皆川博子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
5篇の短編集。
読後に「ヤン・ジェロムスキ」の名前をググったのは私だけではないはず。
それから「エーディット・ディートリヒ」と、「ジークムント・グリューンフォーゲル」の名前も。
引用形式というスタイルで、史実や実在人物名もちょこちょこ出てくるもんだから、これははたして創作なのか? それとも史実なのか? と、訳が分からなくなってしまった人がいるに違いない。
「オムレツ少年」と「太陽馬」は歴史ものに分類できると思うのだけれど、これらも「史実」と「創作」の境目が非常に曖昧だったように思う。
特に後者の方では、ロシア・ソヴィエトの歴史を淡々と語る割と長いパートがあるのに、読後の印象としてはやっぱり -
Posted by ブクログ
美しい。ほんとうに、美しい小説集だ。
作者や作品についてなんの予備知識もなく読み始めて、ひといきでその匂いに引き込まれた。さまざまの美しい詩句が、解説にある通り一篇の中に「象嵌」されている。詩句の呼び起こす情景、それを借景として、あるいは幽霊のごと溶け込むように同化して、はるか過去にあったはずの場面をここに現存させる。
それぞれの物語には歴史の翳さす暗い色調のものが多く、黴臭い死の匂いがまつわりついて、決して清潔ではないのに、この美しさはいったい、なんなのか。
どの話もひとしい密度をもって訴えてきた。八篇、どれも好きであまり差がないというのもすごい。あえてあげるならやはり「龍騎兵」かしら。
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Posted by ブクログ
ネタバレ一言で表すと、美しくて怖い物語でしょうか(ベタですいません)。
表題作の「たまご猫」が気に入りましたが、どの話も面白かったです。
「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベースになっているのでしょうか。
この「厨子王」ですが、以前山椒太夫を読んだ時のことを思い返して、こんな描写あったかな?と感じたのですが、皆川さんがお考えになったのでしょうか。
それか、私が読んだものが読みやすいように(あるいは子ども向けに)変えられていたものかもしれませんが。
怖いと言っても、どのお話も震えあがるほどではないのですが、「骨董屋」はゾッとしました。
エツ子とリュウも怖いけど、麻子はてっきり小島との結婚を断る