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Posted by ブクログ
死の泉という作品を読んだあとに、こちらの作品にあたりました。
第二次世界大戦前後のドイツ、マッドサイエンティスト、政治や社会から隔絶された不気味な空間、登場人物たちそれぞれの運命の糸が絡み合うドラマチックな展開、などなど、死の泉と共通点がいくつもあるものの、ここでは全く異なる世界が繰り広げられ、新たな感動を得られました。こんな充実感に浸れる作品は中々出逢えません。
長年にわたりソ連やドイツはじめ周辺国に翻弄され続けているポーランドのことも詳しく知ることが出来ます。なぜドイツとポーランドを舞台にしたのかは、最後まで読めば理解できるようになっています。勘のよい方は、もしかしたら結末を予想できるやもしれません。
一番素敵なポイントは、主人公のうちの一人(この作品は見方によって主人公が変化します、そこも見所です)である、ミルカという薄幸の少女の内面描写です。
彼女の持つコンプレックス、恋への憧れ、健気さ、打算、家族への愛と本心、、様々な場面でミルカ自身が語ります。女性の方なら特に、ミルカの、ユーリクに対する自然な愛情と、一瞥しかしていない端正なヨアヒムに対する盲目的な恋慕が共存する複雑な乙女心に、グッと来るかもしれません。
大抵の人が直視したくないような自分の弱さや醜さを、よくもまぁこんな自らえぐり出してくれるな笑、とツッコミも入れたくなるのですが、これだけ描写してくれるからこそ、最初から最後まで彼女のことを自然と応援したくなり、結果どんどん皆川さんワールドにはまりこんでいくことになります。
皆川さんは、極限状態にいる人間のなかの美徳&悪徳をほんとうに違和感なく表現してくれるので、どのキャラクターも厚みがあります。なぜこのキャラクターがここでこんな行動をとるのか、ちゃんと筋が通っています。万が一わからなくても、読み進めれば必ずや理解できるよう仕掛けています。そのため、
[なんだこのキャラ、ウザいな。このキャラは嫌い]
と感じることは基本的にないと思います。
読み進めるほどに、何が真実で何が夢想なのか、今どこの視点にたってる描写なのか、徐々に倒錯していく耽美な混沌に、溺れること間違いなしです。
是非手に取ってみてください。
Posted by ブクログ
第1次世界大戦から第2次世界大戦にかけてドイツ・ポーランドの国境近くの修道院で行われた秘密の実験。
脱走兵に、ポーランドの少女、修道院の作男、と、語り手は変動していく。でもって、どれも<信用のならない語り手>なのだ。
なので、翻弄され困惑し、気がつくとがっつり世界に取り込まれている。
にしても、薔薇と人間を融合させるという実験が、あの病気の治療云々につながっていくとは…。
とはいえ、まぁ、どれもこれも共感できない人物のオンパレードで、ある意味、人間の基本的な嫌な部分、というか自分自身が嫌悪していることを凝視させられる気になる。
やっぱ、怖いです、皆川博子。
でも、癖になる面白さ。
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