鹿島茂のレビュー一覧

  • かの悪名高き十九世紀パリ怪人伝(小学館文庫)

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    十九世紀のフランスの新聞に関わった方々の評伝。
    なんてこの時期、強烈な個性の人物が多いのでしょうか。
    もっとも、成り上がっていくのには、
    ぶっとい根性と運、頭の切り替えの早さとアイディア。
    それに押しと自己主張!
    ほとんどが貧乏で地位も無い人ばかり。
    でも、自分と手がけた出版物の名前を残すのですから、スゴイもんなのです。
    大衆紙、風刺、通信社・・・今では当たり前にあるモノの
    ルーツがここに始まる!といった感じです♪

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    2017年10月14日
  • エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層

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    トッドの家族人類学を基に、歴史と現代社会の背景を説明しようとするもの。特に、日本の直系家族の成り立ちと、その歴史を扱った章がおもしろい。新書なので内容は深くないが、トッドの家族人類学の奥深さは十分に伝わってくる。

    中国の華北地方では、春秋戦国時代に直系家族が成立していた。直系家族は横に連帯して大きくなることはないため、小邦分立となる。大勢の騎兵を動かす匈奴が襲ってくると、秦の始皇帝は、大勢が協同する遊牧民のスタイルに父親の権威性を加えた共同体家族を確立させ、直系家族原理を撲滅するために焚書坑儒を行った。

    外婚制共同体家族では、強靭な権力を持っている父親が亡くなると統率がとれなくなる。アッティラ帝国、モンゴル帝国、キプチャク・ハン国などが君主の崩御から瞬く間に解体したのは、息子たちによる分割相続の伝統によるところがある。

    絶対核家族のイングランドでは、親子の絆は強くなく、相続も金銭解決されるほどのため、農民と農地との関係が弱い。そのため、羊毛生産のために囲い込みが起きると農地を持たない農民は工場労働者になりやすかった。イングランドは、直系家族で教育熱心なスコットランドと同君連合を組んだことにより、絶対核家族の自由、独立、競争と直系家族の知性とが結合することにより、イギリスの偉大な18世紀を用意した。

    フランスは、言語も文化も全く異なる地域の寄せ集まり。教育熱心で勤勉、忠実な直系家族地帯を抱え込み、官職売買の制度を利用することによって中央集権官僚組織を形成することができた。平等主義核家族のパリ盆地と直系家族の周辺部との対立は、今日まで引き継がれている。フランスは、脱宗教的で民主主義的な共和国であることを憲法にも明記しており、宗教や出身国籍による中間団体を認めていないため、イスラムの風習に対しても厳しい態度をとる。

    直系家族が解体すると、スーパーファーザーのような存在を求めるため、ファシズム発生の背景となる。

    内婚制共同体家族では親族結婚が行われるため、女性の識字率が上がり、学歴がつくと共同体から出ていくことになるので反発が強い。

    男性の識字率が50%を超えると社会変革への気運が生まれる。15歳から29歳までの男性の人口に占める割合が30%を超えると、革命や騒乱の要因となる(ユース・バルジ)。女性の識字率が50%を超えると出生率が下がり、社会が近代化して安定する。直系家族や絶対核家族では、兄弟のうち一人が優遇されて財産を独り占めするため、その嫁は夫と同じくらいに地位が高くなる。平等主義核家族や外婚制共同体家族では女性の地位が低いため、出生率が高いまま人口が増加していく。

    日本では、古くは双処居住型核家族だったが、11〜12世紀に農地の拡大が限界に達して分割できなくなったため、一子相続の直系家族になった。畿内で長男相続の直系家族形態が完成すると、武士も制度として取り入れ、将軍を権威の頂点とする直系家族社会が生まれた。家からはじき出されるようになった次男以下は、寺社に入って自衛のために武装する僧兵となったため、戦国時代まで寺社が勢力を増していくことになった。三重、和歌山、高知、鹿児島などの西南日本では直系家族は広がらず、双処居住型核家族の変形である末子相続が多く残った。人口は流出することなく、兄弟の序列化は強くないため横の連帯意識が強いことが、同じ志を育みあい、革命集団となって明治維新を導いた。1910年頃に出生率が最も高くなってユース・バルジが生じ、その世代が社会の中核となる1930年頃から混乱の時代を迎え(1932年に5.15事件、1936年に2.26事件)、戦争に突入していった。戦後の占領下でマッカーサーは、諸悪の根源とみなした直系家族の原理を否定して核家族の原理に変更させる政策を実行し、民法でも家督相続を廃止させた。しかし、占領が終わると、企業や官僚組織などでは直系家族的組織運営が復活した。戦後に大学に進学し、60年代の学生運動を担ったのは、直系家族の次男以下がほとんどだった。

    著者は、近年の日本会議などの動きをあげて、日本は「放っておくと直系家族になる」と書いている(疑問文ではあるが)。確かに、多くの企業などの組織が直系家族的(トップダウン型)ではあるが、家族そのものは核家族化している。農業以外の労働者が大多数になり、少子化も進んでいるから、分割相続ができない家族は少なくなっているだろう。ならば、平等の概念は広がってゆき、権威主義的な考え方は萎んでいくのではないだろうか。核家族化が進行する以前に育ち、直系家族を理想と考える世代が少なくなってゆけば、核家族型の個人主義的な社会に変化していくのではないかとも思うのだが。

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    2018年10月31日
  • エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層

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    めちゃくちゃわかりやすい!
    世界のニュースの的確な予想をし、予言、とすら言われるトッドの発言が、非常に地に足のついたデータの分析によってもたらされているものだということがよくわかります

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    2017年09月21日
  • 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史

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    パリについての紀行文なら、鹿島茂氏が第一級。何より、詳しいし、文章も上手い。
    但しこの本は、筆者が少し構えて、研究者の側面を前に出した本格本。ナポレオン三世については、ちゃんとした本がないので、貴重な良書だ。以下別途

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    2016年10月02日
  • 吉本隆明1968

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    1968年の学生運動にコミットした著者が、当時の若者たちがなぜ吉本隆明を支持したのかということを明らかにする試みです。

    転向論や芥川龍之介論を読み解くことで、吉本の思想の中心概念である「大衆の原像」が当時の学生たちにどのような問題を投げかけたのかを解き明かします。その後、本書で著者がもっとも力を入れて論じている、『高村光太郎』の解読がつづきます。フランス留学時にロダンに触れることで掲示された「世界的普遍性」と、父・光雲によって象徴される「日本的特殊性」のあいだで苦悶した光太郎は、長沼智恵子との恋愛、結婚、セックスに「性のユートピア」を見いだし、それによって問題の解決を図ろうとしたと、吉本は考えました。そこには、西洋的な教養に生きる個人と、彼の生活を支えてくれた「家」との葛藤という、近代日本の伝統的な問題と密接に結びついていることが見てとられます。

    しかし、やがて智恵子との生活は破綻し、「世界的普遍性」と「日本的特殊性」の矛盾を彼女との生活という「自然」において止揚することをめざした光太郎のもくろみは挫折することになります。その結果、彼は大東亜戦争の肯定という道へ進んでいくことになります。

    著者は、吉本の高村光太郎論を紹介するとともに、そうした吉本の問題意識が、郷里の親たちの期待を受けて大学に入学しながら、マルクス主義の説く革命に自分自身の理想を重ねあわせようとした当時の学生たちを動かしたことを指摘しています。

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    2017年11月30日
  • 進みながら強くなる――欲望道徳論

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    鹿島さんのこれまでに伝えてきた「ドーダ」という人間社会における起動力の重要な自己認知欲求の話を絡めながら、社会の変化にあわせた“新しい日本の道徳”の必要性を紹介、提案している本。一人ひとりが「正しく理解された利益」を自分の頭で考えられるようになることが大切と説いている。すなわち「自分だけの得」という短絡的でなく、少し譲って他人の得も残すことで、「自分の得」が得られるという社会契約の考え方が、今後の道徳の基底に求められているという考え方の紹介をしている。

    最終章では、グローバル資本主義の弊害を緩和する方策として、金持ちの「ドーダ」心をいかす「寄付の金額番付の発表」を提唱しているが、実現したらよいグッドアイデアであると思った。

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    2015年04月21日
  • [新版] 馬車が買いたい!

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    バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールの登場人物をガイドに19世紀のパリをガイドする。時代背景はナポレオン失脚後の復古王制から第二共和制を経て第二帝政のころ、18世紀後半にヨーロッパの文化の中心になっていたパリは人口も90万人を超えロンドンに次ぐ大都会になっていた。皇帝ナポレオン3世はオスマンにパリ改造計画を実行させ凱旋門から放射状に大通りが整備されるのだが、この本の主人公パリたちはパリ改造前のオシャレとはほど遠い小汚いごみごみした街から、アーケード付きのショッピング街やオープンカフェという現在につながるパリと両方を紹介している。

    同時代の日本はどういう頃かというと江戸時代後期で寒冷化に入り天保の大飢饉、大塩平八郎の乱といった騒動から1853年のペリー来航により明治維新になだれ込むという時期だ。文化的には江戸を中心に歌麿や写楽、北斎の浮世絵が人気を博したころだ。

    主人公たちの多くは地方からパリで一旗揚げるためにやってきた。乗り合い馬車であるいは徒歩で、そして19世紀後半には蒸気機関車で。社交界にデビューするには先ずは服装を揃え、馬車で乗り付けなければ女性たちに相手にされない。19世紀のパリにおける馬車は現代のメルセデスやクルーザーという様な金持ちのステイタスシンボルだった。馬車だけでも高いのに、御者や従者を雇い、馬を飼わないと行けない。そして馬車はTPOによって使いわけるものなので昼間のデートにはオープンのカレーシュ、夜の晩餐会には有蓋のベルリーヌと使い分けるのだ。「馬車が買いたい!」と言うのは浜省が歌う「純白のメルセデス、プール付きのマンション、最高の女とベッドでドン・ペリニヨン」といった様な意味だ。

    この本は著者が注釈そのものを本にしたかったと書いているが、「地球の歩き方@19世紀のパリ」といったおもむきだ。生活費がどれくらいかかるか、パンの値段とバイトの時給の比較があったりとか、安い料理屋からグルメガイドなんでもありだ。当時のパリでは毎日食事を食べさせる定額の定食屋があり、中には宿泊がつくものもある。食事付きの宿ではなくで食事がメインで宿がついてくるのだ。例えば1本のパンを盗んで逮捕されたジャン・バルジャン、当時のフランス人は平均でパンを1Kg食べていたというのだが、1本250gのパン4本で約6スーだ。肉体労働で2〜3時間分の給料に該当し、彼が枝切り職人として働く日給24スーで買えるパンは4Kg、それで大人二人と子供7人の家族を食べさせる。当時の貨幣を現在の価値になおすと1840年を基準にすると貨幣価値が33倍となり2スーが3.3フラン、日本円にしておよそ100円だ。ジャン・バルジャンは日給1200円で暮らしていて1本100円のパンを盗んで19年間服役したことになる。1フラン=20スー=今の1000円という換算だ。

    学生街カルチエ・ラタンの最低の食堂で1食15スー、市場の屋台で買い食いするなら1〜2スーでジャガイモやスープで飢えを凌げる。同じくレ・ミゼラブルのマリユスはパリの外れにあるゴルボー屋敷というぼろ屋敷に通常の1/12ほどの家賃30フラン(=約3万/年!)で住み、食費は1日1フラン、掃除代が月2フラン、衣料費が年150フランで洗濯代が年50フランと何と家賃よりも高い。当時のパリに既製服はなく仕立てになるので古着以外の服は高い。そして水道がないので洗濯は業者に出すしかないのだ。そしてマリユスの光熱費は何とゼロ。夜はカフェやレストランで外食と少し贅沢をする代わりにずっと粘っていればろうそく代と薪代を節約できる、家に帰れば寝るだけだ。ほかに読書室という定額で新聞や本が読める(月3フラン)という手もある。

    では馬車を買うにはいくらかかるのか、バルザックは著作の中で繰り返し馬車に憧れる青年を描いたが自身もそうだった。1831年16ページの新聞んを一人で埋めるほどの記事を書き、「あら皮」を書きまた2作ほど再販されて800万円ほどの一時金を手に入れたバルザックは初めて馬車を買った。独身のプレイボーイが乗るキャブリオレと言う1頭だて二輪の幌付き馬車に馬1頭と馬具一頭を400万円で購入、御者を年棒48万円で雇い22万5千の仕着せを与えた。さらに控え馬1頭と御者用の厚手の毛布で120万円合計で600万円だ。ダンディーたるものさらに馬車の後ろに立たせる召使いも抱えなければならずこれが同じく仕着せをつけて100万円、さらに馬一頭の餌代は年間90万円ほどかかる。パリで大きな顔をしようとしたら馬が三頭に昼間はチェビリー、夜はクーペと乗り物だけでも900万ほどかかるのだ。貧乏学生マリユスの年間生活費65万円は馬の餌代よりも安い。19世紀の物価はほぼ一定だったが当時のフランス人の年間所得は自営商店383万円、下請けの仕立て屋327万円、下級官吏120万円、肉体労働者83万円、くず屋65万円で学生の仕送りが120万〜150万円ほどだそうだ。当時のフランス人平均身長は160センチほどで背が低いイメージのナポレオンは167cmと平均以上ある。少し田舎に引っ込めばパリの洗濯代で生活できたというので華やかなパリも生活は楽じゃ無さそうだ。

    この本にはパリのシャンゼリゼに感動し素晴らしい記録を書き残したお上りさんの一行も少しだけ登場する。明治政府が派遣した岩倉使節団の特命全権大使一行だ。それにしても成毛眞氏のオールタイムベスト10に入るこの本を本当に面白いと思う人はどれくらいいるのだろう?ウンチクは嫌いじゃないが文豪には興味がないのでヒュー・ジャックマン版のレ・ミゼラブルしか見ていない。物語とこの本で紹介するパリの風景がいまいちつながらないのでのめり込むのは難しかった。それでも豊富な写真や挿絵は素晴らしい。馬車解説もね。鹿島氏が「馬車を買いたい」と思い立った日のパリの1日とその結末がハイライトかもしれません。

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    2014年11月20日
  • 勝つための論文の書き方

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    論文を書く際の視点や日々の生活の心構えについて紹介。問いを立てること、検証方法、証明方法について添削例を踏まえて説明しているため分かりやすい。

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    2014年10月13日
  • セーラー服とエッフェル塔

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    【本の内容】
    普段は気にしない世の中の不思議―たとえば、女性の乳房はなぜ膨らんでいて、男性はそれに愛着を感じるのか?

    セーラー服はなぜ日本にだけ定着し、根強い人気を誇るのか?

    こうしたエロスに関する疑問はもとより、巷に溢れる「?」に、ムッシュー・カシマは乱読をしながらユニークな仮説を立てていく。

    [ 目次 ]
    SMと米俵
    出世牛
    セミとキリギリス
    ビデ
    皮と革
    他人のくそ
    由緒正しい競争
    フロイトと「見立て」
    牛肉食いvs.カエル食い
    売られたエッフェル塔〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2014年10月04日
  • 役人の生理学

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    オノレ・ド・バルザックのシニカルに満ちた役人論エッセイです。王政から民主政への過渡期の時代において、必然的に導入されることになった官僚制について、いち早くその本質を見極め、滑稽に描写したものになっています。
    訳者の鹿島茂の指摘通り、官僚機構が非効率で無駄が多い理由として、バルザックは間接選挙で支配者が決まる民主国家そのものの構造にあるとしていて、「賞罰を心得た君主に仕える」のではなく、民主国家に仕えるということは、「すべての人びと」が主人である国家に仕えるということであり、それは「『だれにも』仕えないというに等しい」のであって、報酬と名誉が満たされない以上、だれだって真面目に働こうという気持ちにはならない、としていてその草創期において早くも卓見な見解をしめすに至っています。
    内容としては一般大衆向けに役人の「生態」をこれでもかと笑い飛ばす軽い読み物なので、少し可哀そうなところもあるのですが、こうした本質をつく鋭い洞察力により今日でも活きている部分があるのと同時に、鹿島茂によれば現代ではサラリーマン社会全体に適用されるものだということで、そう言われてみれば身に滲みる部分もかなりあるなあという気にもなってきました。(笑)そういう意味ではむしろ併録のモーパッサンの『役人』の方がより身に滲みたかな。(笑)
    キャッチコピーのいう「抱腹絶倒のスーパー・エッセイ」といわれると、さすがに現代にはマッチしない部分や当時のフランス社会を風刺している部分などはわからないので、そこまで抱腹はできませんでしたが(笑)、バルザックの鋭い観察眼に接するだけでも楽しめたかなと思います。
    その他の併録としては、バルザックの小説『役人』の概要と、フローベルの『博物学の一講義・書記属』で、フローベルの方はバルザックに負けじとシニカルな文章です。
    『役人の生理学』の「退職者」の章では、ああ早く定年にならないかなあと待っているという話でしたが、自分も図星をつかれたようで、これまた「公理」ですね。(笑)

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    2014年09月28日
  • ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815

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    勝手な想像で、小説みたいな歴史本だと思い込んでいたが、あにはからんやゴリゴリの歴史本だった。しかし、学問的な歴史解釈に明け暮れるのではなく、人間が歴史を作っていくさまが書かれていて、すんなり読める。知らなかった話も読めて楽しかった。

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    2014年07月24日
  • ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815

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    西洋史に詳しくない私でも興味深くわかりやすく読める文体と、鹿島氏独自の切り口の面白さもあって、文庫本にしても分厚い本ではありますが飽きたりだれたりすることなく読み進めることができました。フランス革命をキャッチフレーズ的にしか知っていないと欧州史の見方を誤ってしまうなと反省したところです。

    ちなみに登場する3社の中でいうと、ナポレオンは見ていて面白いし、フーシェのポジションには憧れるけど、最終的に自分が目指したいと思うのはタレーランではないかと思います。ま、あんな大物比べたらいけませんけどね。

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    2014年07月06日
  • 悪の引用句辞典 マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき

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    限りなく、5つに近いのですが、いくつかは、なんとなく自分と共感できない部分が感じられて(一冊の本が人生を変える?)その部分でちょっと-です。でもよい本がたっぷり挙げられていますので、いくつか読んでみたい本を見つけられました。とてもよいブックガイドです。

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    2014年05月17日
  • 悪の引用句辞典 マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき

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    手軽で面白かった!ただなんとなく著者の言説の自己矛盾がいろいろなところに出ているので半分ぐらいに読むとちょうどいいと思う。主に著者がいうところの自己中心的な人がマジョリティで生きている世の中で果たして利他的に生きることは可能か?というところだ。たいていの場合、仕方なく自己中心的に生きざるを得ないことになっていてそれが連鎖している。

    いずれにせよ、諦めがつくまでがんばらせることを許すというのは非常に大切だ。

    欧米人にとって言葉はすべて他人の言葉であり、人間のオリジナリティは言葉の運用部分にしかないという認識がある。

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    2014年05月09日
  • 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史

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    いやー、こりゃすごい。
    ナポレオン三世の人となりだけでも十分に予想外の記述だけど、19世紀後半のフランス社会の変貌ぶりの記述がすばらしい。有名なパリ大改造にとどまらず、金融産業資本主義の誕生にバブル経済、貧民対策としての公団建築。
    特に金融に焦点をあてた章は面白い。利率を下げて投資を刺激した件はマクロ経済学のテキストに載っててもおかしくない。ソシエテ・ジェネラルが設立された経緯も興味深い。発券機能をめぐってのすったもんだも面白い。

    政治・外交に関しても、イタリア・ドイツの国民国家成立やクリミア戦争の展開、英仏の融和 などいろんなことに目配りされている。
    いや、たしかにこの時代の前と後ではフランス社会や外交の風景がガラッと変わったんだろうな、と思える本。

    次はナポレオン三世が範としたイギリス社会に関する本を読んでみよう。

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    2014年05月02日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

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    おすすめ度:85点

    約350年前の思索であるにもかかわらず、その言葉の数々が現代の私たちに、直接、響いてくることに驚く。
    科学者、数学者であったパスカルの言葉は、徹底的に周りの人間や自己を観察、分析され、自然科学で鍛えられた鋭利な推論の方法が適用されるので、その分析結果は容赦のないものとなる。
    極めて直截的であり、妥協を許さない。へんに説教じみていないところも良い。
    本著は現代人の身近な悩みをパスカルの言葉から解決して、更に生きる方向性を示唆してくれる好著である。

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    2014年03月22日
  • 役人の生理学

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    フランス七月王政期あたり、フランスが近代国家の形を成しはじめた頃の、役人の生態を描くエッセイ。付録にバルザックの小説抄訳とフロベール・モーパッサンのエッセイがついている。それらの時代背景等については、巻末の訳者解説223頁~229頁に実にうまくまとめられている。現代のサラリーマン的な生活様式が、たしかに200年近く前に生まれたことが、同時代を生きた筆者たちの筆により確認できる。月並みだが、本当に今の役人・サラリーマンと変わらないと思った。またバルザックの抄訳小説では、「小さな政府」論が展開されており、そうした論が近代的な政府の成立とほぼ同時に生まれていたことに驚きもした。

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    2014年03月13日
  • 渋沢栄一 上 算盤篇

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    埼玉の生んだ「資本主義の父」、ある時、名前は知ってるけどそれ以外あまり知らないと思ったのと、県の有名人のこと位知っときいたいと思い購入、読みきりました。

    才能と感性を頼りに、近代企業創設した明治中盤くらいまでのことが書かれています。とりわけフランスへの派遣時代の話というか、フランスで出会った渋沢栄一の経済人としての根本的な思想(サン =シモン主義)を追い求めることが大きな分量があります。

    文語体、渋沢本人の語った言葉などの引用には、わかりやすいように、「要は~」などと入れてる部分もあり、読者に読みやすく書いてありました。その一方でとにかく長いことだけが、気になりました。

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    2014年02月19日
  • 渋沢栄一 下 論語篇

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    多様な視点で丹念に資料を読み込み、渋沢像を深堀りする探求心には頭が下がる。
    無私で高徳なイメージの渋沢が、女性関係には自由であったという意外さは、ある意味お茶目な側面を見たようでほころんでしまった。

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    2014年01月15日
  • 渋沢栄一 上 算盤篇

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     渋沢栄一が近代日本経済に資本主義を根付かせることができたのは、社会システムの理解に長けた渋沢という男が、フランスという短期に民力を集めて資本主義国家を形成した国に留学していたからだ、という視点で渋沢の素養とフランスのサン=シモン主義との融合が描かれている。
     なるほど、明治維新前後の経済に対する日本人の意識やその変化は渋沢栄一を中心に見ていくと非常に分かり易い。

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    2013年10月07日