皆川博子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ皆川博子さんの作品はおそらく初。あっさりめの文体で、18世紀ロンドンの政治腐敗、環境汚染、貧富の差などなどが、洗練された描写やエッジの効いた会話の応酬と共に効果的に描かれている。会話文の多さが目立つが、イギリスらしい皮肉の効いたやりとりが登場人物を魅力的にし、さらに必要最低限の描写を挟むことで、分厚い物語をテンポよく進行させている。現在と過去が交互に進行する仕掛けも、飽きさせず、読みやすくする仕掛けの一つかなと。ネイサンの行方が途切れてからは長かったけど。
日本人が、魔法とか魔術が下地にないリアルな18世紀ロンドンを舞台に小説を書く、というのは果たして大丈夫か?とドキドキしたけど、全く問題な -
Posted by ブクログ
再読ですが面白かったです。
というかほぼ新しい気持ちで読みました。。
結合双生児だったゲオルクとユリアン、分離したからはゲオルクは一旦表舞台へ、ユリアンは無き者としてこっそり成長しました。
ゲオルク、ユリアン、そしてパウルの3人の章がそれぞれ進んでいくのですが、まだどのように絡み合ってくるのかわからずわくわくします。
ゲオルクは一時期映画監督の仕事をするのですが、その章で書かれた、
〈大衆の息抜きに役立つであろうものはまた、彼らの感覚を麻痺させ、思想的に白痴化させる。民主的であると謳われる文化のほとんどは、いい意味で大衆的なのではなく、悪い意味で通俗的である。〉…私も、同意しました。
ユリアン -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと読みたいと思っていた皆川作品をようやく初読みしました。
自分の読書力と日本語力の未熟さを痛感させられたというのが、最初の、そして正直な感想です。
いやぁ〜まいった。
深い、実に深い。
皆川文学を読むにあたって、手始めにと手にした理由は本書が短編集である事。
さらっと読み進められると思っていた自分が情けないやら、恥ずかしいやら(苦笑)
それぞれの物語に密接にかかわり、深みを増すのが添えられた俳句や詩。
叙事詩的な文体であるが、これぞ日本の純文学なのであろう。
現段階では最後に記された「遺し文」のみが、少し理解出来た気もするが、本作を読み取れる読書力を身につけ、再読した時には -
Posted by ブクログ
面白かったです。
13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。
児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。
エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いたり阻んだりする大人たちの思惑が醜く残酷なのですが、この混沌とした時代には仕方ない事だったのかもと思いました。歴然と身分の差があって重税に苦しんで。
記憶を無くしているガブリエルがとても好きな登場人物だったのですが、彼が到達する「神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ」という「真実」が重く垂れ込めます。
死と