皆川博子のレビュー一覧

  • だから捨ててと言ったのに

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    「だから捨ててと言ったのに」から始まる25のショートショート。1編が5ページ程なので、隙間時間にサクッと読める。
    ちょっと不穏なものから、クスッと笑えるものまで、同じお題でこんなに色々な広がり方をするんだなと楽しめた。
    一番好きだったのは夕木春央さんの「擲たれた手紙」。「だから捨ててと言ったのに」の言葉が切ない。

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    2025年02月18日
  • だから捨ててと言ったのに

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    『黒猫を飼い始めた』
    『嘘をついたのは、初めてだった』
    『これが最後の仕事になる』に続くシリーズ第四弾。

    会員制読書クラブ「メフィストリーダーズクラブ」のショートショート企画の作品を加筆修正したもの。

    今回のお題は「だから捨ててと言ったのに」という1行から始まる物語。

    1行目は同じでも展開は千差万別。
    ミステリー色が濃い物からホラーまでジャンルも様々で各作家さんの個性が楽しめた。

    ショートショートならではの切れ味を感じたのは
    「無理解/潮谷験」「累犯家族/五十嵐律人」

    読後感がしみじみ良かったのは「母の簞笥/砥上裕將」。

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    2025年02月16日
  • だから捨ててと言ったのに

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    この始まり方から暖かい物語にも出来るんだなぁ、とびっくり。岡崎先生のお話が素敵でした。
    最果先生の言葉選び、河村先生と清志先生の発想も面白かったです!

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    2025年02月05日
  • だから捨ててと言ったのに

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    ネタバレ

    「だから捨ててと言ったのに」という書き出しの一文のみ共通で、それ以降はあらゆるジャンルのショートショートが25作掲載されている1冊。ミステリ、ホラー、SFなどの短編がたくさん味わえてお得。
    中には読みにくいものやあまり好みでないものもあったが、それぞれが短いのであっさり読み終えて次に行けるのは嬉しい。反面、好みの作風のものも数ページで終わってしまうので物足りなさも感じてしまう。
    特に好みだったのは、岡崎隼人『パルス、またたき、脳挫傷』、砥上裕將『母の箪笥』、金子玲介『恋文』、多崎礼『海に還る』、柾木政宗『切れたミサンガ』。

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    2025年02月01日
  • 影を買う店

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    幻想・奇想小説集と銘打つだけあって、なんとも不思議な読み心地だった。
    まるでどこか知らない世界に誘われるよう。
    理解するのではなく《感じる》作品なのかもしれない。
    本来であれば他者の偏愛を覗き見るのは怖いはずなのに、興味が惹かれる。
    『猫座流星群』にゾワゾワさせられて、『柘榴』の世界観には没入してしまった。

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    2025年01月13日
  • 風配図 WIND ROSE

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    12世紀。バルト海に浮かぶゴットランド島に住む15歳の少女ヘルガ、ノヴゴロドの貿易商の完全奴隷であるマトヴェイ、リューベックの有力者の妹であるヒルデグントを中心に、交易の新たな時代の夜明け前を描く歴史小説。


    てっきり決闘裁判がクライマックスにくるのだと思っていたらそこは前座。ヘルガが海にでてからが本番なのだが、三人称視点とマトヴェイの一人称視点が入り混じることにどういう効果があるのかよくわからなかった。ヘルガはゴットランドの言葉も読み書きできないという設定なので、ヘルガに語らせなかったのには意味はわかるのだけど。
    人称問題も含めてヘルガが主人公だとも言い切れない群像劇であると思う。だからこ

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    2024年04月17日
  • はじめて話すけど…… 小森収インタビュー集

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     本書の元版は2002年刊行の『はじめて話すけど…』(フリースタイル)で、文庫のボーナストラックとして北村薫との記事が新たに収録されている。聞き手の小森氏は「短編ミステリの二百年」の編著者であるから、そのご縁での創元推理文庫入りだろうか。

     〇各務三郎さん、懐かしいお名前。各務さんもミステリマガジンの編集長をされているのか。田村隆一、生島治郎、都筑道夫、常盤新平など錚々たる人たちが早川書房の草創期に働いていたのだな。
     〇皆川博子さん、皆川さんには濃いファンが多いと聞いたことはあるが、残念ながらその著作を一冊も読んでいない。子どものころに読んだ本のことをこんなにも覚えているものなのか。巻末付

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    2023年12月18日
  • 薔薇忌

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    日本の舞台・伝統芸能と怪しい幻想譚を絡めた短編集。
    意図的にデザインされた作品群の為、ハッとする描写や展開に欠け所々強引さを感じた。
    作者にはもう少し捻られた凄惨な作品を期待してしまうが、『桔梗合戦』はウットリする出来栄え。

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    2023年12月08日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    題名がわたし好みすぎて、楽しみに読みました。途中まで名前がややこしかったけど、それぞれの特徴もあってだんだんと登場人物達に愛着がわいてきました。グロいシーンや残酷な描写もあったけど、ダニエルと弟子達の存在にホッとさせられた。

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    2023年08月28日
  • 風配図 WIND ROSE

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    まずこれは、如何な時も理不尽に虐げられ踏みにじられ続けてきた、女性たちの闘いの物語である。
    そして、聡明かつ慧敏でありながらなも奴隷民という身分のためにその力を揮うことができない、青年の葛藤の物語である。
    さらに、バルト海に面する3つの地域を舞台に、それぞれの領民たちがそれぞれの思惑を胸に往き交い、剥き出しの欲望をぶつけ合う群像劇でもある。
    つまり、まさしく皆川博子節に他ならない。
    ただ常と異なるのは、あれ、まだ話半ばなのにもう紙幅が尽きそうだぞ…大丈夫か…という漠とした不安の通り、ここからという時にぷつりと幕を下ろされたような感があるところ。
    かつての氏であれば、ここから世界をさらに拡大し、

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    2023年12月08日
  • 風配図 WIND ROSE

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    ヘルガの母もアグネの母も出てこない、つまり早くに亡くなっている。
    結婚しなかったアグネは正解なのか?ヘルガのその後は描かれていないけどどこへ行ったのか?

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    2023年07月04日
  • 夜のリフレーン

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    ネタバレ

    24編の幻想小説集。
    特にのめり込んだのは『妖瞳』だった。東京で男色研究をしている主人公が、因果な運命を背負った青年を目の前に、心の内で言葉が止まらないシーン。「内心舌なめずりする」のが文章だけで手に取るように分かって身震いした。主人公との対話によって硬く閉ざされた扉が開かれ、覆い隠された青年の心が再びその柔らかさを取り戻すのが切なく美しかった。
    纏足の少女をテーマにした『紅い鞋』や生きたくも死にたくもない女の話『青い扉』も印象的だった。淡々と身の上を語る主人公に共感した。静かだけれどたしかな意思が彼女たちの中に渦巻いている。

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    2023年01月03日
  • トマト・ゲーム

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    70年代の短編集。『悦楽園』で既読の「蜜の犬」がやっぱり優れてる。純粋な好奇心が狂気となる。ゾワゾワっとくる。

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    2022年12月22日
  • ゆめこ縮緬

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    「文月の使者」が印象的だ。中洲の煙草屋で話をしているだけなのに、男なのか女なのか、生者なのか死者なのか、境界が分からなくなってきて、どうにも妖しい。
    他の話も、ただぼんやりと読んでいても話が頭に入ってこない。流れるような美文なものだから騙されているような気分になってくる。なんとも妖しい一冊だった。

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    2022年12月20日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    陰鬱な展開が18世紀ロンドンの雰囲気と絶妙なアルモニカ。大作すぎて登場人物が覚えきれなかったのと、前作『開かせて〜』がネタバレで2作目から読んでしまって勿体なかったのが心残り。他も探してみようかな。

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    2022年03月05日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    続編ということだが、登場人物は重なるものの連続性はあまり感じられない。今作は非常に辛い展開であり、ラストも希望というよりさらなる悲劇への序章に感じられてしまう。

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    2021年11月29日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    最後の最後まで分からないストーリーは面白かった。文体のせいか読み進めるのに時間がかかった。会話があまりに淡々としているせいか。時代設定や人物はとても好み。

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    2021年11月27日
  • 死の泉

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    前半は割と好き。差別や戦争、貧困から子供を守る母親の苦悩とたくましさを感じた。
    後半(2部以降)は、結末ありきでムリヤリ話を動かしてる感じで納得度か低いというか...。登場人物もやたらと多くなりごちゃごちゃしてる。
    最後は、実は○○でした的な展開だけど、伏線もないので驚きはない。
    あとがきを読むと見方が変わるのだけど、これ必要だったかな、、、

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    2021年11月19日
  • U

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    300年の時を越え、空間も超えて紡がれる二人の物語。オスマントルコ、第一次世界大戦これらをつないでいる数々の史実とそれに関わる二人。二つの物語を書いて、ぐるぐるっと混ぜて、一つにつないだ感じがして、なんとなくすわりが悪い感じがした。最終章もなんとなくとってつけた感があって、物語と今一つ有機的につながっている感じを受けなかった。読みが浅いかしら。。。

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    2021年10月07日
  • 夜のアポロン

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    濃密な狂気と性と死の臭いが漂う短編集。さすがの完成度だけど、一つ一つがすごい生々しい臭い(それを毎回品位を落とさず書ききるのはほんとうにすごい)を放っているのでお腹いっぱいになってしまった感じがする。
    「はっぴい・えんど」の高揚と墜落の間を行ったり来たりする、迸るエネルギーが読んでいて楽しかった。
    幻想的な「夜のリフレーン」のほうが好み。

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    2021年08月28日