鹿島茂のレビュー一覧

  • 神田神保町書肆街考

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    今年、神保町では、3年ぶりに古本まつりを開催された。大勢の人が古本を手にとってパラパラめくっていた。







    そんな神保町を取り上げたのが今回の本だ。しかも著者は本好きで、様々な古い資料を集めていることで有名な鹿島茂。





    文庫というには分厚い766ページで、定価は2000円+税と他の文庫に比べて高い。




    神田神保町を取り上げようと思ったら200ページぐらいなんて済まないのだろう。





    神田という地名は、「むかし各国に一ヵ所ずつ大神宮の御供米を植える田が設定され、これを神田と称したので、武蔵国の供米田は即ち今日の神田にあったのである」と矢田挿雲『江戸から東京編(一)麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷』(中公文庫)から引用して説明している。




    今でも面影すら見られないが、そんな過去があったのか。




    古代は「神田」と書いて「みとしろ」と読んだ。「椿山荘」と書いて「ちんざんそう」と読むくらい難しいなあ。




    そして、「神保町」という地名は、「町名は表神保町北側にある『神保小路』に由来する。神保小路は、元禄二年(1689)に旗本の神保長治が小川町に屋敷地を拝領したことにより、このように呼ばれた」(北原進監修『大江戸透絵図 千代田から江戸が見える』「第二部 千代田区町名由来事典」)




    慶応二年(1865)の地図で「神保小路」に「表」と「裏」をつけた別の通りとして扱っていたそうだ。




    後に靖国通りになる細い通りが「裏神保小路」で、現在のすずらん通りがあるところが「表神保小路」だった。





    今では表と裏が逆転しているな。




    明治時代になりこの周辺にあった武家屋敷は、官有地になり、新しく太政官の役人になった人に住居として貸与されたり、払い下げられたりした。




    その中にあの「Eiichi. Sibusawa」がいた。渋沢栄一が買い取った新住居は、総坪数543坪というからなかなかの邸宅だ。




    現代ではどこに当たるのか著者が調べると、なんと地下に神田伯剌西爾という昭和レトロを感じさせる喫茶店のある小宮山書店から一誠堂書店の辺りまでがすべて渋沢の屋敷だった。




    現在の価格に換算すると2200万円くらいで売却されていた。




    ビッグになる人は違うなあ。





    本が集まり売って買う人がいないと商売は成り立たない。神保町が古本の街になったのは、大学、専門学校、予備校ができて、学生が集まり、本を売ったり買ったりする層が生まれたからだ。





    神保町の書店といえば、三省堂書店が浮かんでくる。現在、仮店舗で営業している。




    そんな三省堂書店は1881年(明治14年)に創業した。場所はこの前まで営業していたところで、古本屋から始まった。




    出版社では、有斐閣が1877年(明治10年)に創業した。




    そういえば、太平洋戦争時に神田神保町は、空襲で店舗が焼けなかった。




    植草甚一という古本好きの方が「植草甚一スクラップブック39 植草甚一日記」(晶文社)を出していた。そこでは1945年当時の神保町の様子が分かる。




    植草甚一は、足繁く神保町の古本屋に行って古本を買っていたことがわかる。古本と言っても洋書なのでビックリ。「鬼畜米英」と叫ばれていた時代にまさかに洋書を売っていた。




    植草は、8月14日という翌日に「玉音放送」で、終戦を国民が知らされる前日にも古本を買って、しかも銀座の東宝本社で、ナマ・ビールを相当飲んだそうだ。





    こんな時に生ビールを飲んでいたのもビックリだが、洋書を買うとは相当奇特な人と思わずにはいられない。





    当時、神保町の古本屋が洋書を売っているには理由があった。それは、1941年施行の公定価格令以来、和書は良書を手に入れるのが難しくなり、店先には駄本しかなかった。




    そうなると、公定価格のない洋書を目玉商品にせざるを得なかったようだ。




    この後もバブル期の地上げ、平成不況、読者層の減少などの厳しい時代を生き抜いてきた神田神保町。




    古本好きなだけに、これからどうなっていくのか気になるなあ。

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    2022年12月24日
  • 『パンセ』で極める人間学

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    ビジネス書ばかりでなく、たまには哲学もと思い。丁寧に解説してくれるので読みやすく少しだけパスカルを理解できました。

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    2022年11月14日
  • 『パンセ』で極める人間学

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    人間はすべて幸福になろうとしている。しかし、自然でいると不幸になってしまう。なぜなら幸福は願望が作り出すものであり、いつでもより幸福を作り出せてしまうから。

    気晴らしがなければ、王位であっても意味がない。
    その他の気晴らしを考える余裕がないほど忙しい仕事に必要がある。
    人が気晴らしをするのは、無為と倦怠に陥らないため。無為や倦怠は悲惨と絶望の源である。しかし気晴らしに耽っていると倦怠を乗り越える方法を見失う。=神の存在を信じてキリスト教徒になること。
    「ドーダ」理論=人は、他人から認められたい、褒められたい、という願望で生きていてそれ以外にはない。ただし子供からこれを奪ってはいけない。

    好奇心とは虚栄心にほかならない。他人に自慢をするためでなければ勉強も冒険も旅行もしない。純粋な好奇心は存在しない。

    人は人そのものを愛するのではなく、その性質、属性を愛するものである。

    自由な意志に基づいていない職業の選択もなじんでしまうのは、人には気晴らしが必要だからであり、仕事は格好の気晴らしになるからである。

    教養人=オットネム、と言われることが普遍的な美質である。専門バカにならないこと。
    同じ言葉でも並べ方で意味が変わる。

    未来だけが目的である、とすると将来生きることに希望を抱いている。現に幸福になることは放棄している。
    多数派に従うのは、正しいからではなく強力だからである。

    鎖につながれ死刑を宣告されいて自分の順番を待っている。これが人間のイメージである。
    人間は偉大であると同時に卑小である。
    理性しか認めないこと、理性を認めないこと、は両方とも行き過ぎである。

    神が存在するか否か。存在したらすべてを手に入れる。存在しなくても失うものはない。だから存在に賭けるべきである。
    クレオパトラの鼻、人間は考える葦、
    パスカルの定理、など。

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    2022年08月15日
  • 世界史に学ぶコロナ時代を生きる知恵

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    面白かった。出口先生のお話も鹿島先生のお話も、どちらも本当に興味深く、雑誌の対談を収録した100ページ足らずの本とはいえ、とても読みごたえがあった。このお二人で、もっと突っ込んだ内容の対談をまた読みたい。

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    2021年12月01日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

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    阪急や東宝の創始者である小林一三の生涯をまとめた一冊。章ごとにコンパクトにまとまっていて、随所に一三翁の日記などからのいろんな書物の引用もされていて、本人の考えも知ることができ、読みやすくて分かりやすかったと思います。第二次大戦前後に、大臣にも就任されていたことは、全く知りませんでしたし、阪急のイメージが強かったのですが、後半生はむしろ東宝の事業に注力されていたことも意外。80を超えてもなお、衰えぬ情熱はすごいと感じ入りました。

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    2021年11月09日
  • 堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤

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    ネタバレ


    第二章 堀田善衛が旅したアジア 吉岡忍
    p52
     これはもう本当に堀田さんの『橋上幻像』の世界です。次々に国家から逃れて、どこに自分の居場所があるんだと探しているうちに、通過してきた言葉どれも自分のものではなくなっている。

    第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎駿
    p152
     ですから僕が漫画を書いたり、何かを書く時にも、これはどういった意味を持っているのか、自分はどこまで見渡してこれを書いているのか、自分がどんなに善良にこれをやりたいと思ってやったことでも、その裏側にどういう意味があるのか、それが自分がどうしてやりたくなったのか、何によって自分は突き動かされているのか、突き動かされているものは本当にいいものなのか。

    p157158
     今もありありと覚えているのですが、『方丈記』をめぐって、企画検討会というのをジブリで開いた時に、「今はまだ、僕らは貴族の館の築地塀の中にいる。『どうもこの頃、給料の布をもらって売りに行っても、たいした粟が買えない』と、ぶつぶつ言っていたとしても、しょせん安全な築地塀の中にいる」と。「でも、そのうちだんだん築地塀が壊れるぞ。そうしたら舎人も持ち逃げするし、夜盗も入ってくる」などと話していたのです。


    池澤夏樹さんと宮崎駿さんの章に興味を持ち、読みました。宮崎駿さんのは2008年の講演の一部を文字にしたものみたいです。
    堀田善衛さんの著書は読んだことがありませんでしたが、『ゴヤ』は名前は知っていたくらい。ベトナム戦争中のベ平連の活動も今では想像もつかないくらい危険なものだったのかなと。
    戦争を目の当たりにしてきた作家と現代の作家には大きな隔たりがあるようにも感じています。もちろんそれは平和が長く続いている証拠で恵まれたことでもあります。
    昔、親戚の年配者の方と話しているときに「今の人間が戦争映画を作っても嘘っぽい。昔の戦争映画(戦争映画以外もですが)は全員が戦争なり空襲なり、飢えや貧しさを体験していた。だから目に宿っている光が違う。今の役者にあんな目はできない」と話していました。そのときはよくわからなかったけれど、今なら少しわかる気がします。
    国内の小説をあまり読まなくなっているのは、現代の物語が偽物とまでは行かないまでも、私小説的な閉じた方向にあるからなのかなと思ったりもします。それがつまらないわけではありません。ただ、広く深い世界に触れたときの、言葉にできないような気づきが宿っている作品は確かに存在します。宮崎駿さんの言うところのハッとさせられる。救われるような感覚。各識者が敬意を持って語っている本でした。

    内容はとても面白いのですが、2018年刊行のわりに、年代が年代なのか、対象のせいなのか、ホモソーシャルが過ぎる気もしました。

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    2021年11月08日
  • NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語

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     原作は未読で、ディズニー映画でのみ内容を知っている物語。カジモドが、美麗な大聖堂から外の世界への憧れを歌う朝のシーンが大好きな作品。好きすぎて新婚旅行の行き先の1つに加えたほど。
     アニメで知っていた気になっていたけれど、原作と内容がかなり違うことに驚いた。同時に、フロローがエスメラルダのショールを半ば愛おしげに扱うシーンで感じた疑問が解けた。隊長がなかなかのクズ男だったこともびっくり。
     ユゴーが、当時まだ存在していなかった映画的視点を小説に盛り込んでいるところなど、とても興味深い。これは原作をぜひ読まなければ。最後の建築様式の説明はあまり興味がなかったので眠くなってしまったが、テキストそのものがかなり面白く、100分de名著のおかげで読書の幅がかなり広がりそう。

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    2021年10月27日
  • [新版] 馬車が買いたい!

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    軽い気持ちで読んだ「『レ・ミゼラブル』百六景」があんまりに面白かったので、同じ著者のものから代表作を、ということで事実上の処女作を基にしたという本書をまず選んで読んでみた。
    序文で著者自身が書いているとおり、「処女作に向かって作家は成熟する」らしく、著者の基本的な趣味嗜好が現れた本なのだろうという印象を強く持った。それは何かと言うと19世紀フランス文学への憧憬ということに尽きる。バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールらの小説に登場する「我らが主人公(=パリの大学生たち)」がどうやってパリに上り、どう暮らしたかを膨大な資料から解析したというものである。本書のタイトル「馬車が買いたい!」は、これらの主人公がステイタスシンボルである馬車を未だ持たないため、馬車を持つ階級の人々を見上げたときにこみあげる「成り上がりたい!」という内心の叫びと同義なのである。そりゃどう転んだってスノブだ。
    そんな、私自身は全く興味を持ったことがない19世紀パリの様々な情報がひたすら続く本であるのに、それなりに面白く読めるからこの文章力はただ事ではない。あまつさえ読み終わる頃には19世紀パリ面白そうとか思うようになっているし、今まで1ミリも嗜好が動いたことのないバルザックさえ読んでみてもいいかなと思ったりしているから恐ろしい。
    それにしても馬車と一口に言ってもこんなに種類があって意味合いがあるということを初めて知った。19世紀パリには今後もそんなに興味はわかないと思うけど、映像作品では西洋時代劇をけっこう見るので、馬車にもちょっと注目して観てみたいと思う。

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    2021年10月18日
  • エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層

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    エマニュエル・トッドは、フランスの歴史人口学者・家族人類学者。1976年に、10-30年以内にソ連の崩壊を人口統計学的な手法で予想し、注目された。ソ連は実際に1991年に崩壊した。
    筆者の鹿島茂は、仏文学者で、明治大学教授。専門は19世紀のフランス文学。トッドの理論についての明治大学での講義や演習を書籍化したのが本書である。

    トッドは著作も多く、学問的には数多くの成果をあげているが、本書で主に説明されているのは、「4つの家族類型」という説明モデルである。
    縦軸に親子関係の強さをとる。縦軸の上が親子関係が強く、下が弱い。親子関係が強いとは、親子同居(必ずしも全員という訳ではない。例えば長男だけとか末子だけとか)が発生し、また親の権威が(少なくとも建前的に)強い。親子関係が弱い場合には、核家族が主要な形態となる。
    横軸に兄弟関係の平等さをとる。横軸の右側が兄弟関係が不平等、例えば、長男だけに相続が発生する。左側が兄弟関係が平等。
    上記のような縦軸・横軸を持つ表を書くと、4つの象限が出来る。
    第1象限は、親子関係強+兄弟関係不平等で、この家族の形をトッドは「直系家族」と呼ぶ。直系家族社会は、自民族中心主義・ファシズム的になりやすいとし、これにあてはまる国として、ドイツ・スコットランド・日本・韓国等をあげる。
    第2象限は、親子関係強+兄弟関係平等。「共同体家族」と呼ばれ、共産主義・一党独裁型資本主義をとることが多い。例としてはロシア・中国。
    第3象限は、親子関係弱+兄弟関係平等。「平等主義家族」と呼ばれ、共和主義・無政府主義をとりやすい。フランスのパリ盆地地方、スペイン中部、イタリア南部など。
    第4象限は、親子関係弱+兄弟関係不平等。「絶対核家族」と呼ばれ、自由主義・資本主義となる。イングランドや北アメリカ等があてはまる。
    トッドは、これらの家族システムこそが、社会の価値観を生み出すのであると主張した。

    本書は、この家族システムの解説と、その理論を用いて、世界史・日本史上の出来事に説明を試みると同時に、今後の世界についての予想を鹿島茂が述べる形で、構成されている。家族システムについての解説を読むのは初めてであり、興味深かった。
    また、今後の世界についての予想で、特に中国・ロシアにかかる部分が面白かった。中国・ロシアともに、「共同体家族」型であり、独裁政権のもとで、社会は安定しやすい。ロシアで言えば、スターリンの時代にソ連は発展し、その後、強い独裁政権が生まれない中で、ソ連は崩壊してしまう。崩壊後、プーチン独裁の時代になって、社会は安定し、経済も成長を始める。中国で言えば、共産党一党独裁、習近平の強権的な政治のもとで、中国経済は発展している。そこで問題は、当然、プーチンの後、習近平の後である。プーチンは1952年生まれ。習近平は1953年生まれ。まだ70歳前であるが、あと20年も30年もやれるわけではなく、彼らが亡くなった後、あるいは、失脚した後にどうなるのかに注目する必要がある、と筆者は説いている。

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    2021年09月27日
  • 文学的パリガイド

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    もう一度パリへ行けるとしたら、本書と、同じく鹿島さんの『パリのパサージュ』と高遠弘美さんの『物語パリの歴史』の三冊を持って行きたい。
    もし、そんな機会が訪れることがあるとすればだが…/

    なにしろ、目次を見るだけでわくわくする。

    「エッフェル塔あるいはアポリネール」、「シャン=ゼリゼあるいはプルースト」、「ノートル=ダム大聖堂あるいはユゴー」、「オペラ座あるいはガストン・ルルー」、「セーヌ川あるいはアナトール・フランス」、「パサージュあるいはセリーヌ」、「凱旋門あるいはモーパッサン」。

    この本からこれらの文学へ通ずる道が放射状に出ている。
    この本は、文学・歴史から見たパリのデッサンなのだ。/


    《底抜けに明るく、その屈託のなさで学生たちを魅了するグリゼット※注。今でも、カルチエ・ラタンを歩くと、カフェの窓辺にミミやルージェットが笑いながらこちらにほほ笑んでいるような気持ちになってくる。ラ・ボエーム伝説は「永遠に不滅」である。》(カルチエ・ラタンあるいはミュッセ)》
    ※注 グリゼット:お針子娘/


    《私がパリに行く目的はたいてい古書店巡りだから、宿を取るのは、古書店の多いサン=ジェルマン界隈、それも、リュクサンブール公園のまわりの小さな通りと決まっている。そのため、リュクサンブール公園を一日に一回は横切ることになるのだが、新緑の季節でも冬枯れの季節でも、その美しさはたとえようがない。
    中でも好きなのは、復活祭の時期に、樹々が、まるで合図でも受け取ったかのように一斉に新芽を吹き出して、公園全体を黄緑色に覆いつくす瞬間だ。このときには、おおげさではなく、生きていることの歓びを感じ、人間も植物と同じく自然の一部であることを実感する。ヘンリー・ミラーは「ニューヨークは大金持ちでも不幸だと思う町だが、パリは一文なしでも幸福だと感じる町だ」と言っていた。》(リュクサンブール公園あるいはジッド)/

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    2021年08月15日
  • 渋沢栄一「青淵論叢」 道徳経済合一説

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    道徳の教科書を読んでいるだが、東京商工会議所、東京海上等500社以上を立ち上げて、財を成さなかった人の言葉なのでスッと入ってくる。
    こういう考え方の人が経済団体のトップなら今のように役に立たない社外役員ばかり重んじて、全く機能しないガバナンス改革など起こらなかったと思う。

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    2021年07月30日
  • NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語

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    ミュージカルからこの作品に入って、より作品の細やかな事情なども知っておきたい派の人にとって、この本はとても参考になる。
    原作を読む前にこの本を読むことで、その背景だけでなく、キャラクター一人一人の魅力もはっきりと浮かんでくる。
    本書を読むと、自分の手と目で原作を読みたくなる。

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    2021年06月16日
  • 渋沢栄一 下 論語篇

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    ネタバレ

    NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一伝の下巻「論語篇」。ドラマチックな部分はほぼ上巻「算盤篇」に収められていて、「論語篇」では財界の大物となった栄一の中年から晩年に掛けての様々な仕事、政治や民間外交との関わりがテーマごとに描かれ、最後には渋沢の私生活、特に渋沢の女性関係や渋沢家の人びとのことが描かれています。産業人にも論語の必要性を主張しその地位確立に尽力した栄一も、美しい女性には滅法弱かったという一面を見てホッとするのは男なら誰でも納得してくれるのではないか。92歳まで精力的に活躍した栄一の物語を読むと、まだまだ自分もこれから志を持って生きいきたいという活力が湧いてくる、か。

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    2021年06月15日
  • パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ

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    おもしろかった〜
    男に貢ぐ女はどうしても体を売りがち、逆バージョンは何故ないに等しいのだろうか…って考えてしまった

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    2021年04月20日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

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    阪急、宝塚歌劇団、東宝、第一ホテル、日本軽金属を創り、後の東京電力である東京電燈を再建した、小林一三の半生について記された一冊。
    小林の「百歩先」を見通す先見の明と、人口学的視点に立った企業精神は比類なきものである。その思考のエッセンスとそこに辿り着くまでのプロセスについて詳細に描かれる。
    冗長な部分はあるが、概ね良書。

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    2021年03月20日
  • 渋沢栄一 上 算盤篇

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    お札の肖像画にも決まり、大河ドラマも始まった、日本資本主義の父・渋沢栄一の評伝。文庫だけどかなり分厚い。算盤偏(上)では、幼少期から幕末を経て、明治20年ぐらいまでを追っています。波乱万丈の時期だけに渋沢栄一の若き人生を辿るだけでも面白いのだが、本書は単なる伝記ではなく、本人に著者やら種々の資料から渋沢栄一の思想や人物像とその時代背景を追っているので、本書を読むと、近代の社会経済の発展、歴史について同時に学ぶことができる。特に本書では、幕末のパリ万博において渋沢栄一が出会ったサン・シモン主義なるものがに影響を与えたという視点が大きく解説されています。幕末日本というと、日本を中心に描かれることがほとんどだが、そのとき日本にやってきた欧米諸外国がどのような状況だったのかというのが同時に描かれているのがとても新鮮で、世界の歴史の一部として幕末日本を捉え直すことができる。

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    2021年03月11日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

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    フランスの哲学者にして数学者のパスカルの「死後、書類の中から発見された、宗教およびその他の若干の主題に、関するパスカル氏のパンセ(思索)」所謂「パンセ」のエッセンスを簡潔にまとめ、またその「パンセ」に関わるという物語によって、現代の問題に上手に当てはめて、より理解を促進してくれる体裁を調えている。
    それにしてもこの「パンセ」が、キリスト教護教論のためのものであっても、その人間の真理を冷徹に見透し、未定稿という体裁であったが、書き上げられ、時代を生き抜いた名著となり、現代人の悩みの根底にも通じていることをまじまじと思い知らされた。
    「人間のあらゆる不幸のたった一つのことから来ているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にじっとしたままいられないもいうことだ。」
    「虚栄というものは人間の心の中に非常に深く錨を降ろしている。だから、兵士も、従卒も、料理人も、港湾労働者も、それぞれに、自慢ばかりして、賛嘆者を欲しがるのだ。さらに哲学者たちも、称賛してくれる人が欲しい。」
    「人間の最大の卑しさは、名声の追求にある。…人は、人々から尊敬されていなければ満足できないからだ。」
    まさに確信を得ている言葉であろう。時代を得てもそう思うからこそ名著なのだ。

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    2021年03月09日
  • パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ

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    19世紀パリに存在した「メゾン・クローズ」の歴史解説本。日本の吉原や島原と違って街中でひっそり営業する形が基本で、パリと地方で若干違ったり館やシステムの構造などが読める。またフランス文学に出てくる娼婦の姿なども紹介される。

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    2021年02月23日
  • 勝つための論文の書き方

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    大学の頃先生に、卒論を書く前に読むと良いよとオススメされたので読みました
    読みやすくて内容も面白かったです
    その甲斐あってか優秀卒業論文に選ばれたので、読んでよかったです

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    2021年01月14日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

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    2020/11/21 15:05
    楠木健さんがその著書で勧められていたので興味があって、近く読んでみたいなと思っていた本だったが、まぁ偉大な人たちには共通してなのか、この小林さんは人口増加があって、でもそれを活かしきれない人が数多いる中で活かし切ったところに凄さがあるんだろうな。
    それにしても、電鉄から始まって、不動産、電力、宝塚、阪急ブレーブス、そして政治家にもなって、東宝…

    一に洞察力、そして実行力に決断力。
    人情的なところも、やっぱりすごくあって、奥さんに娘さん、長男もそうだしな、部下にも上司にも本当に人間臭いというか。

    あの松岡修造も、縁があったんだな。次男の次男のそのまた次男が彼だそうだ。

    いずれにしても面白かった。

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    2020年11月21日