ビジネス・実用 - 白水社作品一覧

  • ラヴェンナ:ヨーロッパを生んだ帝都の歴史
    5.0
    「ヨーロッパの祖母」となった都市の盛衰 ローマ帝国の中心がコンスタンティノープルに移った4世紀末、西方に新しい都が台頭する。イタリアの都市ラヴェンナにおいて、アリウス派のゴート人とカトリックのローマ人は競って、比類なき建造物とモザイクを次々と創りだした。以来300年にわたりこの町は、学者・法律家・職人・宗教人を魅了し、まぎれもない文化的・政治的首都となる。この特筆すべき歴史をみごとに蘇らせて、本書はイスラーム台頭以前の地中海世界の東西の歴史を書き変え、ビザンツ帝国の影響下にラヴェンナが、中世キリスト教世界の発展にとっていかに決定的な役割を果たしたのかを明らかにする。 全37章の多くは、皇后ガッラ・プラキディアやゴート王テオドリックら支配者から、古代ギリシアの医学をイタリアに蘇らせた医師の業績まで人物に注目しつつ、多様な民族・政治宗教勢力のるつぼであったこの都市がヨーロッパの基礎を形づくっていくさまを追う。そして、都市史をより広い視野から地中海の歴史のなかに位置づける。 美しい図版と最新の考古学の知見によって、ヨーロッパと西方の文化へのラヴェンナの深い影響について、大胆かつ新鮮な解釈を提供する1冊。
  • ドイツ史1866-1918(上):労働世界と市民精神
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    名著の誉れ高い「新しい古典」、待望の続巻! 本書は、『ドイツ史1800―1866 市民世界と強力な国家 (上・下)』に続く、「十九世紀ドイツ史三部作」の第二巻目だ。ドイツ帝国の成立を挟んで第一次世界大戦に至るまでのドイツが、「アンビバレント」な側面と問題性を孕みながらも、「モダン」な社会と文化に向かってダイナミックな発展を遂げていく様子が、社会・経済から宗教・教育・学問・芸術まで、分野ごとに詳述される。 ハンス=ウルリヒ・ヴェーラーは本書を「極めて傑出した総合を成し遂げた」歴史書と称えている。またゲルハルト・A・リッターも、「ほとんどいかなる人にもまさって、私たちの祖父や曾祖父の世界を知り、理解することを教えてくれた」と述べている。 本書は、「生活世界の全体を包括する歴史を提供する」こと、「経済、国制、階級、階級闘争、産業化、日常生活とメンタリティ、そして大いなる文化などについての多くのそれぞれの歴史を包括する歴史」を企図して執筆された、まさに圧巻の全体史だ。「ドイツ歴史家賞」受賞の巨匠による、社会史と精神文化史。
  • ワン、ツー、スリー、フォー:ビートルズの時代
    -
    ピーター・バラカン氏推薦! 異色のビートルズ伝 時系列を大胆に再構成し、多種多様なエピソードをモザイク状に配置しながら、4人の生きた時代、ビートルズと関わった人々の人生を万華鏡のように映し出す。英国の著名なジャーナリスト、諷刺作家による悲喜こもごものポートレート。 長短さまざまな150章から成る本書は、数あるビートルズの伝記、関係者の回想録、インタビュー、日記、ファンレター、同時代の報道など膨大な資料から目ぼしい記述や発言を選りすぐり、著者自身のルポや思い出、噂話、架空の話も交えて、独自の視点で編まれたもの。第一章は伝説的なマネージャー、ブライアン・エプスタインが初めてビートルズの演奏を聴きに行く運命的なシーンで幕を開け、続く章からはエピソード同士がゆるやかに連なり、ときに思わぬ展開を見せ、読者を驚かせる。 著者一流の諷刺とユーモアを散りばめ、ビートルズの人と音楽、同時代への影響を多種多様な人々の声に語らせ、浮き彫りにする。「ビートルズがあまりに明るく輝いたため、誰でもその光線に当たった者は、それがたとえほんの一瞬だったとしても、ビートルズ神話の一部になる」(本書より)。2020年度ベイリー・ギフォード賞受賞作。
  • シャルル・ドゴール伝(下)
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    「20世紀最後の巨人」の脱神話化を試みる決定版 世界を牽引した指導者、「最後の偉大なフランス人」シャルル・ドゴール。彼は巧みな戦略家であり、ひとつの政策に固執する反面、融通無碍な政治家でもあった。派手さを嫌う性格でありながら、ショーマンシップも発揮した。悲観と楽観のあいだを揺れ動き、自信を喪失したかと思うと、自己をフランスと一体化させ、君主であるかのように振る舞った。人びとの心にほとんど宗教的な崇敬の念を吹きこんだ。国民の統一を希求したが、その手法や政策はフランス社会に分断と対立を生み、ドゴールが憎悪の対象ともなった。 従来のドゴール伝が礼賛か批判かに偏りがちだったのに対して、本書は時代ごとの世界情勢や政治的状況、経済的環境のなかにドゴールを位置づけ、著作、書翰、発言、さまざまな同時代人の証言、新公開されたフランス国立文書館収蔵のドゴール文書など膨大な資料を駆使して、その全体像を中立かつ客観的な視点から記述する。さらに本書の大きな魅力は、資料の綿密な分析に基づいて、「人間ドゴール」の複雑な性格を浮びあがらせている点にある。英国の世界的権威による、ドゴールを主役にした「20世紀フランス史」。
  • シャルル・ドゴール伝(上)
    -
    「20世紀最後の巨人」の脱神話化を試みる決定版 世界を牽引した指導者、「最後の偉大なフランス人」シャルル・ドゴール。彼は巧みな戦略家であり、ひとつの政策に固執する反面、融通無碍な政治家でもあった。派手さを嫌う性格でありながら、ショーマンシップも発揮した。悲観と楽観のあいだを揺れ動き、自信を喪失したかと思うと、自己をフランスと一体化させ、君主であるかのように振る舞った。人びとの心にほとんど宗教的な崇敬の念を吹きこんだ。国民の統一を希求したが、その手法や政策はフランス社会に分断と対立を生み、ドゴールが憎悪の対象ともなった。 従来のドゴール伝が礼賛か批判かに偏りがちだったのに対して、本書は時代ごとの世界情勢や政治的状況、経済的環境のなかにドゴールを位置づけ、著作、書翰、発言、さまざまな同時代人の証言、新公開されたフランス国立文書館収蔵のドゴール文書など膨大な資料を駆使して、その全体像を中立かつ客観的な視点から記述する。さらに本書の大きな魅力は、資料の綿密な分析に基づいて、「人間ドゴール」の複雑な性格を浮びあがらせている点にある。英国の世界的権威による、ドゴールを主役にした「20世紀フランス史」。
  • ジャック・デリダ講義録 生死
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    生死をめぐる「差延」の論理について語る、1975~76年の高等師範学校での講義 1970年代、デリダは高等師範学校において哲学教授資格試験準備講座を担当していた。すなわち、高等学校以上の教育資格であるアグレガシオンや、中学校での教育資格である試験のテーマについて、受験希望者に対策をほどこす講座である。1976年度アグレガシオンの哲学の試験のテーマのひとつが「生と死〔la vie et la mort〕」だった。だが、デリダは生と死が対立するという伝統的な論理に疑義を呈し、生と死が不可分であること、ひいては死こそが生を可能にすると説く。そしてそのために、試験のテーマから接続詞の「と〔et〕」を削除した「生死〔la vie la mort〕」を自らの講義のテーマとした。 生と死は、はたして対立すべきものであるのか? DNA、遺伝子、細胞……生き物にプログラムされた「非音声的エクリチュール」を踏まえながら問いかけ、ジャコブ、ニーチェ、フロイトを脱構築的に読解することで、再生産や新陳代謝のメカニズムを哲学する──「生死」をともにする全14回の講義。 生命科学を探究する、差延の論理! 性的差異、自伝、二重拘束、補綴、隠喩……デリダ的な圧巻のテーマが語られてゆく驚くべき講義録。
  • 白い骨片:ナチ収容所囚人の隠し撮り
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    撮影行為のアルケオロジー ナチ収容所では、囚人たち自らが秘密の写真撮影に成功していた──はたして、それらの写真はどのように見るべきか? ドキュメンタリー映像作家でもある著者は、囚人たちが命がけで隠し撮りした秘密写真を手がかりとして、それら秘密写真が撮影された現場(アウシュヴィッツ=ビルケナウ、ブーヘンヴァルト、ダッハウ、ミッテルバウ=ドーラ、ラーフェンスブリュック)に赴く。そしてマニアックなまでの正確さで場所や時刻、シャッターが切られた瞬間を探しもとめ、写真を凝視し、撮影者や被写体について掘り下げ、細部を浮かび上がらせてゆく。 本書は、カルロ・ギンズブルグのミクロストリアの手法さながらに、ホロコーストの歴史を“無修正で”物語ることにより記憶と歴史の関係を問い直す。そしてそれは同時に、スーザン・ソンタグやロラン・バルトの写真論、クロード・ランズマンやディディ=ユベールマンらによるイメージ論を更新する「撮影行為の考古学」でもある。アネット・ヴィエヴィオルカが本書序文で「鮮烈なほど革新的な書」と称える所以だ。 『夜と霧』や『ショア』の記憶を確かめるため、未公開資料も参照しつつ五つの収容所を実地調査した、戦慄の「写真論」。
  • 寺山修司の一九六〇年代:不可分の精神
    -
    ダイアローグという手法 1930年代半ばに青森県弘前市で生まれた寺山修司は、短い生涯のあいだに短歌、詩、写真、ボクシング、競馬、映画、演劇、音楽、ラジオ、テレビ、ビデオレターなど、じつにさまざまな表現活動をおこない、同時代を生きる人々に大きな影響を与えた。その寺山作品は現在でも生き続け、新しい世代のファンが誕生している。このような寺山修司については数多くの評論やエッセイが書かれているが、作品ジャンルが多岐に亘るためか、これまで彼の書誌情報がまとめられることはなかった。 著者の堀江氏は寺山の初出雑誌すべてに目を通し、NHKアーカイブスのラジオとテレビの全資料を確認することで、いままで未整備の全著作目録をはじめて完成させた。 その研究において、これまで知られていなかった寺山修司の行動原理が明らかとなる。「対話すること、他人と関わりを持とうとすること、これこそが、寺山が生涯を通じて求めたものの一つであった」。寺山修司のダイアローグという手法とは、どのようなものか。本書では、この行動原理がかたちとなって表われる1960年代を軸に、新たな寺山像を浮かび上がらせていく。巻末には寺山修司単行本全書誌、ラジオ番組年譜を付す。
  • ドイツ史 1800-1866(上):市民世界と強力な国家
    -
    名著の誉れ高い「新しい古典」、待望の邦訳! ドイツ歴史学の泰斗、トーマス・ニッパーダイによる「19世紀ドイツ史三部作」の第一巻である本書は、世紀の幕開けから普墺戦争まで、ナポレオンからビスマルクまでを網羅し、「新しい古典」として名著の誉れが高い大作だ。 ニッパーダイは、批判的・社会科学的な歴史学に対して、当時の状況や可能性に基づいて出来事を理解しようとする立場に立った。批判的歴史学の政治史解釈の一面性を鋭く指摘し、よりバランスのとれた解釈に道を拓いたといえる。本書では、政治的な出来事を中心とした叙述に留まらず、かつてカール・ランプレヒトが(「出来事史」に対して)「状態史」と呼んだもの、第二次大戦後の西ドイツでは「構造史」や「社会史」「社会構造史」などと呼ばれたものに、紙幅を大きく割いている。政治から生活・労働・経済・宗教・教育・学問・文化まで、各分野の研究成果を採り入れ、総合的・全体的に把握した圧巻の歴史書。 ニッパーダイはこの「19世紀ドイツ史三部作」で「ミュンスター市歴史家賞」、「ドイツ歴史家賞」の栄誉に輝いた。図表多数・参考文献収録。
  • 「移民の国アメリカ」の境界:歴史のなかのシティズンシップ・人種・ナショナリズム
    -
    移民史研究の金字塔 本書は、アメリカ社会に深く根を下ろしながらも、「移民」から「市民」へというスキームの外に置かれた人びとの経験を通して、アメリカすなわち「移民の国」という自画像や通説的理解を歴史的に問い直す研究である。 「正しい」国境の越え方、「正しくない」国境の越え方はどう変容してきたのか、米墨国境はどのように主権意識と結びつくようになったのか、それ自体としては勤勉といった美徳として称賛される労働は、なぜ正規の在留資格を欠くという一点において不法就労として白眼視されるのか、ナショナリズムに呪縛されない公正な移民制度とは何か――こうした根本的な問いを立て、アメリカに国境意識が芽生えた20世紀初頭にさかのぼり、国境・主権国家・国民国家の自明性を検証する。非合法移民が問題化される過程を論じるなかで、フィリピン系、メキシコ系、日系、中国系移民らの、それぞれまったく異なる経験と法的・歴史的背景が詳細に綴られ、まさに圧巻である。 アメリカ歴史家協会、アメリカ歴史学会、アメリカンスタディーズ学会ほか主要学会賞を総なめにした、移民史研究の金字塔。
  • JFK(上):「アメリカの世紀」の新星 1917-1956
    -
    前半生をアメリカ現代史に位置づけた傑作 1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディ(1917-63)――本書はその生涯を描いた本格評伝の前篇で、出生から大統領選出馬の決意を固めるまでの39年間の道のりをたどったノンフィクションである。 「アメリカの世紀」の夜明けに生まれ、第二次世界大戦の間に成人し、冷戦時代の幕開けとともに政界に進出してその階段を駆け上っていったジョンの人生は、まさに激動の現代史と軌を一にするものだった。本書の特徴の一つは、当時の政治・社会状況やアメリカを取り巻く国際情勢とケネディ家のファミリーヒストリーとを車の両輪として詳細に描いていることである。 一代でアメリカ有数の大富豪になり、金の力で駐英大使にまでなった父ジョセフは、ともに優秀な上の二人の息子を幼いときからけしかけ、競わせた。兄のジョー・ジュニアが戦死すると、父の夢の矛先は次男に向けられ、底なしの財力とあらゆるコネを使って政界の道をまっしぐらに突き進ませる――。ピュリツァー賞受賞の歴史家が膨大な史料を渉猟し、伝説と化したJFKの実像に迫った評伝の決定版。
  • ブリュッセル効果 EUの覇権戦略:いかに世界を支配しているのか
    4.5
    米中に対抗する「規制帝国」の全貌 欧州の時代はもう終わったと言われる。 EUは現在、侵略に手を染めたロシア、各国を蝕むポピュリズムや権威主義、さらにブレグジットに象徴されるあらゆる脅威に直面している。 こうした状況下、EUを最も熱心に支持する人々でさえ、EUの衰退が避けられないと思い込んでしまうのかもしれない。 本書によれば、実際に起きている事態は全く正反対である。すなわち、あらゆる難題にもかかわらず、EUは依然として、自らのイメージで世界を形づくる、影響力のあるスーパーパワーであり続けているのである。 さらにEUの支配力は、ブレグジットやトランプ政権に典型的な自国第一主義によってかえって強化されたという。 昨今のEU衰退論は、「規範形成力」が全く視野に入っていない。本書ではこの規範形成力を「ブリュッセル効果」と呼んで、プライバシーから環境・食品安全まで、その重要性がますます高まっていることを事実に基づいて確認していく。 「規制帝国」を支えるメカニズムはいかなるものか、またこの帝国がいつまで持続するのかを見事に解明した空前絶後のEU論。
  • 後期ローマ帝国史Ⅰ:帝国の勝利
    -
    新たな制度を打ち立てた、2~4世紀の政治史 本書は、ハドリアヌスからユリアヌスまで、2~4世紀を年代順に、人事と権力闘争、外敵との戦いを扱った政治史である。 共和政期、帝政前期の政治史については、日本語で読める文献も多く、皇帝の伝記もある程度揃っている。しかし「危機」の時代と呼ばれる3世紀については、ギボン『ローマ帝国衰亡史』を除けばきわめて少ない。本書はそれを補う、碑文学・古銭学を駆使し最新の研究成果を反映した通史であることに加え、著者はこの時代を「衰退」の時代、「滅亡」へと向かう過程ではなく、多くの失敗もあったが数々の改革を試み、内外の危機に見事に対応した勝利の時代として描いている。 帝政前期には、元老院議員たちが帝国のエリートとして統治の担い手となり、新たな事態に悪く言えば場当たり的な対応をしてきた。そこからしだいに安定した、一貫した統治が可能な官僚機構ができ始め、その担い手として騎士身分が興隆することになる。3世紀のさまざまな改革の試みの到達点がコンスタンティヌスの帝国であったという。 「出来事」を追ううちに「構造」が見えてくる1冊。
  • 一九三九年 誰も望まなかった戦争
    4.0
    「誰も望まなかった戦争」がなぜ起きたのか? 1938年9月、ズデーテン危機が戦争に至ることなく「解決」され、戦争熱を全く欠いていた英独両国民は安堵していた。イギリスでは宥和政策がもてはやされ、ドイツでは「水晶の夜」事件が起きた。英国民は戦争に巻き込まれることを恐れながらも現実感を持てないでいた。しかし1939年に入ると国際的な小康状態は終わりを迎える。3月にドイツ軍がチェコに進駐するが、英政府や世論は他人事のように振る舞い、宥和政策を手放せなかった。戦争が間近に迫っていたにもかかわらず、英独両国民は「平和」な生活を営み、戦争は遠い出来事のように感じられた。8月に独ソ不可侵条約が締結され、世界中に衝撃を与えた。もはや英独両国民の意識がどうであれ、ヒトラーのポーランド侵攻は目前に迫っていた。ナチは独国民に対するアリバイづくりのために、また戦争に国民を誘導するために宣伝活動をしていた。こうして9月1日から3日にかけて、凄惨な暴力を伴う大戦への決定的な一歩が踏み出されることとなった……。 第二次世界大戦開戦前の1年間、英独の普通の人びとの日常生活と心情、その変化を英国の歴史家が活写する。新たな侵略戦争が進む現在、示唆に富む書。
  • あるヒトラーユーゲント団員の日記 1928-35:「総統に仕えた」青年シャルの軌跡
    -
    ヒトラーが政権の座に就く前後の一次史料 ドイツの小都市の知識階級の家庭に生まれ育ったシャルは、15歳から22歳まで詳細な日記をつけていた。時代はヒトラーが政権に就いた前後であり、日記の記述の中心は青少年期を決定づけた「ヒトラーユーゲント」との関係だ。シャルはナチズム運動に身を捧げ、総統を崇拝して成長する若者の生活と心情、各組織や団体の内情を生々しく筆記しており、編集・解説・注釈が補足された本書は、重要な一次史料といえる。 シャルは、ヘルマン・ヘッセの親友でナチに嫌悪を抱いていた神学教師の父、民主主義、「腐りきって崩壊した世界」への反抗的な行動に及ぶ。日記にはますます人種差別的で、外国人を敵視する響きが混じるようになる。やがてシャルは従軍するも重傷を負い、同志たちも非業の死を遂げた。戦後、シャルは戦争の非人間性とヒトラーの狂気に目を開かされたものの、自らのヒトラーユーゲント体験に完全に距離を置くことはできなかった。 プロパガンダに操られ、総統への崇拝、人種差別に憑かれたシャルの姿は、かつて戦争に巻き込まれた日本の若者と重なって見える。編著者はハンナ・アーレント全体主義研究所ほかで活動する歴史学者。
  • チェルノブイリ:「平和の原子力」の闇
    4.3
    「チェルノブイリ」と「フクシマ」に通底するものとは? チェルノブイリは「平和の原子力」の象徴として、ソ連で最も安全で進んだ原発と言われていた。しかし、1986年4月の原子炉爆発事故によって、歴史に汚名を残す末路をたどった。事故からすでに36年が経過しようとし、その間にアレクシエービッチ『チェルノブイリの祈り 未来の物語』をはじめ、数多の著作や研究が世に問われてきたが、ソ連やロシア連邦の根深い秘密主義のために、今でも全容が解明されたわけではない。 最新刊の本書は、構造的な欠陥をはらんだ原発が誕生した経緯から、北半球を覆った未曾有の放射能汚染、多くの人々の心身に残した傷にいたるまで、気鋭のジャーナリストが綿密な取材と調査を通して、想像を絶する災厄の全体像に迫った、渾身のノンフィクション作品だ。 「秘密主義とうぬぼれ、傲慢と怠惰、設計と建造のずさんな基準」といった「原子力国家の心臓部を蝕む腐敗」、すなわち体制のあり方そのものに悲劇の深層を探り、人生を狂わされた生身の人々の群像を克明に描いた、調査報道の金字塔。 本書は、『ニューヨーク・タイムズ』『タイム』『カーカス・レビュー』の年間最優秀書籍(2019年)に選出された。
  • アーティスティックスポーツ研究序説:フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論
    -
    スポーツか、アートか――。 フィギュアスケート、新体操、アーティスティックスイミング、ダンススポーツなど、スポーツとアートの重複領域についての初の論考。〈アーティスティックスポーツ〉という身体運動文化を、経営・経済学、法学、社会学、芸術学などを横断して探究する。新進気鋭の若手研究者がスポーツ科学に新たな沃野を拓く画期的な著作。 本書は全六部構成となっており、その中でアーティスティックスポーツをめぐる「美学論(第Ⅰ部)」、「著作権論(第Ⅱ部)」、「作品批評論(第Ⅲ部)」、「市場経済論(第Ⅳ部)」、「産業論(第Ⅴ部)」、「アーカイブ論(第Ⅵ部)」が次々に展開される。これから先の時代、アーティスティックスポーツの文化はいかにあるべきか――スポーツとアートが汽水域のように交じり合う身体運動文化を永続的に存続させるための創造と享受のあり方について、学際的観点から徹底的に考察していく。スポーツ科学の学術界はもとより、アーティスティックスポーツに関わるすべての人々にとって必読の書となるだろう。
  • トマス・ペイン:『コモン・センス』と革命家の生涯
    -
    人間の魂が試される時代、理性を信奉した革命家の全貌 トマス・ペイン(1737~1809)は、大ベストセラー冊子『コモン・センス』『人間の権利』の著作で有名で、二大民主革命(アメリカ独立革命とフランス革命)に大いに寄与した、英国出身の革命思想家だ。ペインの思想は明確で、独立派に勇気を与え、庶民にも受け入れられた。フランス革命期には渡仏して議員として活動、恐怖政治下で投獄もされた。 ペインが訴えた社会改革は、君主制や奴隷制の廃止、格差の是正、義務教育、妊婦の保護など、現代に通じるものだった。 〈生まれが変われば権利や特権も変わるということが神話にすぎないとペインの言葉は暴露した。さらに、その言葉は革命的な新概念を人々の心に植えつけた。それは人が生まれながらに平等だという概念である〉(本書「イントロダクション」より)。 18世紀最大のベストセラー作家にして、哲学者や発明家としての顔も持つトマス・ペインは、人間の魂が試される時代において、英米仏の宗教や政治といかに闘争したか。理性を信奉した「祖国なき革命家」、その全貌に迫る傑作評伝! 付録:主要著作年譜、『理性の時代』摘要。図版多数。
  • ヒトラーと海外メディア:独裁成立期の駐在記者たち
    -
    なぜ彼らは何も言わなかったのか? 1933年、ヒトラーが首相に就任、国会議事堂放火事件を契機に、ヒトラーとナチ党は共産党やユダヤ人への弾圧を強化、国会選挙でナチ党が勝利、全権委任法を可決して、独裁体制が成立した。大きな歴史的転換期となったこの年、海外メディアやその駐在記者たちは、ヒトラーおよび「ナチ台頭」、「ユダヤ人迫害」をどのように報道していたのか? 本書は、フランスのジャーナリスト(メディア批評)が、ナチに批判的で国外追放された記者から従順で妥協的な記者まで、当時の記事や回想録を掘り起こして徹底検証する。 海外メディアやその駐在記者たちが検閲や威嚇に屈せず、欺瞞や宣伝に騙されず、ナチを告発する報道は困難極まりなかった。ナチに目をつけられていたエドガー・マウラーや、ヒトラーに独占インタビューしたドロシー・トンプソンのように辛辣な記者は、すぐに国外追放されてしまう。一方、ナチとは妥協しながら、現場に残ることが重要と考えるルイス・ロッホナーは、批判の対象となる。「トランプ現象」と「報道の自由」が脅かされる現代に警鐘を鳴らす書。三浦俊章氏(朝日新聞編集委員)推薦。〈フランス・ジャーナリズム会議賞〉受賞作品。
  • ルネサンス庭園の精神史:権力と知と美のメディア空間
    5.0
    1巻4,752円 (税込)
    「全能の神は初めに庭園を造った。それは本当に人間の楽しみの中で最も純粋なものである」フランシス・ベイコンは、「庭園について」という一文をこう始めている。ルネサンス・イタリアにおいて、庭はそれ自体が時代のもっとも繊細な美学の具現化であると同時に、ペトラルカやボッカッチョの抱いた自然観を反映し、占星術の思想によれば植物は地上の星であった。庭は読み解きを必要とする総合芸術だったのである。 歴代の教皇たちやメディチ家ら貴紳たちが、財を蕩尽してつくりあげた庭は、最先端の自然科学・工学技術や博物知識の集積場であり、古代彫刻や同時代アートの屋外展覧スペースであり、強力な政治的メッセージを発するプロパガンダ装置でもあった。ラッファエッロの名を知らしめることになった、ヴァティカン宮殿の「署名の間」の傑作壁画は、部屋から外を眺めたときに生まれる視覚効果を意識して描かれている。室内装飾も庭と同じグランド・デザインの一部であった。 本書では、ヴィッラ・デステに至る数々の名苑奇園を具体的に読み解いていく。狭義の庭園史や美術史の枠におさまらない、領域横断的な視点をもったルネサンス文明史である。
  • 板ばさみのロシア人:「プーチン時代」に生きる狡知と悲劇
    -
    ジョージ・オーウェル賞受賞作品 権威主義体制下の「プーチン時代」において、ロシア人は個人の志と国家や社会の要求という、二つの大きな圧力の間で「板ばさみ」に苛まれながらも、何が有利になるのか、「狡知」をはたらかせて生きている。本書は、抑圧下の現代ロシアを舞台に、主に7人の群像が活写される。 「プーチン政治の映像プロデューサー」とされる国営テレビ局の最高責任者から、チェチェン戦争の凄惨な現実を目の当たりにした人権活動家、尊敬を集めた聖職者で、教会を厳しく批判した神父、クリミアで親ロシア派として住民投票し、夢と現実の間で悩む実業家、ソ連強制収容所での流刑を経て、人権団体「メモリアル」の創設に参加した活動家、プーチン政権と歩調を合わせて慈善活動する医師、国家資金横領で自宅軟禁処分を受けた演劇界きっての演出家、開放的で野心もあるが、今ある安定を望む「プーチン世代」の普通の若者たちまで、多種多様なロシア人の軌跡を追い、その集団的な潜在意識を探る。 『ニューヨーカー』モスクワ特派員が、体制派から反体制派まで、各世代、各立場の人々に密着取材、プーチン支配下での葛藤と妥協、したたかな「ずる賢い人間」の心奥に迫る。
  • スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔
    4.0
    血まみれの暴君は「本の虫」でもあった スターリンの蔵書は、マルクス、エンゲルス、レーニンの著作はもとより、トロツキーなどの政敵の著作から、ビスマルクやマキャヴェッリなどの古典、トルストイ、ドストエフスキー、ゴーゴリ、チェーホフなどのロシア文学、シェイクスピア、セルバンテスなどの外国古典文学に至るまで、読書の幅はきわめて広い。また、スターリンが興味深く読んだと思われる本には、多数の書き込みが残されていた。本書は、スターリンの膨大な蔵書と書き込みを精査して、その生涯と思索の跡をたどりながら、独裁者の本質に迫る試みだ。 逸話を紹介しよう。旧ソ連首相ルイシコフは、スターリンの蔵書であったマキャヴェッリ『君主論』を入手した。頁にびっしり書き込みが残り、まるで「独裁者の教科書」のようであったという。スターリンが下線を引いた文章を全て抜き出し、整理して出版したら、スターリンによる「マキャヴェッリ概論」になるほどだったと回顧する。 なぜ「知的な読書家」が無用な血を流したのか? 本書は、独裁者の図書室に入室して、その思想と信条から、革命と戦争、国政と外交に及ぼした影響、人格と感情の内奥にまで踏み込む。英の歴史家による、新趣向の伝記。
  • プーチン(上):生誕から大統領就任まで
    4.0
    「最新かつ最良のプーチン伝」池田嘉郎氏推薦! 本書は、「世界が対峙している男」、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの生誕から、ウクライナ戦争に至る現在までの70年を網羅した、圧巻の伝記だ。 プーチンの幼少年・青年期以来の個人的な資質、その後の経歴から得た歴史観、社会観、手法、西側との関係性を丹念に追いかけ、詳述する。彼自身の言動や各種情報源を無批判に羅列するのではなく、同じ内容に関する彼の発言の変化をとらえた上で比較考察し、さらにその変化そのものから背後にある真相を把握するという、きわめて周到な分析を試みている。これが、本書の記述の信頼性を増し、本格的な伝記たる所以だ。 BBC特派員(モスクワ、ワシントン)を経て、伝記作家として活躍する著者は、ロシアのウクライナ侵攻後に本書に加筆しているが、この暴挙も、以前に執筆した内容に見事に当てはまり、違和感がない。それまでの検証の正しさが、図らずも証明された形となっている。 8年がかりの調査取材によって執筆された本書は、読みやすさと充実のボリューム、高い精度の分析を兼ね備え、類書の追随を許さない。まさに「プーチンの真実」に迫る必読の書。
  • 中世の写本ができるまで
    4.3
    解説を聞きながら鑑賞するような楽しみ 写本制作は盛期ルネサンスまで千数百年にわたって、多様な環境のもと、ヨーロッパの津々浦々で行なわれてきた。その特徴としてすべての事例にあてはまるものがないほどだ。本書はそんな中世の彩飾写本(彩色だけでなく金か銀が施されているものをこう呼ぶ)が作られる工程を、制作に携わったひとびとの視点に寄り添う形で、写本研究の第一人者が解説していく。 中世に使われていたインクやペンは、今日使われているものとは性質も製法も異なった。挿絵の中の写字生は現代のペンとは違った持ち方をし、文字もじっくり観察すれば、現代のアルファベットとは書き順が異なる。同様に、「挿絵のデザインは誰がどうやって決めたのか?」「インクで書き間違えてしまったら、どう対処したのか?」「羊皮紙ヴェラムの最高級品は本当に牛の胎児の皮製なのか?」といった、写本を鑑賞するうちに浮かんでくる疑問の数々が、オックスフォード大学ボドリアン図書館所蔵の写本を中心とする多数の図版とともに検討される。 西洋中世写本の愛好家にその魅力を伝えつつ、専門家にも貴重な写本の細部について、新たな世界を開いてくれる一冊。
  • 第三帝国を旅した人々:外国人旅行者が見たファシズムの勃興
    4.0
    歴史的事件を見聞した人々の肉声が蘇る 第一次大戦後まもない1918年から第二次大戦終結の45年まで、とりわけナチスの勃興から隆盛時のドイツ社会と歴史的事件や出来事について、第三帝国を訪れた各国からの旅行者、外交官、政治家、ジャーナリスト、学者、ベルリン・オリンピックに参加した外国人選手らの残した日記、手記、記事、回想録などを集め、その肉声を再現する歴史書。 著者は、戦後の知恵や常識に汚されていない、その時その場で書き記された一次資料を蒐集し、第三帝国に対する直接的で、正直な「呟き」をタイムカプセルのなかに閉じこめた。歴史的、客観的判断とは無縁かつ自然体で記録された、有名無名の180人の率直な反応や意見は、現代社会のSNSに相当するだろう。逆説的な言い方をすれば、むしろ井蛙の見であるからこそ興味深いとも言える。 一般人が旅行者や生活者の立場で、街路・宿舎・自宅で感じ、考えた、手垢のつかぬ生々しい記録を基に、「ファシズムの勃興」を再構築してみせた画期的な作品。統制と迫害、侵略と戦争へ徐々に歩み始める第三帝国と現代社会を重ねてみるのは、考えすぎだろうか。地図・口絵写真・旅行者人名録収録。
  • ドレスデン爆撃1945:空襲の惨禍から都市の再生まで
    5.0
    広島・長崎と同様に語り継がれる蛮行の象徴 ドイツ東部の都市ドレスデンは「エルベ河畔のフィレンツェ」と呼ばれ、豊かな歴史と文化、自然に恵まれ、教会や古都の街並み、陶磁器や音楽で知られていた。しかし1945年2月13日~14日、軍事施設がないにもかかわらず、英米軍から三度も無差別爆撃され、焼夷弾の空襲火災によって灰燼に帰し、25000人の市民が殺害された。本書は、英国の歴史ノンフィクション作家が、市井の人々の体験と見聞をもとに、ドレスデンの壊滅と再生を物語る歴史書だ。 「ドレスデン爆撃」については、広島・長崎と同様に「戦争の悲劇」の象徴として長く語り継がれ、さまざまな研究がなされてきた。本書はそのような蓄積をもとに、個人と家族の物語に焦点を当てつつ、空襲以前から、三波にわたる空襲の恐怖と火災の脅威、戦後の混乱と東独時代、現在の復興までを詳細に叙述している。独英米の当事者の多様な証言、日記、手紙など新史料を駆使して肉声を再現し、都市の多難な歩みを克明に描いている。 「耳を傾けてもらえるのを待っている大勢の声がある。その多くが初めて聞かれるものである」。ウクライナが戦火に見舞われている今、本書には耳を傾けるべき声が満ちている。
  • ジェイムズ・ボールドウィンのアメリカ:「もう一度始める」ための手引き
    -
    「アメリカ」という物語の偽りと希望 1960年代末から70年代にかけてボールドウィンは、アメリカという国が、マルコムXや非暴力を唱えていたキング牧師さえも殺害し、黒人解放運動を袖にする様子を目の当たりにした。公民権運動が盛り上がりを見せ、一時は希望と期待に胸膨らませたが、結局これまでと変わらぬ白人優位の体制を選んだことを思い知らされ、深い幻滅と絶望を味わったのだ。 アフリカン・アメリカン研究の分野をリードする著者は、ボールドウィンの足跡と数ある作品の中から、当時の暗澹たる状況に彼がどう向き合ったかを探り出した。初の黒人大統領が誕生し、今度こそアメリカは変わると思われたすぐ後でトランプ政権に代わり、白人至上主義が再燃するような今の危機的状況にこそ、ボールドウィンの作品と当時の発言を振り返り、もう一度始めるためのヒントを探る意義があると考えたからだ。 都合よく解釈され語り継がれてきた「アメリカ」という物語を噓と断じたうえで、ボールドウィンの意図することとその背景にあるものを深く掘り下げ、当時と今を行き来しながら、われわれが直面する人種問題、ひいてはアメリカという国のありようについて論じた魂の書である。
  • デリダのハイデガー講義を読む
    -
    デリダで/とともに、「存在と時間」を考える。 ハイデガーの『存在と時間』をデリダ自身が翻訳・読解し、「歴史」を揺るがした全9回の講義を、日本の哲学研究者たちが読み解く! 本書は、ジャック・デリダ講義録『ハイデガー──存在の問いと歴史』を共通のテクストとして、6人の執筆者(峰尾公也、加藤恵介、齋藤元紀、亀井大輔、長坂真澄、須藤訓任)が、それぞれの視点から光をあてた論考を収録。「デリダのハイデガー講義」を立体的に照らし出し、講義録に含まれた論点を浮かび上がらせ、デリダによるハイデガー読解の内実を検討しながら、その革新性を明らかにしてゆく。それは、ハイデガーとデリダとの関係を解明する研究の集成でもある。 デリダで/とともに「存在と時間」を考える……ハイデガーとデリダとの関係について考えたい読者にはもちろんのこと、デリダの講義録をこれから読みすすめる読者にも、副読本として最適。 『存在と時間』などのハイデガーの哲学から、「脱構築」はどのように生まれてきたか? デリダの「ハイデガー講義」をひもとき、解明してゆく待望のガイドブック。
  • アルシノエ二世 :ヘレニズム世界の王族女性と結婚
    -
    アルシノエ二世は、初期ヘレニズム時代における王族女性の苦難と栄光を一身に体現した人物である。アレクサンドロス大王の死後、後継将軍たちが互いに抗争しながら独自に王国を建設していった当時、王権は一夫多妻制をとりつつ明確な王位継承原則をもたなかったため、息子たちの間で継承をめぐって激烈な争いが起こった。アルシノエ二世は三度の結婚のうち二度でそうした争いの渦中に置かれ、息子を目の前で殺される。ようやく安定と栄光を手にすることになる三度目の結婚相手は、実の弟、プトレマイオス二世であった。両親を同じくする同士の結婚はギリシア世界ではタブーでありながら、二人はなぜこの特異な結婚にふみ切ったのか。著者は倫理的偏見を廃した上で、これをアルシノエ二世の生存戦略という観点から解明していく。 生前に神格化されたアルシノエの祭祀は、エジプトにおけるギリシア人とエジプト人の新しい絆となった。そしてアルシノエの地位と権力、その表象は、マケドニアおよびプトレマイオス王国の王族女性の歴史で大きな転換点となり、あのクレオパトラ七世にも影響を与えたのである。
  • ペルシア語文法ハンドブック
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 かつてユーラシアの広大な一帯で使われ、現在はイランの公用語、またアフガニスタンやタジキスタンでも話されるペルシア語。本書は文字と発音から、口語表現や敬語表現にいたるペルシア語の全体をじっくりと詳しく解説していく待望久しい本格的な文法書です。なお、各用例・各例文にはラテン文字表記も掲載しています。動詞活用形や複合動詞の一覧、イランの暦など巻末資料も充実。この一冊とともにペルシア語の世界を歩いてみませんか。
  • ビザンツ帝国の最期
    5.0
    ひとつの国の滅亡の過程をつぶさに描く 1453年5月28日、ビザンツ帝国皇帝コンスタンティノス11世は、コンスタンティノープルを包囲するオスマン・トルコ軍に対し最後の戦いに臨もうとしていた。出陣に際しての演説は、「たとえ木や石でできた者であっても涙をとめることができなかった」と言われるほど感動的なものだった。翌未明、城壁がついに破られたと悟った皇帝は、死に場所を求め敵中に突入する── 悲愴で劇的な、長らく語られてきた帝国滅亡の場面である。だが悲しいかな、この出来事を伝える記録は偽作であることが今日では判明している。では実際にはどうであったのかを、当時の他の記録を見ていきながら、その背景にあるビザンツ人の価値観や複雑な国際政治の現実を、最新の研究成果を盛り込んで分析したのが本書である。 同じキリスト教の西欧諸国は、かつて十字軍で都を征服した敵でもある。一方、かなりの期間、ビザンツ人とトルコ人は必ずしも敵同士ではなく、日常レベルでは平和に交流していた。両者のはざまで、皇族から都市民衆まで個々人が、危機に際してどういう選択をしたか、著者は包囲戦の百年前から帝国滅亡後の人々の動向まで描いていく。
  • リスボン大地震:世界を変えた巨大災害
    4.0
    1755年、首都壊滅す──その地震は歴史を変えた 1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンで発生した大地震は、大航海時代以来交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。市内各所で発生した火災は瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。死者2万5千人以上、ヨーロッパ史上最大の地震災害である。しかし、首都壊滅の危機に国家の対応は素早く、国王ジョゼ一世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、直ちに被災者の救援と食糧配布、遺体の処理、治安維持などの対策に着手し、その後新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した。同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。地震の甚大な被害は忽ち各国に伝えられ、聖職者や思想家、科学者たちにも大きな衝撃を与え、様々な議論が沸騰した。 一国の首都を直撃した大地震として関東大震災とも比較され、地震・火災・津波の複合災害として東日本大震災以降再び注目を集めるリスボン大地震の実態と復興の足取りを史料を駆使して鮮やかに描き、社会・経済・科学・思想・宗教など広範囲に及んだ影響をたどる歴史ノンフィクション。
  • 二十世紀のクラシック音楽を取り戻す:三度の戦争は音楽に何をしたか
    -
    指揮者が語る音楽史の裏側 20世紀後半に作曲されたクラシック音楽の作品で、その後世界中のオーケストラや歌劇場のレパートリーに加わった作品はごく少ない。そして、現代の音楽であるはずの「現代音楽」は、一部の愛好家を除けば人気があるとは言いがたい。この状況を著者は、「現代のクラシック音楽というものが狭い範囲に限定されたからこそ、他のジャンルの音楽が大いに栄えているのに、オーケストラやオペラハウスがいわゆる『危機的状況』にある」と見る。現在もレパートリーの中心をなしているかつての大作曲家の系譜はどこへ行ってしまったのか? 映画『風と共に去りぬ』の作曲者でウィーン楽友協会音楽院に学んだマックス・スタイナーは、かつて「仮にワーグナーが今世紀に生きていたら、映画音楽でナンバーワンの作曲家になっていたでしょう」と語った。本書は20世紀クラシック音楽の歴史を、この問題に大きな影響を与えた第一次・第二次世界大戦、冷戦とのかかわりから見ていくものである。「現代音楽」たる前衛音楽、政治的な事情で埋もれてしまった作曲家に、クラシック音楽家の系譜につらなる映画音楽やミュージカルの作曲家まで含めて語る。
  • 古代ローマ人は皇帝の夢を見たか:アルテミドロス『夢判断の書』を読む
    -
    当時の庶民の等身大の姿を生き生きと描き出す 1972年、イギリスのある作家が多数のインタビューに基づいて、「国民の3分の1までが王室に関する夢を見たことがある」という結論を導き出した。古代ローマ人は、はたして20世紀のイギリス人のように、皇帝と食事をする夢を見たのか? アルテミドロスは、2世紀末~3世紀初めのローマ帝国を生きた小アジア出身のギリシア人で、5巻からなる『夢判断の書』を著した。これは、古典古代の夢と夢判断の実態を伝える、唯一現存する書物で、フロイトやフーコーが大きな関心を寄せた。本書は、これを同時代の社会、文化、宗教に位置づけながら、当時の人々の希望と不安、またその前提となった価値観――身体と自然の捉え方、ジェンダー観、宗教、そして、首都ローマから遠く離れたギリシア文化圏の都市の住民にとって、帝国とは何だったのか――を読み解く。 古代ローマで著述をした人物としては例外的に、アルテミドロスは高度な教養を備えた知識人ではなく、ギリシアの属州エリートの平均的な教養をもち、庶民や奴隷、上流階層出身の運動選手を顧客とした。『夢判断の書』からは、概説書で描かれるものとはまったく違ったローマ帝国の姿が現れるのである。
  • アジアの脱植民地化と体制変動:民主制と独裁の歴史的起源
    -
    1巻3,762円 (税込)
    初めてのアジア通史! 王国から共和国まで、権威主義体制から自由民主主義体制まで、多様なアジアの近現代史を統一的に描くことは果たして可能なのだろうか? 本書は、「脱植民化」、とりわけ第二次世界大戦前後の1940年代から50年代に注目して、この問いに鮮やかに答えている。 というのも、この時期にできあがった権力関係の布置が現在の政治体制に重要な影響を及ぼす「起源」となっているからである。本書がとくに心血を注いだのは、脱植民地化を果たしたアジア諸国でなぜ一部の国は民主化し、他は種々の独裁体制となったのか、ということである。 鍵となるのは、植民地期末期の「制度と運動」である。まず、制度としては自治制度と王室の2つを、また運動としては武装闘争をともなう急進的なものと非武装の穏健なものの2つを、独立前後の政治変動に影響する重要な要因と位置づける。 そして、これらの制度の存否と運動の強弱の組み合わせから、4種のリーダー集団を導き出し、独立後の体制類型を解明するのだ。 これまで多様に見えたアジアの近現代史は、この方法により初めて統一的な視野に収められる。比較政治学の記念碑的著作!
  • 投票権をわれらに:選挙制度をめぐるアメリカの新たな闘い
    -
    油断したら投票権すら奪われる! 公民権運動の最高潮とされる1965年投票権法の成立によって、アメリカ南部では黒人の選挙人登録を制限することができなくなり、黒人の登録率は倍以上に増えた。それから50年以上経た今、同法で保障された権利が骨抜きにされようとしている。 本書は、1965年投票権法成立以降の半世紀を振り返り、黒人などマイノリティの投票権行使を妨げるためにあの手この手の操作が繰り返されてきた歴史を通して「民主主義国家・法治国家」アメリカの実相を描いたノンフィクションである。1965年投票権法が成立してからの選挙をめぐる動きに焦点を絞り、投票する権利をめぐる立法と司法の現場での攻防を詳しく描いたものは本書が初めて。社会運動家や一般市民、州知事、連邦議会議員、司法官僚、弁護士、法学者ら105人に及ぶインタビューを中心に、微に入り細をうがつ調査と切れ味鋭い洞察で問題点をあぶり出していく。選挙制度に「何かが起きている」と薄々感じていた人びとにその正体を明示したことでセンセーションを巻き起こした問題作。 慶應義塾大学教授・渡辺靖氏推薦! 全米批評家協会賞最終候補作。
  • 新全体主義の思想史:コロンビア大学現代中国講義
    -
    自由に発言することを望んで、中国社会科学院哲学研究所を解雇された著者は現在、米コロンビア大学で教鞭を執りながら、祖国を見詰める。 本書はそのコロンビア大学で開講されている「現代中国の九大思潮」がもとになっている。 その最大の特長は、現代中国を従来のように権威主義体制として理解せず、「新全体主義」と捉えていることである。 ただ、この強権体制を見る視点は独裁一色というような単純なものではない。 ポスト「六四」天安門の思想状況は、高度経済成長とともに、党=国家体制へと回収されていく強力なナショナリズムが醸成されたのは確かに事実である。 だが、その過程は、グローバル化や通信技術の革新の下で展開しており、一党独裁を支える政治・社会思想はかつてのように一枚岩ではない。 こうした新たな眼鏡を持つことが、一党独裁を掘り崩していく知的な土台になる。本書が「新全体主義の知識社会学」と自ら規定しているのは、この意味においてである。世界的に注目される自由の闘士による中国批判理論構築の試み。
  • ヘブライ語文法ハンドブック
    5.0
    1巻3,696円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 ヘブライ語は、3000年以上の歴史を有する非常に古い言語ですが、一度は日常の話しことばとしての機能を失い、約100年前に復活した「古くて新しい」言語です。多くの言語が絶滅の危機に瀕している現在、ヘブライ語の「復活」劇は一筋の希望として言語学者の注目を集めています。本書は、イスラエルの公用語である現代ヘブライ語の待望久しい文法書です。文字と発音から語順や構成要素にいたるまで、そのしくみを日本語や英語との比較から詳しく解説していきます。時代による変遷やさまざまなヴァリエーションにも言及。巻末変化表、文法索引付。
  • アラビア語文法ハンドブック
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 日本ではじめての本格的なアラビア語の文法書。本書は、現代アラビア語の理解に必要な基本文法はもちろん、さらに上のレベルを目指す学習者にとって大いに役に立つ一冊です。懇切丁寧な説明で、複雑な活用も見やすく配置し、用例も多数掲載しています。アラビア語がひびきわたるこの世界を、本書をコンパスにゆっくりと楽しみながら歩いてください。読むたびに喜びに満たされます。
  • トルコ語文法ハンドブック
    -
    1巻3,696円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 文字と発音の基礎から、こみ入った複雑な表現のしくみまでわかる本格的な文法書。ひとつの単語でも多くのことが表せるトルコ語の特徴を活かしながら、名詞文から動詞文、そして動詞文から再び名詞文に戻るという流れで解説していきます。日本語とほとんど同じ語順のトルコ語の世界をこの本を携えて歩いてみませんか。入門者にも既習者にも大いに役立つ一冊。全40章。巻末には参考文献、索引付き。
  • 震災復興の地域社会学:大熊町の一〇年
    -
    1巻3,663円 (税込)
    〈小文字の復興〉という視座 2011年夏、ふとしたことで、会津若松市にある大熊町被災者が寄り集まる仮設住宅を訪ねることになった。それから隔週で通うようになって9年―。 その間、あるときは被災者と寝食をともにしながら、またあるときは被災者にとって慣れない雪かきや雪下ろしを手伝いながら、被災者の発する言葉に耳を傾けてきた。 途中で、家族が離散するのにいくつも出会ったし、急に逝ってしまった人を野辺送りすることもあった。出会いと、その何倍もの別れがあった。 被災地の外側では、「忘却」に象徴的にみられるような社会的暴力状況が深くおぞましく進行している。 いつごろからだっただろうか。被災者に寄り添うかたちで、「大文字の復興」ではなく「小文字の復興」を言うことに、著者はある種の空しさをおぼえるようになった。 「小文字の復興」という言葉が被災者に届いていないことを、深く知らされたからだという。 被災者それぞれの「生」に寄り添うということはいかにして可能なのか? 希望の「底」で問い続けた震災10年目の復興論。
  • ニューエクスプレスプラス ロマ(ジプシー)語
    -
    1巻3,564円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 あの民族の世界を言葉から覗いてみよう かつて「ジプシー」と呼ばれていた民族、ロマ。物語などで聞いたことはあっても、実際にロマと出会ったことのある人は少ないでしょう。インド語群に属するロマの言葉はヨーロッパ各地へ渡る過程で多くの外来語を取り入れ、様々な方言が存在します。ロマと生活を長く共にした著者の手になる本書は、ロマの言語を体系的に学ぶための「標準ロマニ語」を扱っています。随所でロマの文化も紹介。音声はアプリで聴けます。意外と知らない民族の世界、言葉から覗いてみませんか。
  • ポスト新自由主義と「国家」の再生:左派が主権を取り戻すとき
    -
    Make the Left Great Again! 左派の退潮が言われて久しい。 世界中が新自由主義に覆われ、格差や貧困がクローズアップされたにもかかわらず、左派への支持は広がらなかった。いや、むしろ左派への風当たりはより強くなったと言えるかもしれない。一方、右派や極右はますます支持基盤を拡大しているように見える。 左派退潮の分岐点はどこにあったのか? 左派を再興することは果たして可能なのか? 「左派を再び偉大に」することを狙う本書は、この問いに正面から答える。 1970年代、先進資本主義国では資本の収益性が劇的に低下していた。危機感を抱いた支配層は、福祉国家下の「階級的妥協」を棚上げして露骨な階級闘争を仕掛ける。 新自由主義的な再構築で起こったことは、決して国家の「衰退」や「空洞化」ではなく、〈脱民主化〉による国家主権の権威主義化だったのだ。 「国家の死」を寿いだ左派はここを大きく見誤ってしまった。そして、40年にわたり支配層から仕掛けられた階級闘争によって周縁化され、収奪された人々は極右運動に引き寄せられていった……。ポスト新自由主義世界を見通す左派再興の処方箋。
  • 井上哲次郎と「国体」の光芒:官学の覇権と〈反官〉アカデミズム
    5.0
    学者たちの戦争、そして帝国の崩壊 加藤弘之が創り上げ、井上哲次郎に継承された官学アカデミズムは、煩悶青年が社会問題化した日露戦後、生命主義に傾倒していく。 しかし、国体論に「無意識」を取り入れる試みは、東京帝大の心理学者、福来友吉の念写実験が巻き起こした社会的混乱によって絶たれ、官学アカデミズムは歴史へと回帰することになる。 他方、大正デモクラシーの潮流のなかで国体を語る裾野は広がっていく。 早稲田の漢学を中心とした私学勢は、南北朝正閏問題や宮中某重大事件、大東文化学院の運営をめぐって、官学アカデミズムが彫琢した国体論に揺さぶりをかける。 とりわけ、大東文化学院の覇権を争う戦いは熾烈をきわめた。漢学教育の再興を目指す早稲田と、それを封じようとする官学アカデミズムの争いは、「暴力専門家」も動員しながら、井上の不敬事件やテロをも誘発していく。 あとの時代から見ると、「国体」と聞くだけで、狂信的な雰囲気が漂うが、そこには「国体論的公共性」とも呼ばれる広範な討議空間もあった。暴力に覆われる前の思想空間を辿り直す稀有な試み。
  • ニューエクスプレスプラス タタール語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本語でタタール語を学ぶ扉は開かれた 世界中に散らばるタタール人によって話されるタタール語ですが、なかでもロシア中西部にある「タタールスタン共和国」では、タタール語がロシア語とならぶ「国家語」に定められています。タタール人が必ずしもタタール語を話すわけではありませんが、たとえば、あのフィギュアスケートのザギトワ選手は祖母とタタール語で話すそうです。また、日本にはロシア革命から逃れてきたタタール人が多く暮らした歴史があります。タタール人の「トゥガン・テル(祖なることば)」を、いまこそ学んでみませんか。★音声無料ダウンロード
  • 紅い帝国の論理:新全体主義に隠されたもの
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    権威主義をもしのぐ、弱肉強食のためのロジック。 〈プーチンの「ロシア再構築」、そして習近平の「中国の夢」などはネーション・ステートの利益を貪り、それらにつづく大国のインド、日本、トルコおよび西欧各国も程度の違いはあるものの、それぞれの叢林〔弱肉強食のジャングル〕の道に回帰しつつある。〉(本書「第七章 新全体主義、新冷戦、新たなる叢林──二十一世紀の中国と世界」より) 専制独裁国家によって世界は紛糾することはなはだしいが、紅い帝国=習近平統治下の中国もそのうちのひとつだ。そしてそこに隠されているものとは、権威主義をもしのぐ、弱肉強食のためのロジックだ。 本書は「紅い帝国」の台頭に警鐘を鳴らし、南シナ海問題、強圧的な外交、中国的な特色に満ちた政治経済、新全体主義、新冷戦、新たなる叢林(=ジャングル、弱肉強食)の時代について縦横無尽に切りこむ。著者の意図は、中国を民主国家に翻すことにほかならない。 中国の「新全体主義」は世界にいかなる影響を及ぼすのか? 『新全体主義の思想史──コロンビア大学現代中国講義』の著者による、待望の新刊。米国、ロシア、東アジアを展望した、新冷戦時代の国際政治経済論。
  • ニューエクスプレスプラス アイスランド語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ 「なんとなく不思議に興味をひかれてしまう言語だ」と、ある著名な作家も評した北欧の小国アイスランドの言葉です。近代に至るまで外国語の影響を受けることが少なく、バイキングの時代の古い形を保っているとされ、サガやエッダなどの英雄叙事詩や北欧神話に通じています。名詞や動詞の変化が多いなどの特徴を持つのですが、外来語はそのまま入れるのではなく、語形変化に合うように元々のアイスランド語の要素に置き換えるなどして取り入れています。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 冷たい戦争から熱い平和へ(上):プーチンとオバマ、トランプの米露外交
    4.5
    オバマ政権の駐露米大使が明かす緊迫の外交 バラク・オバマとジョー・バイデンの下で、米露関係を対立から協調へと「リセット」する政策を立案し、「ロシアの民主化と西側への統合」を推進した政治学者が回想する、外交の舞台裏とは? ヒラリー・クリントンら米政界の重鎮たちが推薦する、NYタイムズ・ベストセラー! 著者はスタンフォード大学政治学教授。オバマ政権の対露外交を主導し、駐露大使になってからはSNSを駆使して、ロシアの一般市民にロシア語で直接語りかける異色の大使だった。しかし、国内メディアを支配して情報を統制するウラジーミル・プーチンは激怒し、新任大使を「好ましからざる人物」として、ロシアへの再入国を拒否したのだった。 本書には、一人の学者、一人の外交官、そして家庭人が、ロシアや国際情勢の荒波にもまれながら、現実に対処してゆく姿と心理が描かれている。著者は客観的に自らとロシアを観察しており、国際情勢に影響力を行使するプーチンの内面を探る手がかりにも満ちている。 「エピローグ」では、ドナルド・トランプ周辺とロシア、プーチンとの「怪しい関係」に章を割いている。ロシアが介入した2016年大統領選挙の真相にも迫り、興味深い。
  • 「無伴奏チェロ組曲」を求めて:バッハ、カザルス、そして現代
    -
    名曲と偉大な音楽家へのオマージュ 2000年秋のある晩のこと。それまで新聞でポピュラー音楽の評論家を務めていた著者は、ふとした思いつきで行ってみたクラシック音楽のリサイタルで、はじめて耳にするバッハ『無伴奏チェロ組曲』の、地味ながら豊かな、素朴なようで洗練された音楽にすっかり魅せられてしまう。たった1台の楽器が4本の弦で奏でる、この曲の何がこれほどまでに人を惹きつけるのか? この曲はどういう背景から生まれ、どのような道をたどって、現代のわれわれのもとへやってきたのだろう? 本書は実際の『チェロ組曲』の構成を模して、「第一組曲」から「第六組曲」までの6章がそれぞれ「プレリュード」「サラバンド」などと題された6つのパートに分かれている。それぞれの「組曲」で著者は、作曲者バッハと曲を世に広めた功労者カザルスの生涯を語りつつ、ミッシャ・マイスキーやピーター・ウィスペルウェイらチェリストたちのインタビューもまじえて、この楽曲のなりたちや受容について考察する。 大学で史学を専攻し、ジャーナリストとして音楽に接したのち、現在はドキュメンタリー番組に携わる著者ならではの、音楽と『無伴奏チェロ組曲』への愛あふれる1冊。
  • ローマ帝国の崩壊:文明が終わるということ
    3.5
    史学・考古学双方の研究を駆使して描く実態 ローマ帝国は衰亡したのか、独自の価値をもつ「古代末期」という新しいポジティヴな時代と捉えなおすべきなのか。本書は長年のこの議論をわかりやすく解説しつつ、「ゲルマン民族が侵入してきたとき、経済や社会に何が起き、人びとの暮らしはどう変化したのか」を、文献史料や陶器・家畜の骨・建築物(の跡)などを使い、史学・考古学双方の研究を駆使して描き出している。 ローマ帝国はさまざまな方法で経済的発展を促進し、税収による莫大な金銭を再分配した。ライン川とドナウ川に沿って駐屯していた職業的な軍が五世紀に崩壊すると、給料を得ていた何万もの兵士たちの購買力も失われ、彼らの装備を製作していたイタリア北部の工場も姿を消した。また皇帝たちは自身のために、交易を円滑にするインフラを維持したが、実際には貨幣は徴税官よりも商人や一般市民の手に渡るほうがはるかに多く、道路を旅するのも、軍より荷馬車と駄獣のほうがずっと頻繁だった。帝国の終焉とともに、これらへの設備投資は劇的に減少した。結果、地域の農業・工業の専門分化や作物・工芸品の換金が困難になると、住民はより生産性の低いシステムへの回帰を強いられ、人口は減少していく。 ローマ帝国の洗練された生産・流通システムがひとたび崩壊してしまうと、地域によっては先史時代の水準にまで後退し、回復には数世紀を要したという事実は、かなり衝撃的である。英国ペンクラブのヘッセル=ティルトマン歴史賞受賞。
  • ベスト・オブ・イヨネスコ 授業/犀
    5.0
    〈この世界の「人間的条件の不条理性にたいする形而上的な苦悩の意味」の主題を、演劇固有の表現形式、つまり具体的な物、身体的な営為による視覚的イメージで提示しようとする試みに注目するマーチン・エスリンによって「不条理演劇」という呼称で括られた。この中で、より成功したのが、ベケットとイヨネスコの二人の作家だったと言えるだろう。前者は悲劇的に、後者は喜劇的に[…]その後の《新しい演劇》の作家たちに大きな影響を与えていった〉(本書「解説」より)。 女生徒に言語学を講じていた教授が意味不明すぎるほど錯乱してゆく「授業」、全体主義の滑稽さと恐怖を描きだす「犀」──ねじれる世界に笑いをとどろかす表題作のほか、不条理劇の出発点にしてパスティーシュの原点でもある「禿の女歌手」、前衛劇のモダン・クラシックである「椅子」、ロラン・バルトやブレヒトを皮肉る「アルマ即興」、僅かな言語に荒唐無稽なイメージあふれる「歩行訓練」の6作品を収録。 ベケットとともに不条理演劇の双璧をなすイヨネスコの、コミカルでグロテスクな名作集!
  • 銃弾とアヘン :「六四天安門」生と死の記憶
    4.5
    1989年の天安門事件は、現在の中国の「姿」を決定づけ、世界史に刻まれた大事件だったにもかかわらず、殺害された人びとの名前や人数のほか、北京のどこで、どのようにして「鎮圧」が行われたのか、なぜこのような悲劇に至ったのかなど、その詳細は未だ明らかになっていない。 本書は、「六四天安門」にかかわって懲役刑を受けた一般市民へのインタビューを中心に、著者自身のエッセイも加えた証言文集である。現場にいた者にしかわからない、細部にわたる生々しい目撃証言が次々に飛び出すばかりではなく、取材対象者たちがその後の人生において経験した差別や官権の横暴、刑務所内部の実態、また人権がないがしろにされる社会の恐ろしさなどが白日の下にさらされる。 事件直後はもちろん習近平体制下の今に至るまで、中国社会においてこうした取材や聞き書きをする(またはそれに応じる)こと自体きわめて危険な行為であり、実際、著者はその過程で中国脱出を余儀なくされている。聞くのも、話すのも、書くのも、まさに命懸けの、門外不出のドキュメント! 序文=イアン・ジョンソン(ジャーナリスト)
  • フィンランド語文法ハンドブック
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 「日本から一番近いヨーロッパ」で話されているフィンランド語には、26種類もある格変化や母音の相性をはじめ、面白いしくみがいっぱいあります。たとえば、自動車と牛乳を表わすことばは別のグループに分類されます。でも、自動車を何台も持っているときには、牛乳と同じグループと見なされるのです。なぜでしょうか。英語だけではわからないこんなに魅力的なフィンランド語の世界を、本書をガイドブックにじっくりと歩いてみませんか。待望久しい本格的な文法書。 音声無料ダウンロード。
  • 星の文化史事典
    3.0
    星好きは大変である。観測は気象条件に大きく左右される。春先はまだ朝晩は寒いし、曇りや雨なら天体は厚い雲の彼方で何も見えない……。でも、天空の味わい方はそれだけではない。天文学がある。ここでは「てんぶんがく」と読んでみよう。世界各地の星に関わる伝承や物語のこと。たとえば、春の夜空に輝く「春の大三角」のひとつ、うしかい座にはどのような話が伝わっているのか。ギリシアで誕生した最も古い星座のひとつで、「鋤や牛を使って畑を耕す人」の意味をもつという。また、葡萄の収穫時期を知るのに用いられたという言い伝えも残されている。日本では、うしかい座の主星アルクトゥールスを、麦が実る頃に見えるので麦星、鯛がよくとれる時期に見えるので魚島星などとも呼ぶ。ひとつの星や星座にもさまざまな云われがあり、地域によって何が大切にされているかがわかる。いわゆる八十八星座はあくまでも西洋の想像力の産物。日本だけでなく、インドや中国、南北アメリカなど、天空への見方は一様ではない。星や星座のほか、月や太陽、流れ星や天の川に対して、私たち人類はどんな物語を紡いできたのか。ジャンルの垣根を越えた約1700項目収録。図版多数掲載。索引も充実。雨の日も心おきなく星の世界を満喫できる一冊。
  • ルネサンスの演出家 ヴァザーリ
    -
    生誕500年記念出版。本書は『列伝』の作者ヴァザーリの建築家、都市設計家、庭園設計家、祝祭演出家としての多方面での活躍を捉えることによって、彼の真の姿を伝えるものである。

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  • ニューエクスプレスプラス カタルーニャ語
    -
    1巻3,465円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 バルセロナの心に触れたいあなたへ スペインの北東に位置するカタルーニャ自治州。画家のダリやミロ、音楽家のグラナドスやカザルスを輩出し、州都バルセロナはガウディの建築やバルサのサッカーなどの魅力にあふれています。そんなカタルーニャの公用語のひとつがカタルーニャ語。話者人口は600万人ほどで、スペイン語やフランス語とも似ているロマンス諸語のひとつです。バルセロナ大学に留学する主人公といっしょに、会話と文法の両面からカタルーニャ語を学んでみませんか。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス エジプトアラビア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ アラビア語は中東から北アフリカの広域で用いられています。コーランが書かれた正則(標準)アラビア語「アル・フスハー」が、書きことばのスタンダードであることは言うまでもありません。しかし、これだけ広い地域の各地に目を転じてみれば、ふだんの生活で話されるのは民衆の話しことば。発音にいくつかの違いがあり、少なくない基本的な単語も異なり、格変化や時制など文法にも違いがあります。エジプトの街中に、話しことばを携えて出ていきませんか。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス バスク語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ スペインとフランスにまたがるバスク地方。そこで80万人が話すバスク語は、他のどんな言語とも似ていない系統不明の言語で、能格という珍しい格があったり、助動詞の活用に目的語も関わったり、慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。そのせいか「悪魔も習得を諦めた言語」なんて言われますが、文字はだいたいローマ字読み、文法も例外は少なく、実は勉強が進むとどんどん楽になっていきます。アプリで音声も聴けるこの本で始めましょう。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス ブルガリア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 東方正教会、オスマン帝国など、さまざまな国と言語に囲まれたブルガリア。ロシア語に使われるキリル文字を生んだことでも知られています。豊かな文化を育んだブルガリアのことばをはじめてみませんか。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。挨拶やスピーチで使える表現も収録。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 失われた〈重商主義〉の探求:ジェイムズ・ステュアートの商業・利潤・貨幣
    -
    1巻3,366円 (税込)
    なぜ忘却されねばならなかったのか? 経済学の歴史は、自由主義と重商主義の争いの歴史であるとも言われる(ロドリック『貿易戦争の政治経済学』)。資本主義の機能不全が指摘される昨今、重商主義への関心はこれまで以上に高まっている。 この重商主義を体系的に総括したとされるのが、本書の主人公ジェイムズ・ステュアート(1713-1780)である。その『経済学原理』(1767年)を丹念に読み解きながら、重商主義を捉え直すのが本書である。 ステュアート『経済学原理』は、資本主義が危機に陥るたび何度も読み直されてきた。19世紀にはカール・マルクスが『剰余価値学説史』で批判的に捉え直し、スミスの登場以来、忘却されたステュアートをよみがえらせている。 20世紀になると、ケインズがステュアートを召喚している。1930年代の危機のさなか、有名な「有効需要」の原理や保護貿易論がステュアートとともに提唱されていくことになる。 危機のたびに呼び出されてきたステュアートだが、マルクスはじめその読みは果たして正しかったのか? 本書は「商業」の構造を再検討しながら、利潤論と貨幣論を読み直していく。経済原論の新地平を開拓した一冊。
  • トクヴィルと明治思想史:〈デモクラシー〉の発見と忘却
    5.0
    「文明化」を夢見た明治日本 文明化を追い求めた明治日本は、翻訳書が果たした役割がいまと比較にならないぐらい大きかった。そして数多くの翻訳書が刊行されるなかで、新たな概念もたくさん生まれた。 本書では、アレクシ・ド・トクヴィルと『アメリカのデモクラシー』に焦点を当てて、その営為を明らかにする試みである。 トクヴィルによって見出された「諸条件の平等」としてのデモクラシーについて、あるいはその帰結である「個人主義」や「多数の圧制」について、明治の日本人はいかに理解したのか? またいかに誤解したのか? 本書は徹底的に解明している。 その際、目を向けるのは、福澤諭吉ら明治思想界のスターだけでなく、むしろ時代の脇役たちである。 時代のあり方や将来を真剣に考えていたにもかかわらず、英傑に遮られ、注目されなかった人々。実は、彼らの西洋受容こそがその時代の典型であり、そこからしか時代の全体像は描けないのだ。 自由民権運動に邁進した肥塚龍、社会における宗教の意味を考えた中村敬宇や明治キリスト教界、国会開設の意味を自治論からとらえ直した植木枝盛や星亨、高田早苗……トクヴィルを軸に描く、新たな明治思想史へ。
  • アメリカ副大統領:権力への階段
    5.0
    「ナンバー2」から見たアメリカ政治の中枢 アイゼンハワー政権のリチャード・ニクソンからトランプ政権のマイク・ペンスに至るまで、13人におよぶアメリカ副大統領の生身の姿を描いたノンフィクションである。ジャーナリストとして長年ホワイトハウスを取材してきた著者は、存命の副大統領経験者全員やその家族、側近など膨大な数の関係者へのインタビューや資料に基づいて、副大統領職という、これまで見過ごされがちだったが実はきわめて重要なポストの実態を描き出す。とくに経験者による在任中の回想からは、副大統領というポジションの難しさや大統領との関係が生々しく伝わるとともに、アメリカ政治に及ぼした影響の大きさが浮き彫りになる。副大統領公邸である海軍天文台や、「セカンドレディ」すなわち副大統領夫人について取り上げているのも興味深い。 副大統領の視点からアメリカ政治の中枢で繰り広げられる人間関係―ときに熾烈な権力闘争であり、ときに相互協力であり、稀にではあるが友情も育まれる―を解き明かすことで、各政権の意外な一面や政治の舞台裏が垣間見えるだけでなく、現在および今後のアメリカ政治を理解する際の新たな視座を提供する。
  • 三島の子どもたち:三島由紀夫の「革命」と日本の戦後演劇
    -
    劇作におけるフォルマリストの系譜 歌舞伎を「旧劇」とした新劇は、1960年代後半~70年代前半にアングラ演劇によって乗り越えられたのだ──といった歴史観が、今も大勢を占めている。新劇とアングラには巷間言われるほど断絶はなく、明治期以来の非伝統的な演劇はみな小劇場というカテゴリで括られうる──といった見方もあるが、それはまだ少数派だ。本書は、この二つの史観を包含する視座を提示し、その鍵は三島由紀夫であると主張する。 アングラ以後の世代の劇作家たちを「三島の子どもたち」と見なそう。アングラとその後の小劇場は、三島の開き直りの上に開花した運動だ。原型的モチーフを織りなおす三島の「意匠」は井上ひさしと寺山修司を後押しし、「本物/贋物の対立」という三島のテーマは、別役実、つかこうへい、野田秀樹や平田オリザまでもが駆使するツールとなった。 三島由紀夫の「遺伝子」は、演劇においてどのように継承されたか? 岸田國士や福田恆存を皮切りに、アングラからメタシアター、アンドロイド演劇まで、50年間の劇作家たちによる「様々なる趣向」を検証! 松尾スズキやケラリーノ・サンドロヴィッチ、岡田利規や藤田貴大ら現代演劇の旗手も視野に収めた、正統なる現代演劇史。
  • ニューエクスプレスプラス 上海語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ あたかも近未来都市のような、超モダンなビルが立ち並ぶ浦東、レトロな洋館が続く外灘、大勢の人でにぎわう南京路。上海にはいくつもの顔があり、北京とはまるで違った雰囲気が味わえます。標準中国語(普通話)も通じますが、上海人同士のコミュニケーションはやっぱり上海語。発音は標準中国語とまったく異なり、5つの声調と連続する音の変調によって独特なメロディとなります。現地に行かない限りなかなか聴くことのできないその響きを、アプリで堪能してください。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス ウクライナ語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ キエフ大公国以来の豊かな歴史を背景に持ち、ヨーロッパの「パン籠」と言われた穀倉地帯ウクライナの言語。ロシア語と共通の祖語を持ち、キリル文字を使用。ロシア語や他のスラヴ語を学んだことがあれば、その違いを比較しながら学ぶのも醍醐味でしょう。一方で、本書は必ずしも近隣言語の知識がなくても学べるように構成されています。未知のウクライナやウクライナ語の世界に触れてみませんか。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス アイルランド語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ ケルトの伝説はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。実はアイルランド語はヨーロッパのなかで、ギリシア語、ラテン語に次いで古くからの記録や文学が残る、魅力的なことばです。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。スピーチやメッセージカードに使える表現も収録。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス リトアニア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ バルト海沿岸にある北海道ほどの大きさの美しい国、リトアニア。4年に一度の「歌と踊りの祭典」は、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。この国で話されるリトアニア語は、現代のヨーロッパの諸言語の中でも最も古風な言語とされ、印欧祖語に最も近い形をした現代語とも言われます。リトアニアへ行きたい方も、言語学的に興味のある方も、会話と文法が一冊で学べるこの本でリトアニア語に触れてみませんか。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス ウルドゥー語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ ウルドゥー語は、パキスタンの国語でありインドの公用語の一つ。ヒンディー語とは兄弟言語とも言われ文法は同一ながら、アラビア文字で表記され、イスラム教を背景とする語彙が多いのが大きな違いです。インド、パキスタンという多言語がひしめく社会の中で「共通語」の役割を果たすこともある南アジアの重要言語と位置付けられます。本書ではアラビア文字に加えてローマ字表記を併用し、学習に配慮しています。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス 現代ヘブライ語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ 古典ヘブライ語から復活を遂げた現代ヘブライ語は、イスラエルの公用語で、アラビア語と同じセム語族。ユダヤ文化の「いま」、そして中東地域の言語文化を知るのに欠かせないことばです。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。スピーチやメッセージカードに使える表現も収録。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス ラオス語
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本の本州ほどの面積に大河メコンを抱くラオス。古い寺院の点在する首都ビエンチャン、世界遺産の古都ルアンパバーンなど、観光で訪れる人も多くなりました。そんな憩いの国で話されるラオス語は、やわらかな丸みを帯びたラオス文字で書かれ、声調を持つ言葉です。この本は文字と発音から始め、会話文にもとづいて文法も学べます。最後は短めの読みものにも挑戦。ビアラオを飲みながらラオス語で語り合いませんか。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス 古典ヘブライ語
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人類の遺産である旧約聖書に用いられた古典ヘブライ語を、文字から学びます。なんと例文はすべて旧約聖書から引用しているので、原典を味わう第一歩が踏み出せます。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。よく知られた聖書の文句を集めた聖書文言集、誓いの表現なども収録。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ヒンディー語文法ハンドブック
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 ヒンディー語はインドの憲法で定められた連邦公用語。南アジアの主要な言語であり、近年ますます重要度が増しています。本書は、ヒンディー語文法の基本となる形式と規則を整理し解説を示したうえで、例文を示すという構成です。例文は各文法事項に合わせて作ったものではなく、書籍・雑誌・Webなどの記事さらには映画の台詞などインドで使われている多様な実例から選び抜かれたものです。ヒンディー語の豊かな世界への確かな道案内となるでしょう。
  • ヒトラー爆殺未遂事件1939:「イデオロギーなき」暗殺者ゲオルク・エルザー
    3.7
    英雄か? テロか? 質朴な家具職人の物語 「戦争を回避したかった」と供述した男は、質朴な家具職人で、単独犯だった。ナチの犯罪性を見抜き、世界の破局を確信していた暗殺者の生涯、事件の深層に迫り、歴史的評価を示す。 1939年11月8日、21時20分、ミュンヘンのビアホール「ビュルガーブロイケラー」で時限爆弾が爆発し、8名死亡、63名負傷した。折しもヒトラーがミュンヘン一揆の記念演説を例年よりも早く終え、会場を去ったわずか13分後だった。同日、スイス国境で男が逮捕された。彼こそヒトラー爆殺未遂犯、36歳のエルザーだった。 エルザーは、1944年ヒトラー爆殺に失敗した国防軍将校シュタウフェンベルクと異なり、貴族でもエリートでもなかった。犯行を自白したが、共産党組織に名前だけ属していただけの「イデオロギーなき」人物で、その背後にはいかなる組織、共犯者、支援者もなかった。しかしナチの目論見は、エルザーを「英国スパイ」としてプロパガンダに利用し、戦後に見世物裁判を開くことだった。 本書は、独のノンフィクション作家が、エルザーの人格と行動を、丹念な取材と最新研究に基づいて見事に再現し、近年の歴史的位置づけにも言及する。
  • ニューエクスプレスプラス 現代ギリシア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ 言語名で「現代」とは、「古典語」の存在感が大きく、古典語から大幅に変化したということを意味します。ギリシア語は、紀元前4世紀の古典語からヘレニズム時代の共通語化されたギリシア語(コイネー)を経て、カサレヴサといわれる文語へと変遷を重ねました。一方で、庶民の話す口語はディモティキといわれ、現代まで文語と口語が併存してきました。今はディモティキがギリシャ共和国の正式な公用語。本書ではこのディモティキを中心に学びます。★音声アプリ無料ダウンロード
  • インド外交の流儀:先行き不透明な世界に向けた戦略
    3.0
    現職のインド外相がその「手の内」を明かす 本書は、台頭著しいインドがどのような外交を展開していくのか、そして変貌する世界の中でどのような役割を果たしていくのかについての見取図を示したものである。著者は、インドの現職外務大臣(2019年の第二次モディ政権発足時に就任)。もともと外交官としてインド外務省で駐米大使や駐中国大使をはじめ要職を歴任し、事務方トップの外務次官を務めた。 本書では、多極化する世界の中で国益を冷徹に追求するとともに国際的地位の向上をめざし、国際社会との調和を図っていくというインド外交の要諦が明確に論じられている。ときに叙事詩『マハーバーラタ』を援用して、友好と競争が併存する国との接し方や二国間関係のパワーバランスを変えるための外部要因の活用法など含蓄に富んだ外交論を展開する一方、日米豪が推進する「インド太平洋構想」に対していかに関わっていくかについても別途一章を立てて詳述する。「インドならではの手法」とは何か――現代インドの政治・外交に内在する論理・思考を理解するための必読書だ。 齋木昭隆氏(元外務事務次官・日印協会理事長)推薦!「インド外交の過去・現在・未来がこの一冊で的確に示されている」
  • ニューエクスプレスプラス  シンハラ語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ 紅茶や宝石にアーユルヴェーダ、そして8つの世界遺産で有名な「インド洋の真珠」スリランカ。北海道の8割くらいの大きさの国土に2つある公用語の主要なものが、印欧語族のシンハラ語。絵のようなまん丸の文字が特徴的です。かつて貝葉といわれる葉っぱに穴が空かないように鉄筆で文字をしるした名残で、独特の優美な字体になったそうです。日本語の助詞にもたとえられる多彩な格変化が修得のカギになります。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス モンゴル語
    -
    1巻3,267円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版がパワーアップ 羊の群れが草を食む大草原に、発展する首都ウランバートル。さまざまな面を見せるモンゴルは、大相撲のモンゴル人力士の活躍などを通して、日本にとってより身近な国になってきました。モンゴル語はアルタイ諸語に属し、語順を始め文法の構造が日本語によく似ていて、日本人には比較的学びやすい言語です。本書はキリル文字と発音の説明から始めて、会話とともに文法を学んでいきます。最後は短い読みものにも挑戦。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス サンスクリット語
    -
    1巻3,168円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 南アジアの古典語の画期的な入門書 日本では古来「梵語」と呼ばれ、仏教経典の原語として知られるサンスクリット語が、ニューエクスプレスプラスに初登場。紀元前に成立したパーニニ文法学の規範を遵守しつつ、現代においても日常でも用いられている古典語という面も持ちます。読み・書き、聞き、話す語学としても、もちろん古典文献研究を志す方にもまずはこの1冊から。インドのサンスクリット学者によって現地で収録された音源は貴重。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 戦争記念碑は物語る:第二次世界大戦の記憶に囚われて
    5.0
    「歴史認識」はなぜ他国と食い違うのか? 「第二次世界大戦の記念碑」といえば、日本では広島の原爆ドームや長崎の平和祈念像、東京の靖国神社、海外では中国の南京大虐殺記念館、ポーランドのアウシュヴィッツ博物館が有名だ。戦争記念碑は犠牲者や戦禍を追悼するもの、英雄やレジスタンス、犯罪を記憶に留めるもの、復興や平和を唱えるものとして、集合的記憶を形成し、継承する目的を有する。しかし近年、韓国の慰安婦像のように、論争を巻き起こしている戦争記念碑も増えている。本書は、英国の歴史家が世界の25の戦争記念碑を訪ね、「英雄」「犠牲者」「モンスター」「破壊」「再生」に分類し、歴史の表象とその変化や議論を考察する。 これらの記念碑は、地方レベルでは過去のトラウマを追悼し、国家レベルでは共同体の価値観に誇りを与え、国際的なレベルでは、戦争の悲劇から解放された未来への希望を鼓舞してくれる神話的枠組みを提供している。そして注目すべきは、本書で取り上げた9つが2000年代から新しく建設、またはリニューアルされたものなのだ。第二次世界大戦の記憶が現在に及ぼす影響の大きさと、そこから逃れられない「歴史の囚人」たちの姿が活写される。
  • 歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品
    4.5
    1巻3,168円 (税込)
    皇女にして、西洋古代・中世でただひとりの女性歴史家 歴史学は何のためにあるのだろうか? 私たちがより良い未来を生きるためである。しかし辛い日々を送る者にとって、歴史学が生きる糧となることもあった。歴史学が男の学問だった西洋古代・中世にあって、アンナ・コムネナは、不幸な我が身への慰めを歴史学に見いだした。ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を描いた『アレクシアス』は、こうして誕生した。 権威ある「緋色の生まれ」としての誇り。皇帝である父への敬愛。皇妃となっていたはずの人生。ヨハネス二世となる弟との確執。アンナは、政治や戦争といった公のことがらについて真実を伝えるのが歴史家の務めであることを承知のうえで、自身の人生や溢れくる思いまでも歴史書に盛り込んだ。 本書は、第一部でアンナ・コムネナの数奇な生涯を語り、第二部では、ビザンツ歴史文学の最高傑作と言われる一方で批判も受けてきた『アレクシアス』を、ビザンツの歴史学や歴史書の性格、ビザンツ知識人にとって歴史学とは何だったのかという文脈から分析する。そして、長らく指摘されてきた年代の誤りの謎や、世界の翻訳者たちが苦心してきた不可解な記述の謎をも考察していく。
  • 新・資本主義論:「見捨てない社会」を取り戻すために
    4.5
    分断と対立を克服するための処方箋 各国の社会は今、ナショナリズムやマルクス主義といった古びたイデオロギーやポピュリズムに流される低所得・低学歴層と、グローバル化する世界で利益を追求して豊かな暮らしを謳歌する高学歴エリート層とに分裂し、対立している―。そんな溝を埋め、資本主義をふたたび多くの人びとに豊かさと希望をもたらすものへと軌道修正していくにはどうすればよいのか。著者は、資本主義が本来もっていた責任感と義務感に基づく「助け合いの精神」の復興を説く。そして、そのためにはデジタル化の進展で希薄になり、価値観の相異から内部に対立さえ抱えるようになった国家や地域社会といったコミュニティの住人としての、アイデンティティーの回復が重要だと指摘する。 開発経済学の分野を牽引してきた第一人者ならではの深い洞察をベースに、かつて鉄鋼業で栄えながら深刻な状況に陥って回復の途上にある英国シェフィールドの労働者の家庭に育った個人的な体験も交じえながら、資本主義の倫理的・道徳的側面に着想を得た方策の数々を平易な言葉で述べる。グローバル社会を生きるあらゆる世代に向けて、未来への指針を具体的に提示した野心作。
  • ビリオネア・インド:大富豪が支配する社会の光と影
    4.0
    現代インド社会の実像を的確にとらえた力作 本書は、経済自由化以降の急激な成長によって誕生した超富裕層の実態に深く切り込み、インドの経済・政治・社会の諸相を、ときに魅力的に、ときに生々しく描き出したノンフィクションである。380億ドルという途方もない個人資産を持つインド最大の富豪ムケーシュ・アンバニをはじめ、ビジネスのさまざまな分野で成功を収めた億万長者が何人も登場するが、単なる「成金列伝」ではない。政官財の癒着、蔓延する縁故主義、地方政界やスポーツ界を蝕む汚職体質など、サクセスストーリーの裏に見え隠れする負の側面から、インド社会に根深く残る腐敗の構造をあぶり出していく。 『フィナンシャル・タイムズ』の記者だった著者は、19世紀後半のアメリカの「金ぴか時代」に現在のインドを重ね合わせたうえで、アメリカではその後、政治の透明性向上や中産階級の拡大といった変化がもたらされたが、インドも近い将来、そうした「革新主義時代」に移行することができるだろうかと問う。 グローバル経済の功罪、新興国の経済発展と政治、貧富の格差といった現代世界が直面するさまざまな問題を考えるうえで示唆に富み、読み応え十分の一冊。
  • 無の国の門:引き裂かれた祖国シリアへの旅
    4.0
    内戦下の祖国シリアに一時帰還した作家が、絶え間ない爆撃の下、反体制派の人々の間で暮らしながら、それぞれの苦悩と挫折に耳を傾けた1年間の記録。語り伝えることを通じて、内戦の過酷な現実と向き合う、世界16か国で翻訳された話題作。 アサド大統領と同じくイスラーム教アラウィー派に属する一族の出身である著者は、2011年以降、一貫して反アサド政権の立場をとり、逮捕・拘束を経て同年夏にシリアを脱出した。本書は、2012年8月から2013年7月まで、3度にわたって祖国に戻り、兵士から女性や子供まで、反アサド政権の立場にあるさまざまな人々の声を集め、その体験を書き綴ったものである。 拠点としたのはシリア北西部のイドリブ県サラーキブ市で、住民である協力者一家の庇護を受けて取材を進めた。証言者の数が増えていくと同時に戦況は変化し、協力者一家の大半は出国を余儀なくされていく。 小説家、ジャーナリスト、編集者として活躍するかたわら、著者は女性の自立や子供の教育を支援するNPO団体を設立し、活動を続けている。近年のシリアを見据える新しい世代の特色を鮮やかに示すと同時に、内戦下で生きる市井の人々の声を拾い上げた記録文学の白眉。
  • 茶の世界史:中国の霊薬から世界の飲み物へ
    4.0
    ポスト・コロニアルな問題意識とお茶への愛とに裏打ちされた、豊穣な東西文化史。 第一部「東から」は古代中国における茶の起源に始まり、唐代以降の喫茶文化の興隆、日本への伝播と茶の湯の誕生までをたどる。第二部「西へ」は西欧列強のアジア進出から西欧への茶の紹介、イギリスにおける茶貿易の赤字解消が発端となったアヘン戦争、植民地インドでの茶の栽培などを描く。東西文化の遭遇と対立、とくに西欧によるアジアの収奪が、茶文化と茶経済の変容をとおして語られる。第三部では、茶にまつわる話題が小気味よく紹介され、茶の木の発見、ティーバッグやアイスティーの誕生の逸話、茶の種類や、水の重要性などがとりあげられる。最後の第四部では、表題「茶の現在――人々と地球」が表わすとおり、植民地主義によって始まった、商行為における不公正の問題にどう取り組むべきか、茶プランテーションの化学農業によって死んでしまった土壌をどうすべきか、といった今日的な問題に焦点があてられる。 われわれに親しみのある飲み物の歴史が豊富な資料をもとに詳述されており、まずはお茶を淹れて、じっくり繙きたい1冊。
  • ニューエクスプレスプラス ラトヴィア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 実は日本とはロシアをはさんでお隣のお隣さんの関係にあるラトヴィア。5年に一度の「歌と踊りの祭典」は3万人が一度にステージ上で歌うほどの合唱大国なのです。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。買い物など場面別の単語を収録して旅行に役立つ「単語力アップ」、スピーチやグリーティングカードに使える短い表現も収録。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ニューエクスプレスプラス ノルウェー語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 ノーベル平和賞を授賞する国、福祉が充実、先進的な女性政策と、小さいながらも大きな存在感を放つノルウェー。そんなユニークな国のことばを学んでみませんか。 文字、発音から始まり、会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて、最後は短い読み物に挑戦します。買い物など場面別の単語を収録して旅行に役立つ「単語力アップ」、グリーティングカードに使えるメッセージの表現など収録。音声はCDのほか、アプリもご利用いただけます。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 覇王と革命:中国軍閥史一九一五‐二八
    5.0
    1巻2,992円 (税込)
    1912年1月、南京で中華民国臨時政府が成立し、孫文が臨時大総統に就任。翌月には宣統帝が退位し、清朝が滅亡した。新生「中華民国」はこうして産声を上げたが、その後の歩みは“平坦でない”どころではなく、各地の軍閥が権謀術数をめぐらせ混沌をきわめた。 本書のねらいは、これまで注目されることのなかった「軍閥とその時代」を再構築することである。扱うのは、国家の統合が壊れた袁世凱統治の末期から、蒋介石が全中国を統一するまでの軍閥混戦の時代(1915-28年)だ。主役級の袁世凱、段祺瑞、孫文、蒋介石、張作霖のほか、徐樹錚、馮国璋、呉佩孚、馮玉祥ら、数多の群雄が三国志さながらの激しい攻防を繰り広げた時代である。 この時期、中国で覇権争いをしていたのは軍閥ばかりではない。列強諸国、なかでも大陸進出をねらっていた日本と、革命の輸出をもくろんでいたソ連の影響は大きく、軍閥とこれら国外勢力との間で展開した駆け引きの様子が詳しく描かれる。 本書は、今世紀に入って中国で相次いで発表された、革命史観にとらわれない文献をもとに、こうした軍閥の動きを丁寧に追い、複雑にからみ合った勢力関係のひもを解きながら、中国史のなかに軍閥を位置づける試みである。
  • 現代中国の精神史的考察:繁栄のなかの危機
    -
    新全体主義の時代経験 世の中が地滑り的に変化していくなかでは、何が起きているのか正確につかむことは難しい。この20年間の中国がまさにそうだった。 社会主義市場経済による輝かしい経済成長と習近平を頂点とする党=国家体制の再建、そして中国の再興――。過ぎ去ってみると、自明にみえる展開は一齣一齣つぶさにみていくと、まったく違ってみえてくる。 本書で触れる重慶での政治騒乱はその最たるものだろう。腐敗一掃を叫ぶカリスマ的指導者のもとに革命歌をうたう民衆が寄り添い、全国からも「重慶詣」と称して学者たちが馳せ参じた。 ところが、突然の舞台転換ですべてはなかったことになってしまう。カリスマだと思っていた人物は犯罪者となり、民衆は手のひらをかえし、学者は何事もなかったかのように日常に回帰していく。こうした光景が2010年代には繰り返された。 本書は、この20年の「特異な時代」を記述する試みである。その際の拠り所になっているのは、ハイデガーであり、またハンナ・アーレントである。全体主義のもとで最低限度の道徳を保つことは可能なのか? いまや「新全体主義」とも言われる現代中国社会の精神的考察。
  • 地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 富山地方鉄道・北陸鉄道・箱根登山鉄道
    -
    1巻2,970円 (税込)
    日本の近代史がくっきりと浮かび上がる 温泉に浸かってゆっくりしたい。人々のそんな思いを後押しし、それぞれの土地の名湯が楽しめるようになったのは全国の鉄道路線がもたらしてくれた恩恵である。本書で取り上げる富山地方鉄道、北陸鉄道、箱根登山鉄道の開業は、宇奈月温泉、山中温泉、箱根温泉などの温泉地をより身近なものにした。富山県内各地に路線を拡げていたいくつかの私鉄と富山県営鉄道、富山市電を引き継いだ富山地方鉄道(富山電気鉄道)、石川県内の私鉄路線を統合した北陸鉄道、小田原馬車鉄道から小田原電気鉄道となり、箱根湯本・強羅間を延長した箱根登山鉄道。 この鉄道会社3社の敷設免許申請がどのような経緯で認可され、いかにして沿線住民の通勤通学の足となり、観光客の利便性に応えてきたのか。 一方で、車の所有台数は1960年に290万台、70年には1653万台、2010年には7869万台となる。このように移動手段が劇的に変化するモータリゼーション隆盛のなかで、輸送力やスピードアップ、国際観光やリゾート開発など、さまざまな課題に直面する鉄道の歩みを数多くの当時の地図や資料、公文書で辿っていく。カラー図版多数掲載。[4色刷]
  • ニューエクスプレスプラス カンボジア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版 カンボジア語の文字は古代インド系の文字からの影響で成立した固有の文字です。子音文字に母音を表す記号をつけるというシステムですが、1つの音節の中で子音が連続すると2つ目の子音の形が「脚」といわれる形に変態するのが特徴です。なぜ脚なのかと不思議にも思いますが、1つ目の子音の下にコンパクトな形になって付くことが多いのと、横に付く場合はお行儀よくかしこまっていた文字がびよーんと脚を伸ばしたような形になることが多いからなのでしょう。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    4.0
    フルコースで読む、元お抱え料理人たちの証言 歴史の重要な瞬間に彼らは何を目にしたか? 20世紀の独裁者5人に仕えた料理人たちの悲喜こもごもの人生。2021年度〈グルマン世界料理本賞〉受賞作。 大学卒業後、レストランでのアルバイト経験がある著者はあるとき、ユーゴスラヴィアの独裁者チトーの料理人についての映画を見て、歴史上の独裁者に仕えた料理人たちに興味を抱く。そしてついに本物の独裁者の料理人を探す旅に出る。 本書に登場する独裁者は、サダム・フセイン(イラク)、イディ・アミン(ウガンダ)、エンヴェル・ホッジャ(アルバニア)、フィデル・カストロ(キューバ)、ポル・ポト(カンボジア)。彼らに仕えた料理人たちは、一歩間違えば死の危険に見舞われた独裁体制下を、料理の腕と己の才覚で生き延びた無名の苦労人ばかりである。著者はほぼ4年かけて4つの大陸をめぐり、たとえ料理人が見つかっても、説得してインタビューに応じてもらうまでが一苦労で、なかには匿名で取材に応じる人もいた。 インタビューを再構成する形で料理人たちの声が生き生きと語られ、彼らの紆余曲折の人生の背後に、それぞれの国の歴史や時代背景が浮かび上がる。各章にレシピ付き。
  • FTAの基礎と実践:賢く活用するための手引き
    -
    ジェトロが総力を挙げた、グローバルビジネスの羅針盤 欧州移民危機やブレグジット、米中貿易戦争はじめ内向きで保護主義的色彩の強かった2010年代が終わり、20年代はいかなるディケイドになるのか? 世界は再び開かれるのか? それとも軌道修正できないまま深みにはまっていくのか? ジェトロ海外調査部が総力を挙げた本書は、こうした問いに国際貿易という観点から答えを出している。 本書によると、厳しい状況下でも、自由貿易協定(FTA)は着実に締結されてきた。とりわけ注目すべきは2020年11月、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」が日本を含む15カ国で署名され、22年1月に発効することになったことである。 これにより、世界全体の約3割を占める巨大経済圏が成立する。日本にとっても最大の貿易相手国である中国、そして第3位の韓国との間にFTAが締結される歴史的な節目となる。 本書では、世界のトレンドについて、近年の相次ぐ大型FTAの発足も踏まえて整理するとともに、その経済効果や企業活動にもたらす影響を徹底的に分析している。激変する環境でグローバルビジネスを構想するためのビジネスパーソン必携のガイドブック!
  • ニューエクスプレスプラス アイヌ語
    5.0
    1巻2,970円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 アイヌ語とアイヌ文化に関心を持つ全ての人へ アイヌ語は、北海道を中心に、サハリン、千島、古くは東北地方北部でも話されていた日本の先住民族アイヌの言葉です。言語系統は異なりながらも、日本語とは長年隣接していたため語彙レベルでは相互に影響があります。母語話者は減少しましたが、近年は復興運動もさかんになっています。2020年にオープンした国立アイヌ民族博物館を含む民族共生象徴空間ウポポイでは、展示などにアイヌ語が使用されています。これからアイヌ語を見聞きする機会がきっと増えることと思います。★音声アプリ無料ダウンロード
  • 米露諜報秘録 1945-2020:冷戦からプーチンの謀略まで
    3.6
    ウクライナ侵攻前史、米露75年間の覇権争い 諜報の分野では帝政時代以来の歴史を持つソ連・ロシアと、第二次大戦後にCIAを設立した諜報の素人の米国。ソ連は冷戦時代、東欧を支配し、その勢力を全世界に広げようとしていた。一方、米国はソ連を封じ込めるために、さまざまな諜報戦(政治戦)をくりひろげた。 冷戦に勝利した米国は、その後の戦略をあやまり、NATOをいたずらに拡大させたことで、ロシアは危機感を抱く。それをもっとも切実に感じていたのが、冷戦崩壊を現場で見ていたKGBのプーチンだった。彼は権力を握るや、ただちに反撃に出る。インターネットとソーシャルメディアを駆使した彼の政治戦は、前例のないものだった。米国はいつの間にか世論の分断で民主主義の危機にさらされ、民主主義のプロセスを無視するトランプに率いられることになった。しかも、トランプはロシアの影響下にあるという……。 ウクライナ戦争の前史、戦後75年間の諜報活動と外交の深層からサイバー攻撃の脅威まで、『CIA秘録』のピュリツァー賞受賞作家が機密解除文書を徹底検証! 国際情勢に関心がある読者のみならず、民主主義の未来を真剣に考える方々にもご一読いただきたい。
  • ノートルダム:フランスの魂
    4.0
    再建の日を待つ唯一無二の大聖堂 2019年4月15日の宵、著者はパリのアパルトマンから築850年の大聖堂が焰に包まれるのを目撃する。火災を伝える写真や映像はメディアを通してたちまち拡散し、世界中の人々の心を激しく揺さぶった。 ここにひとつの疑問が浮上する。ノートルダムはなぜ、フランスという国家を象徴する存在となりえたのか。その答えを求めて、著者は大聖堂の歴史に刻まれた決定的瞬間に目を向ける。礎石の置かれた1163年に遡り、当初の建設を取り仕切った司教と大聖堂を設計した無名の建築家たちの物語から第一章が始まる。続く章では、アンリ四世のカトリックへの改宗、フランス革命、ナポレオンの戴冠式など、国家と王家にとってノートルダムの重要性が増していく歴史的経緯が語られる。 ヴィクトル・ユゴーの小説が保存修復への機運を高め、ヴィオレ=ル=デュクの画期的な修復工事とオースマンによる改造計画を経て、1944年のパリ解放の日、ノートルダムはふたたび歴史の重要な舞台となる。フランスの栄光と苦悩を見つめてきたノートルダムの物語は、そこに集い、献身的に携わり、未曽有の危機から救おうとする市民たちの物語でもある。
  • ニューエクスプレスプラス フィリピノ語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 フィリピンの人々の心に触れる言葉 日本に最も近い国のひとつフィリピンは、7000あまりの島々からなり、多彩な文化を擁しています。1200万人以上のフィリピン人が海外に出ており、日本にも多くの人が来ていますし、世界のどこかで知り合う機会があるかもしれません。フィリピノ語はタガログ語を母体としたフィリピンの国語です。文字は英語とほぼ同じアルファベットで、日本人にも発音しやすく、フィリピンの人々の心に触れられる言葉を学んでみませんか。音声はアプリでも聴けます。★音声アプリ無料ダウンロード
  • ヴァイキングの暮らしと文化
    -
    「角のついた兜をかぶった北欧の海賊」という、誤りを含んだ偏ったイメージで語られてきたヴァイキング。実際には兜に角はなく、平時には商人であり農民だった。そもそも「ヴィーキング(ヴァイキング)」という言葉の語源は、海賊ではなく、商業地を点々としながら活動する商人そのものを意味している。北欧のみならず、イギリス・フランス・イタリア・ギリシア・ロシア史に大きな影響を与えてきた彼らは、どんな人々だったのか。 彼らの芸術は、象徴的な抽象主義と純粋な現実主義との中間にあり、機能性と美とを同時にかねそなえた、いわば実用的理想の域にまで達していた。ヴァイキングの精神・物質生活はひとつの文化であるだけでなく、西欧のキリスト教文明に匹敵するひとつの文明である。 本書は、ルーン学、サガや詩などの史料を駆使し、ヴァイキングの陸上や船上での日常生活や年中行事の、物質的側面のみならず精神生活をも幅広く扱い、「家族」を中心とした社会を組織したその豊かで高い文化全般を詳説する。
  • エリ・ヴィーゼルの教室から:世界と本と自分の読み方を学ぶ
    -
    現在のルーマニア、ユダヤ教徒の家に生まれたエリ・ヴィーゼルは、少年時代にアウシュヴィッツ強制収容所に送られ、凄惨な体験をして、生還する。終戦後、10年を経て発表した自伝的小説『夜』は、ホロコースト証言の古典として、世界中で読み継がれている。やがて米国に帰化して、様々な平和活動に関わり、1986年にノーベル平和賞を受賞。自らを「教師」とし定義し、ボストン大学などで長年教鞭を執り、2016年に逝去した。 著者は15歳のときヴィーゼルに出会い、ボストン大学に入学、その後、同大学で教育助手としてヴィーゼルの「弟子」となり、5年間、薫陶を受ける。 本書は、ボストン大学におけるヴィーゼルの講義ならびに対話を、7つの章にまとめたものだ。アウシュヴィッツでの体験、文学テキストの解読、歴史・記憶・活動をめぐる議論をさまざまに検討し、読者を啓発する。ヴィーゼルの人生に密着した思想と理論、その神髄が説得力をもって明かされる。 本書は「全米ユダヤ図書賞」を受賞し、読者からも熱い共感を集めている。混迷する現代世界において、とくに学校・教育関係者には、おおいに示唆に富む1冊だ。
  • 定本 現代イギリス経済学の群像:正統から異端へ
    -
    1巻2,970円 (税込)
    すべてが暗転していく1930年代は、経済学の黄金時代だった。周知の通り、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』が刊行されたのは1936年のことである。 当時、ケンブリッジ大学のケンブリッジ・サーカス、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロビンズ・サークルには、当代切っての天才が集った。 ヒックス、カルドア、J・ロビンソン、ロビンズ、カレツキ、ハロッド……本書は彼らの生涯と理論を有機的に連関させることを通じて、現代経済学の生誕を描くだけでなく、20世紀の精神史に肉薄していく。 経済学はいつからか「制度化」したと言われる。第二次世界大戦後、「新古典派総合」が主流となり、分厚いテキスト(サムエルソン『経済学』)と数式が経済学の「正統」とみなされるようになった。 それにより、経済学は体系化されて、たしかに学びやすくなったが、そこにケインズの時代以来の「経済学の第二の危機」(J・ロビンソン)が巣食っているのではないか。こうした現代経済学の巨人たちの問いは、著者の問いでもある。1989年に刊行され、現代経済学の風景を一変させた記念碑的著作!
  • ニューエクスプレスプラス ルーマニア語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 中世の香りを色濃く残すルーマニア。ドナウ川が黒海に注ぐ東欧の地にありながら、その言葉はロマンス諸語のひとつで、フランス語やイタリア語の親戚です。とはいえ、数多の民族が行き交うバルカン半島にあって、ルーマニア語はいろいろな言語の影響を受けて独自の発展を遂げてきました。本書ではそんなルーマニア語を、会話と文法を通して一歩一歩着実に学んでいきます。様々な表現を身につけつつ、最後は短い読みものにも挑戦しましょう。★音声アプリ無料ダウンロード

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