皆川博子のレビュー一覧

  • 双頭のバビロン 上

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    双子で二人の主人公の語る時間・観点が異なり
    振り返りと追いかけが平行して動く物語の中
    私が今年これまで読んでいた著者の作品に比べると
    美しくも濁ったような粘り気のある妖しさ、
    スピード感には多少欠ける気がするが、
    「あなた誰?」の章が、どうかかわるのか。
    また、あの人がこの人というのが明かされ、
    驚愕から、ではそれがどう結びつくのか
    最後まで読みたくなる。最終的な評価は下巻で。

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    2016年12月09日
  • 少女外道

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    皆川博子の短編集。

    頁数は文庫本で250強と少ないが、中身は圧倒的に濃い。

    どの編も戦時中の少女の体験が描かれるが、作者の経験が元になっているのだろうか。

    変幻自在の作者の、文学の香りが非常に強い作品。

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    2016年10月09日
  • 蝶

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    ネタバレ

    8作の短編集。太平洋戦争前から戦後直後くらいまでの時代の話です。
    子供の目から見た、大人の世界。
    変わってしまった世の中に復員してきた男。
    支配される女性。
    世の不条理さというものに押しつぶされそうな、いや、押しつぶされる人々の話なのかな。
    その不条理さを、それぞれ受け止められない者、受け流して行く者それぞれかもしれないけれど。


    好きとか嫌いとかそういう次元は超えてしまったと思われるような小説でした。
    言葉の強さというか、異次元の世界へ引きずりこまれたというか、何かの力に翻弄されて読み切ってしまいました。
    固い単語や文章で書かれていて、強烈な印象とともに、詩や歌が絡んでくるせいか、頭の中で

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    2016年08月23日
  • 水底の祭り

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    『水底の祭り』
    M**湖より屍鑞があがった。
    新宿のバーに勤めるわたしは、ママのミツエと常連客の森戸が奇妙な動揺を示すのを目の当たりにする。
    森戸に好意を寄せる私は、二人の動揺を沈めようと思わぬ行動を取るのだが、二人の間に隠された昏い経験を垣間見ることになる……。

    『牡鹿の首』
    動物の剥製師である麻緒は、時々出会い専門のホテルで男性を買う。
    そのホテルで出会った男娼の少年が訳ありの怪我をしているのをかばい、知り合いのハンターに助けを求める。
    彼女に好意を持つその男は代償行為を要求、彼女は呑まざるを得ない。
    そして少年との刹那的な暮らしが始まる。

    『紅い弔旗』
    六年間、小

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    2016年07月14日
  • 薔薇密室

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    美しいバラの花と腐乱した死臭、
    生きた精液がかおるような妖しい序盤の物語から一転、
    謎の語り手の物語に。
    そして、語り手は少女に移り。
    物語は視点を変えながら、事実か創作か幻覚か夢想か
    あやふやになる記憶と現実が、ミステリーの騙しの
    ためではなく、この物語の世界として溶け合い
    一気にラストまで読み手を導いていく。
    そして、それまでの世界を一気に転換してしまう
    ような最後の最後。人が現実の中で
    爽やかな愛を胸に力強く立ち上がる姿よ。

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    2016年06月13日
  • 少年十字軍

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    13世紀に実際にあった少年十字軍をテーマに描かれたお話。
    難解そうに見えて、意外にさらさらと読める。それは、登場人物は多いのに、それぞれが生き生きと魅力的に描かれているせいかも知れない。

    エティエンヌに心酔する子どもたち、信じてはいないけれど追随する者、利用しようとする者、そして訳も分からずただ参加する者。様々な思惑が絡み合いながら旅は続く。

    神の不在、死後の世界と無宗教の人間には正直理解できない部分はあるけれど、中世的なちょっと暗くて閉鎖的な雰囲気は伝わってくる。

    身勝手な大人たちに腹が立つと同時に、エティエンヌがいれば大丈夫と無邪気に繰り返す子どもたちの残酷さにも慄然とする。すべてを

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    2018年02月06日
  • 少年十字軍

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    ネタバレ

    世界史上、有名なエピソードに基づくお話。

    「少年十字軍」と言えばいい印象を持っておられる方は少なかろう。
    当時のヨーロッパや聖地をめぐる云々、縁のない日本で育ったものにはなかなか理解しがたいものがあるし、安穏と状況に納得いかぬことが多々ある。

    それはおそらく、当事者においても同じことであったろう。

    哀れな少年と彼をめぐる仲間たち、愚かな大人、誰一人幸せを享受できぬまま終わるストーリー。
    この先、彼らに平安が訪れるかどうか、かすかな希望すら打ち消される不安感。
    ヨーロッパや中東、アフリカ北部は歴史的にもこの先安定することはないことを知っている現代のわたしたち。

    悲哀のもとに終わってゆくで

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    2016年04月24日
  • 猫舌男爵

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    多彩で美しくて後味の良い短編集。扱うジャンル、文体、世界観、人物像なんかが見事に合致していて、ああ文で味わえてなんて嬉しい、とにやにやしてしまいました。

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    2016年03月25日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    18世紀ロンドンが舞台の殺人事件。その時代の色や香りまでが伝わってくる独特の世界観に浸りながら、どんどん惹きこまれていくストーリーです。魅力的な二人がどうか犯人でありませんように、と途中から祈りながら読みました。救いがあって良かった。続編も読みます。

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    2016年03月24日
  • 蝶

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    ネタバレ

    皆川博子の本を読むときは、自然に背筋が伸びるような感覚を味わう。
    自分の感受性やら、言語感覚やらを、試験されてるような感覚。
    圧倒的な美意識の高さは、難解で、曖昧で、いつも必死ですがりつくような思いで読んでいる。
    楽しいか、面白いか、と言われればなんと答えればいいだろう。
    素敵です、とでも応えようか。

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    2016年03月22日
  • 双頭のバビロン 上

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    私的に、2015年に読んだ本ではナンバーワン。

    1920年代の物語。ウィーンに生まれた双生児、ゲオルクは貴族の跡取りとして育てられ、ユリアンは世間から隔絶された館で育てられる。

    これは、なんというジャンルに分類すればよいのでしょうね。幻想的であり、猥雑であり、醜くも美しくもある執着と呼べる感情が織り込まれ、耽美的であり、栄光と挫折が縒り合された、なんとも複雑な味わいの物語。

    運命、という言葉を強く印象付けられる一冊。読み始めると、この世界に引き込まれ、濃厚な空気に酔わされる。

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    2016年02月20日
  • たまご猫

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    ネタバレ

    かわいらしい書名とは裏腹に、おどろおどろしいお話ばかり。
    骨董屋の狂い具合が素敵。
    文庫のカバー絵は北見隆氏。赤川次郎の三毛猫シリーズの表紙なんかもこの方なので、子供の頃からなじみ深い感じです。

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    2016年02月18日
  • 猫舌男爵

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    相変わらず素晴らしい。
    『オムレツ少年の儀式』と『睡蓮』が特に好き。
    表題作は皆川さんの小説としてはなかなか珍しい感じでしたが、純粋に笑えて面白かったです。
    『太陽馬』はラストの情景を頭に浮かべるとなぜだか涙が出そうになりました…。

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    2016年01月20日
  • 少年十字軍

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    一点の染みもない潔癖な少年と無垢な子供たちが、乳と蜜の流れる聖地を目指す。罪に汚れた大人たちに利用されながらの旅の果て、新たな試練の始まりのラストに光明と切なさが入り交じる♪。

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    2015年10月30日
  • 伯林蝋人形館

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    ネタバレ

    「全ての物語を書き終えたものには、自殺の特権を与えよう」……なんて甘美な。

    皆川博子による「伯林蝋人形館」。
    その後、ふたたび現れる「伯林蝋人形館」のタイトル。
    本編。作者略歴。
    本編。作者略歴。
    本編。作者略歴。
    本編。作者略歴。
    本編。作者略歴。
    本編。作者略歴。
    書簡。

    こういうかたちで、同じ出来事を別の人物から描きなおし描きなおしていく。
    その後、本自体の仕掛けに気づかされる最終章「書簡」。
    おお。
    本書に関しては解説もありがたい。

    アルトゥール。
    ナターリャ。
    フーゴー。
    ヨハン。
    テオ。
    ハインリヒ。
    マティアス。
    ツェツィリエ。
    おお。

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    2015年10月17日
  • 少年十字軍

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    ネタバレ

    クライマックスの『試練』『選択』の残酷さよ……
    が、この二つこそが人間が一生負い続けるものなのかとぞっとした。
    なんといっても作者の筆力の素晴らしさ。手に汗握ってしまった……

    物語としても、これだけの人数が出てくるにも関わらず、一人一人が生き生きと活写されている。
    十三世紀という時代、どれだけ「神」という存在が人を救い、その何倍も人を苦悩させたのか。正直、何もかも「神」中心になる当時の人々の心情には寄り沿えないが、無垢な人々がいるのと同じくらい、狡猾に「神」を利用している人々の逞しさにも感心させられた。

    キャラクターがすべて素晴らしい。
    ラスト、「無」から生きる手ごたえを取り戻したいと思っ

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    2015年08月15日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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     開かせていただき光栄ですの続編ということだが油断ならない。容赦ない。
     時代背景的にイギリスの全盛期だと思うのだが、何だろうこの闇の濃さは。
     面白い。

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    2015年06月11日
  • 倒立する塔の殺人

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     幻惑させられる。
     倒立する。
     この話はどこに行くの? そう思いながら、頁を繰る手はとまらない。

     空気を読まない異分子としての「イブ」。
     ミッション学校にどこか崩れた感じを残す「ジダラック」。

     なんという悪意に満ちた呼び名だろう。まさに女子。
     そして、戦争と、その中でただ生きる彼女らは……………もうね、なんというか、すごいわ。これ。
     再読したい。

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    2015年06月11日
  • トマト・ゲーム

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    この密やかな毒に、指先からそっと浸して、ずっと痺れていたい……
    そう思わせる皆川ワールド。
    なんでこんなに底意地が悪くて性格が悪くて後味も猛烈に悪いのに惹かれるのか。

    皆川先生の作品は、どれも幼女がそのまま大人になってしまったような儚さと残酷さがあって、どんな惨い内容にも、根底に無邪気さがあるように感じられる。

    その残酷さに、どうしようもなく惹かれるのかも。
    装丁の人形が皆川ワールドをあますことなく表現していて、美しい。

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    2015年06月11日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    登場人物が結構多くて、名前もごっちゃになって読むのが少し大変でした。

    前作の、ナイジェルがまさかの姿になって現れて、彼の悲惨な過去と別の事件が少しづつ明らかになっていきます。ちょっと想像を斜めいってる過去でした。

    今回はアルが結構重要な役割を務め、彼が一番正義をしっかり持っていて彼がでてくると結構安心しました。
    本当昔のイギリスは腐ってるな、と判事のもどかしさがよくわかる。

    もちろんエドもでてきます。
    彼も彼なりの正義を前回同様持っていて潔かったと思う。

    それにしても残酷だなぁ。
    新大陸に渡ったみんなは、そして最後の最後で助け出されたベイカーさんは幸せになれるのかなぁ?






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    2015年06月05日