作品一覧

  • 戦争記念碑は物語る:第二次世界大戦の記憶に囚われて

    戦争記念碑は物語る:第二次世界大戦の記憶に囚われて

    ビジネス・実用

    5.0
    1巻3,168円 (税込)
    「歴史認識」はなぜ他国と食い違うのか? 「第二次世界大戦の記念碑」といえば、日本では広島の原爆ドームや長崎の平和祈念像、東京の靖国神社、海外では中国の南京大虐殺記念館、ポーランドのアウシュヴィッツ博物館が有名だ。戦争記念碑は犠牲者や戦禍を追悼するもの、英雄やレジスタンス、犯罪を記憶に留めるもの、復興や平和を唱えるものとして、集合的記憶を形成し、継承する目的を有する。しかし近年、韓国の慰安婦像のように、論争を巻き起こしている戦争記念碑も増えている。本書は、英国の歴史家が世界の25の戦争記念碑を訪ね、「英雄」「犠牲者」「モンスター」「破壊」「再生」に分類し、歴史の表象とその変化や議論を考察する。 これらの記念碑は、地方レベルでは過去のトラウマを追悼し、国家レベルでは共同体の価値観に誇りを与え、国際的なレベルでは、戦争の悲劇から解放された未来への希望を鼓舞してくれる神話的枠組みを提供している。そして注目すべきは、本書で取り上げた9つが2000年代から新しく建設、またはリニューアルされたものなのだ。第二次世界大戦の記憶が現在に及ぼす影響の大きさと、そこから逃れられない「歴史の囚人」たちの姿が活写される。
  • 適正技術と代替社会 インドネシアでの実践から

    適正技術と代替社会

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻770円 (税込)
    地球の未来は、現在の技術文明の延長上には描けない。必要とされるのは、途上国の状況に適した適正技術である。それは、近代科学技術の問題を乗り越える使命をも帯びている。インドネシアにおける排水処理やバイオマスエネルギー開発の実践をふまえて、今後の望ましい技術のあり方と、それを含む代替社会の方向性を探る。

ユーザーレビュー

  • 戦争記念碑は物語る:第二次世界大戦の記憶に囚われて

    Posted by ブクログ

    毎年8月にはこんな本が読みたくなる。戦争に関するさまざまな記念碑についての取材、解説本。英雄を讃えるもの、被害者を悼むもの、事実を忘れないように刻むもの。直接的に表現されているもの、間接的なもの。普段忘れられているが、有事の際に注目されるもの、など。本書でも指摘されているが、過去に英雄として讃えられたものが、社会価値の変化で引き倒されたり海に捨てられたりする。また、時の指導者の都合で解釈を変えられたりもする。記念碑をめぐる議論について、知識をつけ、ちゃんと自分の頭で考えたい。

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    2022年08月30日
  • 適正技術と代替社会 インドネシアでの実践から

    Posted by ブクログ

    先進国の技術転換とともに、途上国の状況に適した〈適正技術〉が必要であることを、インドネシアにおける排水処理やバイオマスエネルギー開発の実践をふまえて、今後の望ましい技術のあり方と、それを含む代替社会の方向性を探っている。著者のすごいところは、石油会社に勤務しながら、自分の時間でNGOの活動を始めているところ。相当苦労されている。また、すごいのは、見田宗介をはじめとした社会学者が集まるCCCT研究会で本書のテーマを検討され、本書についてコメントももらっているとのこと。本書の中でも「現代社会の理論」のココアパフの話が引き合いに出されていた。(懐かしい。。。)それはいいとして、どんだけ格好いいサラリーマンなのだろう。
    さて、適正技術という概念は、シューマッハーが提唱した「中間技術」により先駆的に打ち出されたといわれている。
    「もし、技術のレベルというものを「その設備が生み出す雇用機会あたりの設備費」ということを基準にして考えるならば、典型的な途上国の土着の技術はいわば1ポンド技術であり、一方先進国の技術は1000ポンド技術といえる。(中略)援助を最も必要とする人々に効果的な手助けをするためには、1ポンドと1000ポンドの中間に位置する技術が必要である。われわれは、それを象徴的に100ポンド技術と呼ぼう。」
    このような感覚について、「インドネシアでの排水処理技術については、現状の経済や社会状況のさまざまなバランスにおいては、およそ日本の相場の10分の1程度が受け入れ可能なコストの目安になる、というのが、私たちの経験的感覚である」と述べている。
    排水処理に携わったのち、著者はバイオマスのプロジェクトに携わることになる。
    「インドネシアでは、アブラヤシ廃棄物の処理が問題になっていた。特にアブラヤシの果房から実を取り出したあとの空房と呼ばれる廃棄物が、焼却処理されて煙害を起こしたり、野積み状態で放置されていたりして、処理がうまくいっていないという。…バイオマスエネルギー開発の困難は、原料の収集にある。このアブラヤシ廃棄物の場合、原料がすでに搾油工場に集められ、廃棄物もそこでまとまって発生する、ということが、エネルギー利用の観点からは決定的に有利な条件となる。廃棄物問題を改善しながら、再生可能エネルギーを得る、というのは魅力的な仕事に思えた。」
    著者は、現地の普通の機械工場で製作・設置できるような設備を、創意工夫を凝らしてつくり出す手法を取り、初期の設置費用を、日本の小規模ガス化装置の相場に対して約5分の1程度まで落とすことにせいこうした。触媒の粘土も一般的な触媒価格と比べ、桁違いに安価らしい。
    社会理論と科学的実践を両立させている著者に心から敬服する。

    0
    2021年08月08日
  • 適正技術と代替社会 インドネシアでの実践から

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    石油会社で生成部門などの仕事をしながら、NPO法人でインドネシアでの技術提供に尽力してきた筆者がその体験から、それぞれの社会状況に応じた「あるべき技術」と、持続可能な消費社会の姿を提言する。

    「途上国」と言われているインドネシアの人々の生活ぶり、特に「自分で作れるものは自分でなるべく作る」様子に触れることで、先進国の人々が失ったものを再認識させられる。ひとたびインフラが止まれば生活全般がストップしてしまう世の中と、不便(本人達はそう思ってない)な中でもある程度自分達でなんとかできてしまう国を比較し、豊かさの尺度の違いを思う。

    SDGs流行りだが、単なるブームや「意識高い」だけの取り組みとは違う次元で、生活に根差した持続可能な社会の一つの理想系を示してくれている。「質素な生活でも心の豊かさ」などと月並みな考えではなく、考え方を替えることで次の世代へ向けた豊かさの形を考えようという気にさせてくれる。

    0
    2023年01月13日
  • 適正技術と代替社会 インドネシアでの実践から

    Posted by ブクログ

    インドネシアでの実践を例に、途上国での適正技術、あるいは先進国での代替エネルギーなどを論じている。個人的には、研究や専攻の関係から、第4章が琴線に触れる部分が多かった。

    ①「適正技術を考える」(p38)

    現在世界を悩ます社会問題の多くは、先進国の達成してきた発展の仕方がもたらしてきた。そして、その発展を支えてきたのが先進国の近代科学技術である。そのため、先進国を後追いする形で途上国を引き上げようとする従来の発想でいると、途上国も同じような問題を抱えることになる。
    新たな発展の在り方として、技術やエネルギーを考えていくべきである。

    ②適正技術≒中間技術(第1章 インドネシアと日本の落差から)



    先進国の技術(1000ポンド技術)は巨額であり、伝統産業を破壊して仕事を奪う。途上国の技術(1ポンド技術)は、金は少ないが豊かになれない。そこで、求められてくるのが100ポンド技術とも言うべき「中間技術」(p30)である。先進国の技術を途上国に持ち込むのではなく、より多くの雇用を生み、貧困を緩和する技術とはどのようなものかを意識しながら、新しい技術開発に臨むべきである。

    ③先進国と途上国 共通の理想(第4章 代替社会に向けて)



    我々は便利な製品を消費することに慣れ、躊躇なくエネルギーを使う。だが、その生活がもたらした豊かさは我々をそれなしではいれないようにし、消費を拡大させる。社会問題を引き起こし、専門性は一般人からさらなる壁を作り出す。途上国に合った適正技術、代替社会を考える機会は、先進国のこれからを見直すことにつながる。これからの途上国の発展は、先進国の消費スタイルではなく、持続可能な、代替社会を目指すべきなのである。

    発展途上国の援助に先進国の技術を単に輸入するだけでなく、途上国に合った持続可能な技術を考えていく中で、先進国や地球環境の発展にもつながる。この適正技術や代替社会の話を通して、もう一度、そういったことを先進国は考えるべきであろう。

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    2013年01月04日
  • 適正技術と代替社会 インドネシアでの実践から

    Posted by ブクログ

    田中氏の取り組みがベースの報告で、説得力もあるし、教条主義的でない点に好感がもてると思う。
    ただなあ、それこそ80年代に適正技術が言われ出して以降、それが社会全体に取り入れられていけるのか、となると別問題だろう。

    0
    2012年11月13日

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