ゆめこ縮緬

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    「文月の使者」が印象的だ。中洲の煙草屋で話をしているだけなのに、男なのか女なのか、生者なのか死者なのか、境界が分からなくなってきて、どうにも妖しい。
    他の話も、ただぼんやりと読んでいても話が頭に入ってこない。流れるような美文なものだから騙されているような気分になってくる。なんとも妖しい一冊だった。

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    2022年12月20日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    陰鬱な展開が18世紀ロンドンの雰囲気と絶妙なアルモニカ。大作すぎて登場人物が覚えきれなかったのと、前作『開かせて〜』がネタバレで2作目から読んでしまって勿体なかったのが心残り。他も探してみようかな。

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    2022年03月05日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    続編ということだが、登場人物は重なるものの連続性はあまり感じられない。今作は非常に辛い展開であり、ラストも希望というよりさらなる悲劇への序章に感じられてしまう。

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    2021年11月29日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    最後の最後まで分からないストーリーは面白かった。文体のせいか読み進めるのに時間がかかった。会話があまりに淡々としているせいか。時代設定や人物はとても好み。

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    2021年11月27日
  • U

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    300年の時を越え、空間も超えて紡がれる二人の物語。オスマントルコ、第一次世界大戦これらをつないでいる数々の史実とそれに関わる二人。二つの物語を書いて、ぐるぐるっと混ぜて、一つにつないだ感じがして、なんとなくすわりが悪い感じがした。最終章もなんとなくとってつけた感があって、物語と今一つ有機的につながっている感じを受けなかった。読みが浅いかしら。。。

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    2021年10月07日
  • 夜のアポロン

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    濃密な狂気と性と死の臭いが漂う短編集。さすがの完成度だけど、一つ一つがすごい生々しい臭い(それを毎回品位を落とさず書ききるのはほんとうにすごい)を放っているのでお腹いっぱいになってしまった感じがする。
    「はっぴい・えんど」の高揚と墜落の間を行ったり来たりする、迸るエネルギーが読んでいて楽しかった。
    幻想的な「夜のリフレーン」のほうが好み。

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    2021年08月28日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    18世紀ロンドンを舞台とした解剖医とその周りにいる人たちで起こる事件、犯罪。時代の描き方についていくのが難しいというところがこの小説の読みにくさであり個性なので、ここを面白いと思えるかどうかだったと思う。最後に明かされる真実に行くまでに少々疲れてしまった。

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    2021年07月23日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    終盤、かなり息切れしてしまった。
    光の速さで畳まれまくる風呂敷に着いていくのに必死。
    まあこれは私の頭が悪いってだけの話なのですが、登場人物が元々多い上、ビリー、ブルース、ブッチャーとBから始まる名前のやたらと多いこと(撹乱?)そして真実があーでこーだもんで脳内大混乱スマッシュバートンズ。
    大きく3つ(4つか?)のクエスチョンを同時に追っていくのでそのあたり脳のリソースの配分を間違うと死ぬ。
    そんなわけで話は複雑濃厚で脳の使い甲斐があり非常に読み応えがある。
    ただ、ミステリーではあると思うけど推理小説ではない、かな。
    終盤てんてこまいになったのは謎の解明場面が語りで終わってしまったからかも。

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    2021年05月30日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    『開かせていただき光栄です』続編。

    外科医で解剖学の先駆者、ダニエル・バートンの解剖学教室を舞台に起きた連続殺人事件から5年。
    愛弟子のエドとナイジェルが出奔し、解剖学教室は閉鎖中。元弟子たちもそれぞれの生活を送りながらも、変わらず先生を敬愛している。
    ある日、盲目の治安判事として知られるジョン・フィールディング卿の元に、胸に暗号を刻まれた“天使の屍体”の情報が舞い込む。
    調査のため、そしてバートン先生に屍体を提供すべく現地に向かった元弟子たちが発見したのは、消息不明になっていたナイジェルの屍体だった…


    前作のラストのほろ苦さを思い出しながら読み始めたら、登場人物紹介リストの筆頭は「ジョ

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    2021年05月03日
  • 双頭のバビロン 下

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    皆川博子さんの、まるでその世界に入り込んでしまったような錯覚を覚えるほどの緻密な世界観は病みつきになってしまうけど、今回はお話があんまり好きになれなかったかなあ。上巻ののろのろ展開には辟易したし。あと、結末がハッピーエンドとは言えないのも読み手としてつらい。

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    2021年04月16日
  • 双頭のバビロン 上

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    読み終わるのにものすごく時間がかかってしまった……登場人物もいまいち掴みどころがなく、これといった出来事があるわけではなく、ただ淡々と一人称で描かれるストーリーは緩慢に感じられてほとんど興味を持って読めず…….ようやく上巻最後で出来事が起きたのでここからの展開が早いことを祈ってます

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    2021年04月14日
  • 少年十字軍

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    児童書だけど、ちゃんと皆川博子の歴史ロマンものだし幻想小説だった。悪魔サルガタナスと青い蝶の描写のなんとも言えない美しさ、ジャコブとドミニクのやり取りなど大人サイドの話をもっと掘ったら完全にいつもの皆川博子になるんだろうな…
    少年十字軍自体が史実とのことで驚いたけど、興味深い。

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    2021年03月04日
  • 蝶

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    先の大戦前後の日本を舞台にした短編集。
    谷崎潤一郎のような悪魔主義的な背徳の美を綴る。
    筋書きや文章でなく、雰囲気を堪能する作品に思える。
    ひたすらに美しく、通州事件の生還者である令嬢が凄惨な最期を遂げる一篇「遺し文」にて、彼女の描写として選ばれる凄艶という語が、全作品の評価として最も相応しいのではないかと。
    現と幻、生と死、美徳と悪徳とが等価に溶け合い、その境界が曖昧であるために全作品が、一つの短編の題名である「幻燈」の如くに非現実的な色合いを帯びている。
    たまゆらの白昼夢に魂を奪われるかのような怖さを宿す一冊。

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    2021年02月15日
  • 写楽

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    江戸文化史版水滸伝という感じでビッグネームたちが集まり散じてゆく様が大変楽しかった。そこにフォーカスした方がおもしろいさくひんになったのではないか。とんぼの挫折をだらだら書いたり蔦屋の投獄を丁寧に追っかけたりって、正直、要る?筆者自身も要らないと判断した部分はばさっと省略する人のようだし、もっとエンタメ度を高められたのではないかという気がする。
    写楽の活躍した10ヶ月間が非常にあっさりと描写され、ほとんど劇的な場面を交えずに終わるのは、ドライで小気味良かった。
    とんぼのほのかな恋が悪所における世俗の垢に汚染されて終わってゆく様なども苦くてよい。結局捨てた女のところに出戻るという、希望がなくはな

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    2020年12月26日
  • ゆめこ縮緬

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    美しかった。どこまでが現実でどこまでが幻想なのか分からない世界観。
    文月の使者、玉虫抄が好きだった。

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    2020年11月07日
  • 猫舌男爵

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    皆川博子は過去の異国へ誘ってくれるから好きだけど、何かしらのトラウマを残していくので、もうちょっと当分はいいかな…という気持ちになった。『水葬楽』、『睡蓮』は良かった。

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    2020年11月03日
  • 薔薇忌

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    どの話も、最後に突き放される哀しさがある。美しく残酷な秘密。決して癒されない哀しさ。
    薔薇忌と桔梗合戦が特に好きだった。

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    2020年10月10日
  • 写楽

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    写楽の正体は?という問いは、本能寺の黒幕は?に匹敵する歴史のミステリーになっています。

    さて、本作品は前世紀に映画化された作品の小説に当たります。映画に関しては辛うじて記憶の向こう側に有る様な無いようなですが、解説を観ると出演が真田広之、片岡鶴太郎、佐野史郎や葉月里緒奈などで思わず観てみたくなるような俳優陣です。

    さて、本作品は写楽の正体を巡るミステリーではありません。
    主人公の翻弄される奇異な運命を本筋に江戸の名プロデューサー蔦谷重三郎とその仲間達の物語となっております。どの様に写楽は現れ消えていったのか?と当時の江戸の風俗と文化を楽むような作品となっております。


    それにしても蔦屋重

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    2020年07月26日