鹿島茂のレビュー一覧
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いやー、こりゃすごい。
ナポレオン三世の人となりだけでも十分に予想外の記述だけど、19世紀後半のフランス社会の変貌ぶりの記述がすばらしい。有名なパリ大改造にとどまらず、金融産業資本主義の誕生にバブル経済、貧民対策としての公団建築。
特に金融に焦点をあてた章は面白い。利率を下げて投資を刺激した件はマクロ経済学のテキストに載っててもおかしくない。ソシエテ・ジェネラルが設立された経緯も興味深い。発券機能をめぐってのすったもんだも面白い。
政治・外交に関しても、イタリア・ドイツの国民国家成立やクリミア戦争の展開、英仏の融和 などいろんなことに目配りされている。
いや、たしかにこの時代の前と後ではフラ -
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フランス七月王政期あたり、フランスが近代国家の形を成しはじめた頃の、役人の生態を描くエッセイ。付録にバルザックの小説抄訳とフロベール・モーパッサンのエッセイがついている。それらの時代背景等については、巻末の訳者解説223頁~229頁に実にうまくまとめられている。現代のサラリーマン的な生活様式が、たしかに200年近く前に生まれたことが、同時代を生きた筆者たちの筆により確認できる。月並みだが、本当に今の役人・サラリーマンと変わらないと思った。またバルザックの抄訳小説では、「小さな政府」論が展開されており、そうした論が近代的な政府の成立とほぼ同時に生まれていたことに驚きもした。
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埼玉の生んだ「資本主義の父」、ある時、名前は知ってるけどそれ以外あまり知らないと思ったのと、県の有名人のこと位知っときいたいと思い購入、読みきりました。
才能と感性を頼りに、近代企業創設した明治中盤くらいまでのことが書かれています。とりわけフランスへの派遣時代の話というか、フランスで出会った渋沢栄一の経済人としての根本的な思想(サン =シモン主義)を追い求めることが大きな分量があります。
文語体、渋沢本人の語った言葉などの引用には、わかりやすいように、「要は~」などと入れてる部分もあり、読者に読みやすく書いてありました。その一方でとにかく長いことだけが、気になりました。 -
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フランスのバカロレアでは、引用がどれくらい効果的に行えるか、という能力が試される面もあるという。
引用重視は聖書読解からくる文化では、と。だからなのかわからないが、僕は名言集は好まない。
しかしこの本は、引用句辞典といいながらも、引用句を巧みに操って「ついでに」自分のイイタイコトを言う、というものである。しかも「悪の」。
いきなり「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑だ(サミュエル・ジョンソン)」。アハハハハ。そして著者は「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑だ、という言葉こそ悪党の最後の隠れ蓑だ」と。もう、悪党だらけだね。
夏目漱石の「現代日本の開化」から、「面倒くさい」と「楽しい」を「考える」で結ぶことを忘れ -
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面白そうなタイトルだな…と思ったら「馬車が買いたい」「明日は舞踏会」の鹿島茂さんの本だったので、手に取りました。
それにしてもまあ、昔の紳士たちは格好良かったのですね…。生活することが仕事、という恵まれた人々は、そう多くはありませんが、薩摩治郎八という人は、まさに生きることが芸術であり、仕事であった。勤勉に働いて、慎ましく暮らすことの幸せは、我が身に似合うものと思っていますが、読むだけなら、自分と全く違う人生を歩いた人のことを知りたいと思います。
無理に真似したり憧れすぎる必要もないけど、すごい人がいたんだなあって、感嘆するばかり。夢のようなお話の中にある、ひやりとするなにかに触れられたら -
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『ぎりぎり合格のための論文マニュアル』が論文の体裁と構成についてのマニュアルであると位置付ければ、この『勝つための論文の書き方』は論文の要となる問いの立て方と論の進め方について解説したものである。こちらは論文だけではなく、生活の様々な側面で活用できる一冊だ。
論文の良し悪しは問いの立て方によって決まる。しかし、問いをどのように見つけ、どんな風に構成するかというのはとても難しい。問いから答えに至る途は事前には全く不明確であるからだ。しかし、この本に書いてあるようなアプローチの段取りを踏めば、必ずやいい問いに辿り着けるだろう。そのアプローチとはとても簡単であり、ここに書いてしまうとネタバレなので、 -
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・今年吉本隆明が亡くなった時、一度はその著書に目を通してみたいと思っていたが、ようやくその機会に巡り合うことができた。と言っても、本書は鹿島茂著である。吉本隆明その人の文章はあまりに難解なためとても理解できるものではないと思い、多少なりとも馴染みのある鹿島茂を通して、その世界の一端を垣間見ようと思った。
・本書もやはりなかなか難解で理解に苦しむ箇所も非常に多かったが、それは彼ら団塊の世代(鹿島茂)やその親の世代(吉本隆明)の生きてきた社会的背景が、僕の生きている時代とあまりに異なるからとある種の割り切りをもって読み進めることで、何とか克服した。
・鹿島茂(また彼という人間を通した吉本隆明)が言