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購入済み
魔法の杖
ヴィンセント、お疲れさま…。
大事な魔法の杖があんなことになって、
本当に気の毒です(笑)
最悪だけど、最高でもある?(笑)
オリアナも大人になるにはもう少し
時間がかかりそうだな。 -
Posted by ブクログ
「犬は人間の友なのだろうか。それはわからないけれど、人間は犬の友であらねばならない。そして、私はリッキーの友であり続ける!」
読みやすく、人間と犬の関わりを通して、人間の思い込みや第一印象の浅はかさを浮き彫りにした短編連作だった。
ペットを飼ったことのない私でも犬が欲しくなったし、ペットを家族と呼ぶ気持ちが少し分かったような気がする。
特によかったのは最初の短編。主人公が自分は犬のことを分かっていると思っていたところから、少しずつ自分の認識の間違いに気づいていく。そのたびに読者側の見方も修正されていく。こういう「最初に持っていた人物や物事への印象が、情報が増えるにつれて崩れていく」手法自体は決して新しいものではない。それでも非常によく効いていた。
二話目以降も、犬と人間の別の矛盾を見せながら、「分かったつもりになる人間」の危うさを描いていく。犬種、飼い方、自然保護など、自分の正しさを疑わない人間の姿が次々に出てくる。一部の自然環境活動家のような、理念を優先して現実の動物を見なくなる態度を殴り返すようなところには痛快さもあった。
そして、読み進めていくと、この連作の中心にはやはり「戦争」があることも見えてくる。
犬の歴史を描いているようで、人間が犬をどのように飼い、利用し、分類し、ときには切り捨ててきたのか。その変化の背景には、その時代の社会や国家、そして戦争がある。犬を通して近代から戦争へ向かっていく人間社会を見る構成になっていて、結局この人は犬を書きながら戦争を書いているのだと思う。
そこはやはり逢坂冬馬だと思った。犬との温かい交流だけに逃げず、その背後にある歴史や戦争まで持ってくる。
そして最終話では、黒人と日本人のハーフであるエディを登場させる。
ここで、犬に向けられていた「見た目や属性だけで相手を判断する愚かさ」が、人間同士の問題にまで広がっていく。過去の犬と人間の関係、戦争まで描いてきた前三篇を、現在の人間社会へつなげる狙いなのだろう。
この構成自体は分かるし、最終話も印象に残らなかったわけではない。
ただ、どうにも安っぽく感じた。
前三篇では、犬を見る人間の姿を通して、読者自身が「自分も思い込んでいたのでは」と気づかされる。その間接的なところがよかった。ところが最終話では、現代、差別、そしてエディという要素が前面に出てきて、「犬についてやってきた話を人間にも当てはめます」という作者の意図が急に見えすぎるように感じた。
テーマとしては間違っていない。だが、物語が弱く感じてしまった。
最初の短編があまりによかったせいもあると思う。最初の一篇だけで、「人間は勝手に分かったつもりになる」というテーマがかなり強く提示されている。その後も別の角度から同じ問題を描いていくのだが、最初の衝撃を更新するほどの一撃は最後まで来なかった。
もう一つ気になったのが、短編連作としてのつながり方。
前作『ブレイクショットの軌跡』でも感じたが、人物や出来事がつながっていること自体は分かる。ただ、「つながっていた」と分かることと、「この短編がここにあったから後の短編の意味まで変わった」と感じることは別だと思う。
今回は前作より自然になったと感じたが、それでもかなり恣意的にも見える。
犬の歴史、人間の思い込み、戦争、そして現代の差別へと一本につながっていく構成はよくできている。だが、あまりにもすべてが最終的なテーマへ向かうように配置されているため、「この人物がここにいたから自然につながった」というより、「ここにつなげるためにこの人物と出来事を置いた」という作者の手つきが見えてしまう瞬間があった。
戦争を中心に据えるために、それぞれの短編がそこへ集められていく。その設計の巧さには感心する一方で、設計図まで透けて見えてしまう感じがする。
もっと伏線回収でゾワッとするのか、構成そのものでもっと驚かせるのか。そこは分からないが、連作であること自体がもっと物語の力になってほしかった。
とはいえ、この本を単なる「犬っていいよね」というハートフルな小説で終わらせなかったのは、さすがだと思う。ほんとに唯一無二、スペシャルワンな作家だと思う。
犬と人間の温かい関係を描きながら、その裏にある支配、利用、善意の暴走、偏見、そして戦争までしっかり入れてくる。犬を好きになる話であると同時に、人間の愚かさまで見せてくる。その嫌な部分を切り落とさなかったからこそ、ただ優しいだけの犬小説にはならず、非常に重厚な小説になっていると思う。
私は逢坂冬馬の大ファンで、サイン会にも行くくらい好きだし、直木賞を取ってほしいと願っている。それだけに要求も高くなってしまう。
今回、伝えたいことが分からなかったわけではない。
犬を通して、人間の思い込み、善意、偏見、そして「分かったつもりになること」の危うさを描き、そのさらに奥には戦争という大きな問題を置いた小説だったと思う。
ただ、それを最後まで強烈な物語として残し切ったかと言われると、少し物足りなかった。構成が緻密だからこそ、逆に作者の意図が見えすぎてしまったところもある。
それでも、犬を飼ったことのない人間に「犬が欲しい」と思わせ、しかもそこで終わらず、人間の嫌な部分や戦争まで見せてきた。
その点は、同じ人間なのかと思うくらいずば抜けているというか何というか。超人すぎて、としか言い表せない。
いろいろモヤモヤしたところもあったが、読めてよかったと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「複雑系」入門
カオス、フラクタルから生命の謎まで
前々から興味があった複雑系に関しての歴史や主要なトピックスをまとめた入門書です。
著者が作家であるところが面白いです。
各トピックスを具体的に説明しつつ、主な研究者やそれらの理論が見いだされてきた経緯が記載されていて、初心者でも理解できると思います。
著者のあとがきで、「複雑系」に関して他の人と話すと否定されるか無視されると書かれていて、新しいパラダイムがポピュラーになるにはまだまだ時間がかかりそうと感じました。
「生命はカオスと秩序の縁の現象である。」
複雑系の研究が進み、生命現象が解明される日を夢見て読みました。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
古文の助動詞(本書では敢えて「助動辞」という名称を使う)を覚えるのに悩まされた自分としては、高校の時このような本に出会えていたらと思った。
助動詞の成り立ちについて、言葉の深層に迫り、解説してくれる。動詞「あり」が助動辞の成り立ちの根源であることがわかる。
例えば、「き(過去)+あり」から「けり」へ、「つ(完了)+あり」から「たり」へつながるなど、助動辞の成り立ちを考えることで、言葉が立体的に見えてくる。著者は「krsm立体」として、「き(過去)」、「り(現存)」、「し(形容)」、「む(推量)」という助動辞の核となる要素の組み合わせから、文法体系を考える。
現在の橋本文法を規範とした学校文法だけは言葉の芯に迫ることはできない。先人が「あり」を元にして、助動辞を作り上げていった思考を辿ることは無駄ではないはずだ。
無機質に「助動詞」を通り一辺倒に対応する意味だけで捉えることだけではもったいない。藤井文法の視点で血が通った言葉として捉えることで、あらためて先人が日本語を作り上げてきた英知の深さに恐れ入るばかりである。
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