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Posted by ブクログ
何とも冷静であり、シニカルな小説だと思った。
そして最後まで、「神」と「奇跡」の正体についての謎が明かされていない。
結局、発端となる事件の真相については、それが人為的に仕組まれたことなのか、それとも本当に神による奇跡なのか、断定的には書かれていない(と私は読んだ)。
その正体が最後まで巧妙に隠されていて、まるでミステリー小説のようにスリリングですらある。
見ないで信じる者は幸いである。
それならば、見た上で、それでも信じ続ける者はどうだろう? 哀れだろうか? 不幸だろうか?
神はいるのか?
奇跡は誰が起こしたのか?
分からないけれど、少なくとも歴史を作り出したのは人間だ。
Posted by ブクログ
少年十字軍の悲劇を知っていれば
この子達にどんな結末が待っているのか
それを作者がどれだけ耽美、爛れた
退廃的な世界に描くのかと思いながら
読んでいったのだけど。。。
神への信仰を表面にあらわしながら
俗な人間の欲にまみれ浸りきった大人たちに
(あぁ大人の世界を縮小版で濃縮している
レイモンにもか)利用され、試され、裏切られ、
翻弄される子供たちが、ただ一心に信じている
苦難からの解放、自由な世界、導いてくれるはずの
エティエンヌ。
染まって汚れたものも、純粋なものも、全て背負い
その身を削りながらたどり着く先は。
ぜひ読んで、余韻に浸ってみてください。
Posted by ブクログ
13世紀に実際にあった少年十字軍をテーマに描かれたお話。
難解そうに見えて、意外にさらさらと読める。それは、登場人物は多いのに、それぞれが生き生きと魅力的に描かれているせいかも知れない。
エティエンヌに心酔する子どもたち、信じてはいないけれど追随する者、利用しようとする者、そして訳も分からずただ参加する者。様々な思惑が絡み合いながら旅は続く。
神の不在、死後の世界と無宗教の人間には正直理解できない部分はあるけれど、中世的なちょっと暗くて閉鎖的な雰囲気は伝わってくる。
身勝手な大人たちに腹が立つと同時に、エティエンヌがいれば大丈夫と無邪気に繰り返す子どもたちの残酷さにも慄然とする。すべてを背負い込もうとするエティエンヌが痛々しくて切ない。
でも、史実よりも少し希望の持てるラストに救われる。
Posted by ブクログ
面白かったです。
13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。
児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。
エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いたり阻んだりする大人たちの思惑が醜く残酷なのですが、この混沌とした時代には仕方ない事だったのかもと思いました。歴然と身分の差があって重税に苦しんで。
記憶を無くしているガブリエルがとても好きな登場人物だったのですが、彼が到達する「神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ」という「真実」が重く垂れ込めます。
死とは〈無〉。壮絶な虚無。でもそこには、命が満ちている。。
皆川さんはやっぱり、児童書でも容赦なくて良かったです。毒や闇は少なめでも、無くはないので。
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