【感想・ネタバレ】妖恋のレビュー

あらすじ

男と女が落ちたのは、甘美な恋か、底知れぬ闇か。江戸の恋は、こんなにも妖しく、こんなにも切ない。年下の火消し鳶との祝言をひかえた女が、火事の夜に知ってしまった男の秘密に、自らの暗い深淵を覗き込む「心中薄雪桜」。「血の臭いをかぐと螢は死ぬよ……」。姉の家に男を誘う少女の闇を描く「螢沢」。菊作りに精を出す隠居した男が月夜に出会った、娘姿の人形を操る不思議な少年に魅せられてゆく「十六夜鏡」。変化朝顔に魅入られた男女の虚ろで残酷な恋の末路を、無垢な少女が見つめる「濡れ千鳥」。『開かせていただき光栄です』『少年十字軍』などで話題の著者が、江戸の四季の風物に彩られた七つの恋のかたちを描く。大人のための、そして大人の世界を垣間見たい人のための珠玉の短編集。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

再読でも、ここに描かれる甘やかで残酷な世界にうっとりします。
どこから狂っていたのだろう、でもきっと最初から狂っていたのだと思います。
「心中薄雪桜」と「夕紅葉」が好きですが、「妖恋」の一文「おまえ、どうして、そう、化け物と人をわけるのだろう。どっちもたいして変わりはありゃあしないのだよ」にははっとします。
「夕紅葉」の、紅葉ケ原はどこ、に、ここじゃないか、とこころの中から声がするのもぞっとしました。そうか、あの時囚われたのだ、と。
絶望的な世界なら、彼方側に行ってしまった方が楽なのか…狂気を抱えて生きるのか。。
カバーの折り返しにも載っている、近藤史恵さんの解説もとても好きです。

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2019年06月25日

Posted by ブクログ

美・情・狂
文章や人物の表に現れる美しさ
その底や背後にある情念
そして怪談的幻想的ともいえるが
一線を踏み越えてしまった狂気の世界
それに甘く妖しく浸る。
現代から描くお江戸を舞台に大人の怪談とも。

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2017年06月07日

Posted by ブクログ

江戸時代を背景とした短編集。
どのお話も、タイトルが艶めかしくも美しい。
この時代だからこその切なさが胸に迫る。
これを今の時代の言葉で言うならば、
大人のファンタジーか。

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2014年05月20日

Posted by ブクログ

タイトル通り、妖しくも切ない、江戸時代だからこそのどうにもならない諦めにも似た絶望、闇のある様々な男女の恋の話。心中薄雪桜、螢沢、十六夜鏡、春禽譜、妖恋、夕紅葉、濡れ千鳥。幻想的な雰囲気。

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2013年09月08日

Posted by ブクログ

江戸を舞台にした妖しく切ない短編集。

現実と幻の境界が曖昧な感じで幻想的。
時代背景故にすれ違ったり成就しなかったり…物悲しい空気が漂う。

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2020年03月14日

Posted by ブクログ

1作約30頁という短篇でありながら、読者を世界観に浸らせさらに主人公の狂気的な恋情を恐怖や絶望だけでなく切なさと幸福に変える文章に感服。
江戸なのに江戸ではない、江戸でないようで江戸の出来事。曖昧さ加減が絶妙で、そのなかで揺れ動く恋もまた絶妙で、この人にしか書けない文章だなと思った。
挿絵がまたきれいで、作品の雰囲気にとてもあっている。

濡れ千鳥が一番好き。

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2014年04月20日

Posted by ブクログ

 ファンタジーだなぁと思ったら、解説で幻想小説とあって納得。
 1話1話の重みが軽いんだけれど、よくよく読むと、がっつりと重い。そして酷い。
 それなのにきれいなのか文体のせいなのか、書き手の心根ゆえなのか。

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2014年03月20日

Posted by ブクログ

タイトルからして美しい言葉が並ぶ。合わせて挿絵の妖しい美しさ。
本篇を彩る言葉がまた贅を尽くした絢爛さだ・・・人物や風景、行事、召し物などの江戸模様がまた良い。
今宵はどの篇で甘美な絶望の夢をみようか・・・蛍舞い飛ぶ沢か、菊の香漂う薄もやの早朝か・・・

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2013年09月04日

Posted by ブクログ

江戸時代を舞台にした幻想的な短編集。恋に縛られ身を滅ぼす男女の心の機微が、幽玄かつ繊細な筆致で描かれる。読んでいるうちに、夢と幻の境目が曖昧になっていくような不思議な感覚が味わえる。特に前半収録の何篇かは、語り口調が泉鏡花っぽいなと思った。

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2013年07月20日

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