井上哲次郎と「国体」の光芒:官学の覇権と〈反官〉アカデミズム

井上哲次郎と「国体」の光芒:官学の覇権と〈反官〉アカデミズム

3,564円 (税込)

17pt

5.0

学者たちの戦争、そして帝国の崩壊

加藤弘之が創り上げ、井上哲次郎に継承された官学アカデミズムは、煩悶青年が社会問題化した日露戦後、生命主義に傾倒していく。
しかし、国体論に「無意識」を取り入れる試みは、東京帝大の心理学者、福来友吉の念写実験が巻き起こした社会的混乱によって絶たれ、官学アカデミズムは歴史へと回帰することになる。
他方、大正デモクラシーの潮流のなかで国体を語る裾野は広がっていく。
早稲田の漢学を中心とした私学勢は、南北朝正閏問題や宮中某重大事件、大東文化学院の運営をめぐって、官学アカデミズムが彫琢した国体論に揺さぶりをかける。
とりわけ、大東文化学院の覇権を争う戦いは熾烈をきわめた。漢学教育の再興を目指す早稲田と、それを封じようとする官学アカデミズムの争いは、「暴力専門家」も動員しながら、井上の不敬事件やテロをも誘発していく。
あとの時代から見ると、「国体」と聞くだけで、狂信的な雰囲気が漂うが、そこには「国体論的公共性」とも呼ばれる広範な討議空間もあった。暴力に覆われる前の思想空間を辿り直す稀有な試み。

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井上哲次郎と「国体」の光芒:官学の覇権と〈反官〉アカデミズム のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2024年01月01日

    本書は、帝国大学文学部哲学科(現・東京大学人文社会系研究科・文学部哲学研究室)において日本人初の哲学教授となり、その後、大東文化大学の前身である大東文化学院の第二代総長なども務めた井上哲次郎(1856-1944)の国体思想を論じた研究書である。

    井上は、草創期の東京大学に入学し、フェノロサや中村正...続きを読む

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