悲劇にしかならないことは最初からわかっていたので、重い話を読める時で良かった。
貫き通せる大人陣は本望だろう。巻き込まれた子どもたちがキツい。
そして、それらを全部崩壊させるラストだった。
これは、虚構の世界とラストのどちらにハマるかによって、読み方が変わる。前者ではフランツの愛憎、苦悩に揺さぶら
...続きを読むれ、後者ではクラウスに振り回された。
どこからどこまで虚構なのか、事実か。
最終的にはクラウスがアメリカ(と大佐、これは偶然)を振り切り、城と2人のミヒャエルを手に入れるため、と解釈した。
この話はマルガレーテの手記(全て終わってから、錯乱してから書き直されているので、事実とは限らない)と夢想、フランツの復讐、クラウスの執念が複層になっている。
・マルガレーテが城に行ったのは雪が残る新緑の時期であり、これは戦後に行ったこととの混同。ギュンターと一緒にいたのは夏。
・マルガレーテと繋がることができるのは同系統である2人のミヒャエル。エーリヒは繋がれ、マルガレーテは時を止めた。
・エーリヒをクラウスが手に入れるにはフランツの復讐が必要。…このため、マルガレーテが呼んでてもギュンター=フランツ説は取れなかった。。。
・アリツェとレナはカメロットに安置されている(マルガレーテが錯乱した原因のひとつ)ので、リロ、アリツェ、顕微鏡を持って来るテオ(テオ自体はいたかも)は幻想。刑吏の酒場はあったかもしれない。フランツの死と共に彼らの世界も崩壊した。
・マルガレーテはギュンターをフランツと混同しているが、これはフランツが成長して自分を攫ってほしいという願望。同様に繋がることもすべて夢。
・城の中でマルガレーテはギュンターを認識している。これが正しい場合、ギュンターは城まで生存か。しかし、パンツァ以降のギュンターすべて創作の可能性もある。
・マルガレーテが夢の中で見つけたギュンターの墓、東部戦線で亡くなったのは兄あり、ギュンターは西部戦線に行っている。24歳戦死であれば終戦時。しかし、戦死してしまうと入れ替わりが成立しない。少なくとも戦死したのは兄だったことになっている。マルガレーテには戦死でも構わないか。
・クラウスはギュンターの城を手に入れ、ギュンターと入れ替わる(家族に、弟にする)手段をとった。クラウスの遺産もギュンターに引き継ぐ算段をこの時点でしていたか。
・フランツがクラウスの喉を裂いたのは、逆か。わざわざ喉。泣。
・あとがき手記。クラウスは子供に歌うように命じた。マルガレーテがミヒャエルを見知らぬ子供と認識していた訪問時、とも読めるが、城の中、と読んだ場合、クラウスギュンターが2人のミヒャエルに歌って、といい、クラウス(フランツ)が殺害されたシーンに繋がる。穿ち過ぎか。
・聖職者はクラウスとフランツ、繋がったレナとアリツェ、2人のミヒャエル、祖母が混在。
・ヘムルートたちの扱いが適当なのは作者がギュンターだからか…。
…と、諸々考えたものの、本当に捩れた空間をさまよう。