皆川博子のレビュー一覧

  • 伯林蝋人形館

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    単行本も持っていますが、文庫も買いました。
    解説に年表が載っていて、とても詳しいです。
    皆川先生大好き。

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    2009年10月04日
  • 死の泉

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    ネタバレ

    第二次大戦下のドイツ。ギュンター・フォン・フュルステンベルクの子を身ごもったマルガレーテは、ナチの施設“生命の泉《レーベンスボルン》”に身を置く。不老不死の研究を行い芸術を偏愛する医師クラウスに求婚され承諾したマルガレーテは、彼の養子であるフランツとエーリヒそして産み落とした我が子・ミヒャエルと共に戦中の最中、豊かな生活を送りつづけていた。
    だが、家政婦であり、昔の看護婦仲間であるモニカ・シュネーは、執拗にマルガレーテを脅迫する。戦火を逃れオーバーザルツベルグへ移り住んだ1945年春、事件は起った。しかし英ランカスター機の投下された爆弾はオーバーザルツベルグの全ての建物を壊滅、それは闇の彼方へ

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    2020年07月22日
  • U

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    ネタバレ

    心を掻き乱される長編だった。戦争に巻き込まれてすべてを奪われた、取り返しのつかない沢山の人生に思いを馳せる。
    第一次世界大戦時のドイツと、十七世紀のオスマン帝国。このふたつが思わぬところで繋がったときの興奮!
    特にオスマン帝国時代のパートは読み応えがあった。宮殿の中の様子が目に浮かんでくるようだったし、奴隷たちの人間関係や権力者の言動もすぐ目の前で見ているような臨場感があった。それだけに、何も知らぬ少年たちが人間扱いされていない描写は、不憫で胸が痛んだ。
    二人の手記を読むという形での読書も楽しめた。この手記は主にヤーノシュの中の矛盾と、さまざまなものを消化するためにあるのだろう。宗教を変えられ

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    2025年10月19日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    またバートンズのみんなに会えて喜んでたらナイジェルとデニス・アボットが知らないうちに死んでてショック……

    ナイジェルの生い立ちが壮絶。やっぱり環境が人間に与える影響は大きいのか……
    患者を見世物にしてお金をとってたベツレヘム精神病院が本当にあると知り戦慄。

    虐待、生き埋め、死体。全体的にどろどろしていてグロテスクなのにどこか美しい。
    ミステリとしては前作よりも少し詰めが甘い印象。

    最後の一文が切ない。

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    2025年09月19日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    最後はなかなか集中出来なかったので時間がかかったが面白かった。
    登場人物のキャラクターが良かった。
    共感できたわけではないけど、世界観は好き。

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    2025年09月04日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    エドワード・ターナー三部作の二作目。
    一作目の「開かせていただき光栄です」が衝撃的な面白さだったのでこちらも早速読んでみた。


    感想(前作含むネタバレあり)
    前作は2012年本格ミステリ大賞を受賞している。
    前作含めネタバレなしで読むのを強く強くお勧めするので、未読の場合はここで止まって欲しい。


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    エドとナイジェルが消え、解剖教室の初期メンバーが解散して数年後の世界。
    その他メンバー(アル、クラレンス、ベン)はダニエル先生の解剖教室を辞め、治安判事サー・ジョンの元で働いている。

    ある日、サー・ジョンの元にお客がやってきた。彼の依頼は、とあ

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    2025年08月02日
  • 花闇

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    とても読み応えがあった。ともすると役者の心根って常人の理解の範疇を遠く超えてしまう中で、三すじという視点があるおかげでそれが少しだけ読み手の近くに引き寄せられて、ちゃんと腹に落ちるようになっていた(三すじもその狂気の一筋を持ってはいるけれど)。

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    2025年07月25日
  • だから捨ててと言ったのに

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    短編なのでサクサク読めた。
    今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
    誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
    アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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    ↓読んだ中で印象に残ったもの。

    ●良い話
    砥上裕將『母の箪笥』
    金子玲介『恋文』

    ●じわじわ来る系
    潮谷験『無理解』
    五十嵐律人『累犯家族』
    背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』

    ●設定の世界観が独特
    黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
    舞城王太郎『食パンと右肘』
    多崎礼『海に還

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    2025年05月31日
  • だから捨ててと言ったのに

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    「だから捨ててと言ったのに」という1文から始まるショートストーリー集。このシリーズは全て読んでいるが、毎回色んな作家さんの作品が読めるので楽しみ。今回のもバラエティに富んでいて面白かった。
    「パルス、またたき、脳挫傷」岡崎隼人
    「海に還る」多崎礼
    「探偵ですから」麻耶雄嵩
    この3編が特に意外性があって良かった。

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    2025年05月19日
  • 影を買う店

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    幻想小説集。細かいところに目が惹かれてなかなか先に進めない。お気に入りは女学校で出会ったピアノを引く美しい人を柘榴と名付ける「柘榴」と、卵生の水のお話「断章」。

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    2025年05月04日
  • だから捨ててと言ったのに

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    色んな短編があって面白かった。
    ちょっと理解できない話や良く分からなかった話もあったけど、個人的には「母の箪笥」「海に還る」が好きだった。

    こわくてキモくてかわいい、それ 一体何だったのだろう…??

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    2025年04月13日
  • だから捨ててと言ったのに

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    不穏な話は少なめ。金子玲介さん『恋文』、舞城王太郎さん『食パンと右肘』、多崎礼さん『海に還る』、麻耶雄嵩さん『探偵ですから』が特に好き。

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    2025年04月01日
  • だから捨ててと言ったのに

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    すべて「だから捨ててと言ったのに」から始まる、複数作家の短編集。
    同じセリフから始まるのに、こうも多様な物語になるのかと驚きました。
    ちょっとよくわからないなという話もありましたが、おおむね読みやすく、飽きずに最後まで楽しめました。

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    2025年03月16日
  • だから捨ててと言ったのに

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    ショートショート。どの話も「だから捨ててと言ったのに」という文から始まる。
    はずれなし。
    中でも好みだったのが、多崎礼さんの『海に還る』
    悲しく美しい人魚のはなし。
    黒澤いづみさんの『捨てる神と拾う神』もいい。

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    2025年02月23日
  • だから捨ててと言ったのに

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    「だから捨ててといったのに」から全ての物語が始まる短編集。作者によって「何を捨ててと言ったのか」を読むのが楽しいですね。昔星新一の「ノックの音が」を読んだときのようなワクワク感があります。普段あまり本を読んでいないので、この手のタイプの短編アンソロジーはいろんな作者さんの作品を一冊でたくさん読めるのが本当にありがたいです。多分読書家の方なら、作者を伏せても「この話はこの人が書いたのかな」と分かるのかもしれないなと思いました。そういう楽しみ方をしても良いのかも。
    真下みこと「お守り代わり」
    五十嵐律人「累犯家族」
    芦沢央「久闊を叙す」
    多崎礼「海に還る」
    谷絹茉優「猟妻」
    こちらの5編が特に好き

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    2025年01月20日
  • 写楽

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    べらぼうの予習がてら。
    いやぁ面白かった!なんていうんだろうな、皆川先生って万人受けするめちゃくちゃ面白い小説、っていうのとは違うんだけど、私は大好きなんだよな〜
    花闇、恋紅、散りしきる花、とお江戸小説筋を鍛えていたからこそこんなにスラスラ読めるようになったのね、と思う。最初に読んだ花闇なんて一回挫折してるので。

    蔦重好きだなぁ
    べらぼうの予告映像の蔦重とほぼ相違ないイメージで、蔦屋重三郎のパブリックイメージってこうなんか、と知る。

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    2024年12月25日
  • 倒立する塔の殺人

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     戦時中の女学校に通う少女たちと彼女たちが紡ぐ『倒立する塔の殺人』という虚構と現実が絡み合う構成になっていて、彼女たちの利発さや聡明さに隠された毒が良いアクセントになっていて、それを踏まえて明かされる真相も意表を突くもので面白かった。純粋にミステリーとして読むと肩透かしを食らうかもしれないが、小説としての面白さは抜群だった。

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    2024年12月21日
  • 死の泉

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    ネタバレ

    ナチスによって設立されたレーベンスボルンから物語は始まる。前半のマルガレーテ視点の語りでは、特定の出自や特徴を持った子どもを増やそうとするその罪深さがよく描かれている。そこに不老のための人体実験や、去勢処置によって少年の歌声を維持するカストラートなど、倫理的に問題のある要素が物語に組み込まれていて非常に緊張感と重苦しさがある。
    終盤はミステリの色が濃くなり、胸のザワザワが止まらない。
    フランツが秘密を抱えていたなんて考えもしなかった。マルガレーテはもう妊娠しなくなったのかなと思っていたので、実は第二子がいたのも納得。何も知らずにエーリヒだと思い込まされて大人になったミヒャエルがあまりにも可哀想

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    2024年06月06日
  • 双頭のバビロン 下

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    ネタバレ

    皆川作品恒例の男2人の絆に置いてけぼりになるやつ

    ゲオルク可哀想だな…最初は傲慢で不遜で勝ち気でみたいな人かと思ったら意外と普通の感性があって(でもこれはユリアンと違って外の世界で自由に生きれたからこそだと思うので、それもまた残酷な描写だと思うのだけど)後半ゲオルクのこと見直すし好きになるよね

    最後のシーンはどちらが本当か、について。
    多分読者の解釈それぞれ答えなんだろうけど、私の考えではツヴェンゲルの方なのかなぁ、と最初は思った。
    なんでかっていうと、誰もいない所で2人で一緒に死のうといういわゆるメリバは、皆川先生の中ではハッピーエンドなのかなと思ってるから。
    そして、ツヴェンゲルの方は

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    2024年05月29日
  • 死の泉

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    凄まじい作家的熱量を感じた。
    本書は、作中に登場する人物が著した書物を、架空の翻訳者が訳したという体を取っている。まず意味が分からない。
    舞台はWWⅡ下における独逸、狂疾的な医師を巡る危うい内容だが、情報が多く一口でまとめ切れない。
    終盤にかけとっ散らかっている印象は拭えないが、約650Pの大ボリュームで、作者の脳内の一片を感じれた気がする中々の読書体験が出来た。

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    2024年04月22日