皆川博子のレビュー一覧
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『開かせていただき光栄です』から5年後の物語。
ダニエル先生の解剖室は閉鎖し、エドとナイジェルが去った後、残された弟子たちは、盲目の判事ジョン・フィールディング氏の元で『ヒュー・アンド・クライ』という情報新聞の編集を任されていた。22歳になったネイサン・カレンや、アン・シャーリー・モアとの交流の中、それぞれが互いに負った心の傷をゆっくりと癒しながら生活していた。
そんな中に突然舞い込んだのは
「死体」と「謎」
・落下する天使を見た踏み車漕ぎの男。
・棺に入れられたナイジェル・ハートの遺体。
・胸に書かれた〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ!〉と
〈アルモニカ・ディアボリカ〉の文字。
・消えた -
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単行本版、文庫版を統合した完全版。「華麗なる狂気」という言葉がこれほど似合う短編集はなかなかありません。背徳的でありながら、どうしようもなくうっとりさせられてしまう作品ばかりです。なかなかにえげつない物語が多くって、「美しい」という表現はなんとなくそぐわない気もするのだけれど。受ける印象はやはり美しいんだなあ。
お気に入りは「遠い炎」。一番素朴な印象を受けたのだけれど、結末がなんとも恐ろしくって。読むほうも震えが止まらなくなりそうです。
「獣舎のスキャット」も凄いなあ。もうあまりに邪悪でどうにもこうにも、酷いとしか言いようがありません。なんて凄いものを書かれたんだ皆川さん! これを好きとは言い -
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四肢を失いながらも舞台に立ち続けたという、三代目澤村田之助。
幕末から明治にかけて生きたその俳優の存在を、不勉強ながら初めて知った。
実在の人物でありながら、その生き様があまりにドラマティック過ぎて、ともすれば描写が陳腐になりがちな題材だと思うが、皆川博子氏の筆さばきにそのような心配は無用で、本当に田之助や三すじ、権之助たちが自分の身近にいるかのように、この上なくリアルに感じられる。
幼少時より妖しさを以て放たれる艶やかな美貌、傑出した芸を持ちながらもどこか一部が欠落し傲岸不遜な人格、病を患い周囲の空気が徐々に変貌していくにつれて崩れ始める心身の均衡…。
それを傍で冷徹とも言える眼差しで見つめ -
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ネタバレこの作品大好き!文庫を発見したので購入再読♪
前よりずっとゆっくりと噛み締めて読めて、まだまだずーっとこの作品に浸っていたい気持ちです。今度は手元にあるからいつでも読める!
世紀末ウィーンと20年代のハリウッドと魔都上海。舞台も全体に映画の雰囲気まんてんの作品。私は映画は詳しくありませんが、映画がお好きな方はもっと違った楽しみ方も出来る作品なのでしょうね^_^
↓ここから先はちょっとネタバレご注意↓
みんな好きなシーンばかりなんだけと、頭にすごく残ったところ…
パウルとアデーラの出会いからの話とか、大好き♡ え?なにこれ映画?そのまんまだよ〜みたいに思いながら読んでました。
あとは -
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初めて読む皆川博子で、本書は8編からなる短編集。
大半の作品は戦中・戦後が時代背景になっている。
価値観が180度変わってしまった、いや180度変えなければならなかった時代に、上手く溶け込むことが出来なかった、あるいは迎合することが出来なかった人々の話が多い。
著者の作品に対して、幻視、夢幻といった単語が散見できるが、確かにそう呼ぶ以外にない作品がある反面、現実そのものを描き上げたと思しき作品もある。
ここに登場する、少年や少女、男や女たちは、きっとあの時代に実際に現実として存在していたのだろう、と思わせてくれるのだ。
どの作品も壮絶であり、凄みがあり、妖しくも哀しい。
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再読。まさに万華鏡。
あらゆる要素がはらはらはらはらと振りまかれ、読者はくるくるくるくる回る。
物語の構成が素晴らしいの一言に尽きる。
突然託された一冊の本。中には告白と虚構入り混じる「物語」が描き連ねてある。
それを見つけた少女たちが、順番に書き継いでいく……
ミステリーという体裁を取らずとも、十分魅力的な話だ。
作者の筆は、さすがの流麗さで、戦時中という舞台すらもどこか甘やかなものに変えてしまう。
少女たちは、どこまでも凛と可憐で、残酷だ。
けれどここに、上級生の少女の死や謎の死体、「本」というミステリーが絡む。読者は幻惑される。
そしてミッションスクールでの過去がじわりじわりと開示 -
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澤村田之助、という名を、寡聞にしてこの作品ではじめて知った。歌舞伎も、日本文化のひとつとしての興味こそあれ、見に行ったことさえまだない。当然、世界として体験することもはじめてで、慣れない雰囲気にしばらくは戸惑った。
しかし、物語を通して垣間見せてもらった世界には、見るものを引き摺り込む凄みがあり、また、巨大なエネルギーが渦を巻いていた。数々の御題目への自主的恭順を経て「きれい」になってしまった現代では感じにくくなっているものだと思う。ナマの感情、熱、冷徹、喧騒、におい……皆川作品ではそうした「生きている」人間が、完成された物語の奥でたしかに息づいている。右へ倣えに変化していくことのできる「社会 -
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『開かせていただき光栄です』から5年経過後の続編。
あの事件後解剖教室は解散、エド、ナイジェルは行方不明のまま。
みんなの状況も少しずつ変わっている。
何とも切ない展開だった…
事件は一応の決着を見たけれど、失ったものは大きいし取り戻すことも出来ない。
願わくはダニエル先生の下、無事に戻ったエドとクラレンス含め、もう一度和気藹々と解剖にいそしむ姿が見られたらと思うけれど(何とかベイカーさんの幸せになった姿も)、そんな続編を望むのは贅沢なんでしょうねぇ…
アンを苦手にしていたネイサンが、話が進むにつれて何気に懐いて来てるのがちょっとホッとしたところ。