【感想・ネタバレ】双頭のバビロン 下のレビュー

あらすじ

『タイタニック』撮影中に起きた火災事故のためハリウッドを追われ、中国マフィアの金を頼りに上海で映画を撮る羽目に陥ったゲオルク。分身の身代わりとして、親友と共に軍に志願し戦場に赴くユリアン。撮影現場で大怪我を負った少女のため、密命を帯びてゲオルクを追うパウル。三人の道が交叉するとき、物語は大いなる転換を果たす。動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔するハリウッドと鴉片(あへん)と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる数奇な双子を巡る運命譚は、壮麗なる終幕を迎える。/解説=石井千湖

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この作品大好き!文庫を発見したので購入再読♪
前よりずっとゆっくりと噛み締めて読めて、まだまだずーっとこの作品に浸っていたい気持ちです。今度は手元にあるからいつでも読める!
世紀末ウィーンと20年代のハリウッドと魔都上海。舞台も全体に映画の雰囲気まんてんの作品。私は映画は詳しくありませんが、映画がお好きな方はもっと違った楽しみ方も出来る作品なのでしょうね^_^

↓ここから先はちょっとネタバレご注意↓




みんな好きなシーンばかりなんだけと、頭にすごく残ったところ…
パウルとアデーラの出会いからの話とか、大好き♡ え?なにこれ映画?そのまんまだよ〜みたいに思いながら読んでました。
あとは…ツヴェンゲルが名前を言う瞬間にまたドッキリしてしまいました(・・;)2回目なのに。
あ、もう一つ外せない大好きな場面、ユリアンとツヴェンゲルの再会。感動で心が震えます…ツヴェンゲルがピアノ弾いてます。メランコリックな小品ばかり弾くとかあるけど、何を弾いてたのかな。やっぱりショパンかなぁ。

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2018年02月12日

Posted by ブクログ

めくるめく物語の奔流。
結末に辿り着いた時、書かれた人物たちの生を想い、胸を熱くする。

そうか、そう生きたのか。辿り着いたのか、と。

皆川先生、物語を紡いでくれて、私たちに読ませてくれて、本当にありがとう。

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2016年12月25日

Posted by ブクログ

文章から、声ばかりでなくにおいさえ感じられる。描写されるもののにおいではない。作品自体が放つ、腐爛直前の果実のようなにおいだ。陶酔と眩惑に包まれ、自分自身に内含されたり外部から刺激してきたりする登場人物たちの温度に親しみ、或いは鼓動を速めた。今は何を書いても、作品に魅せられた人間による下手な物真似になってしまう気がするが、それでもこの感動を残しておきたく思う。

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2016年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

書く作品書く作品すべてが代表作といってもいい奇蹟の作家。
作者の入れ込む結合双生児というモチーフを題材に落とし込みながら、往時の風俗、幻視の街、執着にも近い感情を、小説に織物していく。
陶酔するしかない。

ゲオルク―「きみ」(エーゴン・リーヴェン)
ユリアン―ツヴェンゲル

ぼくはきみを慰めたいの

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2015年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

皆川作品恒例の男2人の絆に置いてけぼりになるやつ

ゲオルク可哀想だな…最初は傲慢で不遜で勝ち気でみたいな人かと思ったら意外と普通の感性があって(でもこれはユリアンと違って外の世界で自由に生きれたからこそだと思うので、それもまた残酷な描写だと思うのだけど)後半ゲオルクのこと見直すし好きになるよね

最後のシーンはどちらが本当か、について。
多分読者の解釈それぞれ答えなんだろうけど、私の考えではツヴェンゲルの方なのかなぁ、と最初は思った。
なんでかっていうと、誰もいない所で2人で一緒に死のうといういわゆるメリバは、皆川先生の中ではハッピーエンドなのかなと思ってるから。
そして、ツヴェンゲルの方は「先に片割れが死んでしまった。自身も壊死していく中の残りの人生はそれを弔う時間」。こっちの方が皆川作品的にはバッドだと思うんです。(そもそもどっちもバッドなんだけども)
最後のユリアンパートは、作中でも言及されていた「最後の人」の手法のオマージュなのかと思っちゃったので、もうこれは「現実が悲しいから(ユリアンとツヴェンゲルにとっての)ハッピーエンドバージョンも見せてあげるね」ってことだ…と解釈したんですが
フォント的に精神感応してるからユリアンパートが本物、という考察も見てなるほど…!?と思ったり。

どっちが本当なのよ〜!?的なエンディングあんまり好きじゃないはずなのに皆川博子が大好きという矛盾
そしてこういうエンディングのせいでめちゃくちゃ引きずるんだよな皆川作品…

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2024年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

壮大であり切なかった…ゲオルク、ユリアン、パウル、どのストーリーもとてものめり込んでしまった。ゲオルクとユリアンにとって切り離せないツヴァンゲルという存在。
徐々に三人の語る出来事が繋がりリンクしていくのが見事だった。

ラスト、ゲオルクの書いた結末でも、ユリアンの語る結末でも、どちらか真実か分からないがどちらにしても切なくて胸に木枯が吹く。
君に良き日々の続くことを。ユリアンからゲオルクへの、最後の一文がとても身に染みる。

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2020年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻の感想。

ゲオルグは名家の跡取りになるけれど、決して順風満帆な人生を歩んだわけではない。のだけれど、いまいち共感できない…
ユリアンは自分が何者でもないことを悩み、結局は何者にもなれないまま…
けれども、最後にはユリアンは救われたんだなあと思うのは、ツヴェンゲルがいたから。
ユリアンにはツヴェンゲルがいたけれど、ゲオルグにはいなかった。最後にゲオルグが書いたものと、ユリアンが書いた手記の違いはそういうことなのかなあ、と。
それにしてもツヴェンゲル有能すぎ…

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2020年05月23日

Posted by ブクログ

下巻も面白かったです。壮大。
人の汚いところも美しいところも、余すところなく描かれていました。
最後までゲオルクとユリアンはちゃんと会うことはなかった。けれど、ユリアンとツヴェンゲルはお互いの間に誰も入り込ませたくなかったのだと思います。
「私はハリウッドの安直なハッピーエンドには辟易している。けれど、現実の不幸はできるかぎり少ない方がいい。」

最後のユリアンの章、そしてラスト10行、泣けてしまいます。精神感応は出来たのだろうか。

「君によき日の続くことを。」

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2020年04月10日

Posted by ブクログ

皆川博子さんの、まるでその世界に入り込んでしまったような錯覚を覚えるほどの緻密な世界観は病みつきになってしまうけど、今回はお話があんまり好きになれなかったかなあ。上巻ののろのろ展開には辟易したし。あと、結末がハッピーエンドとは言えないのも読み手としてつらい。

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2021年04月16日

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