作品一覧

  • ジェイムズ・ボールドウィンのアメリカ:「もう一度始める」ための手引き
    -
    1巻4,158円 (税込)
    「アメリカ」という物語の偽りと希望 1960年代末から70年代にかけてボールドウィンは、アメリカという国が、マルコムXや非暴力を唱えていたキング牧師さえも殺害し、黒人解放運動を袖にする様子を目の当たりにした。公民権運動が盛り上がりを見せ、一時は希望と期待に胸膨らませたが、結局これまでと変わらぬ白人優位の体制を選んだことを思い知らされ、深い幻滅と絶望を味わったのだ。 アフリカン・アメリカン研究の分野をリードする著者は、ボールドウィンの足跡と数ある作品の中から、当時の暗澹たる状況に彼がどう向き合ったかを探り出した。初の黒人大統領が誕生し、今度こそアメリカは変わると思われたすぐ後でトランプ政権に代わり、白人至上主義が再燃するような今の危機的状況にこそ、ボールドウィンの作品と当時の発言を振り返り、もう一度始めるためのヒントを探る意義があると考えたからだ。 都合よく解釈され語り継がれてきた「アメリカ」という物語を噓と断じたうえで、ボールドウィンの意図することとその背景にあるものを深く掘り下げ、当時と今を行き来しながら、われわれが直面する人種問題、ひいてはアメリカという国のありようについて論じた魂の書である。
  • カースト アメリカに渦巻く不満の根源
    4.6
    1巻4,180円 (税込)
    アメリカの日常にはびこる黒人差別は決して根絶されず再燃する.ピューリツァー賞受賞・黒人女性作家が自らの体験をもとに,差別の底に潜む,白人,バラモン,アーリア人の「優越」を保持するカースト制のメカニズムを探る.アメリカの民主主義を蝕むカーストの恐るべき悪とは.世界的ベストセラー,待望の邦訳.

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  • 信仰の現代中国:心のよりどころを求める人びとの暮らし
    5.0
    宗教と伝統行事を通して見えてくる中国社会の姿 弾圧から緩和、引き締め、そして包摂へ―毛沢東以来、共産党支配下における政治と宗教の関係は常にある種の緊張状態にある。本書は、この緊張状態の根源にあるものを掘り起こし、信仰と伝統行事のあり方を通して中国社会のもう一つの姿を描いたノンフィクションである。 物質的な欲望と拝金主義にまみれ、もはや伝統的な信仰心など消えてしまったかのように見える中国社会だが、旧暦に基づく季節の行事や古くからのしきたりが今も脈々と息づいている。いくら繁栄しても何かが足りない―その何かを求めて多くの人びとが信仰や伝統行事に目を向け実践するありさまを描くため、著者は約一年半、こうした活動に携わる家族や団体などと行動をともにしてきた。各種の行事を観察し、ときには自ら瞑想法・呼吸法の講習会に参加する。登場するのは、妙峰山の参拝客を相手に香会を営む倪家、農村で道教の儀式や占いをする李家、地方都市で地下活動を続ける牧師など、さまざまなバックグラウンドを持つ人びとである。 本書は二十四節気に沿った章立てで、季節の移り変わりとともにストーリーが立体的に展開する仕組みとなっている。海外の主要紙誌が絶賛した傑作だ。
  • 投票権をわれらに:選挙制度をめぐるアメリカの新たな闘い
    -
    1巻3,762円 (税込)
    油断したら投票権すら奪われる! 公民権運動の最高潮とされる1965年投票権法の成立によって、アメリカ南部では黒人の選挙人登録を制限することができなくなり、黒人の登録率は倍以上に増えた。それから50年以上経た今、同法で保障された権利が骨抜きにされようとしている。 本書は、1965年投票権法成立以降の半世紀を振り返り、黒人などマイノリティの投票権行使を妨げるためにあの手この手の操作が繰り返されてきた歴史を通して「民主主義国家・法治国家」アメリカの実相を描いたノンフィクションである。1965年投票権法が成立してからの選挙をめぐる動きに焦点を絞り、投票する権利をめぐる立法と司法の現場での攻防を詳しく描いたものは本書が初めて。社会運動家や一般市民、州知事、連邦議会議員、司法官僚、弁護士、法学者ら105人に及ぶインタビューを中心に、微に入り細をうがつ調査と切れ味鋭い洞察で問題点をあぶり出していく。選挙制度に「何かが起きている」と薄々感じていた人びとにその正体を明示したことでセンセーションを巻き起こした問題作。 慶應義塾大学教授・渡辺靖氏推薦! 全米批評家協会賞最終候補作。

ユーザーレビュー

  • 信仰の現代中国:心のよりどころを求める人びとの暮らし

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本は宗教を禁じていた共産党中国において、今宗教はどのような状況になっているかを追っていく作品です。

    現在の中国の宗教事情を知れたのは非常に興味深いものがありました。

    ただ、本書でも述べられていたのですが、近年共産党当局が厳しい統制をかけているため今後どうなるかはわからないというのは非常に恐ろしく感じました。

    この本は私達の知らない中国を目の当たりにすることになります。著者が実際に長期の密着取材をしたからこその情報が満載です。現代中国の宗教事情を知るのにこの本は非常におすすめです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

    1
    2024年08月23日
  • カースト アメリカに渦巻く不満の根源

    Posted by ブクログ

    ごく単純に、相手を人間として見る、全ての人を自分と同じ人間として尊重するだけでいい。そうすることで社会、世界全体がより平和に豊かになるのだとウィルカーソンは訴える。

    0
    2023年11月05日
  • カースト アメリカに渦巻く不満の根源

    Posted by ブクログ

    内容はかなり重く読み進めるのは簡単ではなかったが、アメリカに渦巻く不満の根底には、カースト制度があって、そう簡単なものではないのだと改めて思い知らされる。警察官に疑いをかけられそうになった時の恐怖、レストランでの店の対応に対する友人の行動、飛行機内での出来事など、本人の感情描写も明確で印象に残る。 人が持つ根底意識についても考えさせれる。

    0
    2023年07月10日
  • カースト アメリカに渦巻く不満の根源

    Posted by ブクログ

    「カーストのない世界では、男性であることまたは女性であること、肌の色が薄いことまたは濃いこと、移民であることまたはその国で生まれたことなどが、その人にどんな能力があると理解されるかに少しも影響を及ばさない。カーストのない世界では、わたしたちは皆、それが自分自身の生存のためだとしても、同じ人類の仲間の幸福を気にかけ、これまで信じるように仕向けられてきた程度以上に互いを必要としていることを認める。そして、山火事が猛威をふるい氷河が解けていくなか、世界中の先住民と力を合わせて警鐘を鳴らす。わたしたちは、他者が苦しんでいるときには、人類全体にとって種の前進が妨げられている状態であることを理解する。

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    2023年06月19日
  • 信仰の現代中国:心のよりどころを求める人びとの暮らし

    Posted by ブクログ

    上下二段組、400頁を超える分厚い本だが、面白さに引きずり込まれるようにして読み終えた。現代中国に生きる市井の人たちが仏教、道教、キリスト教の世界に豊かに、そして苦悩に満ちて生活している姿が生き生きと描かれている。
    著者は、どうやらモントリオール生まれのカナダ人で、いまはドイツに居を構えているらしい。
    で、著者がこれまで中国を訪れたときに北京、山西省、成都等で出会った人たちの宗教的生活をルポルタージュとして、やや小説風にも書いている。
    1962年生まれの著者は、同年代かそれよりも年上の人が多く、毛沢東の文化大革命を子供の時、壮年期に遭遇している人が多い。したがって、現代中国の北京や上海の都市住

    0
    2023年02月27日

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