皆川博子のレビュー一覧

  • アルモニカ・ディアボリカ

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    『開かせていただき光栄です』の続編なら
    読まずにはおれない。

    「ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ」と謎の文句
    前作同様に序盤から引き込まれました。

    終盤の謎解きがちょっとバタバタあわせにいったみたいに
    感じたので残念、でも読み応え十分。
    前作と合わせて★★★★★五つ星、楽しかった。

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    2016年10月28日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    このミス3位、文春ミステリー3位、本格3位

    気になってた本ですが、海外小説でないのに
    登場人物が外人、カタカナ名かと躊躇してました。
    ずっと聞かせていただきと勘違い、告白展開ミステリー?
    と思ってたら開かせていただきなのですね。
    序盤、登場人物ページパラパラ見返し、難語もパラパラとスマホで検索しながら読み始めると、18世紀ロンドンと相まって、キャラ立ちも面白い。
    期待を上回る面白さ、ワクワク、ライトな重厚感?。
    最初から終わりまで、テンポよい、ずっと面白いからいいなぁ。

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    2017年04月28日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    切なかった…

    『開かせていただき光栄です』の続編。
    前作でダニエル・バートンの元を去ったエドとナイジェルの顛末書。

    ナイジェルの悲しい過去は途中読み進めるのが辛かった。
    サー・ジョンが法と心の正義の狭間で苦しむのがおいたわしい。

    登場人物が多くの意味で誰かに献身してるからか、身を切るように切なくも優しい物語という印象。

    前作同様、切なくも希望はある終わり方。
    けれど前作ほど晴ればれできないのは、時の流れによって少年たちはもう青年になってしまい、私もまた年を経たからかもしれない。

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    2016年07月24日
  • 蝶

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    この作者、どうしてこんな小説が書けるのだろう。
    子供のもつイノセンスと、愛欲と、さらに大人にも備わるイノセンスと、愛欲。
    「たまご猫」などと比べて、異様に密度が濃い。

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    2016年07月14日
  • 死の泉

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    ネタバレ

     ◆若干ネタバレあり◆

    文庫本にして650ページ近い大作。

    ナチス台頭するドイツにおけるマルガレーテの手記の部分と、それを受けた十五年後のドイツ。
    手記においては、マルガレーテの微妙な心理が描き出される。
    自分の産んだ子を守るために、医師クラウスと虚構に近い(マルガレーテは完璧な拒絶を持ち切れない)夫婦になる。
    カストラートの美に魅入られたせいで、SSでありながら「ポラッケ(ポーランド人)」のフランツとエーリヒを養子に入れる、なかば狂気に近いクラウスの情熱。
    去勢や人体改造(レナとアリツェの双子)への抵抗を感じる正義感をときどき発揮しながらも、クラウスの強大な力には逆らえないマ

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    2016年07月13日
  • たまご猫

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    初めて読む皆川作品集。
    『たまご猫』『をぐり』『厨子王』『春の滅び』『朱の檻』『おもいで・ララバイ』『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』『雪物語』『水の館』『骨董屋』の10篇。

    どの短編も、短編の鏡というべき、構成のひねり、あっといわせる結末、虚実の反転、が描かれる。
    そして一文の無駄もない文章。
    茫洋と闇の中にゆっくりと沈み込んでいくような、えもいわれぬ恐さや不気味さを感じる。

    たまご猫、春の滅び(雛人形のライトモチーフ)、朱の檻(座敷牢への取材)、骨董屋(骨の笛)、が気に入った。

    解説の東雅夫も書いている通り、幽霊小説。
    幽霊、異世界、幻想によって現実の世界が一変する、小さい

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    2016年07月13日
  • 双頭のバビロン 下

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    文章から、声ばかりでなくにおいさえ感じられる。描写されるもののにおいではない。作品自体が放つ、腐爛直前の果実のようなにおいだ。陶酔と眩惑に包まれ、自分自身に内含されたり外部から刺激してきたりする登場人物たちの温度に親しみ、或いは鼓動を速めた。今は何を書いても、作品に魅せられた人間による下手な物真似になってしまう気がするが、それでもこの感動を残しておきたく思う。

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    2016年01月18日
  • 双頭のバビロン 上

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    圧倒的な、何が本当で何が嘘かもわからないまでに該博な知識と、人間としての魅力に富んだ登場人物たち。謎と、読み進めずにはいられない引力のようなものがそこへ塗り込められたように加わり、次から次へとページを捲らせる。気付かぬうちに、幻想と現実が絡み合う中へ誘われている。まだ上巻しか読み終えていないが、下巻が楽しみでもあり不安でもある。だが、きっと手に取ってページを、止まることなく捲り続けてしまうのだろう。また、文の端々に見られる批判的……批判的? な精神に、皆川博子氏は静かで恐ろしい作家だと、強く思った。

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    2016年01月17日
  • 蝶

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    短編集。人間の「生という凶暴性」が、終戦後の時期に「自由」や「民主主義」を掲げていて、そのことを忌んでいたという風にも読み取れる。しかし実はそれよりも、人間のある部分、狂奔するのとはまた違う、「生きている」ナマの部分を繊細かつ骨太な文章で描き出しているように感じた。やわらかい、あやうい美しさが頭を内から照らし出すようであった。

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    2015年12月19日
  • 死の泉

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    第二次大戦下のドイツ。
    未婚で子供を生むためナチの施設に身をおくマルガレーテから話しは始まります。

    戦争、ドイツ、ナチ、と聞けば悲惨な状況しか思いつきませんがこの話しではそこまで鮮明にナチに対して書かれている訳ではないです。戦争を経験したマルガレーテのお話しとして読んでいると、途中から急にミステリー要素が出てきます。最後の最後までドキドキですが、やっぱり戦争の悲惨さも感じました。最後の『あとがきにかえて』もちゃんと読んで下さい!

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    2015年11月03日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    すごく面白かった。
    死体の解剖教室の先生と弟子たちが重要な登場人物だけど、そんなにグロテスクな描写はない。
    最後まで、真相はつかめず。
    わたしは犯人の1人は本当は女の子なんじゃないかと推測したけど、見事に外れた。
    まだまだ背後に事情が隠れていそうな感じがする終わり方だった。

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    2018年03月20日
  • 双頭のバビロン 下

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    ネタバレ

    書く作品書く作品すべてが代表作といってもいい奇蹟の作家。
    作者の入れ込む結合双生児というモチーフを題材に落とし込みながら、往時の風俗、幻視の街、執着にも近い感情を、小説に織物していく。
    陶酔するしかない。

    ゲオルク―「きみ」(エーゴン・リーヴェン)
    ユリアン―ツヴェンゲル

    ぼくはきみを慰めたいのだ

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    2015年10月01日
  • 双頭のバビロン 上

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    ネタバレ

    書く作品書く作品すべてが代表作といってもいい奇蹟の作家。
    作者の入れ込む結合双生児というモチーフを題材に落とし込みながら、往時の風俗、幻視の街、執着にも近い感情を、小説に織物していく。
    陶酔するしかない。

    ゲオルク―「きみ」(エーゴン・リーヴェン)
    ユリアン―ツヴェンゲル

    ぼくはきみを慰めたいのだ

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    2015年10月10日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    最後の二行のためにある長編小説。
    最後の二行だけで、ミステリーが切ない愛の物語になる。

    皆川先生天才か。

    人物の多さに覚えるのが大変でしたが、「それより読み進めたい」と思わせる謎に次ぐ謎。
    しょっぱなは「ラピュタ」を思わせるファンタジー性に満ち溢れ、けれど陰惨な事件、衝撃の事実になだれ込む怒涛の展開。
    奇妙な楽器を巡る事件、ナイジェルの過去が絡み合う……

    構成も無駄がなく(大変入り組んではいるが)、これだけの人数、伏線を一人一人に役割を持たせ、ちゃんと収めているところが本当にスゴイ。
    傑作だと思う。「開かせていただき光栄です」よりずっと読み応えがあった。

    「開かせて~」から出ている登場

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    2015年07月01日
  • 少年十字軍

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    何とも冷静であり、シニカルな小説だと思った。

    そして最後まで、「神」と「奇跡」の正体についての謎が明かされていない。
    結局、発端となる事件の真相については、それが人為的に仕組まれたことなのか、それとも本当に神による奇跡なのか、断定的には書かれていない(と私は読んだ)。
    その正体が最後まで巧妙に隠されていて、まるでミステリー小説のようにスリリングですらある。

    見ないで信じる者は幸いである。

    それならば、見た上で、それでも信じ続ける者はどうだろう? 哀れだろうか? 不幸だろうか?

    神はいるのか?
    奇跡は誰が起こしたのか?
    分からないけれど、少なくとも歴史を作り出したのは人間だ。

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    2015年04月28日
  • 猫舌男爵

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    皆川博子は長編2冊読んでから本書を読んだけど、ほんとに巧いし面白い。重厚な背景が毎回素晴らしいから長編向きかと勝手に思っていたが、短編でもその世界観を作れ、そのうえ作風も変えられるとは。表題作はイロモノっぽいのでズルいが最高に面白いし、「水葬楽」は廃退的な空気感に埋没させるSFでいい。ほかの3篇も皆川カラーがしっかり出ている佳作だった。そして最後の解説にもひと仕掛けというニクさ。

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    2016年01月17日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    18世紀ロンドン、外科医ダニエルの解剖学教室の暖炉からあるはずのない屍体が次々と発見され、盲目の治安判事ジョン・フィールディングが事件解決に乗り出す。
    二段、三段構えの展開にすっかり騙されたけれど、いっそ痛快なぐらいで文句なしに面白かった。ただ、その動機がちょっと哀しくほろ苦い。

    解剖が神への冒瀆とされ、さまざまな偏見にさらされていた時代に、医学の進歩のために力を尽くす彼らのおかげで、今の医学医療があるのかと頭が下がる思い。

    結局ナイジェルは謎が多いまま。続編も出てるみたいなので、そこで少しは分かるかな。続編も楽しみ。

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    2017年12月21日
  • 猫舌男爵

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    「猫舌男爵」三周目。文庫化をきっかけに久しぶりに読んだ。
    やっぱり「睡蓮」と「オムレツ少年の儀式」が好きすぎるんだけど、別のアンソロジーで読んだ「猫舌男爵」にどんどんはまってきた。ページが進むにつれてすべてが滑稽にとっ散らかるように感じて、けれど最後はみんな(たぶん)解放されて幸せ、みたいな。千街さんとか日下さんとか実在の人物が登場したり。あと解説ヤン・ジェロムスキって目次で見てすごくわくわくしてた。ヤン・ジェロムスキ文体そのままだった。ヤン・ジェロムスキ、架空の人物。

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    2015年01月21日
  • 猫舌男爵

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    5篇の短編集。

    読後に「ヤン・ジェロムスキ」の名前をググったのは私だけではないはず。
    それから「エーディット・ディートリヒ」と、「ジークムント・グリューンフォーゲル」の名前も。
    引用形式というスタイルで、史実や実在人物名もちょこちょこ出てくるもんだから、これははたして創作なのか? それとも史実なのか? と、訳が分からなくなってしまった人がいるに違いない。

    「オムレツ少年」と「太陽馬」は歴史ものに分類できると思うのだけれど、これらも「史実」と「創作」の境目が非常に曖昧だったように思う。
    特に後者の方では、ロシア・ソヴィエトの歴史を淡々と語る割と長いパートがあるのに、読後の印象としてはやっぱり

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    2014年12月12日
  • 死の泉

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    この耽美さは誰にも真似できない。40歳すぎてデビューして80超えても書いているって本当にすごい……。

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    2014年09月27日