皆川博子のレビュー一覧

  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    皆川博子さんの作品はおそらく初。あっさりめの文体で、18世紀ロンドンの政治腐敗、環境汚染、貧富の差などなどが、洗練された描写やエッジの効いた会話の応酬と共に効果的に描かれている。会話文の多さが目立つが、イギリスらしい皮肉の効いたやりとりが登場人物を魅力的にし、さらに必要最低限の描写を挟むことで、分厚い物語をテンポよく進行させている。現在と過去が交互に進行する仕掛けも、飽きさせず、読みやすくする仕掛けの一つかなと。ネイサンの行方が途切れてからは長かったけど。

    日本人が、魔法とか魔術が下地にないリアルな18世紀ロンドンを舞台に小説を書く、というのは果たして大丈夫か?とドキドキしたけど、全く問題な

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    2020年04月23日
  • 双頭のバビロン 上

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    再読ですが面白かったです。
    というかほぼ新しい気持ちで読みました。。
    結合双生児だったゲオルクとユリアン、分離したからはゲオルクは一旦表舞台へ、ユリアンは無き者としてこっそり成長しました。
    ゲオルク、ユリアン、そしてパウルの3人の章がそれぞれ進んでいくのですが、まだどのように絡み合ってくるのかわからずわくわくします。
    ゲオルクは一時期映画監督の仕事をするのですが、その章で書かれた、
    〈大衆の息抜きに役立つであろうものはまた、彼らの感覚を麻痺させ、思想的に白痴化させる。民主的であると謳われる文化のほとんどは、いい意味で大衆的なのではなく、悪い意味で通俗的である。〉…私も、同意しました。
    ユリアン

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    2020年03月19日
  • 妖恋

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    江戸を舞台にした妖しく切ない短編集。

    現実と幻の境界が曖昧な感じで幻想的。
    時代背景故にすれ違ったり成就しなかったり…物悲しい空気が漂う。

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    2020年03月14日
  • 蝶

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    ネタバレ

    ずっと読みたいと思っていた皆川作品をようやく初読みしました。

    自分の読書力と日本語力の未熟さを痛感させられたというのが、最初の、そして正直な感想です。

    いやぁ〜まいった。

    深い、実に深い。

    皆川文学を読むにあたって、手始めにと手にした理由は本書が短編集である事。

    さらっと読み進められると思っていた自分が情けないやら、恥ずかしいやら(苦笑)

    それぞれの物語に密接にかかわり、深みを増すのが添えられた俳句や詩。

    叙事詩的な文体であるが、これぞ日本の純文学なのであろう。

    現段階では最後に記された「遺し文」のみが、少し理解出来た気もするが、本作を読み取れる読書力を身につけ、再読した時には

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    2020年02月17日
  • 少年十字軍

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    面白かったです。
    13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。
    児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。
    エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いたり阻んだりする大人たちの思惑が醜く残酷なのですが、この混沌とした時代には仕方ない事だったのかもと思いました。歴然と身分の差があって重税に苦しんで。
    記憶を無くしているガブリエルがとても好きな登場人物だったのですが、彼が到達する「神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ」という「真実」が重く垂れ込めます。
    死と

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    2020年01月13日
  • ゆめこ縮緬

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    文月の使者/影つづれ/桔梗闇/花溶け/玉虫抄/胡蝶塚/青火童女/ゆめこ縮緬

    皆川博子は面白い。と聞いたばかりの時に見つけた文庫新刊。しばらく迷ったけど読んでみた。
    読み終わるのに思ったより時間がかかる。文章がスッと入ってこない?

    なぜだろう

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    2019年11月24日
  • 夜のアポロン

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    「沼」、「致死量の夢」、「雪の下の殺意」が心ひかれました。女、だけじゃないけど、人が隠してたのに、持て余して、どうにもならなくなった感情が染み出てくる瞬間とか、壊れてく瞬間ってこんなんかなと、一般論として怖くもあり、納得してしまう自分に怖くもあり。装幀と表題がロマンチックです。

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    2019年09月01日
  • 夜のアポロン

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    単行本未収録の16編の短編集で、『夜のリフレイン』と対をなす。
    なので初出は1976年〜1996年の「小説宝石」をはじめとする諸誌。

    年代順に並べられているが、嫉妬からサーカスのオートバイ乗りと一緒に事故死で心中しようとする表題作が一番鮮烈。前半は嫉妬がテーマになっている作品が多い。
    少女ための私立更生施設の寮監からみた収容生の話「魔笛」は、不条理と憎しみをもっと深めて長編になりそうな物語。
    終わりに近づくにつれミステリーの傾向が強まっていくが、皆川博子はミステリーより不条理、不可思議の物語が好き。

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    2019年06月03日
  • 薔薇忌

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    舞台にまつわる人々の短編エピソード。死人が出てきて普通に会話していることが、舞台という特殊な空間とも相まって、現実離れした世界観の演出にもなっている。
    舞台に魅入られて、いつまでもそこに留まり続けている人々の魂を眺めているのは、演劇や映画を観終わった後もしばらくその場から離れたくないような感覚に似ていて妙な放心感に包まれる。
    いつしか自分も舞台の上で繰り広げられる物語に心を奪われて、そのまま永遠に引き摺り込まれてしまいそうな、そんな恐ろしさを秘めた作品。

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    2019年03月31日
  • 花闇

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    以前、恋紅を読んだ時に出てきた澤村田之助。「次はあれをやろうこれをやろう」と舞台について話す様子を読みながら、芝居馬鹿はいつの時代も変わらない馬鹿なのだなと思ったりした。全盛期の田之助は傲慢で、子供で、さっぱり惹かれないけれど、心まで腐らせてしまった、最期の田之助は何とも魅力的だと感じた。

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    2019年03月05日
  • みだら英泉

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    浮世絵師、英泉と3人の妹たち。禁じられた絵と、人物全てが生々しい。なんて言うか肉感が凄いなと感じた。可愛らしい朝顔が時折、禍々しく変化するように乱れる。

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    2019年03月05日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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     僕は、僕が望むように君を変えた。
     でも、エド、君と再会できたら、君が望むように、僕を変える。
    (P.458)

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    2018年12月08日
  • 少女外道

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    久々に文学っぽいものを読んだ気にさせられた。
    とはいえ、少女小説っぽいのかな。

    人とは違う性的嗜好あるいは、そこに至りそうな何らかの感情を秘めた人物や各短編の主人公。不思議と湿っぽさがないファンタジー。

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    2018年10月12日
  • 薔薇忌

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    舞台に秘められた男女の謎-妖しく華やかな幻想ミステリー。

    舞台に関わる人々を描いた7つの短編集です。

    ん・・・悪くないけど、良さもよくわからず。
    服部まゆみ先生の作品が好きで、その帯などでよく目にするので、似ている世界観を期待して読んでみたのですが、似ていなくもないんだけど、ん・・・。よくわからない。
    という曖昧な感想になってしまった。
    つまらにってこともないのですが・・・どこか煮え切れない感じで、そこが良いのかな?

    他の作品も読んでみようかと思います。

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    2018年08月18日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    十八世紀ロンドン。当時の先端科学で偏見にも晒された解剖学的見地から、外科医ダニエルと弟子たちが連続殺人と不可能犯罪の謎に挑む

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    2018年04月29日
  • トマト・ゲーム

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    休みなく注がれる毒に感覚が麻痺していくのを感じた。より強い刺激を求めて、もっと、もっととページを繰ってしまう。

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    2018年01月02日
  • 花闇

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    実在の人物、歌舞伎役者の澤村田之助を描いた作品。美貌の天才女形が壊疽により四肢を切断し尚、舞台に立ち続け、狂死する、という実話がベース。
    四肢を切断しても田之助の歌舞伎にかける情熱がいささかも衰えず、あらん限りの知恵と工夫を重ねて舞台に立ち続ける様子に驚愕した。これだけの才能がありながら、さぞ無念だったことだろう…。
    序章を読んで、どんな恐ろしい事になるのかと読み終えるのが怖かったが、さすが皆川先生、きれいに終わらせてくれた。ホッとした~。

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    2017年10月10日
  • 倒立する塔の殺人

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    戦時中に家族や大切な人を亡くしながらも、自分の好きなことや大事なものを見失うことなく、本に夢中になったり歌やダンスを踊ったり、悲しく辛い毎日の中でも、楽しむことを忘れずに必死に生きる少女達は本当に逞しかった。

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    2016年12月23日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    このミスベスト10、2012年版3位。昔のイギリスが舞台で外人ばかり出てくる翻訳探偵もののような本格?ミステリー。この人の本、前に読んだのはかなり難解だったけど、これは文章的には楽。序盤はフロストシリーズのようにユーモアもあって面白いんだけど、ちょっとテンポがわるく途中から中だるみする。謎解きてきには意外性はあるし、いろいろ伏線もありそうで、本格と割り切ってしまえば良いのかも知れないけど、結構登場人物が魅力的なだけに割り切れなくって、やっぱ殺人はだめでしょ、って感じて読後感がすっきりしない。

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    2016年12月16日
  • 花闇

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    ネタバレ

    初読。読んだことのない作家さんの読んだことない本を買うこと自体が稀なのだが、澤村田之助を描いた本ということで買いたくなった。足を切る前まではまあまあありがちな役者のエゴというところだったが、足を切った後からは一気に凄みが増す。すさまじいまでの役者への執着が見苦しくなることなく、哀しいまでに美しい。華やかな伝統文化の歌舞伎をさかのぼると、役者が蔑まれたこんな時代があったんだなあ。

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    2016年12月11日