小説・文芸 - 光文社文庫作品一覧

  • すげえ奴
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    大正六年、乙幡連三が生家の借金百円を返済すべく、木更津に帰ってきた。由緒ある没落旧家の三男坊が東京で必死に働いて貯めた金だ。連三、十七歳である。……初恋のおけいと夫婦になるという夢。破産寸前の瓦店の小僧になった連三は、そこでも必死に働いた。──波乱万丈の時代背景、息をつかせぬストーリー展開。日本経済の黎明期を力強く生き抜いた男の痛快一代記。(『残侠一代』改題)
  • 水色の密室
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    もっか3浪の身であるおれは、隣りのおじさんに頼まれて、絞殺事件に関わった。現場は内部から完全に施錠(せじょう)したサンルーム。被害者には愛人が存在し、しかも最近、多額の保険金を掛けられていた。おれは密室の謎を解くべく推理を展開するが、なかなか物証が得られず途方(とほう)にくれる。やがて第二の事件が……(表題作)。奇抜な着想とトリックで読者を魅了する傑作ミステリー。
  • 動く密室
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    神戸―川崎間を航行(こうこう)する大型のカーフェリーに、それぞれの思惑を抱く3つのグループが乗船していた。その中の一人が航海の途中、船内のトイレで毒殺された。だが、被害者には殺される理由がみつからない。誤殺か? 犯人はフェリー内にいる。しかし、全員に完璧なアリバイがあり、捜査は難航した。洋上に仕掛けられた巧妙な犯罪トリック。本格推理の力作!(『フェリーKT79に何が起きた』改題)
  • 香港(ホンコン)殺人旅行
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    香港帰りの団体旅行客・谷口拓郎が、空港からのタクシーの中で急死した。死因は心臓発作。一方、神戸湾の臨海倉庫からは、若い女の手足が発見された。兄の死に不審を抱いた谷口の妹・礼子は、同じツアーに参加していた神奈川県警の水田警部補を訪ねるが……。香港と東京の“地域差”を巧(たく)みに利用した犯罪事件。〈公害と観光〉をはじめて結びつけた、公害ミステリー決定版!
  • 王将殺人
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    北海道・定山渓(じょうざんけい)での対局に勝ち、アマチュア将棋会の最高の座に就いた星純一。その夜、純一の後援会長・倉西正文が、札幌のホテルの浴室で殺された。彼は父・恵三の不審な言動に不安を覚える。また、恋人・真理子の父親・森田八段にも容疑が……。殺害現場に残された、まちがえた棋譜の意味は? 亡き母が、純一に遺(のこ)した曲詰(きょくづめ)の秘密とは? 棋界に精通する著者の力作!
  • 河童殺人事件
    -
    鎌倉の病院で看護婦が刺殺された。彼女は屏風に書かれた歌の中の“河”と“童”の文字に血で印を付けて死んでいた。床には水がこぼれ、水藻の臭いが! 一方、川崎市内の産院から建設大臣の孫が誘拐され、現場を目撃した看護婦・圭子も一緒に連れ去られた。しかし、犯人は身代金受取りに失敗。嬰児も取り違えと判明し、二人の命を……。サスペンスあふれる推理傑作。
  • 喧嘩侍 勝小吉
    3.0
    男谷平蔵(おたにへいぞう)の三男・亀松は、7歳で旗本勝家の養子となり、小吉と名乗る。学問嫌いの彼は、喧嘩に強くなることこそ出世の早道と信じて、道場破りや喧嘩三昧の日々を送っていた。行く末を案じた父親は、小吉を座敷牢に幽閉。そして許嫁(いいなずけ)と二人きりにしたところ、長男・麟太郎(海舟)が生まれたことで……。勝海舟の父・小吉の自由奔放な生涯を描く、痛快時代力作!
  • 川柳侍
    -
    泰平(たいへい)の世に、江戸庶民の間で隆盛を見せる川柳(万句合(まんくあわせ))。ユーモラスな中にも皮肉や風刺(ふうし)が効いた川柳に、大名家の御隠居までが熱を上げている。その殿様に生命の危機が!? 奸臣から殿様を救えと公事師(くじし)、職人、無宿人と、身分を越えた川柳仲間が頭を捻(ひね)る。が、さらに予期せぬ第二の出来事が……。ユーモアと哀感、そして人情味溢れる江戸っ子の人生模様!
  • 妖精狩り
    -
    2年がかりで愛車〈マン・フラワー号〉を改造したケンスケとタマシローは、九州から北海道までの全国縦断ハント旅行に出発した。ベッドにシャワー完備とまるで動くラブホテル並み。若さと体力に自信を持つ二人は、行く先々で言葉巧(たく)みに女を口説きまくる。彼らの破天荒(はてんこう)な珍道中の行く末は……。ユーモアあり、官能あり、若者の性を題材にした快作!
  • 鎖された夏
    -
    「この作品の見どころを、私は、論理の面白さにあるといったが、作者大西赤人の文学精神は、単なる謎とき小説に終わらせることを潔しとしなかった。犯罪者の鬱屈した思いが、抑制された達意の文章によって語られるとき、読者は陶然として文学の世界に酔い、慄然として人間の深部にひそむ悪の正体に直面する」(土屋隆夫氏評)(『熱い眼』改題)
  • 越後七浦殺人海岸
    -
    吉成行夫(よしなりゆきお)には、十二年来の秘密があった。彼が高校三年生の時、彼の同級生で想いを寄せる宮地亜以子が、廃工場で殺人を犯し、その壁に消えたのを目撃した。卒業後、亜以子は消息を絶った。ところが、同窓会の席上、吉成は、彼女が社長夫人に納まっていたことを知る。未だに彼女を思う吉成は、極秘に彼女を調査すると……!?──トリックを駆使する本格推理の白眉(はくび)!
  • 鶴屋南北おんな秘図
    -
    『東海道四谷怪談』を書き、歌舞伎狂言作者として最も著名な鶴屋南北。人一倍好奇心の強い南北は十四歳にして、男と女の妖しいからみ姿を赤裸々に描写することができた。以後、「あそびを養分にしてこそ、芸や作風に艶が出る」を信条に、色どりの魔術師たちに翻弄されながら、数々の傑作を生み出していく。あやかしの世界で客を魅了した男の奇抜な人生を描いた野心作。
  • キッドナップ
    3.0
    国際的巨大ヘッジファンドの元幹部・仁科の息子が誘拐(キッドナップ)された。犯人の要求は「一億円を持ってブリュッセルへ飛べ」。到着した仁科に今度はマラケシュへ行けと指示が。北アフリカの市場(スーク)で、仁科の姿は忽然と消えた! 犯人の真の目的は? マネーゲームの次の標的(ターゲット)とは? 誘拐につぐ誘拐。巨大組織の暗闘を背景に描く国際的スケールのノンストップサスペンス!(『誘拐から誘拐まで』改題)
  • 特急ワイドビューひだに乗り損ねた男
    2.8
    東京・三鷹の空き家の床下から男の白骨死体が発見された。ポケットには、2年前の高山行き「ワイドビューひだ13号」の切符が残されていた。飛騨高山へと向かった十津川警部は、7年前、市議の妻と駆け落ちして消えた男の話を聞く。市議はその後、元大臣の娘と再婚し、国会議員になっているのだが……。さまざまな圧力を撥ねのけ、十津川が暴く恐るべき陰謀とは?
  • 京都嵐電殺人事件
    3.0
    京都の名所旧蹟を結ぶ路面電車・京福電鉄。通称「嵐電」愛好家の集いが「嵐電会」だ。その結成一周年記念のイベントが開かれた。嵐電だけを使って三カ所の神社仏閣を巡り写真を撮影、タイムと写真の優劣を競うレースだ。優勝者には500万円の賞金が出るという。ところが、レース途中、参加者の夫婦が他殺体で発見された! 十津川警部が犯人の秘められた動機を追う!
  • 富士急行の女性客
    -
    富士山の絶景を楽しめる「フジサン特急」に乗車したカップル。二人は終点の河口湖駅で降りるが、帰りの列車に乗ってきたのは女一人だけだった。消えた男は、そのまま失踪を遂げてしまう。彼は「日本ミステリーの会」というサークルの活動で、青木ヶ原樹海を調べに行ったらしいのだが……。さらに、サークルのメンバーの一人が殺害された! 十津川警部の名推理。
  • 野良女
    4.1
    恋だ! 仕事だ! 婚活だ! 彼氏いない歴2年の鑓水。年上社長と同棲中の朝日。遠距離恋愛に焦る壺井。DV男にハマる桶川。果てなき不倫に溺れる横山。彼女たちは悩めるアラサー女子「野良女」。今宵もお酒片手にあけすけなガールズトークに花咲かす。飲んで笑って、ちょっぴり泣いて――。アラサー女子のおかしくも切ない日々を軽快に描く連作小説。
  • 青い目の旗本 ジョゼフ按針(一)~衣笠の姫~
    4.0
    徳川家康が重用したイギリス人三浦按針(ウイリアム・アダムス)を父に、日本人を母にもつ三浦ジョゼフ按針。父亡き後、旗本の地位と領地、朱印状を継いだ。ある日、嵐により持ち船が難破、三浦半島に漂着したジョゼフは、その地を治める衣笠藩のお家騒動に巻き込まれる。背後にはジョゼフを追い落とそうとする老中の陰謀が……。破天荒な旗本の活躍を圧倒的スケールで描く、新たなる時代活劇!
  • ハートブレイク・レストラン
    3.7
    1~2巻550~660円 (税込)
    フリーライターの寺坂真以(てらさかまい)が仕事場代わりにしているファミリーレストランには、名探偵がいた。店の常連・ハルお婆ちゃんは、客たちが話す「不思議な話」を聞くと、真以を呼び寄せ、たちどころに謎を解いて見せるのだ。そんなお婆ちゃんにも、ある秘密があったのだが……。可愛くって心優しいお婆ちゃん探偵が活躍する、ハートウォーミングな連作ミステリー!
  • 花の棺
    3.6
    華道・東流の小川麻衣子が毒殺された! 京流の久条麗子とともに、華道界をになうホープだった彼女こそ、名探偵・キャサリンが華道を習うはずの人であった。真相を探るうち第二の殺人が……。巨大な女の帝国の、裏面に渦巻く、醜さ、欲望、そして殺意! 舞台は京都。大胆なトリックが冴えわたる、傑作推理小説。
  • 屍たちの領域~信州・金沢・東京殺人ルート~
    -
    恵まれない生い立ちの青年にとって、女子大生との同棲生活は夢のような日々だった。しかし、嫉妬から恋人を絞殺。あてもなく部屋を飛び出した彼の足は、いつしか駒ヶ岳へと向かっていた。そこに待ち受けていたさらなる悲劇の連鎖とは? 母が「鬼畜」と罵る父への憎悪が、人生の歯車を狂わせたのか? 逃亡者の心理に深く切り込んだ傑作クライムノベル!
  • あられ雪~人情処 深川やぶ浪~
    3.0
    うまい蕎麦(そば)を出すと評判の深川黒江町(くろえちょう)「やぶ浪」のあるじ浪介(なみすけ)は、元武士。わけあって蕎麦打ち職人となり、女房のおぎんと、小体(こてい)な角見世(かどみせ)を切り盛りしている。なじみの客に道場仲間だった同心や北町奉行がいることから、今日も事件が持ち込まれて……。情に厚い浪介は、仕事の合間の調べで、粋な解決へと導いてゆく。切なくも温かい時代小説の傑作が、ここに誕生!
  • 三毛猫ホームズの夏
    -
    明日から夏休み。だが、玉木リカの気持ちは晴れない。通信簿を両親に見せなければいけないのだ。「叱られないようにしてあげようか?」。セーラー服姿の少女が、リカに声をかけた――。その後、玉木家に空巣が入り大騒動に。たしかに、通信簿どころの話ではない!(「三毛猫ホームズの通信簿」)。プール、高原……。夏を舞台に、片山兄妹とホームズの推理が冴えわたる! 人気シリーズから厳選したベストセレクション第1弾!
  • ハイエナの夜
    -
    滝村薫平――元キックボクサー、現在自他ともに認める体力派カメラマン。離婚して、一人娘とは離れて暮らす。依頼されるのは、かなり“やばい”仕事ばかりだ。結果、ヤクザや暴走族に襲われたり、プロレスラーと闘うはめになったり、ときには、妖艶な美女に誘われたりもするが……。軽快な展開のなかに、男の悲哀を織り込んだ秀作6編。
  • 指宿・桜島殺人ライン
    -
    編集者の美緒(みお)は幼馴染(おさななじみ)の美由樹から相談を受けた。叔母の悦子が何かに怯(おび)えていると──。恋人・壮(そう)とマンションを訪ねた美緒たちは、悦子が襲われているのを目撃。部屋に急行するが、悦子はそれを否定する。同じ頃、奥多摩で死体が発見される。被害者は悦子の夫が副支配人の鹿児島西京ホテル、元社員。7年前、上司殺害の容疑をうけた者だった。2つの事件を結ぶ糸は!?
  • 尾道・鳥取殺人ライン
    -
    美しい砂丘の町で凶悪な殺人事件が発生。鳥取砂丘で発見された被害者は、笹谷美緒の女子大時代の友人だった。遺体そばの砂には「尾道」と推測される言葉を含むダイイング・メッセージが! 捜査陣は被害者の交友関係を洗い出し、二名の容疑者が浮かび上がったが……。ご存じ、壮&美緒コンビも事件解決に乗り出し、犯人の黒い企みと悲劇の真相に迫る!
  • ただ雪のように
    3.3
    兄夫婦が交通事故で死んだ。10年前、家出同然で単身ニューヨークへ渡った高森真琴は、一人残された姪と暮らすために帰国する。“雪のように色が白い小さな白雪姫”小雪と名付けられた赤ん坊は12歳。人眼を惹(ひ)く美少女に成長していた。その姿を思春期の自分と重ね合わせた真琴は嫉妬を感じて……。おとぎ話をテーマに家族の絆と女性心理を描くサスペンス。
  • 男女の交点
    -
    愛する男を見つける前に、肉体が成熟してしまう現代女性。友だちの恋人・早川淳に「処女を奪わないまま、最高の境地に到達させてあげる」と誘惑された真野志津子(まのしづこ)も例外ではない。肉体の欲求に抗(あらが)えない彼女は、官能の深みへと溺れていく……。巧みな語り口で織り成される物語──これは、著者から《現代の性》へのメッセージである。大好評「男女シリーズ」完結編!
  • 男女の接点
    5.0
    私は、今まで悦(よろこ)びの世界を知らなかった! 離婚間もない丸山由香は、親友・高見洋子の夫と陶酔の極みに溺れた。驚いたことに、由香に彼を推奨したのは、ほかならぬ洋子自身だった! 二人の痴態を眺めれば、自分も欲情すると洋子は言うが……。奇態としか思えない官能の世界を、そうと知りつつ貪(むさぼ)り尽くす人間の性。好評『男女の原点』に続く、実録的小説!
  • 甦れ 孔雀警視
    -
    石油採掘(さいくつ)権を売りつける詐欺(さぎ)会社に潜入して、その全貌を暴(あば)くよう指令を受けた、孔雀警視こと扇野笙子(おうぎのしょうこ)。持ち前の美貌と、得意の語学を駆使(くし)して核心に迫ろうとするが、副社長が何者かに殺され、焼死体で発見される。どうやら詐欺会社の逆利用を企む顧客がいるらしいのだが……。捜査は進展せず、犠牲者は続出する。孔雀警視が挑む最大の難事件!
  • リボルバー
    3.3
    ――あいつこんど会ったら殺してやる。まだまだぼくは怒りを憶えつづけなければならない。理不尽な暴力で、屈辱を味わった17歳の少年は、偶然実弾入りの拳銃を手に入れる。少年は決心し旅立つ。自分を叩きのめした男に「仕返し」をするために。――拳銃と職を失った元警察官は、少年の跡を追う。昔を忘れるために。スリリングな2000キロの旅の果てに待つのは!?
  • 取調室3~敵は鬼畜~
    -
    佐賀県鳥栖(とす)駅で、母を待つ少女・知香が保護された。不可解なことに、知香は三カ月前にも、男に東京から連れさられた後、同じ場所で母を待っていた。なぜ二度も少女は鳥栖に? 時を同じくして鳥栖市内で発見された無惨な焼死体は、知香の母・綾乃だった! 必死の捜査の結果、ある男を逮捕。佐賀県警の落としの達人・水木警部補と男の凄絶な死闘がいま、始まる!
  • 招かれざる客
    3.5
    事件は、商産省の組合の秘密闘争計画が、省側に筒抜けになっていて、スパイが発見されたことが発端だった。裏切り者の組合員と、彼の内縁の妻と誤認された女性が殺された。二つの事件の容疑者も事故で死んだ。事件全体に釈然としないものを感じた警部補。鉄壁のアリバイ。密室で姿を消した凶器。乱歩賞次席ながら世に出た、笹沢推理文学の輝ける出発点。
  • 取調室2~死体遺棄現場~
    -
    佐賀県有田町で女性の死体が発見された。現場での目撃証言から、不審な女性が別件逮捕される。被疑者・香山弓江は一世を風靡した美貌のスター歌手であった! だが、被害者との接点は皆無。“落としの達人”水木正一郎警部補の執拗な聴取にも、弓江は完璧な答弁を見せ、事件は暗礁に乗り上げた……。最新の科学捜査を駆使して捜査官と被疑者の死闘を描いた傑作。
  • 取調室~静かなる死闘~
    -
    佐賀市内のホテルで全国学生テニス選手権優勝者・小田垣悦也の撲殺死体が発見された。死体発見の数時間前、慌ただしく同ホテルをチェックアウトした父・光秀に疑惑が集まる。“取調べの神様”の異名を誇る水木警部補が登場! ところが、悦也の死亡時刻に光秀が北海道にいたという鉄壁のアリバイ! 敏腕取調官と冷徹な被疑者との息をのむ攻防。会心の推理傑作。
  • 飛鳥十字殺人事件
    -
    聖徳太子のガン死亡説を唱える学者夫妻が、それに反対する先輩と争い殺人を犯す、という推理小説『聖徳太子の謎』を書いた作家の山路(やまじ)が、雪の夜自宅で惨殺された。山路は先輩作家の吉岡に作品をけなされた直後で、凶器は吉岡所有の脇指であった……。巧妙なアリバイ・トリックと暗号を駆使した著者会心の本格ミステリー。
  • 謀殺指令
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    響三郎が久々に帰国した。世界中の殺人(ころし)のホシを追い、やっと得た休暇だ。だが東京も国際都市。ポルノ仕掛けのスパイ探索に乗り出していく。国際刑事警察(インターポール)・特別捜査官(スペシャル・エージェント)に安全はない。生命(いのち)がけの闘いが続き、さずがの響も、ついに敵の手に陥(おちい)る。犯人は彼を囮に原爆製造犯人の釈放を要求! いよいよ迫力を増す超アクション。
  • 殺意の法廷
    -
    福岡市のホテルの一室で、男女の死体が発見された! 被害者は、市会議員の乗松三喜夫とその愛人の広川朱美だった。将田検事指揮による捜査の結果、逮捕された男の名前に、朝日岳之助弁護士は衝撃を受けた。その男、野々口雄次は、かつての同僚の息子だったのだ。弁護を申し出る朝日。だが、なぜか雄次は心を閉ざす……。冤罪を憎む老弁護士の執念!
  • 夫婦岩殺人水脈
    -
    城ヶ島に漂着した段ボール詰めの男の死体。容疑者・山脇健介は島根で、焼殺体となって発見された。駆け出しのフリージャーナリスト・烏丸実果は、9年前、神戸の強盗殺人事件で死んだ男と山脇が同一人物であることを突き止めた。誰が山脇を二度殺したのか? 真相を目前にした実果に“夫婦岩のアリバイ”が立ちはだかる!
  • 青鳥
    3.8
    「幸福(シンフウ)を見つけておいで」爺爺(イエイエ)の思いを胸に、台湾から日本に戻った小〓(シャオウェイ、〓は草冠に「威」)を待っていたのは、会社の理不尽さ、外資系企業ならではの多様な文化の渦。幸福には程遠い日々。そんな中、EトレードのCD‐ROM制作の仕事に就くことになるが、トラブルの嵐で……。はたして、シャオウェイの「青い鳥」は見つかるのか!? 笑いあり涙あり。切なくも胸躍る痛快小説。
  • 飛鳥殺人事件~首の迷宮~(上)
    -
    警視庁殺人班の刑事・宇津木冬彦は、有馬安正の妻から、捜査依頼をうけた。有馬は、高松塚古墳研究のため、飛鳥に行くと言って家を出たまま消息を絶っており、また謎の男から、有馬は既に殺されているという電話があったというのだ。宇津木が有馬のマンションを訪ねたころ、高松塚の近くで、男の首なし死体が見つかった! 殺人事件と歴史の謎を絡めた傑作長編!
  • 人麻呂の悲劇(上)~「人麻呂・赤人同一人説」殺人事件~
    -
    文芸編集者・笹谷美緒のもとに、覆面作家・飛鳥彰から週刊誌連載の話が持ち込まれた。柿本人麻呂の秘密をめぐる鼎談(ていだん)のメンバーに指名されたのだ。さらに飛鳥から、24年前に失踪した人気作家・山岡竜一郎捜しの協力要請を受ける。飛鳥の仕事場を訪ねた美緒は、その正体を知り驚愕! そして、奇怪な殺人事件が発生! 歴史の秘密と作家失踪事件の謎を追う傑作長編!
  • 「邪馬台国(やまたいこく)の謎」殺人事件
    -
    九州肥後(ひご)市で、市長選候補者の大曽根英隆が毒殺された。遺跡群に建設予定の大レジャーランド推進派と対立していた彼は、手帳に邪馬台国(やまたいこく)に関する奇妙なメモを残していた。いったい何を伝えたかったのか!? 熊本県警から相談を受けた警視庁の勝刑事は、15年前に東京で起きた心中事件を思い出していた……。古代史最大の謎と密室トリックの究極の融合に挑む傑作長編!
  • 「法隆寺の謎」殺人事件~寝台特急「はやぶさ」180秒の逆転~
    3.0
    慶明大学の考古学研究室から、法隆寺研究の鍵を握る史料が盗まれた。笹谷美緒は、大学院生・手塚から一枚の写真を預かってほしいと頼まれる。だが、手塚は「法隆寺の真実とともに死すべきか」という言葉を残して殺され、写真は消えた! 続いて、寝台特急「はやぶさ」車内から、教授とみられるバラバラ死体が! 古代史の謎と壮大なトリックを融合した本格推理傑作。
  • 七十五羽の烏
    5.0
    旧家に起こった殺人事件は、千年も前に怨(うら)みを残して死んだ姫君の祟(たた)り!? 登場するのはまったくやる気のない探偵、ものぐさ、いや物部太郎(もののべたろう)――。作者は文中で(見出しも含めて)、ひとつも嘘をつきません。そして事件解決の手がかりは、すべて読者の前に明示されます。鬼才が精巧に練り上げ、フェアプレーの精神で読者へ挑戦する本格推理ファン必読の傑作!
  • 天魔の乱
    -
    天文三年、尾張織田家に男児が誕生した。幼名を吉法師(信長)。十四歳で初陣の後、うつけを演じながら異能を発揮し、人外の化生としての一端をみせる。父・信秀の死後、織田一族の抗争が激化。信長は弟・信行を謀殺して尾張を統一する。やがて尾張を狙う駿河の大守・今川義元の大軍勢が侵攻してきた……。歴史の闇に閉ざされた信長像に、新解釈で挑む異色時代長編!
  • 柳生秘帖(上)
    -
    神君・徳川家康の遺品、名刀・三池典太が、何者かに盗まれた。能楽宗家の嫡男にして柳生流の使い手・金春七郎は、名刀の行方と不穏な天下の形勢を探る旅に出る。家光の世にして、未だ基礎の固まらぬ徳川幕府。御三家でありながら将軍位に野心を抱く紀州の徳川頼宣。その頼宣の周辺には、天下転覆を謀る由井正雪や、柿色の衣姿の山伏たちが……。
  • 検察審査会の午後
    3.0
    「あなたは検察審査員候補者に選ばれました」高校教師・佐田のもとに届いた1枚の葉書。それは、検察官が下した不起訴処分の妥当性を市民が審査する日本独自の「陪審制」検察審査員の選任通知だった。落ちてきた突然の義務。佐田は、さまざまな事件に関わりながら、次第に興味を深めていく。「裁判員制度」時代に先駆けて名匠が描いた市民参加型司法推理の傑作!
  • 五十一番目の州
    -
    ジャーナリスト・海埜(うんの)は友人の新聞記者二人が、ワシントンとモスクワで死んだ事件に疑惑を覚えた。二人は米ソの国家機密に属する、とてつもない特ダネをつかんだのでは? それも日本の命運に関わるような!……。国際情勢分析の専門家が、冷戦時代の緊迫した世界に、“破局”を描いた情報小説の野心作!
  • 三十秒のラブ・ソング
    3.0
    あの最高にクールでかっこいい不良が帰ってきた! CFディレクター・流葉爽太郎(ながればそうたろう)は、ある事件のため3年も業界から遠ざかっていた。仲間たちと湘南へ移り住み、釣り三昧(ざんまい)の日々を送る爽太郎の元へ、とんでもなく危(ヤバ)い仕事が飛び込んできた──。洒落た会話に、胸のすくファイト、そして心に染みるとびきりの恋……。潮風の香り漂う待望のシリーズ!
  • 殺人熊~北多摩署純情派シリーズ4~
    -
    北多摩署・相馬刑事には、三年前、再会を誓った少女・坪山千江がいた。だが、約束の前日、千江は何者かに扼殺され、全裸死体で発見される!――ここ一年半も行方不明だった彼女に何があったのか? 相馬が不審な犯罪グループに気づいたころ、第二の殺人が起きていた! 熊が出没する福島・会津田代山で迎える衝撃のラストとは? 山岳を知悉する著者の会心作。
  • 蜂須賀小六(一)~草賊の章~
    5.0
    群雄割拠する濃尾の地に、頭角を現わした草賊・蜂須賀小六。いずれの勢力にも属さず、乱世を生き抜き東奔西走する小六父子が、秀吉を擁して天下取りの舞台で活躍する姿を描いた戦国歴史ロマン。〈全3巻〉
  • ひよりみ法師
    -
    浮気調査を依頼された〈壽屋(ことぶきや)〉の蒼生(あおい)。それを邪魔するように現れた老忍者は、大胆にも素顔と名前を明かして宣戦布告した。彼の真意は何なのか。そして、御城の家臣たちを次々に襲う不気味な突然死。五種類の薫りを操る〈日和見法師〉とは? 三仏の力を持つ明星天子とは何者なのか? 葵十手に迫る危険な罠。艶やかな薫りに彩られて、華麗な技が炸裂する!
  • まろばし牡丹
    -
    仲人(なこうど)かか・蒼生(あおい)が縁を取り持った御家人の妻・百合が、突如失踪した。懸命に行方を探す蒼生と相棒の真琴(まこと)たちは、大川の底に沈められた百合を発見する。遺体を引き揚げようとしたその時、妖しい大蛇が蒼生を急襲した! 事件の陰に蠢(うごめ)くのは〈忍非人(しびと)衆〉の刺客。謎の秘術〈転(まろばし)牡丹〉とは? 大好評、葵十手が悪を討つ!
  • 深雪の剣
    3.0
    江戸・根津権現の門前町。辻番所に集う三人の漢(おとこ)、留蔵、田部伊織、辻風弥十郎は、闇の内に悪を仕置きし、修羅場を潜り抜けてきた。郷里の元同士の追手をくらました弥十郎は、老練の剣客、久能新八の道場へ通い出していた。白熱する師弟の組太刀。ところが、久能を仇と狙う侍が現れて……(寒稽古)。水練を体得した弥十郎を巡る新たな展開。好評時代中編集。
  • 悪滅の剣
    -
    江戸市中の庶民をいたぶる悪党を、人知れず闇に葬る裏稼業。辻番所の老爺・留蔵(とめぞう)と辻謡曲の浪人・田部伊織(たべいおり)に、新たな仲間・辻風弥十郎が加わった。皐月、大川の川開きを心待ちにする留蔵を、旧知の陸尺(ろくしゃく)が訪れる。若い花火師を守ってほしいという。昨年も川開きを前に花火師が行方(ゆきかた)知れずになっていた(夢花火)。峻烈な剣戟、情緒あふれる江戸の風物詩。好評シリーズ中編集。
  • 人妻の試乗会
    -
    津雲雄平(つくもゆうへい)は、凄腕の自動車セールスマン。「趣味は人妻」の津雲は、上流夫人や富裕層の人妻をターゲットに、ナンバーワンの営業成績をあげていた。そんな津雲は、新車を売る際、必ず「試乗会」をすることにしている。サービスを行き届かせ、時として親しくなり、人妻に「試乗」するためである。まず初めの客は三十も半ばの勢津子(せつこ)。津雲は車を売るべく、二人で芦(あし)ノ湖(こ)に向かった。
  • 博多 秘愛の女
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    博多に出張した城東建設(じょうとうけんせつ)の企画営業課長・秋津悠一郎。彼は鴻之舞(こうのまい)興産の社長・絹絵から妖艶な裸体を投げ出され、盗まれた千利休の秘伝書『南方録(なんぽうろく)』を探してほしいと頼まれた。犯人は真珠名器の美女という。この依頼に鴻之舞興産との巨大事業提携がかかっている。いざ抱け! 秋津の名器探しが始まった。博多の女性はどんな味? 旅情溢れる書下ろしシリーズ。
  • 特命 秘術課長
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    「多重花弁を持つ主人の愛人を探して」。情事ののち、筆頭株主・織田富美子未亡人は甘い声で頼んだ。故・騎一郎専務が匿(かく)した機密文書発見の鍵を、その愛人が握っているというのだ――富美子の依頼は、特命危機管理課長・八雲省平にとって社命である。彼は、あまたいた専務の愛人を次々とベッドに誘うが……。男の夢がここに叶う! 現代を楽しく抉(えぐ)る傑作ロマン!
  • 密命 征服課長
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    城山悠介は、征服課長と呼ばれ出した。提携・売却の相談が後を断たない。相手は、ギフト会社、総合物産、ホテル経営者などで、魅惑的な未亡人や一人娘ばかり。財閥系・千代田実業の傘下(さんか)入りを望む。交渉はベッドで、「いいわ!」といわせてしまうこと。輸入業者の加入もあって城山の開発した食品会社、スーパーは、機動力を増した。爽快、男の夢を追うビジネス・ロマン!
  • もう一度、逢いたい
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    18年ぶりに訪れた故郷の田舎町で、ふとテレクラに入った私。そこで、知り合った女子高校生は、私に高校三年生のときの“初めての女性”を思い出させた。彼女に夢中でおぼれる私だが、その末に待っていたのは……。バーのカウンターで、コンビニで、ジェット機の操縦席で、病院で――。果たせなかった想いがあの人をこの世に引き戻す。せつなく哀しいホラー小説集。
  • 連合艦隊 大挽歌~新・太平洋戦記11~
    4.0
    武蔵、瑞鶴は、容赦ない敵の砲弾、魚雷を受け、すでにその姿を海中に消していた。そしてついに、連合艦隊の象徴と謳われた大和が、フィリピン海溝にゆっくりと沈んでいった。ここに、77年の歴史を誇る連合艦隊が消滅した。祖国のため、勇敢に散っていった英霊たちへの聖なる挽歌は、半世紀余ののちのわたしたち日本人の耳に、今も聞こえてくるはずだ。
  • 連合艦隊 大死闘~新・太平洋戦記7~
    -
    大和、武蔵ともに深傷を負い連合艦隊の行く手に暗雲が立ち込める。そんなとき、思わぬ獲物が向こうから飛び込んできた。暗号解読のミスから、マッカーサー大将の乗機B‐117が、零戦隊の真っ只中に迷い込んできたのだ。護衛のP‐38と零戦隊の激闘数刻、マッカーサー機はついに火を噴き、やがて、サンゴ海の海中へ姿を消した。劣勢挽回となるか、第7弾!
  • 連合艦隊 大奇襲~新・太平洋戦記1~
    -
    昭和16年12月8日、太平洋戦争の幕は開いた。猛将ハルゼー中将の米機動部隊は、小沢治三郎中将指揮の第一航空艦隊に挑む。だが、零戦を先兵とする帝国連合艦隊の前に、米艦船は海の藻屑と消えた。山本五十六大将率いる連合艦隊は、いまや太平洋の覇者であった。劣勢を覆すべく、秘策を受けた米機動部隊は犬吠埼沖に忍び寄る……。海戦大作第一巻。
  • 宇宙からの衝撃
    3.0
    ライターの西郷は、恋人・有里(ゆり)とともに、有里の兄を探し求めて木曽山中の町へ向かった。そこで彼は眩く光る円盤に出会うが、そこには変貌した有里の兄がいた! ロボットの“怪物”に襲われ円盤内に連れ込まれた西郷は……。この事件は、首都圏を舞台にした“一大パニック実験”なのか? 著者渾身(こんしん)の近未来サスペンス力作!
  • 魔海のヘリック
    -
    地球型巨大惑星アルゴスに人類が移り住んでから幾星霜。アルゴスの神ゼノスを父に、人間である王妃ルキアを母に持つ半神半人のヒーロー、ヘリック。彼は、このアルゴスのある謎を解き明かそうと、南冥海の果ての異境へと向かった。全人類が注目するこの世の涯への航海だったが、その前途には……!? SF冒険小説の旗手が放つ新英雄伝説!
  • 女医彩子の健康相談~衣食住からセックスまで~
    -
    新米(しんまい)女医の月丘彩子は、専門の医学について、逆に人生の先輩である患者さんから教えられることがある。古来の格言、生活の知恵には、現代医学でも立派に通用するものが多い。―─この本は、それらの健康に関する言い伝えを満載した。衣食住、育児、心やセックスに関することわざは、健康管理や病気予防の特効薬である。大好評“女医彩子シリーズ”特別版。
  • 偽装自殺の惨劇
    3.0
    事件は、大学生バンド『三角関数』の演奏中に起きた! 首吊り死体に扮したメンバーの西条が補助用の鎖を切られ死亡、小佐井も毒殺されたのだ! しかも切断された鎖の輪は消え、毒殺の方法もわからない。メンバーを知る霧村誠治助教授は独自に調査を進めるが……? 医学ミステリーの第一人者が二重三重のトリックを駆使してみせた、本格推理の傑作!(『二重殺人トライアングル』改題)
  • 琥珀枕
    3.8
    昔々、中国は東海郡藍陵(らんりょう)県。県令の子息、12歳の趙昭之(ちょうしょうし)は、徐庚(じょこう)先生の下で勉学に勤しんでいた。この先生、実はすっぽんの化身。その故か教育の術も独特、丘に登り市井の人事を観察させ世間を学ばせるというものだった。今日も2人が下界を覗き見ると……。不死の仙薬、人肉食、人面瘡。種々の怪異に、人々の欲が絡み事件は起きる。怪奇幻想ミステリー連作7編!
  • 安倍晴明・怪
    3.7
    超人的能力で平安京の政事(まつりごと)まで左右した陰陽師・安倍晴明。時の実力者・藤原道長の邸で盛大なる宴がひらかれた夜のこと。みな、桜梅少将こと藤原敦道の舞いと美貌に見惚れていたが……。ひとり晴明は面妖な気を察知した! 夜な夜な敦道の精気を奪う楓子(ふうこ)姫の正体は!? 紫式部ら歴史上の人物、晴明のライバル蘆屋(あしや)道満、そして魑魅魍魎が京(みやこ)に描く絢爛絵巻!
  • 連合艦隊大激闘~新・太平洋戦記4~
    -
    「餓島」と呼ばれたガダルカナル島の争奪戦が始まった。日本軍の総攻撃に対し、米海兵隊はあらゆる兵器を使って応戦。日本兵は戦友の屍を乗り越え、鬼神の如く突撃。その、人とは思えぬ形相に、米海兵隊員たちも恐怖の叫びを上げる。陸軍の辻政信参謀に直訴された山本五十六長官は、大和、金剛、榛名などの強力戦艦群の出動を決意。遂に大和の46センチ砲が火を噴く!
  • 弥太郎笠
    -
    通り名が、“日本差(りゃんこ)”の弥太郎。跳ねッ返りそうな小気(こき)のきいたやくざ渡世の旅烏(たびがらす)。そんな弥太郎が惚れた娘のために上州松井田宿で一暴れ(表題作より)。他に「次郎太川止め」など、計五編を収めた、痛快股旅(またたび)小説集!
  • サンセット刑事
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    奇観を誇る佐賀の『七ツ釜』で会社員・波多野仁の死体が発見された。かつては凄腕(すごうで)でならした末森刑事も捜査に加わる。現場に残された波多野の車から発見された6枚の写真……そこに写されていたのは、なんと末森の幼少時の恩人・菊池香織の一人娘・恵理子であった。著者のテーマである、「宿命のもつ恐ろしさ、奇怪さ」を集大成した、入魂の本格推理!
  • 桂離宮殺人旅情
    -
    新婚旅行で京都を訪れた新妻の夜里子(よりこ)が、桂離宮を見学した夜、謎の失踪を遂げた。唯一の手掛りは、彼女が残した一枚の紙片。夫・直道は、夜里子の親友・夏木梨香に異変を告げ、姉の香奈、さらには小早川警視正の協力を得る。やがて浮かんだ夜里子と伯父・中津原の不倫関係。だが、怪しいと睨んだ中津原が惨殺体で発見され、同じ場所からもうひとつ意外な死体が……。
  • 郷愁 サウダーデ
    -
    哀切なファドの調べが流れるポルトガル・リスボン。カメラマンの桑田は、南蛮屏風や螺鈿(らでん)細工などの撮影にやって来ていた。老いの入口に立つ彼の胸に去来するのは、あり得たかも知れないもう一つの人生。異国の地で思い惑う男の情感(表題作)。過ぎ去った時の重みを捨て去りかねて、最終幕への一歩手前でたたずむ男たち。そのうしろ姿を細やかに描く傑作短編集!
  • 林真紅郎(はやししんくろう)と五つの謎
    3.3
    林真紅郎、元法医学者。愛妻を事故で亡くしたのを契機に勤務先の大学を辞し、35歳の若さで「隠居」生活に入った。そんなある日、12歳の姪と行ったコンサートで事件は起きた。ステージ上のマジックで消えた女性が、トイレの個室で殴打された姿で発見される(「いちばん奥の個室」)。バラバラの謎が真紅郎の頭の中でシンクロするとき、一挙に〈事件〉は解決する! 本格推理の傑作。
  • 蚊取湖殺人事件
    3.1
    スキー場にやって来た慶子と美那。二人はゲレンデならぬ氷上で絞殺死体に遭遇してしまった。被害者の首には包帯が!? 警察は二人を疑っているらしい。そこで彼女たちは身の潔白を証明するため、スキー場で知り合った男と協力して犯人捜しを始めるが……(表題作)。「謎解き」「奇術」そして「伝統職人もの」、バラエティに富んだ泡坂マジック、巧みの世界!
  • 砂時計
    3.0
    親友に“離婚した女と一緒になってくれ”と頼まれたら……? 二見幸夫は、能勢陶吉の頼みを断われず、彼の元妻・波妙(はたえ)と奇妙な同居生活を始める。半月後、能勢は殺人容疑で逮捕された。波妙は「計画的犯行だった」と二見に告白。親友の確信犯的殺人の背後には何が……!?(表題作) 紋章上絵師、仕立職人、奇術師等々――奇才が仕掛けた綺羅星(きらぼし)の如く並んだトリック。哀歓漂う傑作選。
  • 夢の密室
    -
    来条美箱(らいじょうみはこ)は、就寝前に“カヴァハイ”という飲み物を飲んで不思議な夢をみた。ホテルの一室での密室殺人。しかも容疑者は、別れた夫・靖彦だった。彼の虚言癖が原因で別れたのだが、なぜか憎めない。靖彦が助けを求めてのテレパシーではないか、と感じた美箱は、謎解きを開始するが……(表題作)。鬼才が放つ、奇妙で不思議なファンタジック・ミステリー。
  • 王を探せ
    3.8
    だから、どの亀取二郎が犯人なんだ!?――その亀取二郎は、2年前の犯罪をネタに恐喝されていた。耐えきれず、彼は憎き強請(ゆすり)屋・木牟田(きむた)を撲殺する……。警察がつかんだのは、犯人が「亀取二郎」という名前であること。だが、東京都近郊だけで同姓同名が40名。やっと絞りだした数人は、みなアリバイをもつ、亀取二郎ばかり。鬼貫・丹那のコンビが捜査するなか、犯人は次なる兇行に及ぼうとしていた!
  • 死びとの座
    3.2
    一人めの被害者は、芸能人のミッキー中野こと秋葉原好一(よしかず)だった! 彼は東京・中野区の公園に置かれたベンチに座っているところを、拳銃で撃ち抜かれて息絶えていた。──捜査陣は、つぎつぎに出現する容疑者に困惑する。スチュワーデス、フリーのルポライター、ライバルの同業者たち……動機を持つ人物が多すぎるのだ。鬼貫(おにつら)警部は北へ西へと奔走し、彼らのアリバイ工作を崩そうとするが……。
  • 大奥梟秘帖
    -
    徳川十代将軍家治の暗殺事件を惹起した田沼意次。彼が権勢を誇る時代の賄賂と毒殺による、血にまみれた大奥の陰謀。それを察知した尼僧お庭番衆VS田沼一族、さらに大奥老女との暗闘。将軍と大奥女性との房中秘事や、世継ぎ誕生のからくりを記した『大奥梟秘帖』をめぐって、男と女が闘う狂乱の花模様。官能伝奇ロマンの極致を描く、尼僧お庭番シリーズ、遂に完結!
  • 龍馬の姉・乙女
    3.0
    安政四年。坂本のお仁王さまといわれた乙女が、藩医・岡上(おかのうえ)家の新甫(しんすけ)に嫁いだ。絵を描き、長刀(なぎなた)を使う大女の乙女と小男の新甫は、まさに蚤(のみ)の夫婦。長男・赦太郎(しゃたろう)も生まれ、姑とも上手くいっていた。ところが、長姉の突然の死、弟・龍馬の脱藩、さらには夫の不倫が発覚し、俄に乙女の身辺に変化が生じてきた。――龍馬の姉・乙女の実像。他一編収録。
  • 武田勝頼の正室(つま)
    -
    天正五年、十四歳の咲姫は、甲斐の太守(たいしゅ)武田勝頼に輿(こし)入れした。織田・徳川連合軍に大敗した武田は、甲相同盟の強化を計る。だが、やがて咲姫の兄・北条氏政が、勝頼との同盟を反古(ほご)にし、織田と同盟を結んだ。木曾義昌の謀叛、さらには武田一門筆頭の穴山梅雪の逆心と、名門武田氏は滅びの道を辿るが……。悲運の武将・武田勝頼を敬愛し、殉じた女の生涯を活写!(『涙、らんかんたり』改題)
  • ストレスパワー~プレッシャーが飛躍のバネになる~
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    ストレスは攻撃的ストレスと、逃避的ストレスとに分けられる。その蓄積によって起こる病気も異なる。また、仕事などをバリバリと熟(こな)していくうえでは、攻撃的ストレスは大いに有効となる。作家で、生物学を教える著者が、独自の体験をもとに、人体をマルチ的、マクロ的、トータル的に眺め、解説する画期的ストレス解消の手引書。
  • あの道この道
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    江戸時代には早漏も不能も存在しなかった? 将軍は皆そうだったという腎虚(じんきょ)とは。なぜ「相模(さがみ)女は淫乱」か。性の禁忌(きんき)、縁起、呪術(じゅじゅつ)とは。間男(まおとこ)の日仏に見る扱い方の違いは。……など。現在の川柳(せんりゅう)ブーム、その原点とも言うべき古川柳のばれ句を、一流の女性観で艶(つや)やかに解釈する、吉行流ばれ句の密(ひそ)かな楽しみ方。
  • 秘蔵の本~禁話のコレクション~
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    「ギザギザデコボコの効きめ」、「液体の保有量」、「ホステスたちにうける馬鹿ばなし」、「交わりの痕跡について」、「名器としての条件」、「外国女と寝る心得」、「オルガスムスを見分ける方法」など。――著者自ら猥本と称した『快楽の秘薬』の姉妹編。文壇一のエッセイの名手が、軽妙にもキワドク、性に迫る。
  • ひと足ずつ
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    「ひと足ずつ、ひと足ずつ」と自分の心に言い聞かせながら歩んできた幾歳月……。父を亡くして目覚めた社会観、子育てと女の自立の難しさ、友人、知人との心暖まる出会い、そして別れ、旅のひとコマなど、折りにふれて綴(つづ)った随想集。大地に足をつけて生きる著者が、女性としてのこまやかな観察眼で生みだした感銘深き1980年代刊の随筆集。
  • 胸より胸へ
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    「ここに集めた随筆類は、旅の思い出や友人のこと、わが家の日常生活から飼っているお猫さんたちのことにまでわたっており、文章にもほとんど気負いがありません。そういう文章ばかりですから、ひとりの女としてのわたしの胸の底の思いが、期せずして多く流露しているようです」(著者のことば)
  • 殿様ごっこ~酒場「デルタ」物語~
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    女と男が本音と嘘で化かしあう夜の銀座。酒場「デルタ」では今夜も“銀座の恋の物語”がくりひろげられる。――「夜分、お邪魔しちゃって」と妙なあいさつで、二人のお伴を従え、店に入ってきた若い男。この財閥の御曹司(おんぞうし)が、アルバイトホステスを見初めて大人の女に仕立てたのだが……。夜の修羅場(しゅらば)を四分の一世紀生きぬいた著者が描く、粋(いき)で悲しい大人の恋……。
  • 男の戸籍
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    『私は男が大好きである。人間としても、恋人としても、友人としても、夫・つばめ・間男(まおとこ)・旦那―あらゆる立場の、あらゆる表情の男が好きなのである。とにかく男大好き、男バンザイ! この本は、女好きのあなたに捧げる、男好きの女からの、ちょっと長めの内緒話である』(あとがきより)直木賞作家が贈る傑作小説集!(『浮気人間絵図』改題)
  • 半ダースもの情事
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    「脱ぐぞ」男はいきおいよく裸になり、今度は私の顔の上に馬のりになった。あかい口紅のままの私の唇に、ぐいと無理やり──女の怨念、女の献身、女の悲嘆、女の愛憎、女の倒錯……。銀座のママ、作詞家など波乱の人生体験をもつ著者が、はじめて女の側から“男と女の本音の世界”を描いた、切れ味するどいロマン傑作集!
  • 北太平洋の壁
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    アメリカ、シアトルで四人の日本人が射殺され、顔面を砕(くだ)かれた。彼らは、純金に絡(から)む大がかりな詐欺事件を日本で引き起こした企業の幹部らしい。日米の合同捜査が難航する中、捜査協力を依頼された極東航空機長、酒巻も独自の調査を始める。浮かび上がった容疑者は、犯行当時ヨットで北太平洋上にいた! 驚愕の犯罪計画と、壮大なアリバイ崩しに挑戦する渾身(こんしん)作!
  • ママ堂々としているよ~母と娘のふれあい学~
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    「人生八十年時代を迎えて親子関係にも締切りがある、ということを見据え、あの子なら手放しても安心、といえる子どもに育てること。それを軸に据えさえすれば、あとは自分の生きてきた人生の体重をかけて、自分流に育てればいい」(文庫版のためのまえがき)。親としてあるべき姿とは何かを探る、実体験を中心とした子育て論。
  • たった一度の女の人生
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    女の人生80年時代、“ついていく”だけでは女の人生は決して終わらない──ひとり歩きできる人間、一人でも楽しめる人間、一人でも困難を恐れぬ人間になったとき、夫や子どもを含めて、多くの人々の出会いはもっと豊かになるはずだ。自立とは孤立ではなく、連帯の母となるものだと思う(「あとがき」より)。
  • 結婚ぎらい
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    「二度と結婚せえへんデ。僕はもう、結婚はコリゴリやがな」倉田は、つくづくそう思う。惨憺たる結婚生活を解消すると、心から幸せになれた。しかも、若い女の子からも急にもてはじめ、別れた妻に「ざま見さらせ」といい気になったが……。《究極には男のキライなのは、「女」じゃないか》と考える著者が、七つの“キライ”をキツーイ筆致で描いた連作小説集。
  • 嫌 妻 権
    -
    “嫌煙席”ならぬ“嫌妻席”に男が座ったら……。妻が嫌いで、かくし部屋を持つ夫。離婚した後も、前の女房と安らぐ男。ワルイ女の子とつき合いながら、かえってワルイほうがたすかると思っている男。などなど……。男は女房(ヨメハン)のいないところで、いつも活躍している!? 中年男の哀愁と切なさを、飄々(ひょうひょう)と謳いあげる新夫婦七景!
  • 夢見指南~こうすれば自由自在に夢が見られる~
    -
    見たい夢を自由自在に見られたら、どんなに楽しいだろう――。1日24時間、平均すると、そのうち8時間は眠りに費やされている。この8時間が、単に元気回復だけのものでは、もったいない。睡眠には〈夢〉というまことに楽しい行為が付随するのだ! 推理作家の著者が、積極的に夢を楽しむためのコントロール術を伝授!
  • 善人は若死にをする
    3.0
    本書に収めた作品は、僕が十四歳から十七歳にかけて書いた小説だ。しかし、当時の僕が世の中に見い出した疑問点や矛盾点は、現在、解消されているかどうか? そう考えると、これらの作品は〔残念ながら〕ほとんど古びていないばかりか、むしろますます切実な内容とさえ思われてくるのである。〈著者のことば〉
  • 六十歳革命
    -
    現在、世間で通用している年齢感覚や価値観は、人の寿命が60歳までの時代のもの。今となっては過去の遺物だ。80歳時代の到来に合わせて、新しい価値観を見つけ確立しよう。本人が、「老いた」などと否定的な考えを持ったら、進歩発展は確実に止まる。──著者曰く自由業という純粋培養でいたからこそ見えてきた「人生六十代から」の論拠と、その生き方を示す注目の書。

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