鹿島茂のレビュー一覧
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人間はすべて幸福になろうとしている。しかし、自然でいると不幸になってしまう。なぜなら幸福は願望が作り出すものであり、いつでもより幸福を作り出せてしまうから。
気晴らしがなければ、王位であっても意味がない。
その他の気晴らしを考える余裕がないほど忙しい仕事に必要がある。
人が気晴らしをするのは、無為と倦怠に陥らないため。無為や倦怠は悲惨と絶望の源である。しかし気晴らしに耽っていると倦怠を乗り越える方法を見失う。=神の存在を信じてキリスト教徒になること。
「ドーダ」理論=人は、他人から認められたい、褒められたい、という願望で生きていてそれ以外にはない。ただし子供からこれを奪ってはいけない。
好 -
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ネタバレ
第二章 堀田善衛が旅したアジア 吉岡忍
p52
これはもう本当に堀田さんの『橋上幻像』の世界です。次々に国家から逃れて、どこに自分の居場所があるんだと探しているうちに、通過してきた言葉どれも自分のものではなくなっている。
第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎駿
p152
ですから僕が漫画を書いたり、何かを書く時にも、これはどういった意味を持っているのか、自分はどこまで見渡してこれを書いているのか、自分がどんなに善良にこれをやりたいと思ってやったことでも、その裏側にどういう意味があるのか、それが自分がどうしてやりたくなったのか、何によって自分は突き動かされているのか、突き動 -
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原作は未読で、ディズニー映画でのみ内容を知っている物語。カジモドが、美麗な大聖堂から外の世界への憧れを歌う朝のシーンが大好きな作品。好きすぎて新婚旅行の行き先の1つに加えたほど。
アニメで知っていた気になっていたけれど、原作と内容がかなり違うことに驚いた。同時に、フロローがエスメラルダのショールを半ば愛おしげに扱うシーンで感じた疑問が解けた。隊長がなかなかのクズ男だったこともびっくり。
ユゴーが、当時まだ存在していなかった映画的視点を小説に盛り込んでいるところなど、とても興味深い。これは原作をぜひ読まなければ。最後の建築様式の説明はあまり興味がなかったので眠くなってしまったが、テキストそ -
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軽い気持ちで読んだ「『レ・ミゼラブル』百六景」があんまりに面白かったので、同じ著者のものから代表作を、ということで事実上の処女作を基にしたという本書をまず選んで読んでみた。
序文で著者自身が書いているとおり、「処女作に向かって作家は成熟する」らしく、著者の基本的な趣味嗜好が現れた本なのだろうという印象を強く持った。それは何かと言うと19世紀フランス文学への憧憬ということに尽きる。バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールらの小説に登場する「我らが主人公(=パリの大学生たち)」がどうやってパリに上り、どう暮らしたかを膨大な資料から解析したというものである。本書のタイトル「馬車が買いたい!」は、 -
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エマニュエル・トッドは、フランスの歴史人口学者・家族人類学者。1976年に、10-30年以内にソ連の崩壊を人口統計学的な手法で予想し、注目された。ソ連は実際に1991年に崩壊した。
筆者の鹿島茂は、仏文学者で、明治大学教授。専門は19世紀のフランス文学。トッドの理論についての明治大学での講義や演習を書籍化したのが本書である。
トッドは著作も多く、学問的には数多くの成果をあげているが、本書で主に説明されているのは、「4つの家族類型」という説明モデルである。
縦軸に親子関係の強さをとる。縦軸の上が親子関係が強く、下が弱い。親子関係が強いとは、親子同居(必ずしも全員という訳ではない。例えば長男だけ -
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もう一度パリへ行けるとしたら、本書と、同じく鹿島さんの『パリのパサージュ』と高遠弘美さんの『物語パリの歴史』の三冊を持って行きたい。
もし、そんな機会が訪れることがあるとすればだが…/
なにしろ、目次を見るだけでわくわくする。
「エッフェル塔あるいはアポリネール」、「シャン=ゼリゼあるいはプルースト」、「ノートル=ダム大聖堂あるいはユゴー」、「オペラ座あるいはガストン・ルルー」、「セーヌ川あるいはアナトール・フランス」、「パサージュあるいはセリーヌ」、「凱旋門あるいはモーパッサン」。
この本からこれらの文学へ通ずる道が放射状に出ている。
この本は、文学・歴史から見たパリのデッサンなのだ。 -
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ネタバレNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一伝の下巻「論語篇」。ドラマチックな部分はほぼ上巻「算盤篇」に収められていて、「論語篇」では財界の大物となった栄一の中年から晩年に掛けての様々な仕事、政治や民間外交との関わりがテーマごとに描かれ、最後には渋沢の私生活、特に渋沢の女性関係や渋沢家の人びとのことが描かれています。産業人にも論語の必要性を主張しその地位確立に尽力した栄一も、美しい女性には滅法弱かったという一面を見てホッとするのは男なら誰でも納得してくれるのではないか。92歳まで精力的に活躍した栄一の物語を読むと、まだまだ自分もこれから志を持って生きいきたいという活力が湧いてくる、か。
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お札の肖像画にも決まり、大河ドラマも始まった、日本資本主義の父・渋沢栄一の評伝。文庫だけどかなり分厚い。算盤偏(上)では、幼少期から幕末を経て、明治20年ぐらいまでを追っています。波乱万丈の時期だけに渋沢栄一の若き人生を辿るだけでも面白いのだが、本書は単なる伝記ではなく、本人に著者やら種々の資料から渋沢栄一の思想や人物像とその時代背景を追っているので、本書を読むと、近代の社会経済の発展、歴史について同時に学ぶことができる。特に本書では、幕末のパリ万博において渋沢栄一が出会ったサン・シモン主義なるものがに影響を与えたという視点が大きく解説されています。幕末日本というと、日本を中心に描かれることが
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フランスの哲学者にして数学者のパスカルの「死後、書類の中から発見された、宗教およびその他の若干の主題に、関するパスカル氏のパンセ(思索)」所謂「パンセ」のエッセンスを簡潔にまとめ、またその「パンセ」に関わるという物語によって、現代の問題に上手に当てはめて、より理解を促進してくれる体裁を調えている。
それにしてもこの「パンセ」が、キリスト教護教論のためのものであっても、その人間の真理を冷徹に見透し、未定稿という体裁であったが、書き上げられ、時代を生き抜いた名著となり、現代人の悩みの根底にも通じていることをまじまじと思い知らされた。
「人間のあらゆる不幸のたった一つのことから来ているという事実を発 -
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2020/11/21 15:05
楠木健さんがその著書で勧められていたので興味があって、近く読んでみたいなと思っていた本だったが、まぁ偉大な人たちには共通してなのか、この小林さんは人口増加があって、でもそれを活かしきれない人が数多いる中で活かし切ったところに凄さがあるんだろうな。
それにしても、電鉄から始まって、不動産、電力、宝塚、阪急ブレーブス、そして政治家にもなって、東宝…
一に洞察力、そして実行力に決断力。
人情的なところも、やっぱりすごくあって、奥さんに娘さん、長男もそうだしな、部下にも上司にも本当に人間臭いというか。
あの松岡修造も、縁があったんだな。次男の次男のそのまた次男が彼