鹿島茂のレビュー一覧
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著者の主力武器であるフランス第二帝政下万国博覧会に
渋沢栄一のパリ留学がとびこんできたことを掴んで
その面から明治維新の一面を照らす評伝
渋沢栄一の明治における活躍はサンシモン主義の影響下にあるという論証と
評伝としての構成が
かなりながめの連載作品ということもあってとりちらかっており
著者いつもの決めつけを隠さない書きぶりとか
小説風だったりする挿話場面を挟んでみたりだとか
いろいろ適当で繰り返しも多いが
そこが歴史読み物として魅力でもあるし評伝として欠点でもある
タレーランやナポレオン三世を描いたように
この作品も渋沢栄一を中心とした日本経済近代化物語としたほうが
まだまとまったと思うけれ -
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ネタバレブレーズ・パスカルは17世紀のフランスの数学者であり、哲学者です。パスカルの定理や、パスカルの原理といった自然科学分野でも大きな足跡を残すと同時に、「人間は考える葦である」といった有名な言葉でも知られています。
仏文学者の鹿島茂は、パスカルの哲学者としての思想のエッセンスをわかりやすく抽出しています。人間の考えるという行為が人間の尊厳の中心にある、と主張するパスカルの思考の背景を、彼のキリスト教への信仰から辿っています。
他にも、パスカルの言葉が随所に散りばめられています。
「人間のあらゆる不幸はたった一つのことから来ているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にじっとしたままではい -
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『英国マザーグース物語』を再読したので
『やる夫が鉄血宰相になるようです』を再読し
『やる夫で学ぶ第一次世界大戦』を再読しつつこれも再読する
ナポレオン三世はあんまり好きになれないが
フランツ・ヨーゼフ1世はいいよね
ヴィルヘルム1世もいいよね
ビィクトリア女王もいいし
ヴィルムヘルム2世も人間味があるね
ナポレオン三世はフランス近代化に功績があったことは間違いないし
イタリア戦争も普仏戦争もナポレオン三世でなかったからと言って
結果が変わったかどうかはわからないから
もっと評価されていいのはわかるが
嫌われるのもわからないでもない
2013/2/22
ナポレオン三世=フランス第二帝政
とす -
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トッドの家族人類学を基に、歴史と現代社会の背景を説明しようとするもの。特に、日本の直系家族の成り立ちと、その歴史を扱った章がおもしろい。新書なので内容は深くないが、トッドの家族人類学の奥深さは十分に伝わってくる。
中国の華北地方では、春秋戦国時代に直系家族が成立していた。直系家族は横に連帯して大きくなることはないため、小邦分立となる。大勢の騎兵を動かす匈奴が襲ってくると、秦の始皇帝は、大勢が協同する遊牧民のスタイルに父親の権威性を加えた共同体家族を確立させ、直系家族原理を撲滅するために焚書坑儒を行った。
外婚制共同体家族では、強靭な権力を持っている父親が亡くなると統率がとれなくなる。アッテ -
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1968年の学生運動にコミットした著者が、当時の若者たちがなぜ吉本隆明を支持したのかということを明らかにする試みです。
転向論や芥川龍之介論を読み解くことで、吉本の思想の中心概念である「大衆の原像」が当時の学生たちにどのような問題を投げかけたのかを解き明かします。その後、本書で著者がもっとも力を入れて論じている、『高村光太郎』の解読がつづきます。フランス留学時にロダンに触れることで掲示された「世界的普遍性」と、父・光雲によって象徴される「日本的特殊性」のあいだで苦悶した光太郎は、長沼智恵子との恋愛、結婚、セックスに「性のユートピア」を見いだし、それによって問題の解決を図ろうとしたと、吉本は考 -
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鹿島さんのこれまでに伝えてきた「ドーダ」という人間社会における起動力の重要な自己認知欲求の話を絡めながら、社会の変化にあわせた“新しい日本の道徳”の必要性を紹介、提案している本。一人ひとりが「正しく理解された利益」を自分の頭で考えられるようになることが大切と説いている。すなわち「自分だけの得」という短絡的でなく、少し譲って他人の得も残すことで、「自分の得」が得られるという社会契約の考え方が、今後の道徳の基底に求められているという考え方の紹介をしている。
最終章では、グローバル資本主義の弊害を緩和する方策として、金持ちの「ドーダ」心をいかす「寄付の金額番付の発表」を提唱しているが、実現したらよ -
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バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールの登場人物をガイドに19世紀のパリをガイドする。時代背景はナポレオン失脚後の復古王制から第二共和制を経て第二帝政のころ、18世紀後半にヨーロッパの文化の中心になっていたパリは人口も90万人を超えロンドンに次ぐ大都会になっていた。皇帝ナポレオン3世はオスマンにパリ改造計画を実行させ凱旋門から放射状に大通りが整備されるのだが、この本の主人公パリたちはパリ改造前のオシャレとはほど遠い小汚いごみごみした街から、アーケード付きのショッピング街やオープンカフェという現在につながるパリと両方を紹介している。
同時代の日本はどういう頃かというと江戸時代後期で寒冷化 -
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【本の内容】
普段は気にしない世の中の不思議―たとえば、女性の乳房はなぜ膨らんでいて、男性はそれに愛着を感じるのか?
セーラー服はなぜ日本にだけ定着し、根強い人気を誇るのか?
こうしたエロスに関する疑問はもとより、巷に溢れる「?」に、ムッシュー・カシマは乱読をしながらユニークな仮説を立てていく。
[ 目次 ]
SMと米俵
出世牛
セミとキリギリス
ビデ
皮と革
他人のくそ
由緒正しい競争
フロイトと「見立て」
牛肉食いvs.カエル食い
売られたエッフェル塔〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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オノレ・ド・バルザックのシニカルに満ちた役人論エッセイです。王政から民主政への過渡期の時代において、必然的に導入されることになった官僚制について、いち早くその本質を見極め、滑稽に描写したものになっています。
訳者の鹿島茂の指摘通り、官僚機構が非効率で無駄が多い理由として、バルザックは間接選挙で支配者が決まる民主国家そのものの構造にあるとしていて、「賞罰を心得た君主に仕える」のではなく、民主国家に仕えるということは、「すべての人びと」が主人である国家に仕えるということであり、それは「『だれにも』仕えないというに等しい」のであって、報酬と名誉が満たされない以上、だれだって真面目に働こうという気持ち