あらすじ
『タイタニック』撮影中に起きた火災事故のためハリウッドを追われ、中国マフィアの金を頼りに上海で映画を撮る羽目に陥ったゲオルク。分身の身代わりとして、親友と共に軍に志願し戦場に赴くユリアン。撮影現場で大怪我を負った少女のため、密命を帯びてゲオルクを追うパウル。三人の道が交叉するとき、物語は大いなる転換を果たす。動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔するハリウッドと鴉片(あへん)と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる数奇な双子を巡る運命譚は、壮麗なる終幕を迎える。/解説=石井千湖
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Posted by ブクログ
この作品大好き!文庫を発見したので購入再読♪
前よりずっとゆっくりと噛み締めて読めて、まだまだずーっとこの作品に浸っていたい気持ちです。今度は手元にあるからいつでも読める!
世紀末ウィーンと20年代のハリウッドと魔都上海。舞台も全体に映画の雰囲気まんてんの作品。私は映画は詳しくありませんが、映画がお好きな方はもっと違った楽しみ方も出来る作品なのでしょうね^_^
↓ここから先はちょっとネタバレご注意↓
みんな好きなシーンばかりなんだけと、頭にすごく残ったところ…
パウルとアデーラの出会いからの話とか、大好き♡ え?なにこれ映画?そのまんまだよ〜みたいに思いながら読んでました。
あとは…ツヴェンゲルが名前を言う瞬間にまたドッキリしてしまいました(・・;)2回目なのに。
あ、もう一つ外せない大好きな場面、ユリアンとツヴェンゲルの再会。感動で心が震えます…ツヴェンゲルがピアノ弾いてます。メランコリックな小品ばかり弾くとかあるけど、何を弾いてたのかな。やっぱりショパンかなぁ。
Posted by ブクログ
書く作品書く作品すべてが代表作といってもいい奇蹟の作家。
作者の入れ込む結合双生児というモチーフを題材に落とし込みながら、往時の風俗、幻視の街、執着にも近い感情を、小説に織物していく。
陶酔するしかない。
ゲオルク―「きみ」(エーゴン・リーヴェン)
ユリアン―ツヴェンゲル
ぼくはきみを慰めたいのだ
Posted by ブクログ
皆川作品恒例の男2人の絆に置いてけぼりになるやつ
ゲオルク可哀想だな…最初は傲慢で不遜で勝ち気でみたいな人かと思ったら意外と普通の感性があって(でもこれはユリアンと違って外の世界で自由に生きれたからこそだと思うので、それもまた残酷な描写だと思うのだけど)後半ゲオルクのこと見直すし好きになるよね
最後のシーンはどちらが本当か、について。
多分読者の解釈それぞれ答えなんだろうけど、私の考えではツヴェンゲルの方なのかなぁ、と最初は思った。
なんでかっていうと、誰もいない所で2人で一緒に死のうといういわゆるメリバは、皆川先生の中ではハッピーエンドなのかなと思ってるから。
そして、ツヴェンゲルの方は「先に片割れが死んでしまった。自身も壊死していく中の残りの人生はそれを弔う時間」。こっちの方が皆川作品的にはバッドだと思うんです。(そもそもどっちもバッドなんだけども)
最後のユリアンパートは、作中でも言及されていた「最後の人」の手法のオマージュなのかと思っちゃったので、もうこれは「現実が悲しいから(ユリアンとツヴェンゲルにとっての)ハッピーエンドバージョンも見せてあげるね」ってことだ…と解釈したんですが
フォント的に精神感応してるからユリアンパートが本物、という考察も見てなるほど…!?と思ったり。
どっちが本当なのよ〜!?的なエンディングあんまり好きじゃないはずなのに皆川博子が大好きという矛盾
そしてこういうエンディングのせいでめちゃくちゃ引きずるんだよな皆川作品…
Posted by ブクログ
壮大であり切なかった…ゲオルク、ユリアン、パウル、どのストーリーもとてものめり込んでしまった。ゲオルクとユリアンにとって切り離せないツヴァンゲルという存在。
徐々に三人の語る出来事が繋がりリンクしていくのが見事だった。
ラスト、ゲオルクの書いた結末でも、ユリアンの語る結末でも、どちらか真実か分からないがどちらにしても切なくて胸に木枯が吹く。
君に良き日々の続くことを。ユリアンからゲオルクへの、最後の一文がとても身に染みる。