1986年4月26日の未明に起きたチェルノブイリ原発事故について、事故の遠因、事故時の現場の対応、その後の対応や被害、さらには事故が社会に及ぼした影響まで様々な側面から記載されている。当時の原発職員、消防士、兵士などが放射能の危険を知ってか知らずか、結果的に大量被ばくになるのを顧みずに事故対応に当た
...続きを読むったことと、旧ソ連の秘密主義的な対応により住民避難が遅れたことが印象的。
奇しくも事故日直前から読み始め、4月26日に行われた現地の追悼式典をニュースで見ることになった。それにしても、ウクライナはロシアの侵攻を受け、チェルノブイリ原発も攻撃を受けるなど、原発事故の悲惨な結果を忘れたかのようなことが行われている。本書では、福島原発事故にも言及され、2016年までの出来事が記載されているようだが、執筆・出版がもう少し遅ければ、2022年の軍事侵攻もチェルノブイリのその後として取り上げられたことだろう。