皆川博子のレビュー一覧

  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    『開かせていただき光栄です』続編。

    外科医で解剖学の先駆者、ダニエル・バートンの解剖学教室を舞台に起きた連続殺人事件から5年。
    愛弟子のエドとナイジェルが出奔し、解剖学教室は閉鎖中。元弟子たちもそれぞれの生活を送りながらも、変わらず先生を敬愛している。
    ある日、盲目の治安判事として知られるジョン・フィールディング卿の元に、胸に暗号を刻まれた“天使の屍体”の情報が舞い込む。
    調査のため、そしてバートン先生に屍体を提供すべく現地に向かった元弟子たちが発見したのは、消息不明になっていたナイジェルの屍体だった…


    前作のラストのほろ苦さを思い出しながら読み始めたら、登場人物紹介リストの筆頭は「ジョ

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    2021年05月03日
  • 双頭のバビロン 下

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    皆川博子さんの、まるでその世界に入り込んでしまったような錯覚を覚えるほどの緻密な世界観は病みつきになってしまうけど、今回はお話があんまり好きになれなかったかなあ。上巻ののろのろ展開には辟易したし。あと、結末がハッピーエンドとは言えないのも読み手としてつらい。

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    2021年04月16日
  • 双頭のバビロン 上

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    読み終わるのにものすごく時間がかかってしまった……登場人物もいまいち掴みどころがなく、これといった出来事があるわけではなく、ただ淡々と一人称で描かれるストーリーは緩慢に感じられてほとんど興味を持って読めず…….ようやく上巻最後で出来事が起きたのでここからの展開が早いことを祈ってます

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    2021年04月14日
  • 少年十字軍

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    児童書だけど、ちゃんと皆川博子の歴史ロマンものだし幻想小説だった。悪魔サルガタナスと青い蝶の描写のなんとも言えない美しさ、ジャコブとドミニクのやり取りなど大人サイドの話をもっと掘ったら完全にいつもの皆川博子になるんだろうな…
    少年十字軍自体が史実とのことで驚いたけど、興味深い。

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    2021年03月04日
  • 蝶

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    先の大戦前後の日本を舞台にした短編集。
    谷崎潤一郎のような悪魔主義的な背徳の美を綴る。
    筋書きや文章でなく、雰囲気を堪能する作品に思える。
    ひたすらに美しく、通州事件の生還者である令嬢が凄惨な最期を遂げる一篇「遺し文」にて、彼女の描写として選ばれる凄艶という語が、全作品の評価として最も相応しいのではないかと。
    現と幻、生と死、美徳と悪徳とが等価に溶け合い、その境界が曖昧であるために全作品が、一つの短編の題名である「幻燈」の如くに非現実的な色合いを帯びている。
    たまゆらの白昼夢に魂を奪われるかのような怖さを宿す一冊。

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    2021年02月15日
  • 写楽

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    江戸文化史版水滸伝という感じでビッグネームたちが集まり散じてゆく様が大変楽しかった。そこにフォーカスした方がおもしろいさくひんになったのではないか。とんぼの挫折をだらだら書いたり蔦屋の投獄を丁寧に追っかけたりって、正直、要る?筆者自身も要らないと判断した部分はばさっと省略する人のようだし、もっとエンタメ度を高められたのではないかという気がする。
    写楽の活躍した10ヶ月間が非常にあっさりと描写され、ほとんど劇的な場面を交えずに終わるのは、ドライで小気味良かった。
    とんぼのほのかな恋が悪所における世俗の垢に汚染されて終わってゆく様なども苦くてよい。結局捨てた女のところに出戻るという、希望がなくはな

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    2020年12月26日
  • ゆめこ縮緬

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    美しかった。どこまでが現実でどこまでが幻想なのか分からない世界観。
    文月の使者、玉虫抄が好きだった。

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    2020年11月07日
  • 猫舌男爵

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    皆川博子は過去の異国へ誘ってくれるから好きだけど、何かしらのトラウマを残していくので、もうちょっと当分はいいかな…という気持ちになった。『水葬楽』、『睡蓮』は良かった。

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    2020年11月03日
  • 薔薇忌

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    どの話も、最後に突き放される哀しさがある。美しく残酷な秘密。決して癒されない哀しさ。
    薔薇忌と桔梗合戦が特に好きだった。

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    2020年10月10日
  • 死の泉

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    ツイッターでも、優れた日本人同士を結婚させることを国家事業とすべき、という意見を某氏が披露していて炎上していたときに、話題にした人がいましたが、ナチのレーベンスボルン(命の泉計画)がこの本の前半の背景。超人種アーリアというナチの妄想によるアーリア増産計画で、征服した各国から金髪碧眼の子供を略奪し施設に集められる。また、金髪碧眼の若い女性とSS兵士たちのあいだに子供をもうけさせ出産させるといった、ホロコーストの対称にある優生思想計画。ホロコーストに関しては周知だけれど、レーベンスボルンに関してわたしが知ったのはつい数年前、映画『誰でもない女』で、たぶんそれを知る日本人は少ないのでは。本国ドイツや

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    2020年08月06日
  • 写楽

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    写楽の正体は?という問いは、本能寺の黒幕は?に匹敵する歴史のミステリーになっています。

    さて、本作品は前世紀に映画化された作品の小説に当たります。映画に関しては辛うじて記憶の向こう側に有る様な無いようなですが、解説を観ると出演が真田広之、片岡鶴太郎、佐野史郎や葉月里緒奈などで思わず観てみたくなるような俳優陣です。

    さて、本作品は写楽の正体を巡るミステリーではありません。
    主人公の翻弄される奇異な運命を本筋に江戸の名プロデューサー蔦谷重三郎とその仲間達の物語となっております。どの様に写楽は現れ消えていったのか?と当時の江戸の風俗と文化を楽むような作品となっております。


    それにしても蔦屋重

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    2020年07月26日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    皆川博子さんの作品はおそらく初。あっさりめの文体で、18世紀ロンドンの政治腐敗、環境汚染、貧富の差などなどが、洗練された描写やエッジの効いた会話の応酬と共に効果的に描かれている。会話文の多さが目立つが、イギリスらしい皮肉の効いたやりとりが登場人物を魅力的にし、さらに必要最低限の描写を挟むことで、分厚い物語をテンポよく進行させている。現在と過去が交互に進行する仕掛けも、飽きさせず、読みやすくする仕掛けの一つかなと。ネイサンの行方が途切れてからは長かったけど。

    日本人が、魔法とか魔術が下地にないリアルな18世紀ロンドンを舞台に小説を書く、というのは果たして大丈夫か?とドキドキしたけど、全く問題な

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    2020年04月23日
  • 双頭のバビロン 上

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    再読ですが面白かったです。
    というかほぼ新しい気持ちで読みました。。
    結合双生児だったゲオルクとユリアン、分離したからはゲオルクは一旦表舞台へ、ユリアンは無き者としてこっそり成長しました。
    ゲオルク、ユリアン、そしてパウルの3人の章がそれぞれ進んでいくのですが、まだどのように絡み合ってくるのかわからずわくわくします。
    ゲオルクは一時期映画監督の仕事をするのですが、その章で書かれた、
    〈大衆の息抜きに役立つであろうものはまた、彼らの感覚を麻痺させ、思想的に白痴化させる。民主的であると謳われる文化のほとんどは、いい意味で大衆的なのではなく、悪い意味で通俗的である。〉…私も、同意しました。
    ユリアン

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    2020年03月19日
  • 妖恋

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    江戸を舞台にした妖しく切ない短編集。

    現実と幻の境界が曖昧な感じで幻想的。
    時代背景故にすれ違ったり成就しなかったり…物悲しい空気が漂う。

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    2020年03月14日
  • 蝶

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    ネタバレ

    ずっと読みたいと思っていた皆川作品をようやく初読みしました。

    自分の読書力と日本語力の未熟さを痛感させられたというのが、最初の、そして正直な感想です。

    いやぁ〜まいった。

    深い、実に深い。

    皆川文学を読むにあたって、手始めにと手にした理由は本書が短編集である事。

    さらっと読み進められると思っていた自分が情けないやら、恥ずかしいやら(苦笑)

    それぞれの物語に密接にかかわり、深みを増すのが添えられた俳句や詩。

    叙事詩的な文体であるが、これぞ日本の純文学なのであろう。

    現段階では最後に記された「遺し文」のみが、少し理解出来た気もするが、本作を読み取れる読書力を身につけ、再読した時には

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    2020年02月17日
  • 少年十字軍

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    面白かったです。
    13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。
    児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。
    エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いたり阻んだりする大人たちの思惑が醜く残酷なのですが、この混沌とした時代には仕方ない事だったのかもと思いました。歴然と身分の差があって重税に苦しんで。
    記憶を無くしているガブリエルがとても好きな登場人物だったのですが、彼が到達する「神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ」という「真実」が重く垂れ込めます。
    死と

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    2020年01月13日
  • ゆめこ縮緬

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    文月の使者/影つづれ/桔梗闇/花溶け/玉虫抄/胡蝶塚/青火童女/ゆめこ縮緬

    皆川博子は面白い。と聞いたばかりの時に見つけた文庫新刊。しばらく迷ったけど読んでみた。
    読み終わるのに思ったより時間がかかる。文章がスッと入ってこない?

    なぜだろう

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    2019年11月24日
  • 夜のアポロン

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    「沼」、「致死量の夢」、「雪の下の殺意」が心ひかれました。女、だけじゃないけど、人が隠してたのに、持て余して、どうにもならなくなった感情が染み出てくる瞬間とか、壊れてく瞬間ってこんなんかなと、一般論として怖くもあり、納得してしまう自分に怖くもあり。装幀と表題がロマンチックです。

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    2019年09月01日
  • 夜のアポロン

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    単行本未収録の16編の短編集で、『夜のリフレイン』と対をなす。
    なので初出は1976年〜1996年の「小説宝石」をはじめとする諸誌。

    年代順に並べられているが、嫉妬からサーカスのオートバイ乗りと一緒に事故死で心中しようとする表題作が一番鮮烈。前半は嫉妬がテーマになっている作品が多い。
    少女ための私立更生施設の寮監からみた収容生の話「魔笛」は、不条理と憎しみをもっと深めて長編になりそうな物語。
    終わりに近づくにつれミステリーの傾向が強まっていくが、皆川博子はミステリーより不条理、不可思議の物語が好き。

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    2019年06月03日
  • 薔薇忌

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    舞台にまつわる人々の短編エピソード。死人が出てきて普通に会話していることが、舞台という特殊な空間とも相まって、現実離れした世界観の演出にもなっている。
    舞台に魅入られて、いつまでもそこに留まり続けている人々の魂を眺めているのは、演劇や映画を観終わった後もしばらくその場から離れたくないような感覚に似ていて妙な放心感に包まれる。
    いつしか自分も舞台の上で繰り広げられる物語に心を奪われて、そのまま永遠に引き摺り込まれてしまいそうな、そんな恐ろしさを秘めた作品。

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    2019年03月31日