作品一覧

  • トクヴィルと明治思想史:〈デモクラシー〉の発見と忘却
    4.7
    1巻3,366円 (税込)
    「文明化」を夢見た明治日本 文明化を追い求めた明治日本は、翻訳書が果たした役割がいまと比較にならないぐらい大きかった。そして数多くの翻訳書が刊行されるなかで、新たな概念もたくさん生まれた。 本書では、アレクシ・ド・トクヴィルと『アメリカのデモクラシー』に焦点を当てて、その営為を明らかにする試みである。 トクヴィルによって見出された「諸条件の平等」としてのデモクラシーについて、あるいはその帰結である「個人主義」や「多数の圧制」について、明治の日本人はいかに理解したのか? またいかに誤解したのか? 本書は徹底的に解明している。 その際、目を向けるのは、福澤諭吉ら明治思想界のスターだけでなく、むしろ時代の脇役たちである。 時代のあり方や将来を真剣に考えていたにもかかわらず、英傑に遮られ、注目されなかった人々。実は、彼らの西洋受容こそがその時代の典型であり、そこからしか時代の全体像は描けないのだ。 自由民権運動に邁進した肥塚龍、社会における宗教の意味を考えた中村敬宇や明治キリスト教界、国会開設の意味を自治論からとらえ直した植木枝盛や星亨、高田早苗……トクヴィルを軸に描く、新たな明治思想史へ。

ユーザーレビュー

  • トクヴィルと明治思想史:〈デモクラシー〉の発見と忘却

    Posted by ブクログ

    明治日本がトクヴィルをどのように受け止めたのか、詳細に論じている。様々な問題点はあるものの、明治の人々のレベルの高さがうかがわれる。

    0
    2023年03月01日
  • トクヴィルと明治思想史:〈デモクラシー〉の発見と忘却

    Posted by ブクログ

    先日読んだ『明治革命・性・文明』(渡辺浩著)の流れから、この本を借り出してみた。トクヴィルは、随分昔に「世界の名著」で抄訳を読んだきりで、記憶が薄れている…
    著者は韓国出身で、横浜国大に交換留学で来日し、いったん帰国後、再度問大大学院で博士号を取得した人。博士論文を加筆修正したのが本書。

    読むのは大変だったけど、途中から莫大な労力を注ぎ込んだものと気づき、身を正して読むと、明治初期の人たちがトクヴィルをどんな風に受容していったか、本当によく分かる。
    そのために明治期の翻訳から論文・雑誌・新聞に至るまで莫大な資料をきちんと読み込んで書かれているのには驚いた。
    それは、よくある論文のように、どこ

    0
    2022年02月20日
  • トクヴィルと明治思想史:〈デモクラシー〉の発見と忘却

    Posted by ブクログ

    明治時代を中心にそれ以降も射程に入れて、「誤読」による思想の受容も含め、日本におけるトクヴィルを中心とする西洋思想の受容と変容の過程を明らかにする。
    トクヴィルの思想が明治の思想界に与えた影響等について理解が深まるとともに、肥塚龍、小幡篤次郎といった知られざる思想家・政治家についても知ることができ、興味深かった。
    著者はもともと韓国からの留学生とのことだが、明快な文章で、かつ、近代文語文の史料の読込みも的確で、率直にすごいと感じた。著者の研鑽に敬意を表したい。

    0
    2024年11月03日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!