皆川博子のレビュー一覧

  • 少年十字軍

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    ネタバレ

    クライマックスの『試練』『選択』の残酷さよ……
    が、この二つこそが人間が一生負い続けるものなのかとぞっとした。
    なんといっても作者の筆力の素晴らしさ。手に汗握ってしまった……

    物語としても、これだけの人数が出てくるにも関わらず、一人一人が生き生きと活写されている。
    十三世紀という時代、どれだけ「神」という存在が人を救い、その何倍も人を苦悩させたのか。正直、何もかも「神」中心になる当時の人々の心情には寄り沿えないが、無垢な人々がいるのと同じくらい、狡猾に「神」を利用している人々の逞しさにも感心させられた。

    キャラクターがすべて素晴らしい。
    ラスト、「無」から生きる手ごたえを取り戻したいと思っ

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    2015年08月15日
  • 死の泉

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    ナチスドイツの時代を舞台に描かれる超大作。海外文学の体裁がとられているけど、実際、読み応えも海外文学のそれ。でも、海外文学より国内文学の方に魅力を感じてしまう自分としては、これも完全には入れ込めなかったってのが本音。自分なりに分析してみると、やっぱりカタカナの人名がネックなのではないか、と。あと、地名がピンと来ないのも大きい。もちろん、海外にはこんな人名があるんだとか、あの国にはそんな場所があるんだとか、そういう意味での興味はあるけど、それでもやっぱり、骨肉となっている和名には及ばず。といいながら、これからも海外文学とか、ずっと読んでいくんだけど、きっと。

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    2015年07月02日
  • 死の泉

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     ミステリだし、という油断を全く許さない正統派の物語。
     嘆美だし、幻想的なのに骨太。どうしたらこんな話が書けるんだってなる。

     そして最終行までたっぷりと楽しませて頂いた。
     ありがとうございます。
     最初から読み直したい……! うわぁぁぁぁってなる。

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    2015年06月11日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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     開かせていただき光栄ですの続編ということだが油断ならない。容赦ない。
     時代背景的にイギリスの全盛期だと思うのだが、何だろうこの闇の濃さは。
     面白い。

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    2015年06月11日
  • 倒立する塔の殺人

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     幻惑させられる。
     倒立する。
     この話はどこに行くの? そう思いながら、頁を繰る手はとまらない。

     空気を読まない異分子としての「イブ」。
     ミッション学校にどこか崩れた感じを残す「ジダラック」。

     なんという悪意に満ちた呼び名だろう。まさに女子。
     そして、戦争と、その中でただ生きる彼女らは……………もうね、なんというか、すごいわ。これ。
     再読したい。

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    2015年06月11日
  • トマト・ゲーム

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    この密やかな毒に、指先からそっと浸して、ずっと痺れていたい……
    そう思わせる皆川ワールド。
    なんでこんなに底意地が悪くて性格が悪くて後味も猛烈に悪いのに惹かれるのか。

    皆川先生の作品は、どれも幼女がそのまま大人になってしまったような儚さと残酷さがあって、どんな惨い内容にも、根底に無邪気さがあるように感じられる。

    その残酷さに、どうしようもなく惹かれるのかも。
    装丁の人形が皆川ワールドをあますことなく表現していて、美しい。

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    2015年06月11日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    登場人物が結構多くて、名前もごっちゃになって読むのが少し大変でした。

    前作の、ナイジェルがまさかの姿になって現れて、彼の悲惨な過去と別の事件が少しづつ明らかになっていきます。ちょっと想像を斜めいってる過去でした。

    今回はアルが結構重要な役割を務め、彼が一番正義をしっかり持っていて彼がでてくると結構安心しました。
    本当昔のイギリスは腐ってるな、と判事のもどかしさがよくわかる。

    もちろんエドもでてきます。
    彼も彼なりの正義を前回同様持っていて潔かったと思う。

    それにしても残酷だなぁ。
    新大陸に渡ったみんなは、そして最後の最後で助け出されたベイカーさんは幸せになれるのかなぁ?






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    2015年06月05日
  • 蝶

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    タイトルがなんだか耽美だなあと思って手に取ってみた作品。
    これは、筋肉少女帯とか江戸川乱歩とか京極夏彦が好きな人にはとってもはまる作家さんだと思います!あと若合春侑。

    退廃的でとても耽美。子供目線の、戦前〜戦後くらいの時期の短編集がいくつか収録されています。
    一番良かったのは、良縁を紹介してもらうために奉公しに行ったお宅の奥様と女性同士で恋仲になってしまった小間使いの話。奥様が防空壕で焼け死んでから最後までの幻想的なくだりが読んでいてドキドキした。

    戦時中〜戦後までのエログロというかなんというか、あの時代特有の暗いエネルギーに満ちています。ミステリーもたくさん書いているらしいので、読んでみ

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    2015年05月09日
  • 薔薇忌

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    演劇に携わる人々を描いた短編集。内容は「演劇の話」と聞いて想像するものの斜め上を行く、皆川博子テイストの効いた独特なものばかり。役者だけでなく、プロデューサーや小道具製作者などの裏方にもスポットを当てている。面白かった!

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    2015年04月30日
  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    『開かせていただき光栄です』続編。前作のネタバレ要素を含むので、順番に読むことをお薦めする。
    前作から5年後、胸に奇妙な暗号が刻まれた屍体が発見され、盲目の判事サー・ジョンがその謎に挑む。サー・ジョンの捜査状況とナイジェルの手記が交互に語られ、徐々に真相が明らかになっていく。
    今回登場人物が多く、しかもナイジェルの手記に出てくる過去の話や、15年前の事件との関わりなど、時系列と人間関係の整理が難しかった。そして二転三転する事態に、またしてもやられてしまった。
    謎の多かったナイジェルの過去が明らかになり、エドも少しだけ登場。面白いんだけど、前作以上に哀しいお話だった。

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    2015年06月23日
  • 猫舌男爵

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    怪しい雰囲気漂う短編集。

    個人的に『水葬楽』『睡蓮』が好きでした。『水葬楽』は未来の死の概念のようなお話ですが、この先あり得るような怖さを感じました。どのお話にも時代が分からないところに感じる不安なような怖さを感じました。
    表題作『猫舌男爵』は想像してなかった内容で、純粋に面白かったです。

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    2015年03月09日
  • 倒立する塔の殺人

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    背景は戦中戦後。
    現在と過去を行ったり来たりして混乱しそうになるのは
    いつもの事だけれど、それが手書きの小説の少女達と
    重なって、更には、お嬢様学校とはいえ戦時中の過酷な労働と
    質素な食事、クラスメイト同士の友情や軋轢、
    女学校特有の密やかな交流や嫉妬や悪意等がリアルだったりする。
    それでも幻想的な部分は相変わらずステキだ。
    美しくて醜くて、優しくて残酷で、リアルでシュール。
    そして、見事に惑わされ、誘導されましたよ。
    書き回しの小説のラストで、これが真相だろうというのが
    書き足されるんだけど、本当の結末はその後にひっそりとやってくる。
    切ないくらいの執念を感じましたよ。

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    2015年02月28日
  • 蝶

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    背景に戦争があって、それに翻弄される人々が主役である。
    大人だったり、子供だったり、妾だったり、孤児だったり・・・
    幻想に惑わされるのか、知らずに狂気が育っていたのか
    気が付くと「死」が纏わりついていた。
    戦争がそうさせたのか、そうなる運命だったのか
    美しくて、なげやりで、悲しくて、空っぽで、
    そして残酷な物語。
    幻想世界は、実はすぐそばにあった・・・
    やはりたまりません!

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    2015年02月28日
  • 薔薇忌

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    初めましての作家さん。
    90年代に出版されたものの復刻版のようです。
    舞台に携わる者たちの妖しい短編集。
    ミステリというよりは、幻想譚といった感じです。
    でも短編集なのに、どれもこれもヤバイ。
    舞台に携わる者達の話だから、どうしても妖しくなる。
    だけど文章の持って行き方がヤバイ。
    起承転結を当てはめるとするなら

    起承~~~~転?結!!工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工
    って感じかなぁ~
    最後の1ページで、一気に幻想に変化するというか・・・
    こういうのは初体験です。
    ヤバイです。面白かった。

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    2015年02月28日
  • 猫舌男爵

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    初読みの皆川博子作品。なんとも濃密な短編集だった。幻想的であったり笑いがあったり…。正直難解な部分が多いが、それでも魅せられてしまう。「睡蓮」「太陽馬」が特によかった。この作家さんの、ヨーロッパを舞台にした話をもっと読んでみたいと思って早速購入!楽しみだ。

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    2015年02月22日
  • 猫舌男爵

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    ネタバレ

    「水葬楽」
    「猫舌男爵」
    「オムレツ少年の儀式」
    「睡蓮」
    「太陽馬」

    皆川博子の幅の広さよ。
    「水葬楽」「太陽馬」はどちらもひと捻りした幻想文学の手本。

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    2014年11月30日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    ネタバレ

    ずっと読みたかったのですが、なかなか気がのらず。
    肌寒くなってきたからか、気分が向いたので購入~。

    一番後ろのページに「本書は活字が大きく読みやすい<トールサイズ>です」と書いてありますが、字、大きくないし、字の線が細い上に印刷(インク?)が薄くて読みにくかったです。近眼も老眼も乱視もなくて視力も裸眼で1.0以上あるうちに読んでよかったな~。

    解剖医とその弟子の話です。
    舞台はイギリス。18世紀。
    多くの女子と同じように中世ヨーロッパに憧れを持っていますが、実情は貴族のドレスのようには美しくないのですよね。
    衛生環境や人権、教育など劣悪すぎる。
    少し前に「パヒューム」という映画を見ました。

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    2016年08月16日
  • 薔薇忌

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    ネタバレ

    芝居をめぐる、惹かれ期待する関係の短篇集。いじらしくて、ねじまがって、フェティッシュで、古臭くて。
    短編の寄せ集めではなく撚り集めで物語が出来る。
    決して「恋愛」ではないし、情愛が支配するわけではない。
    欲望と怠惰と執着と希求。
    純粋さよりも湛える深淵を愛す。

    各編ごとに見ても仕方ないって途中までやって分かった。
    各々登場人物の設定とかかれる内容は少しずれている気がする。勿論意味はあって必要な設定なんだけど、〇〇→△△となる記号ではなくて、〇〇からその人の印象と人生を推測しないと読みにくい。AパートとBパートの距離が遠い。
    登場人物は等しく大きい得体のしれない(歴史を持つ)ものへの畏れを持ち

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    2014年08月13日
  • 少女外道

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    どれも少しずつ人の道から外れた話だが、そういうものを扱う作品に強く心惹かれたことはない。それは、自分が正常であることの証明となんとなく思っていたが、この本を読んでみて、自分の中にも「外道」の部分が潜んでいると気づく。
    人の心の闇を、おどろおどろしいだけではなく、美しく鮮やかに見せてくれ、自分ひとりではたどり着けないところへ連れて行ってくれる。80歳を超えている筆者の作品を、これからも1篇でも多く手に取っていけるよう願っている。

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    2014年06月23日
  • 蝶

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    ホラーっぽいけど幻想世界。

    戦前から戦後にかけての独特な社会の雰囲気が描かれています。ゾクっとするトコロも多々ありますが、怖くはなくあくまでも神秘的な文章が素敵です。

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    2014年05月22日