歴史・時代小説 - KADOKAWA - 角川文庫作品一覧

  • 冲方丁歴史小説4作品試し読み合本(『天地明察』『光圀伝』『はなとゆめ』『麒麟児』)
    無料あり
    4.5
    『天地明察』から『麒麟児』までの冲方歴史長編4作品、合計400ページ超(紙本換算)を収めた試し読み合本! 【収録作品】 『天地明察』 徳川四代将軍家綱の治世、あるプロジェクトが立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く。日本文化を変えた大計画を瑞々しくも重厚に描く傑作歴史小説。 『光圀伝』 なぜ「あの男」を殺めることになったのか。老齢の水戸光圀はその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に壮絶な「試練」を与えられた幼少期。「傾奇者」として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き「虎」は「大日本史」編纂という大事業に乗り出す。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。 『はなとゆめ』 28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言は宮中での存在感を強める。しかし、権力を掌握せんとする藤原道長と定子の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説! 『麒麟児』 慶応四年三月。鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川追討令を受け、江戸に迫りつつあった。軍事取扱の勝海舟は徳川家を守るべく、決死の策を練る。五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に全てを賭けて――。 幕末最大の転換点「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。
  • 日本改暦事情
    3.0
    徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く――。 本屋大賞受賞作『天地明察』の原型となった短篇小説、電子オリジナルで配信!
  • 佐渡流人行
    値引きあり
    -
    佐渡金山奉行所への転任を上役からこわれた時、寺社奉行所役人黒塚喜介の頭の中を不意によぎるものがあった。2年前、妻との仲を疑い、八丁堀与力を動かして伝馬町の牢へ送った無頼者弥十。その赦免が間近いのだ。いっそ、金山の暗い坑の底で、地獄の苦しみを彼に味あわせたい。……喜介の胸に、どす黒い憎しみと嗜虐心のほむらが一気にふき上げて来た。表題作「佐渡流人行」ほか、直木賞候補作「西郷札」など秀作短篇4作を併わせ収める。
  • 黒田如水
    値引きあり
    3.7
    東に織田信長、西に毛利輝元の勢力に挟まれてた城主・小寺政職。家老の官兵衛は、さっそく信長との仲介を羽柴藤吉郎へ頼みに行く。そこで軍師・竹中半兵衛と出会ったことにより、運命の歯車が廻り始める…。
  • 胡蝶の剣
    値引きあり
    -
    世情騒がしい幕末。幼少の頃から人並みはずれた剣の才能をあらわした薩摩藩士・三原林太郎は、御前試合で藩主・島津斉彬の目にとまり、江戸での剣術修行を仰せつかる。千葉周作率いる玄武館道場での激しい鍛練、剣技はますます研ぎ澄まされていく――。やがて、斉彬の隠密となって奉公することとなった林太郎を待ちかまえていたのは、反斉彬派の刺客たちとの凄まじい争いの日々であった……。剣一筋に生きる若き薩摩隼人を描く傑作歴史小説!
  • 日蝕の断層
    値引きあり
    -
    浦島重工業の社員・木原高志は“工員”の子として差別され続けてきた。世間に対する復讐と出世を誓う木原は、重大な“性の欠陥”を承知で副社長の娘婿という出世のパスポートを手に入れ、同時に社内外の情報を得るため、女子社員恵理とも関係を結ぶが……。会社合併問題に絡む殺人事件。謎の脅迫電話。そして第二の殺人―。若き野望に満ちた木原の大いなる賭けの行手には? 長編ピカレスク・ロマン。
  • おにぎり、ころりん ぽんぽこ もののけ陰陽師語り
    値引きあり
    3.6
    月日は流れ、青年となった鬼麿は、美しい狸の妖かしに誘われ、美しい狸の里へ。しかし、出迎えた狸の王は鬼麿に告げる。「この町は滅びる。ぽんぽこを連れて逃げてくれ」鬼麿の最後の戦いの結末は!?
  • おにぎり、ぽろぽろ ぽんぽこ もののけ陰陽師語り
    値引きあり
    3.5
    数々の猛者たちとの戦いの末、平家に仕えることになった鬼麿。試練は続き、その中で明らかになる、ぽんぽこが、その笑顔の裏に背負った運命の姿! 平安を舞台にした化け物たちの激しく哀しき物語、第2弾!
  • おにぎり、ちょうだい ぽんぽこもののけ陰陽師語り
    値引きあり
    3.2
    時は平安の世。荒れ果てた京の町に、お腹を空かせた少年と少女の姿があった。少年の名は相馬鬼麿。化け物退治を生業とする腕利きの“鬼斬り(おにぎり)”であった。一方傍らの少女の名は、ぽんぽこ。純白の着物に身を包んだ美しい少女は、果たして強力な妖術を操る狸の妖かしであった。2人は空腹に負け、稀代の陰陽師・安倍晴明の子孫という妖しげな男から化け物退治を頼まれ、思わず引き受けてしまうが!? 剣士と狸の平安陰陽師活劇、スタート!
  • ちょんまげ、くろにくる ぽんぽこ もののけ江戸語り
    値引きあり
    3.3
    狐の化け物・葛葉姫と、その子・安倍晴明に江戸城が占拠されてしまった! 小次郎、廉也、弥生、そして過去から蘇った真田幸村、雑賀孫一らは、江戸城奪還のために城に向かうが、白狐の姿をした葛葉姫は、なぜか彼らを待ち受け、城に導くのだった。果たして小次郎たちにどんな罠と敵が待ち構えているのか――? 亡霊出現から始まった“ちょんまげ、ばさら”事件、最終決戦。江戸の空に火の粉と狸舞う! 〈小次郎編〉完結!
  • ちょんまげ、ばさら ぽんぽこ もののけ江戸語り
    値引きあり
    3.3
    “偽ちょんまげ、ちょうだい”騒動が落ち着いたのもつかの間、戦国の世から蘇った亡霊が、江戸湾に現れた。家康が築いた四神の結界が破られれば、町は悪霊や鬼に占領されてしまう。小次郎とぽんぽこは、江戸を護る四神の一角“お鶴ちゃん”を助けるため江戸湾に向かうが、そこには見たこともない大量の亡霊が! 次々に現れる戦国の亡者たち。それらを現世に呼び寄せた者は誰なのか、そして江戸の運命は!? 小次郎の剣が冴え渡る!
  • ちょんまげ、ちょうだい ぽんぽこ もののけ江戸語り
    値引きあり
    3.3
    時は江戸。下町神田では、腹を空かせた美貌の剣士と、可愛らしい町娘姿の狸の妖かしが、口入れ屋を訪ねていた。2人の名は小次郎とぽんぽこ。生活の糧を得るため、妙な仕事を請け負うはめになるが……。一方巷は、大太刀で侍どもの髷を斬り落とす謎の辻斬り“ちょんまげ、ちょうだい”の噂でもちきりに。小次郎も騒動に巻き込まれ……美貌の剣士と天然妖かし娘のコンビが大活躍の、お江戸もののけ大活劇。シリーズスタート!
  • 猫鳴小路のおそろし屋
    値引きあり
    3.0
    江戸は新両替町、路地裏にひっそりと佇む骨董商<おそろし屋>。「やはり、あなたがお出でなさいましたか」――店主のお縁が客を選んで売る品々には、歴史裏の驚愕の事件譚や、ぞっとする話、因果な話がついてくる。武田信玄の軍旗は五両四分。奇妙な形の赤黒いしみは、信玄が苦悩したある秘密に関係しているという。そして<おそろし屋>にも、ある秘密があって……? 七色に楽しめる新シリーズ始動!
  • お江戸、にゃんころり 神田もののけ猫語り
    値引きあり
    2.7
    「死ぬ前に、誰に会いたい?」お江戸の町で話題のとある噂。最後の願いを叶えてくれる死神がいるという。大切な約束や伝えたい言葉、抱える事情は人それぞれ。妖かしたちが目にした、涙と人情のお江戸物語。
  • お江戸、れんれん 神田もののけ恋語り
    値引きあり
    -
    狸と猫の妖かしが、一人前の妖怪になるために妖怪学校にご入学。授業は神田の町での人助け。市井の人々の恋まつわるお悩みを、天然ボケの妖かいコンビが見事解決!?
  • 惑いの面影 小伝馬町牢日誌
    値引きあり
    -
    お人好しのやっさんと囚人からも親しまれている牢屋敷の同心・大賀弥四郎のもとに、亡き妻と面影の似たお峰が、亭主殺しの科で入獄してきた。しかしそこには様々な男たちの野心が何重にも渦巻いていて……。
  • お江戸、ほろり 神田もののけ人情語り
    値引きあり
    4.0
    理由あって口入れ屋の世話になることになった狸と猫の妖怪2匹の初仕事は、長屋に居座っているという妖怪どもを追い出すこと。依頼主のちょっと変わった3人の爺さんは、自らの死に水を取ることを条件に、生活に困った妖怪たちを長屋に招き入れ、長年仲良く暮らしてきたというのだが、今さらなぜ? どうやら大切に育て上げた娘の結婚に関係が!? お江戸もののけ騒動記。
  • 秋霖(しゅうりん) (上)
    値引きあり
    -
    時代は戦国乱世、織田信長らが天下制覇の野望に燃えているころ、かつての西国の覇王・尼子氏は、毛利の謀略のために一族滅亡してしまっていた。しかし、一族でただひとり、孫四郎だけが生き残り、仔犬の悪太郎とともに成長していた。一方、中山鹿之助ら、尼子十勇士を中心とする尼子の残党は捲土重来を期し、孫四郎を擁立して一族再興のときをねらっていた。かくして血で血を洗う抗争の火蓋は切っておとされた…! 巨匠・西村寿行が放つ、波乱万丈の戦国伝奇アクション・ロマン巨編!
  • 小伝馬町牢日誌 お帰り稲荷
    値引きあり
    -
    小伝馬町牢屋敷の同心、大賀弥四郎は、罪を憎んで人を憎まずをモットーとするお人好し。牢名主の長兵衛と共に事件の真実を突き止めていく――弱き者のために立ち上がる鉄火肌の男たちを描く新シリーズ!
  • 軍師の境遇 新装版
    値引きあり
    3.9
    天正三年、羽柴秀吉と出会い、軍師・黒田官兵衛の運命は動き出す。秀吉の下で智謀を発揮して天下取りを支えるも、その才ゆえに不遇の境地にも置かれた官兵衛の生涯を描いた表題作ほか、二編を収めた短編集。
  • 秋声のうつろい 小伝馬町牢日誌
    値引きあり
    4.0
    凡庸な忠義者の助蔵が、剣客として知られる主人を斬り殺した科で入牢してきた。不審に思った大賀弥四郎は、持ち前の人の好さで調査に乗り出す。一筋縄ではいかぬ想いに目をこらす心優しき牢屋同心の事件簿。
  • 忍法落花抄
    -
    失踪していた妻が眼前に引き出され、上司〈吹雪〉に犯されそうになったのを見て、幕府隠密〈薄雪〉はついに叛意した。松平伊豆守に一服盛ることを約束したのだ。すると吹雪は壁の方に歩いていき、土壁のくぼみに顔を押しつけた。数分後、ふり返った男の顔は、吹雪とは似ても似つかぬ別の男だった……。「島原の乱」から由比正雪を経て、「伊達騒動」に至る謀叛の系譜を確立しようとする怪人森宗意軒と、顔面取り替えの忍者を描いた「忍者仁木禅正」ほか、7編を収めた痛快忍者列伝!
  • 忍法忠臣蔵
    -
    しずしずと御寝所に入ってきた白無垢衣装の処女。だが次の瞬間、好色な将軍綱吉の顔が恐怖に歪んだ。なまめかしい女体が血しぶきを上げて引き裂かれ、たちまち肉塊と化したのだ! 自分を裏切り、大奥へ上がった女を惨殺した伊賀忍者無明綱太郎は、江戸から米沢へ逃げた。上杉家城代家老千坂兵部にかくまわれた彼は、身の安全と引き換えに密命を受けた。想像を絶したその任務とは……? 赤穂浪士討入りの蔭に暗躍する伊賀忍者と能登忍者の熾烈な戦いを描く、山田風太郎の傑作忍法帖。
  • 忍者六道銭
    -
    城の奥庭に、小童しか入れない二個の鎧櫃が置かれた。二人の忍者は、両足を揃えてそれぞれ中に立つと、するすると櫃の中へ沈んでいき、ふたをしめた。やがて再びふたがあき、二人の忍者が立ちあがった時、一座の人々は悲鳴に近い叫びをあげた。二人が入れ替っていたのである! 気に染まぬ三つの縁談に悩む美しい姫君から密命を受けた二人の筑摩組忍者は、秘伝の忍法を駆使すべく、勇躍して出かけたのだが……。著者自らが忍者の決闘を主題にした短編を選んだ忍法帖
  • 忍び秘録
    値引きあり
    3.0
    服部半蔵を頼って阿蘭陀から長崎に着いた女と、服部家再興をかけたくノ一3人の闘いの「服部家秘録」2編ほか、ハングル成立の秘密に迫る密書争奪と、秀吉の朝鮮出兵記録改竄秘話。未書籍化作品4編を収録。
  • 竹島御免状
    値引きあり
    5.0
    隠密として鳥取藩に送り込まれた裏柳生が、柳生ノ庄に急報をもたらす寸前、惨殺された。折しも、陰陽道に通じた柳生友信は朝鮮妖術師の日本侵入を察知する。朝鮮との衝突を避けるため、日本漁民に竹島渡海が禁止された「竹島一件」から4年、日朝関係に再び緊張が走るのか? 美女を従え、伝説の剣士たちを甦らせた妖術師の目的とは? 友信と共に鳥取に向かった柳生十兵衛が、因縁の敵との最後の戦いに挑む! 衝撃の伝奇長編。
  • わたしのお殿さま
    値引きあり
    -
    紀伊の霊峰を仰ぐ地で、刀鍛冶の家系に生まれた美禰は、後継者となるべく鋒みね国くにの名を与えられ、男を装うよう育てられた。だが、流刑の殿様との出会いが彼女の運命を大きく動かす。新シリーズ開幕。
  • 魔群の通過
    -
    内戦の末に賊軍の汚名を着せられ、上洛に唯一の活路を見出した天狗党の千余名は、愛すべき水戸の町を後に、京へ向かって苦難に満ちた大行軍を開始した。執拗な追手の攻撃、行く手を阻む厳寒の山河、続出する怪我人や病人。「京へ行けば逆賊の汚名を晴らせる」一途にそう信じて進む彼らの前に、絶望的な道程が待ち受けていた……。幕末に起きた天狗党の悲劇の顛末を、全編一人称の語りで描いた著者入魂の力作長編!
  • 自来也忍法帖
    3.5
    世にも奇怪な異変が起きた。それも将軍お目見えのおごそかな儀式の最中にである。父の名代で出席していた、伊勢三十二万石藤堂藩の後継者藤堂蓮之介が、突然四つん這いになり、激しく腰を上下に浮動させた。そして、夥しい精汁を垂れ流すと悶死したのだ! 五人のくノ一が使う伊賀秘伝の忍法「精水波」。そして藤堂藩領内にある伊賀の里で、ひそかに進められている藩乗っ取りの陰謀。正義の忍者自来也が、これに敢然と立ち向かう。波瀾万丈、壮大なスケールで描いた傑作忍法帖。
  • 忍法笑い陰陽師
    -
    太平の世に忍術など何の役にも立たない。今は大道易者を続ける果心堂。だが、その独特の占いには絶大な効力が……。ある日、武士の客が来た。絶世の美女を賭けた試合の勝敗を占って欲しいと言う。相手は美男の剣客。それに比べこの男のひどい顔はどうだ。これじゃ試合に勝っても女が祝言に応じるはずがない。同情した果心堂は、この男に勝たせようと思った。そして「おん根相拝見」と言うや否や、男の股間に手を伸ばした! 奇抜な発想と強烈なユーモアで描く抱腹絶倒の連作忍法帖。
  • 忍法流水抄
    -
    刈羽の眼が再び開かれて、次第に夜光虫のような光を放ち出した。お霧は刈羽の胸にしがみつき、右腕を帯の間の懐剣のつかにかける。とその時、お霧は眼のあたりにちくりと痛みを感じた。そして「おれの陰毛じゃ」という刈羽の声と共に激痛が走り、お霧の両眼は縫い閉じられていた……。羽柴、徳川、毛利、明智の忍者たちが卍巴になって繰り広げる、奇想天外な忍法合戦! 叛の忍法帖/おちゃちゃ忍法腹/近衛忍法暦/羅妖の秀康/慶長大食漢/彦左衛門忍法盥を収録した傑作忍法帖。
  • 忍法女郎屋戦争
    -
    「祖先は八千石、江戸城に半蔵門の名を残したほどの服部家のあるじが、女郎の親玉とは!」吐き捨てるように言い放つ妻に、婿養子の伊賀組頭領服部億蔵は、身を縮めた。権勢を誇る老中田沼意次の馬鹿息子で若年寄の田沼意知は、侍専用の遊廓女郎屋、いわば公務員レクリエーション設備として国営のを作ることを発案した。父の許可を得た意知は、市場調査とその設営を伊賀組に命じた。だが、出世と引き換えにこの命令を受けて帰った頭領の億蔵は……。忍者の掟をテーマに描く傑作忍法帖。
  • 忍法陽炎抄
    -
    慶長十八年、江戸の町には無数の盗賊が跋扈していた。その中で、町奉行も手をこまねく強かな一団があった。大御所家康の直命を受けた伊賀の服部半蔵は、一党を率いてこの盗賊の掃討に立ち上がり、首謀格の二人を捕えた。この二人は北条家再興の軍資金調達のため盗賊をはたらいたと自供したが、彼らを操るもう一人の男がいたのだ。その名を向坂甚内。蜘蛛の糸で口も眼も縫い閉じてしまう恐るべき忍法“紅蜘蛛縫い”を駆使する風摩忍者だ……。復讐をテーマに選んだ傑作忍法帖。
  • 忍者月影抄
    -
    幕府による世を上げての節倹の時代に、堂々と遊蕩に耽る大名がいた。尾張藩当主の宗春である。豪放な気性で、現将軍吉宗とは全く反りが合わない。宗春の乱行は次第に激化していった。そして遂に、両者の関係は最悪の事態を迎えたのである。尾張藩は甲賀忍者と尾張柳生の剣士を使い、将軍吉宗の淫蕩な過去を暴こうとし、将軍家はお庭番の伊賀忍者と江戸柳生を用いてこれを阻止しようとした。やがて、秘術を尽す壮絶な陰の闘いが始まった……。波乱に富む忍法帖屈指の傑作!
  • 極楽の鯛茶漬け 伊織食道楽事件帳
    値引きあり
    3.0
    膳奉行の家に生まれた芹沢伊織は、祖父が起こした食中毒事件のせいで閑職に追いやられていた。暇を持て余して美食を楽しむ伊織だったが、ある事件をきっかけに将軍に饗する食材集めを命じられて……。
  • 忍法破倭兵状
    -
    日本では不世出の英雄太閤秀吉も、朝鮮の人民にとっては悪虐極まる大魔王である。己の権力示威のため数十万の兵を動員して朝鮮に攻め入り、多くの人々を虐殺し、その美しい山河を荒廃させたのだから……。だが、秀吉の野望を打ち砕く救国の士が現われた。朝鮮の伝説的英雄李舜臣将軍である。部下を鼓舞して勇猛に戦い、圧倒的な物量を誇る日本水軍を潰滅させた。だがその直後、彼は亀甲船に忍び込んだ日本忍者の吹き針に倒れてしまった! 異人、唐人ものを集めた異色の忍法帖。
  • 忍法鞘飛脚
    -
    私はインテリ忍者だ。忍法など信じないし、全然知らない。本業は医者である。にもかかわらず、忍者と自称するのは、迷惑なことに私が忍者の一族に籍を置く人間だからだ。ある日、一族の長老に呼ばれた私は、とんでもない命令を受けた。公儀隠密として志摩まで行けというのだ。忍者の掟は厳しい。嫌々私は命令に従った。だが、私の不吉な予感は当たり、私は眼と耳と舌と四肢を失う羽目になったのである……。忍者とは名ばかりの男が辿る皮肉な運命をコミカルに描いた傑作忍法帖。
  • 忍法行雲抄
    -
    蟹の鋏はもがれてもまた生えてくる。だが、人間の首が切り落された後に生え替るなど考えられるだろうか? それも全く別人の首に! 越前の国に風采の上がらぬ浪人が訪れ、仕官することになった。名を明智十兵衛、美濃国明智庄城主の一子で、落城後、忍法の修行を積んだ変り者である。まもなく、彼は朝倉家の寄人沙羅という娘に一目惚れしたが、彼女には想いを寄せる美男の従者がいた。恋に苦しむ十兵衛は、従者に甲賀忍法「人蟹」を使ったとてつもない申し入れをするのだが……。
  • 信玄忍法帖
    4.3
    「風林火山の行くところ敵なし」諸国にその名を恐れられた猛将、武田信玄が死んだ? 過ぎし日、三方ヶ原の戦いで惨敗を喫した徳川家康は、真偽を確かめるため直ちに7人の伊賀者を甲斐へ送り込んだ。一方、信玄なき武田軍団の弱体を痛感する軍師山本勘介は影武者を擁立。信玄存命と見せかけてこれを猿飛、霧隠の二人の忍者に死守させた。甲府盆地は、たちまち忍者同士の熾烈な攻防に血塗られていった……。奇奇怪怪の忍法争いを通じて武田家の存亡を描く、山田風太郎の傑作忍法帖!
  • 外道忍法帖
    5.0
    肥前一円でとらえた切支丹娘は、ことごとく江戸へ送られた。313年の生命をもつ十五童女を見つけだすために。ローマに派遣された使節が法王より預った秘宝、そのありかの手がかりは彼女たちの体内にあるという15個の鈴なのだ。切支丹妖術を使うという15人の童女はどこにいるのか? 幕府の探索隊は伊賀忍者15人。そして秘かに財宝を狙う由比正雪もまた、15人の甲賀忍者を長崎に送りこんだ――伊賀・甲賀忍者と処女忍者、三つの集団の壮絶な死闘を描く、風太郎忍法帖の極致!
  • くノ一紅騎兵
    -
    猛将上杉景勝は、重臣直江山城守の推挙で一人の小姓を召しかかえた。女と見紛うばかりの美童だが恐るべき剣技の持ち主で、景勝は連日連夜寵愛した。やがて、上杉家も大阪方に就くか徳川方に就くかの決断の時を迎えた。その時、直江山城守が赤ん坊を抱いて登城し、「上杉家のおん嫡子でござる」と言上したのである。豪胆な景勝もさすがに仰天した。女を抱かない彼に子供が生まれるはずがない。母親は意外にも、彼が溺愛したあの美童だった……。“くノ一”ものを精選した忍法帖!
  • 江戸忍法帖
    5.0
    吸盤のような足で屋根裏をつたい歩く無気味な忍者。その逆さ斬りの凶刃が悠太郎めがけて一閃した。瞬間、跳上った悠太郎は振り子のようにからだを移動すると相手を唐竹割りに斬りあげた! 徳川五代将軍綱吉の時代。権勢をふるう老中柳沢吉保は、前将軍家綱の遺児葵悠太郎の出現に驚愕した。彼はただちに、えり抜きの忍者「甲賀七忍」に命じ、悠太郎暗殺を謀った……。恐ろしい忍法を駆使する七人の甲賀忍者と一刀流の達人悠太郎の対決は? 山田風太郎が描く会心の忍法小説。
  • 修羅維新牢
    -
    「待て、ぬしァ旗本か」そのひと言で沼田万八は3人の官軍に呼びとめられた。「ちょっと、来う。汝の首斬る用じゃ!」筒袖羽織に長い毛をなびかせたかつら。そんな異形で江戸を闊歩する官軍が7人、たてつづけに殺された。江戸市民は喜んだが、東海道先鋒隊長の中村半次郎は激怒した。“薩摩兵1人が暗殺されたら旗本10人を斬る”と。その布告に基く犠牲者第一号が沼田万八であった――幕末の激動期、奇しき運命にもてあそばれた10人の侍の人生を、哀切、劇的な展開のうちに描く。
  • 鼠、狸囃子に踊る
    4.1
    女医の千草の手伝いで、一人でお使いに出かけたお国。帰り道に耳にしたのは、お囃子の音色。フラフラと音が鳴る方へ覗きに行ったはいいが、人っ子一人、見当たらない。次郎吉も話半分に聞いていたが……。
  • 天と地と(一)
    4.3
    「これはおれの子ではないのかも知れない」為景は思った。長尾為景、63歳。妻は袈裟、21歳、その早過ぎる妊娠が、そんな疑惑を生んだ。が、生まれた赤ん坊は、輝きの強い眼を持つ男の子で、虎千代と名づけられた。のちの謙信である。虎千代は、父に疎んじられる不満を抱きつつ、百姓出の娘松江、忠臣金津新兵衛らに守られて育つ。越中・越後の争乱は絶え間無く、やがて父為景は合戦で討たれ、兄晴景が守護代を継ぐが、それを不満とする長尾俊景が兵を挙げた。 カバーイラスト/熊谷博人
  • 主君押込 城なき殿の闘い
    値引きあり
    4.0
    信濃国飯山藩の郡方の大竹五郎左衛門は、新年の御城への出仕を家老から禁じられていた。藩主本多重元は、それに対し主君に忠誠あるものを新年に招集するのだった。だが、家老派の用意は周到で──。
  • 幻の舟
    3.5
    魔性が宿る美しいものに、近づいてはならない。追い求めてはいけないと感じながらも、魔性にとりこまれていく……。信長が唯一安土城を描かせた安土屏風。欧州で行方知れずとなったその絵が、数世紀の時を超え現代に悲劇を呼ぶ。美に潜む魔を描く幻想小説。〈単行本「安土城幻記」を改題〉
  • 望郷のとき 侍・イン・メキシコ
    -
    慶長18年、仙台、伊達政宗の使節支倉常長を団長とし、ルイス・ソテロ等の宣教師を含む総勢180名の一行が日本の港を出航した。幾多の困難な航海の末、メキシコに到着。さらにめざすイスパニアに到る頃、日本ではキリシタン禁止令が出された! 歴史の大きな波にもてあそばれ、帰国もままならぬ侍たちの運命は……? そして現在のメキシコに日本人の末裔らしき部族が生きていると聞いた著者は二つの点を結ぶ線を求めてメキシコに飛んだか……。経済小説を日本文学に定着させた著者の独自な歴史観を示唆する長編傑作!
  • 槍弾正の逆襲
    3.7
    天正年間、戦乱の続くなか、出陣中の嫡男の留守を狙い、老将保科正俊の守る高遠城に、小笠原・上杉軍が攻め寄せる。かつて武田信玄の下で槍弾正の異名をとった正俊も、すでに齢七十五の隠居の身。だが、圧倒的に不利な状況下、城を棄てる意見を一喝し、正俊は奇策を練る―表題作「槍弾正の逆襲」をはじめ、関ケ原合戦における小早川秀秋の“楯裏の裏切り”に抗した武将を描いた「松野主馬は動かず」など、独自の気概をもって生きた人間像を、あざやかに描く傑作歴史小説集。
  • 新太閤記(一)
    4.0
    「奇妙な面をしとるわ。猿に似とるわ。チビ猿じゃな」信長は小者志願の若者を見て大笑いした。武士の作法に通じた若者は悪びれず、側用人に答えた。「今川の被官松下嘉兵衛尉が家で士奉公しとりました。父は先代信秀さまが鉄砲足軽しとりました木下弥右衛門と申します」「名は!」「木下藤吉郎秀吉でございます」「なんじゃとォ!」信長はきびしい目で若者を凝視した。若者はこの時23歳。これが、当時どじょう売りの与助と呼ばれていた秀吉と信長の出会いであった。
  • 忍法封印いま破る
    -
    徳川幕府の切れ者中の切れ者、旗本八万騎にまさるその存在は家康にさえ脅威であった傑物、大久保長安。その長安が山窩の娘に生ませた野性の子おげ丸は、今や、幕府忍び組きっての伊賀忍者に成長していた。彼は父長安から、長安の純血を後世に伝える子を身籠った娘の護衛をする密命を受けていた。だが、父の死後、任務についたおげ丸と娘に、服部半蔵が指揮する甲賀五人衆の魔手が伸びた……。伊賀か甲賀か? 痛快無類、奇想天外な発想が躍動する忍法帖シリーズの傑作!
  • 海鳴り忍法帖
    -
    永禄八年、獰猛奸悪な武将松永弾正が謀叛の狼煙を上げた。大軍と根来忍者の精鋭に攻め込まれた京の将軍屋敷は、たちまち修羅場と化した! 危うく難を逃れた美少年厨子丸は、翌日弾正の本陣跡で、下半身を柘榴のように割られた恋人の死体を発見した。怪異な忍法で残虐の限りを尽した根来忍者たちの仕業であった。彼らに立ち向かう武芸はないが、厨子丸には銃火器の発明の才能がある。復讐の決意に燃えて彼は都を去った……。戦国時代を背景に壮大なスケールで描く一大忍法ドラマ。
  • 伊賀の聴恋器
    -
    小道具の発明に才能のある伊賀忍者、服部大陣が新しい珍具を作った。名づけて聴恋器。男女の相性判断ができるという、聴診器のような器具である。これを耳にさしこみ、二股になった盃の先端を男女それぞれの局所にあてると、愛しあっている場合には素晴らしい交響楽が聞こえる。かねがね柳生又右衛門の娘お万に一目惚れしていた大陣は、彼女の心を捉えようとして、この聴恋器を使うことを思いついたのだが……。表題作ほか七篇を収めた傑作ユーモア忍法帖!
  • 実伝 直江兼続
    -
    上杉謙信から「義」の精神を受け継いだ直江兼続とは、どのような人物だったのか。編者をはじめ、福本日南・坂口安吾・海音寺潮五郎ら歴史作家たちが捉えた兼続像をめぐり、文武兼備の知将の人間的魅力を探る。
  • 巌流島 武蔵と小次郎
    3.0
    日本人を魅了してやまない孤高の剣士、宮本武蔵は、いかにして最強の相手に立ち向かったのか。圧倒的迫力と群を抜くリアリティで、剣豪小説の名手が描く、世紀の決闘。 ※本書は二〇〇三年三月、小社より刊行された書き下ろし単行本『武蔵と小次郎』を改題した文庫が底本です。
  • 火宅の女─春日局
    3.0
    おふく四歳の時、明智光秀に従い織田信長を討った後、父は捕えられて処刑された。身分を隠して母方・稲葉家の養女として成長したおふくは小早川秀明の重臣・稲葉正成の後妻となる。しかし関ケ原の戦いで裏切り者の烙印を押された秀明の恨みを受け、正成は浪人となる。徳川支配が確固になると見るや、おふくは二代将軍・秀忠の正室、お江与の方に乳母として仕えることを決心した。――春日局おふくと後に三代将軍・家光となる竹千代との運命的な出会いであった。
  • 信長の傭兵
    3.7
    種子島から鉄砲を持ち帰った津田監物(けんもつ)は、鉄砲傭兵集団を組織した。監物率いる紀州・根来衆(ねごろしゅう)は諸国大名から重用され、その名は天下に轟く。永禄5年、新興勢力の最右翼である尾張の織田信長が根来衆に加勢を求めた。以後、監物は信長とともに天下布武の野望に向け、しかしあくまで傭兵として戦場を駆け抜ける。遂に信長最大の敵・本願寺との戦いに挑むが…。戦国の地図を塗り変えた、その波瀾に満ちた生涯。
  • めおと
    3.5
    小藩の江戸留守居役・倉田家に、一人の女が姿を現した。夫・勇之助の、腹違いの妹だと聞かされた幸江は戸惑いながらも迎え入れるが、どこか様子がおかしい。兄妹の間に何か秘密があるのではないか? 女の正体は…。疑惑にさいなまれる若妻を描く「江戸褄の女」をはじめ、「猫」、「佃心中」、「駆け落ち」、「虹」、「眩惑」など、夫婦や男と女のそれぞれの“かたち”を綴る珠玉の全6篇。人気作家の原点を示す、オリジナル傑作時代小説集。
  • 夜の足音 短篇時代小説選
    3.5
    岡っ引きに頼まれた色事に勤しむ無宿人竜助。が、それは覗きの罠であった(「夜の足音」)。将軍家光が上洛。その際の噂で自滅する武士の話(「噂始末」)。大名家の娘の縁談に関わる旗本と春日局の意地(「破談変異」)。大久保彦左衛門が今わの際で自らの恥多き人生を振り返る(「廃物」)。緻密な時代背景とスリリングな展開。時代小説の名手が一気に書き上げた粒ぞろいの短篇を収録。
  • 炎の武士
    4.0
    天正三年(1575)初夏、三河の長篠城は、武田勝頼の軍勢1万7000に包囲され、落城寸前。城を守る奥平信昌の兵は500あまり。窮状を伝えるため鳥居強右衛門(すねえもん)は武田の包囲網を破り、織田・徳川の陣地にたどり着き、4万の大軍が救援に向かっていることを聞かされる。だが、その帰途、強右衛門は武田方に捕らわれ、援軍は来ないと告げるよう強いられるが……。表題作「炎の武士」ほか、男たちの劇的な生を描いた傑作三編を収録。
  • 妻は、くノ一
    完結
    3.9
    平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった! そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。人気著者が放つ「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。〈文庫書き下ろし〉
  • 流想十郎蝴蝶剣
    完結
    3.8
    江戸・本湊町の料亭に用心棒として住み込む流想十郎は、花見の帰り、品川宿近くで武士団に襲われた小藩の姫君一行を助ける。気が進まない中、姫の護衛を引き受けた想十郎は、熾烈な抗争に巻き込まれる…。権力者・水野忠邦を父に持ちながら、その愛情を知らず、また剣術の師との密通の末に、ともに上意討ちで果てた母への情も捨てた孤高の剣士は、無敵の蝴蝶剣を誰がために振るうのか? シリーズ第1弾!
  • 銀閣の人
    値引きあり
    -
    応仁の乱は、京の街を焼け跡にしようとしていた。 室町幕府八代将軍・足利義政は、京の秩序を守る責務から目をそらし、自らの美意識の顕現に挑んだ。 孤独な将軍は、何に苦悩し、何を実現しようとしたのか。 日本建築の源流となった“銀閣寺”建立の秘密に迫った歴史巨編。
  • 修羅海道 清水次郎長伝(上)
    4.0
    幕末、駿河国清水湊で大きな米問屋をいとなむ若き長五郎は、ある日店先に立った旅の僧からあと3年の寿命と告げられる。養父の跡を継いで商いに精を出していた長五郎は、その一言で自分の運命を変えた。彼は店をたたみ、女房を離縁して博徒の群れに身を投じる。――「人間、寿命があれば死なねえ。たとえ死んだところで、体がなくなるだけで、魂はなくならねえんだ」と考えた彼は、修羅の如く東海道筋を渡り歩いて、男伊達として名を上げていく……。名侠客の実像に迫る異色作、本巻は、穂北の久六を斃すまでの前半生を描く。
  • 鬼骨の人
    3.5
    難攻不落の斎藤龍興の稲葉山城を目の眩むような奇策で奪取し、その後木下藤吉郎の軍師となって次々と非凡の才をあらわした竹中半兵衛。鬼才をうたわれつつも裏方に徹し、主人に惜しみなく助力を与えた半兵衛の人物像を浮き彫りにした表題作ほか、逆境に立ち向かい、修羅場をくぐり抜けて男の意地をつらぬいた武将、剣客など歴史上の英雄たちを活写した傑作時代小説集。
  • 武士の職分 江戸役人物語
    5.0
    「出世の重み、宮仕えの辛さ。 役人たちの日々を題材とした、新しい小説に挑みました」 ――上田秀人 役目を減らすことは、役人の席を奪うこと。己の存在意義と既得権益をめぐり、武士たちは熾烈な競争を繰り広げた。世襲を旨とする幕府が、唯一実力主義を徹底した医師。大名・旗本が敵に回すことを最も恐れた奥右筆。親兄弟であろうと罪を暴き、なりふりかまわず手柄を求めた目付。人も羨む出世と引き替えに、お手討ちもありえた小納戸――役人たちの闘いと身につまされる宮仕えの日々を、新たな筆致で描く渾身の書き下ろし。 「やられた! するどい考証の切っ先が、 読者の胸元につきつけられる。 上田さんの時代小説の新しい作法に舌を捲きます」 ――北原進(歴史学者・品川歴史館館長)
  • 戦国を生きた姫君たち
    3.7
    生涯を男として生き、養子直政を徳川四天王の一人へ育て上げた女城主「井伊直虎」、直江兼続が唯一愛し、主君から女執政として遇された越後美人「お船の方」、恋に生き恋に死んだ瀬戸内のジャンヌ・ダルク「鶴姫」――大河ドラマ原作『天地人』をはじめ、義を貫き大きな敵に敢然と立ち向かった武将たちを描き続けた歴史小説家が、運命に翻弄されながらも、乱世を力強く生きた25人に迫る。単行本未収録の傑作評伝、初の書籍化! 一、女城主たちの戦い 井伊直虎  井伊直政の養母 妙林尼  吉岡鎮興の妻 おつやの方  織田信長の叔母 大乗院  二階堂盛義の継室 立花ぎん千代  立花宗茂の正室 二、危機を救う妻たち お船の方  直江兼続の正室 小松姫  真田信之の正室 千 代  山内一豊の正室 ま つ  前田利家の正室 ね ね  豊臣秀吉の正室 三、愛と謎と美貌 小少将  長宗我部元親の側室 義 姫  伊達政宗の生母 諏訪御料人  武田信玄の側室 松 姫  武田信玄の六女 濃 姫  織田信長の正室 四、才女と呼ばれた女たち お初 常高院  浅井三姉妹の次女 阿茶局  徳川家康の側室 喜 多  伊達政宗の教育係 小野お通  真田家ゆかりの才女 寿桂尼  今川義元の生母 五、想いと誇りに殉じる 鶴 姫  瀬戸内のジャンヌ・ダルク 淀 殿  豊臣秀吉の側室 細川ガラシャ  細川忠興の正室 お市の方  織田信長の妹 大福御前  北条氏邦の正室 関連年表
  • 明治新選組
    4.3
    明治5年初冬、浅草蔵前の裏長屋の一室に、男が居を定めた。箱館五陵郭で降伏し、新島に終身刑で送られていたものの、思わぬ赦免状で江戸に移った相馬主計(かずえ)。相馬は常陸笠間藩を脱藩して新選組隊士になり、鳥羽伏見戦争後、各地を転戦。土方歳三の戦死後は新選組隊長を名のっていた。先に逝った者たちを想いつつ日々を過ごそうとした主計には、数奇なめぐりあわせが待っていた――。第10回日本エンタテインメント小説大賞を受賞した表題作のほか「近江屋に来た男」「後鳥羽院の密使」「斬馬剣新六郎」「一つ岩柳陰の太刀」「尾張忍び駕籠」を収録。歴史の闇に埋もれた志ある男たちの姿を描き出す気鋭の傑作歴史小説集。
  • 戦国武将に学ぶ情報戦略
    3.0
    戦国の世を生きぬくには、敵よりも早くたしかな情報を集めなければならない。織田信長は戦いの勝敗の7割は情報で決まると考えていた。例えば桶狭間の戦いは、これまで雷雨の天候を利用した奇襲作戦にすぎないといわれてきた。だが信長は、事前に今川方の情報を徹底的に収集し、偽の情報を流し込んでいた。周到な情報・謀略戦が勝利へと導いたのである。信長の情報第一主義は、「備中返し」の秀吉、関ヶ原の家康へと継承されてゆく。この三人が戦国三英傑といわれるのは、情報戦略において他者の追随を許さない才能を発揮したためでもあるといえるであろう。
  • 火焔浄土 顕如上人伝
    3.0
    尾張統一にむかいつつあった織田信長は、桶狭間の戦いに勝利を収めたのち、ながいあいだ、一向宗の勢力に悩まされていた。当時、諸国一向一揆を結集した本願寺教団の威力は将軍に匹敵し、盟友徳川家康も、領国三河の一向宗を弾圧しようとしてあやうく敗北するほどの苦戦を喫していた。「一向一揆を平均(征伐)いたさねば、大名分国は成りたたぬだわ」――顕如上人率いる石山本願寺と織田信長の戦いを描いた長編戦国歴史小説。
  • 蓮如物語
    3.0
    「親鸞さまについておゆき」。別れ際の母の言葉を胸に刻んだ幼い蓮如。やがてその言葉が、彼のドラマティックな生き方の原点になっていく。餓えと貧しさに絶望した民衆の心に希望を与えた人、蓮如の生涯。
  • 春の雨 手習処神田ごよみ
    3.0
    内神田にある「上谷塾」を祖父から引き継いだ長女の里与は、旗本の父の急死後、上谷家を支えてきた。跡継ぎの弟・幸太郎は幼すぎて出仕が叶わず、家族は下命を待つ日々。そんなある日、事件が起こり……。
  • 軍艦忍法帖
    5.0
    乗鞍丞馬と名乗った飛騨の浪人は、将軍の御前試合で得体の知れぬ幻法、妖術を使ってすでに六人を倒していた。だが七人目に立った旗本、宗像主水正の剣が丞馬の片腕を叩き切った。幻術は破れたのである。それは主水正の背後に見た女の面影のせいであることを丞馬は知っていた。飛騨の幻法は女を恋したときに破れる。やがて主水正の妻となる女、お美也に、丞馬は一目で恋したのだった……。秘めたる恋に生命を賭け、飛騨幻法を駆使して愛する女を護りぬいた最後の忍者の凄絶な一生。
  • 吉原代筆人 雪乃 一 色もよう
    3.0
    吉原で読み書きのできない遊女にかわって文を綴る代筆屋を営む雪乃。持ち込まれる文の因縁を図らずも解く内に雪乃の秘密も少しずつ明らかになっていく。人情、色恋、謎解き全てが詰まった傑作時代小説登場!
  • 卜伝最後の旅
    4.0
    諸国の剣客を相手に勝利をおさめた戦国時代の剣豪塚原卜伝は、一度も不覚をとることなく、敵を討ち取ること二百余人に及んだという――この卜伝が武田信玄の招きを受けて甲斐の国を訪れたのは、71歳の老境に達した春だった。ここで、六尺豊かな大男の薙刀使いの名人に最後の試合を申しこまれたが…。枯淡の境地に達した剣豪卜伝を描いた表題作ほか、南部藩で鬼目付と呼ばれた侍の人間的苦悩、明治維新の激動期に数奇な運命をたどる青年剣客等、多種多彩な人間と時代を取りあげた著者会心の歴史小説集。
  • 城のなかの人
    4.0
    ――城が愛してくれたのは、このわたしだけのはずだ。絢爛たる人工の色彩のなかで育った秀頼にとって、大坂城のなかだけが現実であり、安らぎにみちた世界であった。だが、太閤が逝ったあと、母である淀君がすべてをとりしきり、関白になるためだけの優雅な公卿教育を受けてきた秀頼が、恵まれていたといえるだろうか。旗印(権威の象徴)としてしか生きられない己の青春。異常な人間関係のなかで秀頼の苦悩、滅びの人生を描いた表題作ほか、「はんぱもの維新」など四篇収録。
  • 渡辺崋山 上
    -
    江戸時代後期、三河国田原藩の藩士であり、画家としても著名な渡辺崋山。家老として藩政改革に尽力し、時の蘭学者たちのリーダー的存在でもあった。天保10年(1839年)5月、蛮社の獄に巻き込まれ、「不忠不孝渡辺登」の絶筆の書を遺して、切腹して果てた崋山の生涯を、崋山研究の第一人者が描く歴史小説。上巻では、家老になった崋山が職を辞するため藩主に宛てた上申書の形をとって幼少から家老になるまでを自叙伝的に描き、儒学と蘭学の対立を沿岸測量を元に描き出す。
  • 若君御謀反
    -
    名将・加藤清正に始まる有力外様大名、肥後熊本54万石の加藤家は、清正の子・忠広の代に改易となった。名門の大藩を破滅に導いた三代目・光正の度し難い悪戯とは何だったのか?表題作のほか、関ケ原に敗れ、流罪となった宇喜多秀家を支えた人々を描く「母恋常珍坊」、赤穂浪士の討ち入りから70余年後、その思い出を語る尼僧の正体に迫る「堀部安兵衛の許婚」など、7篇を収録。ほかに「二度目の敵討」「おりん昭吉すかしの敵討」「おとよ善左衛門」「紺屋町の女房」。江戸初期から後期まで、江戸情緒を切り取った作品集。
  • 追跡者 幽剣抄
    3.0
    幼い頃に両親が死んだため、江戸を離れ、飲み屋を営む伯父のもとに引き取られたお妙。17歳になり、伯父の店で看板娘として働いていたお妙は、店にやってきた浪人の大鳥譲也に惹かれるようになる。だが、ある夜、大鳥はすでに死んでいると、大鳥の過去を知る男に聞かされる(「飲み屋の客」)。ほかに「童子物語」「逢魔ヶとき」「介護鬼」「背後の男女」「夜の使者」「妖剣」「坂の上の死体」「追いかける」を収録。誇りという名のしがらみに追い詰められた下級武士の哀しみを描いた珠玉の時代小説怪異譚。
  • 付き馬屋おえん おんな三十六景
    -
    吉原の遊女屋の奥座敷で、画帳に筆を走らせながら、男女の痴戯を見つめるひとりの老人がいた。春画の大作、〈おんな三十六景〉の制作に取り組む絵師・葛飾北斎その人であった。ついに版木まで完成して、その祝宴が開かれたのが大晦日、ところが元日未明、この畢生の傑作は忽然と消え失せる。御法度の春画だけに、公にできないこの捜索は、おえんのもとに持ち込まれた。表題作ほか「女郎蜘蛛妖変」「難波の大尽」「馬屋子守唄」「吉原布団部屋」「武州一の宮」を収録。ヒロインおえんの鉤縄と啖呵が悪を懲らす、連作時代短篇集。
  • もののけ侍伝々 京嵐寺平太郎
    3.0
    江戸で相次ぐ怪事件。広島藩の京嵐寺平太郎は、幕府の命を受け解決に乗り出す羽目に。だが事件の裏には、幕府に怨念を抱く僧の影が……。三つ目入道ら仲間の妖怪と立ち向かう、妖怪痛快時代小説、第1弾!
  • 姫は、三十一
    3.9
    平戸藩の江戸屋敷に住む静湖姫は、微妙なお年頃のお姫さま。大晦日の夜、おかまの店で飲んだくれていると「来年はもの凄いモテ年になる」と占われる。年が明け、三十一歳になるのを機に習い始める三十一文字の和歌の会に参加すると、なんと屋根の上に死体が。謎を解こうと奮闘する姫の前に、素敵な男性が次々と現れて…。恋に事件に、花のお江戸を駆け巡る! 大人気著者が放つ「姫は、三十一」シリーズ第1弾。
  • 管仲(上)
    4.1
    不遇な日々を過ごす管仲に救いの手を差し伸べたのは、斉国の公子小白の傅となった鮑叔だった。彼の推挙により、管仲は公子糾の家宰となる。ふたりはともに力を合わせて斉国を盛り立てていこうとするが、時は争いの絶えない春秋の世。ようやく訪れた平穏の日々も長くは続かず、朋友の仲である二人も戦乱の渦に巻き込まれ、袂を分かつことになる。壮絶な人生のなかで、管仲は一本の矢を放つ。それは、覇者の時代を拓く嚆矢であった。
  • 蝙蝠の剣 剣鬼・松林蝙也斎
    -
    千曲川のほとりで石を打ち、石を跳ぶ。侍になりたかった。少年の名は左馬。身寄りがなく松林家に引き取られていた。中村泉十郎に剣術を学ぶ。だが、泉十郎が仇討に遭い、武者修業の旅に出る。この年、慶長十五年。関ヶ原の合戦より十年が過ぎていた。やがて江戸で町奉行に雇われ、牢人斬りに…。斬って斬って斬りまくった。だが、胸のつかえが降りない。このつかえを降ろしてくれるのは女の肌だけだ。のち将軍家光に秘術「足譚」を披露。「身の軽きこと蝙蝠の如し」と讃えられた、異彩を放つ寛永剣士ここに登場!
  • 蟹足の剣 剣鬼・樋口又七郎定次
    -
    上野国馬庭村の樋口家、又七郎は心信流。だが、念流にこだわる彼は、その秘伝を継ぐ目医者偽庵に従い、諸国を行脚する。そして十七年、念流を身につけて帰郷した又七郎を待ちうけていたものは…。
  • 千葉周作 上
    3.0
    陸前の生家で北辰夢想流を学んだ周作は、幼時より剣術の稀有な才能をみせていた。文化六(1809)年、周作は千葉家の期待を一身に集め、16歳で松戸宿にある一刀流浅利又七郎の道場に入門。天性の剣筋と不眠不休の荒稽古で頭角をあらわす周作に、師の姪の綾が秘かに想いを寄せる。ほどなく相思の間柄になるが、剣術の奥義をきわめるためには、諸国の道場を巡り、死に物狂いで他流試合の数をこなさなくてはならない。悲愴な想いで周作は、綾のいる江戸を後にするが…。津本剣豪小説の代表作。
  • 野盗伝奇
    -
    関ヶ原戦の一年後。信州高島藩の若侍、伊助と家老、兵部はある約束をかわす。伊助が主君の敵、丹後を討てば、その報酬として、兵部の美しい娘、美世を嫁にもらうというのである。が、命懸けで豪傑丹後を暗殺したというのに、兵部は約束を無視しようとする。伊助は、復讐の念に燃え、無法の野武士集団に身を投じる――。強靱なパワーと意志力とそして寡黙なやさしさをたくわえて、愛と誇りを守るため果敢に戦う男たちの、友情とロマンにみちた、長編冒険小説!
  • 信玄戦旗
    3.0
    戦国乱世のただ中に、天下制覇を目指した名将武田信玄。その初陣から無念の死まで、波乱激動の生涯をたどる迫真の長編小説である。大国の当主同士が一騎打ちを演じた唯一の合戦として名高い川中島の戦い、軍師山本勘助の巧妙な活躍ぶりなど、歴史の転換点、名場面の仕組みを周到な時代考察をふまえて、鮮やかに描いていく。虚々実々のかけ引き、壮大な勇気、そして決断のあり様などに魅きこまれるうちに、今を生きる私たちの処世や対企業組織の活路が見えてくる。巨匠による、異彩をはなつ歴史読物。
  • 江戸の暗黒街
    5.0
    ひくく声をかけて、いきなり女に飛びかかった小平次は、恐ろしい力で首をしめあげ、すばやく短刀で心の臓を一突きに刺し通した。その時、恐怖に引きつった青白い顔でじっとみつめる小女と顔を合わせてしまった。「見られた……。生かしてはおけない」男は江戸の暗黒街でならす名うての殺し屋で、今度の仕事は茶問屋の旦那の妾殺しだったのだ……。色と欲につかれた江戸の闇に生きる男女の哀しい運命のあやを描いた傑作集。
  • 王朝恋闇秘譚
    4.0
    時は平安王朝時代。高貴な家に生まれながら、政変に巻き込まれ離ればなれになった綾王と吉祥丸の兄弟。寺から寺へ高値で売買され高僧に体を捧げる笛人に身をおとした兄のもとに、ある日雅な文が届く。今宵、お迎えに参ります、と。しかしそれは巧妙に仕組まれた罠だった。時代に翻弄された美しき兄弟の確執の行方は? そしてあの日の慟哭の別離の真相とは? めくるめく禁断の官能と真実の愛とを描き切る究極の耽美世界!
  • 天下を狙う
    2.5
    慶長三年、太閤が薨去した。それは軍資格、黒田官兵衛(如水)にとって好機到来にほかならなかった。天下を二分する戦いが始まれば、その時こそ権謀の限りを尽くしてみせる。どす黒い野心を胸中に秘める官兵衛のもとに、諜報方から、ある情報がもたらされるが……。軍師黒田官兵衛の野望を描く表題作「天下を狙う」をはじめ、五つの時代短編を収録したファン待望の傑作選。
  • その日の吉良上野介
    4.0
    浅野の刃傷沙汰から二年足らず、収賄の噂により役職を解かれた吉良は、隠居にあたって別れの茶会を準備していた。茶器を手にした吉良の脳裡に、ふとその日の光景が蘇る。天下の名器・交趾の大亀を前にした浅野のひどく思いつめた表情が……。赤穂事件最大の謎とされる刃傷の真因を巧みな心理描写で解き明かす表題作ほか、人情の機敏を濃やかに描き、鮮やかな余韻を残す五篇の忠臣蔵異聞。「千里の馬」「剣士と槍仕」「その日の吉良上野介」「十三日の大石内蔵助」「下郎奔る
  • 仇討ち
    3.3
    囲碁の口論から父を惨殺した笠原孫七郎を追って三十年。信州松本藩の夏目半介は仇討ち費用を人に貸して生計を立てる江戸暮らし。ふとなじんだ娼家のお君の、熟れた体に激しく溺れた。そのお君が悪事を犯しただんなと江戸を出奔、半介は後を追うが、その男こそ……。「うんぷてんぷ」以下、江戸時代の仇討ちをテーマとする八編を収録。仇討ち制度の非人間性と、それに翻弄される人間たちの運命を鮮やかに描く珠玉作品集。
  • いちばん嫌な敵 妻は、くノ一 蛇之巻1
    3.5
    運命の夫・彦馬と出会う前、長州に潜入していた凄腕くノ一織江。任務を終え姿を消すが、そのときある男に目をつけられていた――。最凶最悪の敵から、織江は逃れられるか? 新シリーズ開幕!
  • 虎乱 火盗改鬼与力
    3.0
    火盗改同心の密偵が、浅草近くで斬殺死体で見つかった。密偵は寺で開かれている賭場を探っていた。寺での事件なら町奉行所は手を出せない。残された子どもたちのため、「虎乱」を名乗る手練れに雲井が挑む!
  • 百眼の賊 火盗改鬼与力
    4.0
    火事を知らせる半鐘が鳴り響く中、「百眼」と呼ばれる顔半分を覆う仮面を付けた盗賊が両替商を襲った。火盗改与力の雲井竜之介は、「赤猫」(放火)にもかかわらず延焼を避けていたことから、火事騒ぎに乗じた押し込みと睨む。間違いなく「百眼一味」の手口だった。しかし剛剣の遣い手に八丁堀同心が襲われ、公然と牙を剥く賊に町奉行所は戦意を喪失、竜之介ら火盗改と密偵たちが、一味へと迫る! 人気シリーズ第4弾。
  • 鼠、剣を磨く
    4.5
    次郎吉の目前で娘が腕を斬られた。娘は峰といい、奉公先の主人と通じ、その妻の恨みをかって襲われたのだった。峰の父は、娘の不貞に激怒するが、浪人暮らしの父を思い手当てをもらっていたことを知り、言葉を失う。そして、一度は断った「ある仕事」を引き受ける決意をした。それは、武士としてのプライドを捨てるものだったが……。次郎吉こと〈鼠〉が八面六臂の活躍をする痛快時代小説シリーズ第5弾。
  • 千姫様
    3.9
    江戸幕府の始祖・徳川家康の継嗣・秀忠と浅井長政の娘・江与の間に生まれた千姫は、政略により幼くして豊臣秀頼に嫁いだ。しかし十八の春、ついに家康は大坂城に総攻撃をかけ、千姫は速水甲斐守の娘・三帆とともに逃れた。千姫の第二の人生の始まりであった――。動乱の戦国時代に生を享け、数奇な運命に翻弄されながらも、徳川揺籃期の後見として天寿を全うした千姫の情熱にあふれる生涯を描く、長編時代小説。
  • 鼠、夜に賭ける
    4.3
    〈鼠〉こと次郎吉が酒を飲んでいた店に、抜身を手にした男が入ってきた。どうやら人を斬ってきたらしい。男は「しくじった……やり直しはできん。俺はもう終りだ。けりをつける」と言い残すと、刀で首を斬って自害した。一方、騒ぎに巻き込まれた店で働く娘おようは、自害した男が落としたあるものを懐に忍ばせ、家路を急いでいた――。盗賊・鼠小僧が悪をくじく痛快エンタテインメント時代小説。絶好調のシリーズ第4弾!
  • 鼠、影を断つ
    4.3
    なじみの小料理屋で飲み、寝入ってしまった次郎吉。おかしな気配に気がついて目を覚ますと、隣家から火の手が上がっている! 次郎吉の機転で延焼は防げたが、火元の家に住んでいた母と幼い娘が焼け出された。火事の原因は不明。さらに母子の周辺に見え隠れする怪しい人物たち。何かあると感じた矢先、今度は小料理屋が火事に――。人情篤い盗賊・鼠小僧こと次郎吉が悪と闘う痛快時代小説シリーズ。ますます絶好調の第3弾!

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